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《 姫路発 》お城からの手紙

2021 summer vol.84

ひめじミュージアム散歩 魅力的な展覧会を開催する美術館や建物も興味深い新しいギャラリー、ニッチな企業ミュージアムなど訪れたいミュージアムをご紹介します。

姫路市立美術館

姫路のアートシーンの中心的存在

姫路にあるミュージアムといえば、やはり姫路市立美術館です。もともとは1905(明治38)年に姫路陸軍の兵器庫として建てられたもので、終戦後、市役所として使われた後、美術館として生まれ変わりました。L字型の堂々とした建物自体が国の登録有形文化財として見応えがあり、広々とした庭から眺める姫路城天守とのコントラストも秀逸。もちろん、年間5~6回開催される企画展やモネ、マティスなどの近代フランス絵画を中心とした常設展も人気です。昨年には空調整備や照明のLED化などを行い、リニューアルオープン。姫路に来たら、まずは訪れたいミュージアムです。

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7月3日(土)〜9月5日(日)日本の心象 刀剣、風韻(ふういん)、そして海景

日本の美意識を象徴する刀剣の美を手掛かりに、日本の風土が培ってきた心象風景に触れる展覧会。国宝「明石国行」をはじめとする刀剣約50振りと現代美術家・杉本博司の写真作品「海景」シリーズを堪能して。

杉本博司《日本海、隠岐》1987年 ©️Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

日本玩具博物館

色鮮やかなロシアの土人形
白壁土蔵造の日本玩具博物館
  1. 1色鮮やかなロシアの土人形。1980年代ごろからプラスチック製のおもちゃが急増し、自然素材のおもちゃは消えていったそう。ここでは国内6万点、世界160カ国から3万点、計9万点を所蔵
  2. 2白壁土蔵造の建物が6棟並び、常時5,000点が展示されています

世界的に貴重な コレクションが香寺町に

姫路市の北東、自然豊かな香寺町へ日本玩具博物館を訪ねました。白壁土蔵の6棟に日本の郷土玩具や世界の玩具コレクションおよそ9万点を収蔵する私設博物館です。なんと、これらは館長である井上重義さんが、評価されずに消えてゆく文化遺産を後世にと58年前から集めたもの。今では手に入らない貴重なものばかりで、ミシュラン・グリーンガイドで二つ星の高い評価を得ています。

日本、世界の伝承玩具には民俗学的な面白さや発見があり、駄菓子屋の玩具や近代玩具には、訪れる人の年代によっては「懐かしい!」という楽しさも。美しいちりめん細工や豪華なひな人形など、見る人によって楽しみが異なります。触って楽しめるコーナーもあるので、ぜひ家族で訪れてみて。

1.戦前の中国の民間玩具。2.だるまの姫路張子。3.姫路張子。
動物の形をした戦前の中国の民間玩具
  1. 1.戦前の中国の民間玩具。文化大革命で多くの文化が失われたため、今となっては貴重な資料。同じだるまでも日本のものとは少し異なる
  2. 2.3.館長の井上さんは姫路張子の継承にも力を尽くした人。日本玩具博物館には貴重なコレクションが
  3. 4.こちらも戦前の中国の民間玩具。色鮮やかで保存状態もいい

コントレイルギャラリー

150年前の建物がギャラリーに

海沿いを西に向かって広畑地区へ。昔ながらの細い道を行くと焼杉板で覆われたコントレイルギャラリーがあります。もともとは江戸末期に建てられた家を、できるだけ当時の風格を生かすようにリノベーションしました。

コントレイル(飛行機雲)という名前は、パイロットだったというオーナーの森真一さんが付けたもの。絵をたしなむ森さんが個展を開くことも視野に入れて納屋を改造して作ったギャラリーがあるほか、書院造の座敷、おしゃれなダイニングキッチン、広々とした芝が広がる庭をはじめ代々受け継がれてきた小道具までもが絵になり、訪れる人を魅了します。

今後、さまざまな展示やイベントに利用できそうで、期待が膨らみます。

螺鈿が美しく施された小さな箱に収められたお茶セット
  1. 1.螺鈿(らでん)が美しく施された小さな箱に収められたお茶セット。名もなき古道具ですが、見ているだけで楽しい
蔵の棚に収められている酒器

蔵の中には酒器や器、掛け軸などがずらり。中には機械式の計算機などもあり、江戸から昭和の道具が混在していて興味深い

  1. 3.屏風(びょうぶ)や火鉢まで趣深い
  2. 4.京絵師が再生した小襖(こぶすま)の六歌仙の絵も美しい
  3. 5.どっしりとした外観。庭にある樹木が四季を感じさせてくれます
  4. 6.広々とした座敷。ついたてにも存在感があります

龍力テロワール館

味の違いを楽しんで

酒米の王様「山田錦」の特A地区の土壌標本(モノリス)を展示したユニークな資料館。日本酒「龍力」で知られる本田商店では、特Aに指定された地区でも、栽培地によって米の特性が違うことに注目し、社・東条・吉川などで土壌を採取し、研究を重ねてきました。まったく同じ条件でそれら3種の米を使って日本酒を製造。その違いが明らかに。テイスティングをすると「確かに違う」と感激! 専務の本田龍祐さんの情熱あふれる解説も魅力です。

龍力 特別純米テロワール

兵庫県特A地区産山田錦の産地から社、東条、吉川の3地域でそれぞれ仕込んだ「龍力 特別純米テロワール」。それぞれの土壌の写真をラベルにしています

本田商店の代表銘柄「龍力 大吟醸 米のささやき」
  1. 6.本田商店の代表銘柄「龍力 大吟醸 米のささやき」3,000円(720㎖)

あずきミュージアム

ようこそ、あずきの世界へ

姫路発、全国区の知名度を誇る和菓子「御座候」。本社工場に隣接する「あずき」だけをテーマにしたニッチな博物館があずきミュージアムです。あずきの種類やルーツ、植物としての一生に始まり、食の世界や伝統行事に使われたあずきやことわざまで。世界中でもここにしかないのではと思えるようなコンテンツを取りそろえています。見学を終えたらぜひレストランで赤飯、ぜんざいなどを召し上がってみてください。隣接する工場ショップでは出来たての御座候もいただけますよ。

色々な種類のあずき
オリジナルキャラクター「あずきさん」
  1. 7.世界のあずきの種類を一度に見られます
  2. 8.オリジナルキャラクター「あずきさん」がナビゲート
広報推進員 大山純奈「建物そのものの魅力も堪能しました!」
広報推進員 大山 純奈

一言にミュージアムと言っても、展示物やコンセプトは本当にさまざま。主役の展示物はもちろんですが、それぞれの建物がもつ空間や雰囲気も楽しむことができるのがミュージアム巡りの魅力です。皆さんもいつもと少し変わった日常へ足を運んでみませんか。