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姫路科学館・収蔵資料「旧制姫路高等学校コレクション」

姫路科学館では2019年に神戸大学より姫路市に寄贈された、旧制姫路高等学校で使用されていた物理実験機器について、「旧制姫路高等学校コレクション(略称:旧制姫高コレクション)」として整理、活用を進めています。

旧制姫路高等学校について

旧制姫路高等学校からの講堂

兵庫県の高等学校設置候補地(神戸市、明石市、姫路市)の中から、1923年(大正12年)に現在の姫路市新在家に国内最後(24番目)の官立高等学校として設置されました。戦前においては、兵庫県の最高学府として高等教育を担い、多くの卒業生を帝国大学に送り出しました。1948年(昭和23年)に初めて女子学生の入学が許可されましたが、翌1949年(昭和24年)に神戸大学に統合され1950年(昭和25年)に歴史を終えました。
旧制姫路高等学校の敷地等は神戸大学姫路分校に継承されましたが、1964年(昭和39年)に神戸大学姫路分校も廃止されました。現在、旧制姫路高等学校の遺構としては、本館の一部と講堂が兵庫県立大学姫路環境人間キャンパスに残されています。

写真は旧姫路高等学校講堂

「旧制姫路高等学校コレクション」について

1924年(大正13年)から1951年(昭和26年)までに旧制姫路高等学校(神戸大学姫路分校)で購入され、研究や教育に使用された実験機器の資料です。
力学(約30点)、流体力学(約20点)、音響学(約30点)、熱学(約20点)、光学(約80点)、電磁気学(約120点)など、20世紀前半の実験機器全般の資料群約300点が含まれます。

旧制高等学校の物理実験機器資料群としては、1894年(明治27年)に高等中学校から改称された第四高等学校(現金沢大学・約950点)、第三高等学校(現京都大学・約400点)に次ぐ規模です。また、旧制姫路高等学校はそれらと異なり、官立として最も遅い1923年(大正12年)に設置されたことがコレクションを特徴づけています。

旧制姫高コレクションが、長期にわたり神戸大学に保管されてきた経緯には、神戸大学名誉教授 橋本萬平氏(1913-2006年)の尽力がありました。その後も、神戸大学名誉教授 福田行男氏、三浦伸夫氏、神戸大学教授 塚原東吾氏らが管理を引き継ぎ、2019年に神戸大学より姫路市が寄贈を受け、姫路科学館が収蔵しました。

コレクションの内容

旧制姫高コレクションは、第三高等学校物理実験機器コレクションの一覧表(「近代日本と物理実験機器」,2001年,永平幸雄,川合葉子 著)の分類に準拠し、物理物品看守簿(姫高物理実験器具原簿)の物品番号を参考に、次の6つの分野とその他に分けてあります。

目録

2020年11月に神戸STS研究会により、旧制姫路高等学校コレクションの目録が完成しました。

旧制姫路高等学校コレクション 物理実験機器資料(PDF・22MB)

力学(28点)

所蔵品リスト(力学)

物理天秤 クロノメーター マッハ氏振子
物理天秤 クロノメーター マッハ氏振子

流体力学(21点)

所蔵品リスト(流体力学)

マグデブルグ半球 ブラマ氏水圧器 ニコルソン浮秤
マグデブルグ半球 ブラマ氏水圧器 ニコルソン浮秤

音響学(31点)

所蔵品リスト(音響学)

メトロノーム サイレン クインケ氏音波干渉試験器
メトロノーム サイレン クインケ氏音波干渉試験器

熱学(18点)

所蔵品リスト(熱学)

内燃機関裁断装置 蒸気機関説明機
内燃機関裁断装置 蒸気機関説明機

光学(82点)

所蔵品リスト(光学)

ヘリオスタット ヒルガーウェーブレングス スペクトロメーター 蛍光体
ヘリオスタット ヒルガーウェーブレングス スペクトロメーター 蛍光体

電磁気学(116点)

所蔵品リスト(電磁気学)

島津式起電器 ブラウンウェーネルト氏管 ドレザリック象限電位計
島津式起電器 ブラウンウェーネルト氏管 ドレザリック象限電位計

その他(30点)

所蔵品リスト(その他)

メートル尺 タイガー計算機 度器原器模型
メートル尺 タイガー計算機 度器原器模型

展示と活用

旧制姫高コレクションは常設展示室3階の展示コーナーで、サイエンスショーのテーマとリンクした展示【ミニ展示「科学実験の今むかし」】で内容を入れ替えながら公開します。

第4回「X線から電子まで」(2020年4月1日より)

第3回「力と運動」(2019年10月1日より)

力学に関わる実験機器約10点を展示します。

第2回「空気と水」(2019年7月1日より)

流体力学に関わる実験機器約10点を展示します。

第1回「磁石と電気」(2019年6月30日まで)

サイエンスショー「世界最強磁石「マグネスト」登場!」に合わせて、電流が磁場から力を受けることを最初に示したエルステッド試験機や地磁気を利用して電流値を測定する正切電流計ほか磁石と電気に関わる実験機器約12点を展示します。

特別展「科学実験の今むかし-旧制姫路高等学校物理実験機器コレクションから-」(2018年度)

姫路科学館開館25周年を記念して、旧制姫路高等学校で使用された貴重な実験機器や史料をこれまでにない規模で公開し、現代の科学実験とのつながりを考えます。(開催当時は神戸大学所蔵)

特別展のページ

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