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姫路科学館・昆虫マンガ「カブちゃん」第69話

カブちゃんは、「姫路科学館だより」に掲載されている4コマ漫画です。

第69話~コガネムシくんの金メダル の巻~

コガネムシくんの金メダル の巻

バッタ博士のミニ知識【揚力とは?】

 スキージャンプ競技でも活用され、飛行機が空を飛ぶ原理であり、凧が揚がる力である「揚力」とは、一体どのような力なのでしょうか?
 気体や液体などの流れのことを流体と呼びますが、「揚力」はこの流体中におかれた板や翼などの物体に働く力のことで、流れの方向に垂直な成分のことを言います。ちなみに流れの方向に平行な成分は抗力と呼びます。
 さて、流体中におかれた物体は、流体と物体の相対速度に差があれば、物体が流体の流れに影響を及ぼします。「揚力」は流体の流れの向きが変わったことで発生する力で、例えば飛行機の翼なら進行方向からの気流の流れが下向きに曲げられ、その反作用として上向きの「揚力」が生じます。
 この現象をより詳しく正確に言うならば、飛行機の翼ではその形状により翼の上側と下側の気流の流速に差を生じさせ、上側の流速を早く下側の流速を遅くすることで、流体中の流速が早い部分ほど圧力が下がる(ベルヌーイの定理)現象を利用し、翼の上側向きの「揚力」を発生させて空を飛んでいるのです。
 スキージャンプ競技でもスキー板や選手の体そのものを利用して「揚力」を発生させることで、より遠くまで飛ぶことができます。向かい風の時の方が相対速度が大きいため、より大きな「揚力」が発生し大ジャンプにつながります。そのため、ウィンドファクターと呼ばれる、有利な向かい風の時にはマイナスし、不利な追い風の時にはプラスする、得点の加減方法が用いられているのです。
 姫路科学館3階の常設展示室には、この原理を学べる装置(びゅんびゅんボール)がありますので、オリンピックのスキージャンプを思い浮かべながら観察してみてください。