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日食を見よう

皆既日食とコロナ

 日食はオーロラと並んで、誰もが一度は見てみたい天文ショーだと思います。でも、

 という難しい条件がつきます。(だからこそ見たいのかもしれません…) でも十分な下調べと準備があれば、一生の思い出になるのも魅力です。このページがそんなみなさんのお役にたてば幸いです。

太陽を安全に観察する方法

ピンホールで太陽を観察する

 まずは、「太陽を安全に観察するために」のページをご覧ください。「太陽を観察する」のは、みなさんが思っている以上に「危険な行為」です。十分な準備をして安全に気をつけてください。  観察する時の注意ポイントは、

  • 木漏れ日やピンホールなど、直接太陽を見ない方法をなるべく使う
  • 直接見る時は日食メガネなどで目を保護して、長時間見続けない
  • 普通の望遠鏡や双眼鏡は絶対に太陽に向けない
  • できれば、安全にみられる公開天文台や科学館の観望会に行く

ポイント1「日食はいつ見るえるか?」

 日食は毎年、世界中のどこかで年に2回程度起こります。でも、日本で見られる日食は数年に1回程度です。

2030年6月1日(土曜日)の部分日食

姫路では、2020年6月の日食以来、10年ぶりとなります。この日食は、北海道では金環日食になります。(時刻は姫路での値です)

  • 日食のはじまり:15時51分
  • 食の最大:17時08分
  • 日食の終わり:18時15分

姫路で見られる日食

これまで姫路で見られた日食 次に姫路で見られる日食 これから姫路で見られる日食
1992年12月24日(晴) 2030年6月1日 部分日食
15時51分~18時15分(食の最大 17時08分)
(2023年4月20日(午後)に姫路では見えませんが、九州南部・沖縄で部分日食があります)
2032年11月3日(午後)
1995年10月24日(晴) 2035年9月2日(午前)
(北陸~関東で皆既日食)
1997年3月9日 2041年10月25日(午前)
(近畿~中部で金環日食)
2002年6月11日(雨) 2042年4月20日(午前~午後)
(小笠原諸島で皆既日食)
2004年10月14日(晴) 2046年2月6日(午前)
2009年7月22日(曇)
(九州で皆既日食)
2047年1月26日(午前)
2012年5月21日(晴)
(九州~関東で金環日食)
2049年11月25日(午後)
2016年3月9日(雨) 2057年7月2日(午前)
2019年1月6日(曇) 2058年11月16日(午前-午後)
2019年12月26日(曇) 2063年8月24日(午前)
2020年6月21日(曇でも見えた)
参考 前回 次回
姫路市内で見られる皆既日食 1852年12月11日 2361年3月8日
姫路市内で見られる金環日食 1730年7月15日 2095年11月27日

ポイント2「日食はどこで見えるか?」

日本で見える皆既日食や金環日食

 日食は月食とちがって、昼間の地域でも地球上のどこかにある「日食の見える場所」に行かないと見ることができません。特に皆既日食や金環日食は「皆既帯」や「金環帯」と呼ばれる、地球上に人間の都合とは関係なしで現れる、幅100km程度の細い帯状の地域に行かないと見ることができません。
 ですから、自分の住んでいる国、まして県の中で皆既日食や金環日食が見られるチャンスは滅多になくて貴重です。
(左の図は日本付近の皆既帯・金環帯の地図です)

 見える場所に行けば見る対象は「太陽」なので、どの方向を見たらいいかは迷わないと思います。

ポイント3「日食を記録するための道具は?」

 カメラやビデオなどの道具を使わなくても、紙とエンピツの「スケッチ」で十分おもしろい記録ができます。
 日食のために無理に道具を仕立てなくてもいいと思います。

目で記録する

 スケッチ用紙を用意して、時間とともに太陽が欠けていく様子を観察してみてはいかがでしょう?
 スケッチの片隅には、忘れずに時間を書こう。スケッチ用紙は白紙に丸を書けばOK!、より本格派の方はインターネットで用紙をさがしてみましょう。

日食めがねで保護しても、肉眼で太陽を見るときは長時間見ないように!

写真やビデオで記録する

 カメラやビデオにはレンズが使われているので、太陽撮影のフィルターをつけないでカメラを太陽に向けると【簡単に修理不能レベルまで壊れます】。なので、日食の撮影は目で見る時以上に準備がいると思ってください。
 折角なのでカメラは2台用意して、1台は太陽専用にフィルターをしっかり取り付けたカメラ、もう1台は太陽に向けないでスナップ用のカメラにします。そして、撮影時刻と周りの様子、木漏れ日、一緒にいる人のレポートや感想のインタビューなどを10分おき位に撮影するといい記録になります。

  • 人間の目とカメラではフィルターの特性が違うので、撮影と観望を兼用するのはやめましょう。
  • 撮影の前には改めて、カメラの取扱説明書をよく読みましょう。
  • 太陽の撮影に使えるフィルターは、大きめのカメラ屋さんに行くとあります。レンズのサイズに合った物をしっかり取り付けます。
  • 太陽を撮影するためのフィルターは非常に濃いので、太陽以外は写りません。太陽に向ける時には一工夫がいります。
  • 日食はあまり変化が早くない現象なので、ビデオを回しっぱなしで長時間撮影しなくても良いと思います(後で見直すのが苦痛になります…)。
  • 日食の間も月は東から西に動いているので、ズームで拡大しているとあっという間に画面から出て行ってしまいます。安定して撮るには星を追いかけることができる赤道儀が必要です。

焦点距離の短いレンズで撮影した太陽 太陽は思っている以上に小さくしか写りません。カメラの場合は、なるべく焦点距離の長い望遠レンズ(200mm以上)と、しっかりした三脚が必要です。

ビデオカメラで撮影した太陽 最近のビデオカメラはズーム機能も進歩してきていて、特別なレンズがなくても大きくきれいに写ります。
 ただ、わずかな揺れが影響するので、三脚にしっかり載せてください。

ポイント4「他に気をつけることは?」

 日食は昼間に起きる現象ですが、普段しない事をする時は十分な準備と注意と配慮が必要です。

  • 日食とはいえ、世の中全体では普段の生活をしている人の方が多いです。昼間だからと気を抜かず、周りへの迷惑に十分注意を払ってください。
  • もちろん安全第一です。子どもだけで出かけたり、立ち止まると迷惑だったり危険な場所、車の多いところや治安のよくない場所は避けてください。
  • 昼間ですが、冬場の観望は健康に関わります。服装は準備万端を心がけて、寒くなったら無理は禁物です。
  • 夏場は「蚊のレストラン」になりたくなければ、虫よけスプレーを忘れずに。
  • メガネやコンタクトの方は必ず持参しましょう。ピンボケでは何も楽しくありません。
  • 「修行」ではありませんので、つまらなくなったら即撤退です。
  • くもりや雨の日は、当然見えません。自由研究や宿題のネタにする時には、見えなくても楽しめる(つぶしのきく)メニューも考えてください。

日食のしくみ

日食の起こる仕組み

 日食は、月が太陽をかくす現象です。
 月は地球の周りを、およそ1ヶ月で回っています。月が地球の周りを回っているコース(軌道)は少し傾いているので、普段は左の図の緑や青の線のように、月と太陽は重なって見えない(月の影が地球に当たらない)のですが、時々、赤い線のように太陽-月-地球が一直線に並んで月の影が地球に当たると、影の中では太陽が月に隠される日食が見られます。

 月と太陽は直径が約400倍ちがいますが、地球からの距離も約400倍ちがうので見た目の大きさはほぼ同じです。でも、月が地球の周りを回る軌道は、コンパスで描いたようなきれいな円ではないので、月が地球から近い時と離れた時で見える日食が違います。

皆既日食(かいきにっしょく)

 月が地球からが近い所で日食が起こると、月の見かけの大きさが大きくなって、太陽全体が月にすっぽりかくれる皆既日食になります。普段は見えない太陽の周りにあるコロナが見えることがあります。

金環日食(きんかんにっしょく)

 月が地球からが離れた所で日食が起こると、月の見かけの大きさが小さくなって、月の周りに太陽がはみ出して環のように見える「金環日食」になります。

部分日食(ぶぶんにっしょく)

 皆既日食や金環日食の見られる地域の周りでは、太陽の一部が隠れる部分日食になります。まれに部分日食だけということもあります。
 また、皆既日食や金環日食が見られる時も、部分日食→皆既日食(金環日食)→部分日食の順に進んでいきます。

皆既日食、金環日食、部分日食のちがい

参考資料

  • 国立天文台 天文情報センター暦計算室 ホームページ
  • NASA- Solar Eclipse Page
  • 「ステラナビゲータ Ver.11」(株式会社アストロアーツ)
  • 「日食のすべて -皆既日食と金環日食の撮影と観測-」「天文年鑑」(誠文堂新光社)
  • 「理科年表」(丸善)