春夏秋冬、それぞれに異なる美しさを見せる姫路城。なかでも、中秋の名月の頃から木々が色づく紅葉の時期は、心に染み入るような情趣を感じさせてくれます。

名城と名月を同時に楽しむなら、毎年恒例の観月会へ。今年は9月15日の中秋に合わせて、姫路城の正面に広がる三の丸広場で34回目となる観月会が開かれます。特設ステージを開設して琴や和太鼓演奏などの郷土芸能が披露されるほか、お茶席が登場したり、地酒や月見だんごが販売されたりと、お月見を演出する催しが盛りだくさんです。日暮れに合わせてライトアップされるお城と、明るく輝くお月様との共演。この日だけの特別な眺めが待っています。

お城の西側に広がる日本庭園の好古園でも同じ日に観月会が催されます。和楽器の演奏会や茶室での月見茶会がお月見気分を盛り上げてくれるのはもちろん、園内に広がる九つの庭園もライトアップ。十五夜の月と光に浮かぶ姫路城を望みながら、名園の散策が楽しめます。

お月見の季節が終われば、色鮮やかなお城の秋がやって来ます。紅葉です。11月の見ごろシーズンには、姫路城も好古園も燃え立つような赤とまばゆいほどの黄で染まります。お城の天守群、好古園の庭園の滝や池に映える木々の美しさは息を飲むほど。錦秋と呼ぶにふさわしいこの時期ならではのドラマチックな表情が堪能できます。

姫路城観月会

○時間/18:00~21:00○場所/姫路城三の丸広場○入城料/無料○問い合わせ/姫路城イベント実行委員会 TEL.079-287-3652

観月会 好古園

○時間/17:00~21:00(入園は20:30まで)○場所/姫路城西御屋敷跡庭園 好古園○入園料/大人300円、小学~高校生150円○問い合わせ/姫路城西御屋敷跡庭園 好古園 TEL.079-289-4120

緑豊かな山歩き 絶景と地のもんを味わう。

秋に訪れたいのは姫路城だけではありません。お城から北上するにつれ広がっていく山々もまた、一年で最も美しい季節を迎えるからです。

例えば、お城のほぼ真北に位置する広嶺(みね)山。市街地からほど近い標高311mの山は、地元では絶好のハイキングコースとして親しまれています。中腹までのぼっていくと、迎えてくれるのは「空と森の展望宿」をうたうセトレハイランドヴィラ姫路。姫路城はもちろん、姫路のまちや遠く瀬戸内海まで一望できる絶景が自慢のオーベルジュです。

館内のレストランでは、地元播磨の米や野菜、瀬戸内の魚を素材にした料理を提供。あふれる季節感とともに地元の美味が味わえます。各フロアには眼下のパノラマが主役のラウンジや静かな時間が流れるライブラリー、瞑想(めいそう)空間、ヒーリングテラスなど、日常から切り離された空間がそろい、とっておきのリラクゼーションも約束してくれます。濃い緑に縁取られた初秋から紅葉の晩秋へ。移り変わる秋、広嶺の山を歩いて、休んで、深呼吸する休日をぜひ。

姫路城を一望できる広嶺山の展望宿。ゆっくり流れる時間と地元の旬の食材が四季の表情と共に楽しめます
セトレハイランドヴィラ姫路TEL.079-284-3010

不思議な九つの穴に 願いをそっとささやいて。

広嶺山の山頂へ向かうと、パワースポットとして人気の廣峯(ひろみね)神社に突き当たります。陰陽道を用いて姫路城を築いた池田輝政が北の基準とした神社で、歴代の城主からは「北の守護神」として敬われてきました。

創建を果たしたのが陰陽道の祖といわれる吉備真備(きびのまきび)とあって、参拝には陰陽九星詣りと呼ばれる特別な作法が用いられます。陰陽道が示す九つの守護神に祈願するという一風変わったこの作法。生まれた年ごとに異なる運命星の守護神に祈願成就を願うのです。

まずは願い事を祈願札に記し、拝殿で手を合わせた後、ぐるっと回って本殿裏へ。

守護神が鎮まる九つ運命星の穴に祈願札を投げ入れ、願い事を小さな声で3回ささやけば、参拝は終了です。私は八白土星の守護神に心を込めて祈願しました。

最後に試した幸桃のおみくじでも大吉を引き当て、幸運が訪れる予感は高まるばかり。緑にも癒やされながら、陰陽道のパワーをたっぷり頂きました。

廣峯神社奈良時代の創建。遣唐使の吉備真備が唐から帰国する際、神託によって社殿を建立。素戔嗚尊(すさのをのみこと)の化身である牛頭天王(ごずてんのう)、奇稲田媛命(くしいなだひめのみこと)などを祭り、暦の神、農耕の神様などとして知られる。現在の本殿は室町中期に、拝殿は江戸時代に再建され、国内最大級。本殿、拝殿、宝篋印(ほうきょういん)塔は国指定重要文化財。 姫路市広嶺山52 TEL079-288-4777

広嶺山の山頂に広がる境内に本殿、拝殿をはじめ、いくつもの摂社・末社が建ち並びます。峰伝いに白幣山へ足を延ばせば、吉備真備を祭る吉備社にも参拝ができます

  • 祈願成就の御幣とお守りは大切に持ち帰ります

  • 本殿裏へ参拝。運命星の穴に祈願札を入れ、願い事をささやきます

  • 拝殿に参拝。二礼二拍手一礼で、日ごろの感謝を伝えます

  • 九星詣りセットを授与所で頂き、祈願札に願い事を書き入れます

ベンガラ塗りの唐門とカメが支える碑石が目を引く榊原忠次の墓所をはじめ、本堂、開山堂など貴重な史跡が残ります。山麓から続く参道沿いにも見どころが点在

静寂に包まれた山上の名刹(めいさつ)は 紅葉もまた見事。

広嶺山の東に連なる増位山にもまた、この地の歴史を物語るドラマがあふれています。山麓から続く散策路は、山上に本堂を構える随願寺への参道。木々の間を抜けるように歩いて行くと、その先に書写山円教寺と並び称される名刹が静かにたたずんでいます。

どっしりと構える本堂は、姫路城の28代城主榊原忠次が建立したもの。しんとした空気に満たされた堂内に足を踏み入れれば墨書きの龍や彩色の天女、鳳凰(ほうおう)が描かれた天井絵や、驚くほど精緻な細工がされた厨子が遠い時代へといざなってくれます。本堂近くには地元の信頼も厚かった忠次の墓所が。

こちらには立派な五輪塔や墓碑、灯籠が建ち並んでいます。墓碑には彼の生涯が記されており、全文を読むことができると、碑石を支えるカメが動くという伝説があるそうです。

紅葉の名所として知られるほか、梅を見に、また2月11日の鬼追いにも多くの人が訪れます。

増位山随願寺奈良時代に始まったとされる名刹。かつては山上に三十坊が並ぶ大寺院だったものの、天正元年、三木の別所長治に攻められ焼失。後に秀吉によって再興された。木像毘沙門天立像や本堂、開山堂、経堂、鐘楼、榊原忠次墓所唐門は国指定重要文化財、本尊の薬師如来座像は県指定文化財。榊原忠次公墓所、開山堂行基菩薩座像は市指定文化財。 姫路市白国3-12-5 TEL079-223-7187

三浦 千佳

推進員のコメント

広嶺山や増位山は小さな頃からよく訪れていましたが、吉備真備や姫路城城主の池田輝政、松尾芭蕉など多くの偉人にゆかりが深い事を初めて学びました。廣峯神社で引いた幸桃のおみくじは大吉!九星詣りもしっかり済ませたのでいい事がありますように!ぜひ皆さんも紅葉の広嶺山、増位山をお楽しみください。

広報推進員三浦 千佳