| 「戦争の惨禍」 1863年 15.5×20.5p 銅板・紙 |
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19世紀初頭のスペインでは、フランスの内政干渉に対する不満から、暴動や市民の蜂起が起こり、1808年6月ついに対仏独立戦争が始ましました。この戦争と、それに苦しむ民衆の姿を実際に目の当たりにしたゴヤが、1810年制作に着手したのが「戦争の惨禍」です。ゴヤはこの作品を単なるフランス軍批判ではなく、戦争そのものに対する普遍的な意味を持つ作品として制作しました。人間の愚かな行いが冷静に観察され、現代の報道写真のように客観的に捉えられています。内容的に見ると、性質がやや異なる2つの版画集を一体化したものと考えられます。2番から64番までは、戦争の客観的な記録です。フランス軍による暴行、強姦、略奪、虐殺などの戦争中に起こった残虐な場面、マドリードを襲った飢饉の様子などが写実的に描き出されています。これに対して1番と65番以降はしばしば「強調されたカプリチョス」と呼ばれることがあるように、政治批判的な内容を含んでいます。写実に徹した64番以前に対して、動物や擬人像なども用いた象徴的、寓意的表現が登場するのが特徴です。この作品集はゴヤの生前には出版されませんでしたが、その理由は明らかになっていません。 |