春の寓意 1924年 油彩・布
春の寓意
宗教的な雰囲気を漂わせた作品で、古いフランドル祭壇画の影響が見られます。ただし、宗教絵画と言い切ってしまうにはやや疑問な部分も存在します。
両端の人物は天使、中央の母子が聖母マリアと幼児キリスト、右側の子どもが洗礼者ヨハネという風に見えますが、細かく見ていくと、それぞれのアトリビュートを完全には備えていません。たとえば聖母マリアは通常赤い衣と青のマントを着ることになっていますが、この女性は白い衣をまとっています。また洗礼者ヨハネはラクダの毛皮を着て、十字架の杖を持って描かれるのが普通ですが、この作品の子どもは裸体で、杖も持っていません。とはいえ、画家がこれらの人物を意識していることはあきらかです。特に女性に抱かれている子どもは、右手をあげて祝福を与えるかのようなポーズをとっており、これは幼児キリストと考えるのが自然です。このように見ていくと、この作品は伝統的なきまりごとに沿った宗教画というよりは、宗教画の登場人物を借りて、春という季節を象徴的に表そうと試みた作品であると考えるのが妥当であると思われます。