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姫路科学館・昆虫マンガ「カブちゃん」第62話

カブちゃんは、「姫路科学館だより」に掲載されている4コマ漫画です。

第62話~アリジゴクのヒ・ミ・ツ の巻~

アリジゴクのヒ・ミ・ツ の巻

バッタ博士のミニ知識【アリジゴクの巣穴の形】

 アリジゴクの巣穴の形はすり鉢状の漏斗(ろうと)型です。平たい円錐形を逆さまにしたような形ですが、よく観察すると、最も深いところが、中心からずれていることに気がつきます。一つのアリジゴクだけなら偶然かもしれませんが、全てのアリジゴクで同じ傾向が見られます。つまりアリジゴクの巣穴には傾斜が急な側と緩やかな側があるのです。
 これは、アリジゴクが巣穴を作るときに螺旋状に後退りをしながら巣穴を作ることと関係があります。実はあれほど立派な巣穴を作るアリジゴクも前進歩行はできないのです。そこで後退りしながら巣穴を作っていくわけですが、これは巣穴に落ちた獲物を捕まえるときにも不利に働きます。何しろ逃げようとする獲物を前進歩行で追いかけることができないのです。
 そこでアリジゴクは傾斜の緩やかな側の地中に潜んでいて、獲物が巣穴に落ちてくると砂をかけて、傾斜の急な側の斜面に追い詰めます。傾斜が急な分、獲物は逃げにくく、しかもアリジゴクの正面側に落ちてくるので、獲物を捕まえやすいという訳です。
 自然の摂理とはいえ、アリジゴクの巣穴は実に良くできていて、その幾何学的形状にはうっとりさせられるものがありますね。