今年もたくさんの淡水ガメが屋外の産卵場で卵を産みました。卵は土の中に産み落とされます。カメの産卵シーズン(5月~7月頃)には、私たちは約1時間おきに産卵がないか確認して、産卵があったら、土の中から卵を回収して卵を育てます。
基本的には、そうして産み落とされた卵は全部私たちによって取り出されます。
しかし、中には、1時間もたたない短時間内に産卵する場合もあります。この場合、私たちの気付かない間に卵が産み落とされることになります。
約2ヶ月でふ化した子ガメは、イシガメの場合はその年のうちに土の中から這い出てきます。しかし、クサガメやアカミミガメの場合は、その年に這い出てくる場合もあれば、翌春まで土の中で冬を越す場合もあるといわれています。
「いわれています」と書いたのは、実はその真相がまだはっきりと分かっていないためです。先日、その答えを知るヒントになる出来事があったのでご紹介します。
10月末、淡水ガメ産卵場で、前述のように私たちの知らないうちに産み落とされた卵が残っていないか、確認する作業をしていました。土を慎重に掘り返し、見落とした卵を回収していたときでした。
土の深さは約10センチメートルくらいでしょうか。
生まれたてのミドリガメの赤ちゃんが、なんと10匹以上もいたのです!全員生きています!
外の気温はもう朝晩は10度台前半です。この気温であれば、土から這い出て活動することは難しく、おそらくこれらの赤ちゃんは、土の中で冬を越して、翌春の暖かい季節が来るのを待っていたのだと思います。
こうした事例は、ほかの場所でも確認することができ、いずれの場合も、翌春を待って冬越しを準備している赤ちゃんだと思われました。
ふ化した赤ちゃん(子ガメ)の土の中の様子を知ることは、観察が難しく普通はできません。そうした意味で、今回確認できた事例は、子ガメの生態を知る上でとても貴重な記録だと思います。
来年の暖かい季節には、冬を越した赤ちゃんが土の中から這い出てくるかもしれません。今から楽しみです!
(タケダ)