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姫路科学館・昆虫マンガ「カブちゃん」第55話

カブちゃんは、「姫路科学館だより」に掲載されている4コマ漫画です。

第55話~楽しいおもちゃを作ろう の巻~

楽しいおもちゃを作ろう の巻

バッタ博士のミニ知識【どんぐりの形】

 どんぐり(団栗)でよく回るこまを作ることをできるのは、どんぐりコロコロの唄でもお馴染みのとおり、どんぐりが中心軸に対する回転対称形という丸い形をしているからです。なぜどんぐりはあのような形をしているのでしょうか?
 姫路科学館だより2012年10月号の「カブちゃん一言」にもあるとおり、どんぐりはクヌギ・アラカシ・コナラなどブナ科の果実(堅果)のことで、つまりこれらの樹木の種子なのです。動物と違って動くことのできない植物は、子孫の分布を広げるために、種子に様々な工夫が見られます。もちろん実際には植物が自ら工夫している訳ではなく、環境に適合し子孫の分布を拡げることができた植物が現存しているからなのですが、本当に感心させられる戦略がいくつも見られます。
 種子の散布というと風に乗って運ばれるタンポポの綿毛など(風散布型)が有名ですが、ドングリはブナ科の落葉広葉樹林が多い傾斜地を転がるのに適している「重力散布型」です。また、ドングリのカロリーは1個あたりで10キロカロリー程度と高いので、ネズミやリス、ムササビなどの哺乳類、カケスなどの鳥類の大好物となっており、これらの動物が食べ残したり運んだりしたドングリからも発芽し「動物摂食散布型」も兼ねています。
  いずれにしても、どんぐりがコロコロと丸いのは、子孫の分布を拡げるのに適していたからなのです。