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姫路科学館・昆虫マンガ「カブちゃん」第79話

カブちゃんは、「姫路科学館だより」に掲載されている4コマ漫画です。

第79話~春一番の巻~

春一番の巻

バッタ博士のミニ知識【「春一番」の言葉のはじまり】

 「春一番」は「冬から春への移行期に、初めて吹く暖かい南よりの強い風」のことで、「気象庁では立春から春分までの間に、広い範囲(地方予報区くらい)で初めて吹く、暖かく(やや)強い南よりの風としている」とのことですが、なんだか寒い冬が終わって暖かい春がやってくるという浮き浮きした気分を感じさせる言葉ですね。
 しかし、その語源には悲しい気象災害の歴史が刻み込まれているようです。「春一番」という言葉が広く知られるようになったきっかけは、1859年(安政6年)2月13日、長崎県壱岐郡郷ノ浦町(現・壱岐市)で、強風のために漁船が多数転覆し53人の死者が出た遭難事故です。この事故以前からそのような風のことを郷ノ浦町で「春一」や「春一番」と呼んでいたものが始まりだと言われています。
 1987年(昭和62年)、長崎県壱岐市郷ノ浦町郷ノ浦403番地の元居公園内に「春一番の塔」が建てられましたが、これはその事故を風化させないことを目的としたものです。長崎県内の観光サイトを紹介するホームページには、海と共生する壱岐の人々に自然の怖さを忘れないようにとの思いがこめられています、と紹介されています。
 「春一番」という言葉には、単に春が来るという以上の意味が込められていたのですね。