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星の子館・彗星(ほうき星)を見よう

彗星を見よう

 「すい星」と聞くと、太陽に一番近い惑星『水星(すいせい)』を思い浮かべる人が多いと思いますが、ここで紹介する「すい星」は、別名「ほうき星」と呼ばれている『彗星(すいせい)』です。私たちの住む地球や他の惑星と同じように、太陽の周りを回っている小さな天体です。

 彗星は1年を通じて30個程度が見えているのですが、そのほとんどは人知れずやってきて、大きな望遠鏡を使って写真を撮らないと分からない暗いものばかりです。でも、時々小型の望遠鏡で見える物や、肉眼でも見える彗星が現れることもあります。
 このページでは、目立つ彗星が現れたときの見かたや楽しみ方の入門編をご紹介します。

彗星ってなに? いつどこに見える? 肉眼で見える?
尾は見えるの? どんな道具がいるの? 他に気をつけることは?

超短縮版「彗星の見かたのコツ」

  • 見える時期や方角は予報が出るので要チェック
  • 勝負は「明け方の東の空」か「夕方の西の空」
  • 空の「そこ」にあるのは間違いないが、明るく見えるかどうかは別問題
  • 見えても基本は「ぼんやりした光のかたまり」
  • 大彗星ほど望遠鏡は不要・同じ用意するなら双眼鏡がオススメ

 見やすい彗星の情報については、「今週の明るい彗星」(吉田誠一氏)というホームページが明るさの予想や写真もあって、大変参考になります。

最近話題の彗星(2015年1月)

ラブジョイ彗星(C/2014 Q2)
2015年1月7日に地球に接近して、おうし座の中に見えていて、条件の良い場所では肉眼でも見えています。
2015年1月末にかけて、ゆっくりおひつじ座→さんかく座→アンドロメダ座へ動いていきます。

そもそも「彗星」って何者?

彗星ってなんだろう?

 彗星の本体は、「汚れた雪だるま」や「凍った泥団子」と例えられるような、色々な成分を含んだ氷と砂つぶのような“ちり”が混じった、半径数km~数十kmほどの天体(彗星の「核」と呼ばれています)で、地球やほかの惑星と同じように太陽の周りを周っています。けれども、彗星が太陽の周りを周るコース(軌道)は細長い形をしているので、彗星は太陽に近いところと遠いところで見え方が変わります。

参考:チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の核(ESA・リンク先は英語)

 太陽から遠い場所にある彗星は、尾がなく、核が見えている状態です。核が太陽にだんだん近づいてくると、太陽の熱によって核の中の氷が融けて、ガスや“ちり”が宇宙空間へ放出されて尾ができます。また、このとき「コマ」と呼ばれるうすい大気のようなものもできます。
 なので、「ほうき星」の由来である尾は、実はずっとあるわけではなくて、太陽に近づいた短い間だけ見えます。

流れ星とはどうちがうの?

流星と彗星の違い 彗星と流星は、どちらも「しっぽのある星」というイメージですが、実は全く違う天体です。なので、それぞれ見る方法が全く違います。流星の見かたについては、星の子館の「流星群を見よう」のページをご覧ください。

彗星 流星
大きさは? 直径 数km~数十kmの氷とちりのかたまり 直径 数mmのちりや砂つぶ
どうやって光ってるの? 太陽の光があたって光る 地球の大気と衝突して熱くなって光る
見える季節や時期は? 定期的に見えるものと、突然見えるものがある 1年中見えるが、たくさん見える「流星群」の時期がある
何時に見えるの? 見える時間が決まっている いつ見えるかわからない
見える時間の長さは? 一晩中見えることもある 一瞬しか見えない
見える場所や方角は? 空のどこに見えるか決まっている 空のどこに見えるかわからない
見え方は? ぼんやりした光の塊
(尾がある場合もあり)
動く光の点
(流れた跡が残る場合もあり)

彗星もどき 夕方に時々見える左の写真のような「尾を引いてゆっくり動いていくもの」は、彗星や隕石の落下ではなくて「飛行機」です。
 流星や隕石なら短い間に見えなくなってしまいますし、逆に彗星なら、太陽や星とほぼ同じくらいのゆっくりした速さでしか動きません。

どこからやってくるの?

 彗星は、細長い楕円形の軌道を周って何度か太陽に近づく「周期彗星」と、一度太陽に近づいたらもう戻ってこない彗星とがあります。さらに周期彗星は、周期が200年未満の「短周期彗星」と、周期が200年以上の「長周期彗星」の2種類に大きく分けられます。

 短周期彗星は、遠日点(太陽からもっとも遠いところ)が木星軌道のあたりにあり、軌道の傾きが小さいということが特徴です。このことから、短周期彗星のふるさとは、G.カイパーさんが提唱した海王星付近(~30AU)の黄道面上にある「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる領域だと考えられています。
 長周期彗星は、軌道の傾きが大きく、宇宙空間の色々な場所からやってくるのが特徴です。このことから、長周期彗星のふるさとは、J.H.オールトさんが提唱した「オールトの雲」だと考えられています。「オールトの雲」は、太陽系を直径1万~10万AUくらいで球殻状に覆っていると考えられている場所で、実際にはまだ見つかっていません。

名前はどうやってつけられているの?

 彗星の名前は、先着順に発見者2名までの名前がつけられています。最近は観測チームの名前(パンスターズ、リニア、アイソンなど)がついている物が増えました。また「C/2013 R1」のような記号は、発見された年と1月上旬A・下旬B、2月上旬C・下旬D…(Iは紛らわしいので除く)と時期をあらわすアルファベットと見つかった順番を表しています。
 ちなみに、彗星の出現記録は、紀元前のころのものが残っていますが、昔は彗星がどういうものなのかがはっきり知られていなかったので、「○○年の大彗星」としか書かれていませんでした。

最近見えた大彗星は?

星の子館で撮影した彗星の写真は、「天体写真ギャラリー」をご覧ください。

  • アイソン彗星(C/2012 S1):2013年の秋に明るく見えましたが…
  • ラブジョイ彗星(C/2013 R1):2013年の秋に明るく見えました。
  • パンスターズ彗星(C/2011 L4):2013年の春に明るく見えました。
  • ヘールボップ彗星(C/1995 O1):1995年に発見された彗星で、1997年春には夕方の西の空にとても明るく見えました。
  • 百武彗星(C/1996 B2):1996年1月に鹿児島県の百武裕司氏によって発見された彗星で、3月には尾の長さが90度近くに伸びました。
  • ハレー彗星(1P):76年ごとによく見える彗星で、最近では1985年から1986年にかけて見えました。

ポイント1「○○彗星は何時何分に見えるの?」「どの方角に見えるの?」

毎日の彗星の移動

 彗星は必ず決まった時期に、決まった場所に見えます。一晩中見えることもあります。
 流星のようにビュッ!と一瞬ではないので、落ち着いて見られます。

 彗星は惑星と同じように太陽の周りを周っているので、見える時期や場所を計算することができます。
 地球や太陽に近い時は彗星が軌道の上を早く動くので、星座の中をどんどん動いていくように見えます。そのため、見えている時間帯はどんどん変わります。
 インターネットなどで、最新の場所を確認してみてください。

 ただ、彗星が明るくなるのは太陽に近づいた時が多いので、明るい彗星は夕方や明け方に見えることが多いです。 

 左の写真は、3日間の彗星の移動がわかる写真です。もっと早く動く動くものもあります。

ポイント2「××彗星は肉眼で見えるの?」

彗星を肉眼で見るのは難しい

 彗星がどれくらい明るくなるかは、正しく予想することはできません。
 また、彗星の明るさは星の明るさと測り方が違うので、同じ明るさの星よりずっと暗く見えます。

 彗星は、太陽から遠いところにあるときは、暗くて小さいため、望遠鏡では見ることができません。
 彗星が太陽に近づくと太陽の熱によって核の氷がとけたガスと、氷に閉じこめられていた"ちり"が宇宙に広がります。そのガスや"ちり"に太陽の光が当たって、ぼんやり広がった天体として見えます。さらに太陽に近づくと、ガスや"ちり"が太陽から出る「太陽風」によって流されて、彗星の尾が見えるようになると、さらに明るくなってきます。

 彗星からどれくらいガスや"ちり"が出て、どのくらい明るくなるのかは、彗星ごとに「個性」があるのではっきり予測できません。明るさの予想は、あくまでも「経験に基づく予想」です。
 時には彗星が大きく壊れて急に明るくなる「アウトバースト」という現象も見られますが、いつ起きるかはわかりません。
 とにかく「見てのお楽しみ!」です。

「1等星の××彗星なら、余裕で見えるんじゃない?」

彗星は数字以上に暗く見える

 彗星の場合は、広がったコマから尾の先まで全部の明るさを足して「○○等」といいます。
 なので、実際は左の写真のように、同じ等級の星に比べるとずっと暗く見えます。

 彗星の形にもよりますが、「1等級の彗星」は、肉眼で見ると「3~4等星」の明るさです。「1等星が見える場所=1等級の彗星が見える場所」ではないので、なるべく夜空の暗い場所がオススメです。

ポイント3「○○彗星は尾が見えない?」

彗星の見え方

 ほとんどの場合、見た目は「ぼんやりした丸い光のかたまり」です。
 彗星の尾は、地球と彗星と太陽の位置で見え方が決まるので、尾が見えないこともあります。

 彗星から見ると進む方向とは関係なく、ちょうど太陽に照らされた時の影のように、必ず太陽と反対側に尾ができます。
 彗星が太陽に向かってくるときは、尾が見えなくて丸い光のかたまりに見えます。星雲や星団を集めたメシエカタログは、もともと彗星を探していたシャルル・メシエが、夜空に見える彗星と紛らわしいぼんやりした天体を記録したものです。

 また、太陽に近い尾が長く見えている時期でも、地球からの距離が遠いと小さく見えるし、逆に尾が長くなくても地球に近いと大きく見えます。

ポイント4「見るのに道具はいるの?」

 彗星は見える時期ならどこでも見られます。ただ、みなさんの想像以上に暗いので、より夜空の暗い場所に行けばその分はっきり見られます。

  • 大彗星ほど天体望遠鏡は不要です(彗星は大きく広がって見えるので、天体望遠鏡では全部入りきりません)
  • 双眼鏡のほうがよく見える、ということもよくあります
  • 彗星の尾は意外と暗いので、夜空の暗いところほど長く見えます
  • 太陽に近い時期は、東や西の見晴らしが良い場所に行ってください

ポイント5「他に気をつけることは?」

 大原則として、天気が悪いと見られません。くもりや雨の日は、きっぱり諦めてください。

  • 望遠鏡より「虫よけスプレー」や「冷えないための上着」の方が大切です。
  • 特に冬場の観望は生死に関わります。服装は準備万端を心がけて、無理は禁物です。
  • 「修行」ではありませんので、つまらなくなったら即撤退です。ぜひ楽しくご覧ください。
  • もちろん、安全第一です。子どもだけで出かけたり、車の多いところや治安のよくない場所はさけてください。
  • 夜間ですから、周りへの迷惑にも十分気を払ってください。
  • くもりや雨の日は見えません自由研究や旅行の目的にする時には、見えなくても楽しめるメニューも考えてください。