カブちゃんは、「姫路科学館だより」に掲載されている4コマ漫画です。
第72話~僕もさなぎだよの巻~

バッタ博士のミニ知識【完全変態を司る脳とホルモン】
昆虫の完全変態の段階をコントロールしているのは脳とホルモンの働きです。幼虫の姿に止めておく幼若ホルモン、脱皮や蛹への変化を誘導する脱皮ホルモンなどがあり、その全体の調節を脳が行っていると考えられています。
昆虫の発育や成長に関わるホルモンの制御機構の解明には、カイコが大いに役立ちました。カイコの脳にはアラタ体という小器官が付いています。一方、第一胸節の左右両側にある気門を取り巻く前胸腺という帯状の器官もあります。アラタ体からは幼若ホルモンが分泌されており、前胸腺からは脱皮ホルモンが分泌されています。そしてその前胸腺の働きを活性化する前胸腺刺激ホルモンは脳から分泌されています。これらホルモンが働くことで、カイコの幼虫の脱皮や蛹への変化がコントロールされています。
そうした研究のさきがけとなったのが、1937年、フランスのブニョールの実験でした。ブニョールは3齢と4齢のカイコの幼虫の頭部からアラタ体を摘出したところ、どちらの場合も直ぐに蛹へ変態することを確かめました。また4齢前期にアラタ体を摘出しても、このアラタ体を直ちに戻せば5齢に脱皮することも確かめました。
こうした研究の積み重ねにより、アラタ体から分泌される幼若ホルモンは言わばブレーキの役割で、一方の脱皮ホルモンがアクセルとなって、カイコの脱皮や蛹への変化がコントロールされていると考えられています。