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JAPANESE ORIGINAL SCENERY 日本の原風景を求めて 奥播磨かかしの里 okuharimakakashinosato

住民15人の集落におよそ130体のかかしが溶け込む。
1月下旬から4月初旬まで「奥播磨かかしの里のひなまつり」を開催。
場所/姫路市安富町関 電話/0790-66-3505(グリーンステーション鹿ケ壺)

住民15人に、かかし130体

姫路市の西北端にある安富町の最奥、四方を山に囲まれた静かな集落が、にぎわいを見せています。その理由は、人と見間違うほど生き生きとした姿を見せる「かかし」。そう、ここは安富町関地区にある「奥播磨かかしの里」。十数戸15人の小さな村に130体のかかしがいて、訪れる人を温かく迎えています。

一つ一つ丁寧に手作りされたかかしは、地区出身の岡上正人さんが2009年から作り始めたもの。木の骨組みに新聞紙で肉付けをし、古着を着せたかかしは、里山の景色や建物に合わせて作られるため臨場感たっぷり。バスを待つもの、畑作業をするもの、ベンチでお昼寝してしまったものなど、ほのぼのとしたユニークさであふれています。古民家を活用した「ふるさとかかしギャラリー」には、ミシンを踏んだり、ちゃぶ台でお茶を飲んだりする昔ながらの家族の姿が。高台にある家の縁側から見る景色は、日本のふるさとそのもの。美しい景色はもちろんのこと、林田川のせせらぎの音、鳥の鳴き声、山を渡る風に心もほどけていくようです。

かかしを探しながらの集落散策。楽しいのはやはり写真撮影です。撮る人の感性によって、いろいろなストーリーを感じさせます。写真愛好家などさまざまな人が訪れて、その景色を楽しんでいます。

縁側に座るかかし 春は山々の緑が心地いい 畑作業をするかかし ほのぼのとした表情がかわいい 納屋のかかし 奥播磨かかしの里のひなまつり インタビューをするかかし かかしにインタビューされる岡上さん 奥播磨かかしの里看板

四季折々のイベントを楽しむ

奥播磨かかしの里は、常駐のスタッフがいるわけでもなく、入場料がいるわけでもありません。大掛かりにお金をかけて何かをするのではなく、そこにある風景にかかしを足しただけ。しかし、そこには丁寧にメンテナンスされたかかしのクオリティーや季節に合わせたイベントなど、多くの人を引き付ける魅力があります。

テントを立てて外でのんびり過ごしてもらう春・秋の「野外カフェ」。11月にはかかしで町おこしをする地域や団体が集まる「ふるさとかかしサミット」。冬場の「奥播磨かかしの里のひなまつり」では、等身大のひな人形が展示されます。2019年のひな人形イベントの時期には、日帰りバスツアーのコースとなり、2カ月半で観光バス256台が立ち寄りました。また、若者や子ども連れの家族に人気なのが「野良着撮影イベント」。かわいいもんぺや麦わら帽子などの野良着を身に着け、里の住人になりきって撮影を楽しむもの。今はイベント内の一企画として不定期に開催されていますが、「ゆくゆくは通年でできれば」と岡上さん。

2018年12月にはハナモモの木を植樹しました。もう少し木が大きくなれば、150本のハナモモは季節が来るたび咲き乱れ、集落の春の風物詩となることでしょう。

水尾神社 mizuojinja 関地区南西の山裾にある小さな神社。境内はヒメハルゼミやヒメボタルの生育地ともいわれる自然豊かな場所。場所/姫路市安富町関 水尾神社風景1 水尾神社風景2 水尾神社風景3
古井家住宅(千年家) huruikejuutaku 中世の有力農民の住宅の面影を今に伝える入母屋造りでかやぶきの民家。国指定重要文化財。公開日/土・日曜日、祝休日(年末年始は除く) 公開時間/9時〜17時 場所/姫路市安富町皆河233-1 電話/079-221-2786(姫路市教育委員会文化財課) JAPANESE ORIGINAL SCENERY 古井家住宅風景1

伝説に彩られる神社を訪ねて

安富町は、『播磨国風土記』の宍禾郡(しさわのこおり)安師里(あなしのさと)にあたると考えられています。風土記によると、安師里を通りかかった伊和大神(いわのおおかみ)が安師比売(あなしひめ)に一目ぼれ。求婚するも比売に拒絶されてしまいました。振られた大神は腹いせに安師川(現在の林田川)の上流に岩を投げてせき止め、流れる水を少なくした…と伝えられています。

奥播磨かかしの里がある関地区の入り口には、大きな岩があります。そばを流れる川をのぞき込むと、大きな岩が小さな滝を作っているなど、岩の多いところ。風土記の逸話にある岩がこれらの岩であり、せき止めるために使ったことからこの地区は「関」と呼ばれるようになったといわれています。この大きな岩を御神体とするのが、水尾神社。社には南北朝時代と室町時代の棟札があり、小さいながら当時の建築の特徴をよく残しており、この地域の歴史の古さが感じられます。

集落から少し南へ下ると、全国的にも古い遺構の「古井家住宅」があります。羽柴秀吉が当時の姫路城を築城したといわれる1581年(天正9年)にはすでに「無災の千年家」と呼ばれていたそうで、構造技法などから室町時代末期のものと考えられています。1970年(昭和45年)の大修理により、14畳の「おもて」、8畳の「茶の間」、6畳の「なんど」を備えた当初の形に整えられました。かやぶき屋根の懐かしいたたずまいは、里山の景色に美しく調和しています。

安志加茂神社 anjikamojinja 創立年代不詳。御祭神は別雷神(わけいかづちのかみ)。12月1日には稲穂一反分を使って作る巨大干支を地元の園児が引っ張り台座の上に奉納する「干支引き」を開催。3月末まで展示されます。場所/姫路市安富町安志407 電話/0790-66-3180 安志加茂神社風景1 安志加茂神社風景2 安志加茂神社風景3 安志加茂神社風景4 安志加茂神社風景5

神聖な空気に包まれて

千年家からさらに南下すると安志加茂神社があります。京都の賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)(通称「上賀茂神社」)の社領庄園・安志庄の鎮守として建てられたもので、創立年代ははっきりしませんが、鎌倉時代以降のものだと考えられています。

安志の旧街道から中国自動車道に架かる橋を越えると、かつては馬駆け神事が行われたという長い参道があります。真っすぐに伸びる高木に覆われた参道は、穏やかな空気に満ちています。拝殿の横には干支が一つ一つ書かれた12の臼。「願い臼」と呼ばれ、自分の干支の臼に志を納め、願い事をしながら年の数だけ杵で臼をつくという珍しいもの。なんだか御利益がありそうですね。お参りが終われば境内を散策。安志稲荷神社やため池にかかる弁天社など、緑の中の朱塗りの鳥居に心奪われます。

広報推進員のコメント

広報推進員 大山純奈

奥播磨かかしの里に一歩入れば、たくさんのかかしが、かつて里山で暮らしていた人々を感じさせてくれます。表情豊かで今にも動き出しそうなかかしに、何度も声をかけてしまいそうに。のどかな景色を眺めながら、ゆっくりとした時間を過ごすのもすてきですね。

広報推進員写真