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人工衛星を見よう

 夜空を見ていると、星以外にも面白いものが見えます。それは「人工衛星」です。
 一見、飛行機のように見えますが、点滅しないでまさに「動く星」のように見えます。天体写真を撮るときには、邪魔に思うこともありますが、見えると意外とうれしいです。

 このページでは、そんな人工衛星の見かたをご紹介します。

左の写真は「イリジウム」という人工衛星が輝いて見えている写真です。
2014年5月19日20時6分撮影

超短縮版・人工衛星の見かた

  • いつどこに見えるかは、インターネットで調べられる
  • 晴れていれば、予報の時刻と場所に必ず見える
  • 見える時間は、夕方か明け方 
  • 点滅していない星のようなものが動いていたらOK

人工衛星とは

 「衛星」とは、地球や土星のような、太陽の周りをまわっている天体・惑星の周りを回っている天体のことです。例えば、地球の衛星といえば「月」ですよね。そして、人間が作り出した地球の周りを回る機械たちが「人工衛星」です。
 世界初の人工衛星は、1957年に旧ソ連で打ち上げた「スプートニク1号」です。その後も、人工衛星は毎年のように打ちあげられていて、これまで約7600個が打ち上げられて、その中で、現在地球の周り回っている物は約4400個と言われています(参考)。

 国際宇宙ステーション(ISS・International Space Station)のように、サッカー場くらいの大きさのあるものから、10cm角くらいの超小型衛星まで、ミッションに合わせて様々な人工衛星が作られ、私たちの生活を便利にしています。

人工衛星を見るには

 人工衛星がいつ・どの方向に見えるかは、地球の周りをまわる軌道に基づいて、計算して予報することができます。
以前は、人工衛星の軌道を示す「軌道要素(きどうようそ)」から、自分で計算をしましたが、今はインターネットで簡単に、空のどの場所に見えるか知ることができます。また、ツイッターやFacebookなどで、人工衛星の見ごろを教えてくれる事もあります。

人工衛星の軌道は少しずつ変化していくので、数ヶ月先の予報は精度が悪くなります。ホームページで最新の情報を調べてみてください。

見える時間

人工衛星は、自分では光を出していなくて、太陽の光が当たって光って見えます。なので、夕方や明け方の「地上は暗いけれど、人工衛星がいる空の高い所は日が射している」時が見頃です。

見える方向

人工衛星は動いているので、見える方向はどんどん変わります。また、お住まいの場所によっても見える方向が変わります。

お勧めサイト「Heavens-Above」

ドイツ航空宇宙センターが開設している、人工衛星の予報サイトです。日本語でも使えるようになったので、ブックマークしておくと便利です。また、スマートフォン用のアプリもあります(アプリは英語のみ)

  1. http://www.heavens-above.com/ にアクセスする(ログインは不要です)
  2. もし日本語でなければ、右上の「Language」から「日本語」を選べます
  3. 「観測地点:Unspecified 」をクリックして、出てきた地図から自分のいる場所をクリックします
  4. 一番下の「タイムゾーン」が「(GMT+9:00)Japan」になっているのを確認して[更新]をクリックします
  5. トップページに戻るので、あとは、見たい人工衛星の名前をクリックすると、この先10日分の予報が見られます

おすすめの人工衛星

国際宇宙ステーション(ISS)

国際宇宙ステーションの通過

 日本を含めた世界15ヶ国が共同で作り上げた、有人の「宇宙の実験室」です。全体の大きさは約70m×110mとサッカー場くらいの大きさがあります。時々、日本人の宇宙飛行士が滞在して、2014年には若田光一氏が船長を務めました。

  • 見え方:とても明るくて、1等星より明るく見えることもあります
  • 見える時期:およそ夕方1週間くらい→見えない→明け方1週間くらい→見えない→夕方…と繰り返します
  • 見える場所:広い範囲で見えます
  • 見えている時間:数分間

ISSの月面通過ごくまれに、国際宇宙ステーションが太陽や月と重なって見えることがあります。
見られる範囲は、長さは数100kmありますが、幅は数km程度の細長い範囲で、時間は1秒以下です。

写真は月面を通過するISS(白い点)で、時間は1.5秒程度です。

(終了)イリジウムフレア

イリジウムフレア

イリジウムは、地球上のどこででも携帯電話が使えるように打ち上げられた66機の人工衛星群です。(当初、77機の衛星を打ち上げる予定だったので原子番号77のイリジウムにちなんで名づけられました)  搭載されている鏡のようなアンテナが太陽の光を跳ね返して、数秒間とても明るく輝いて見えて「イリジウムフレア」と呼ばれています。流星やUFOと間違えられることもあります。

2021年現在、イリジウム衛星はフレアが見えない新世代の機種に更新されたので、もう見ることはできません。

写真は1分間シャッターを開けて撮影した、イリジウムフレアです。実際に光って見えるのは10秒程度です。

人工衛星を記録する

 人工衛星を見るのに、望遠鏡はいりません。
 人工衛星は近くで見るととても大きく感じますが、一番近くても100km以上離れているので、望遠鏡を使って形を見ることはできません。また、夜空を高速で通過するので、望遠鏡で追いかけるのも困難です。(国際宇宙ステーションは例外ですが…)

目で記録する

明るい人工衛星は、十分目で見えます。星座の中の移動の様子をスケッチすると、楽しいかもしれません。

写真やビデオで記録する

 人工衛星は、空の中を通過するコースと時間が決まっているので、カメラで待ち構えて写真を撮ることができます。
 ただ、移動していて星よりも暗く写るので、少し感度を上げたほうがよく写ります。短い露出で撮影して、あとで「比較明合成」をすると、上の写真のように、空の広い範囲での移動の様子がよくわかります。
 ビデオでは、ISS以外はほとんど写りません。

他に気をつけることは?

 人工衛星も夜空に見えるものの1つですから、星や流星を見る時と同じような注意がいります。。

  • 夜間や早朝は、世の中全体では寝ている人の方が多いです。周りへの迷惑に十分注意を払ってください。
  • もちろん安全第一です。子どもだけで出かけたり、車の多いところや治安のよくない場所は避けてください。
  • メガネやコンタクトの方は必ず持参しましょう。ピンボケでは何も楽しくありません。
  • 「修行」ではありませんので、つまらなくなったら即撤退です。
  • くもりや雨の日は、当然見えません。自由研究や宿題のネタにする時には、見えなくても楽しめる(つぶしのきく)メニューも考えてください。

参考資料