令和2年9月23日(水曜日)
担当課 姫路市立水族館
担当者 竹田(新館担当)
電話番号 079-297-0321
2020年6月14日朝、屋外の水槽で、ナゴヤダルマガエルの卵が産み付けられているのを確認しました。ナゴヤダルマガエルの自然繁殖は少なく、全国の水族館としては初めてです。
姫路市立水族館では、1990年代から播磨地方におけるナゴヤダルマガエルの野外調査を行い、2015年から繁殖に向けた取り組みを進めてきました。具体的には、他のカエルの繁殖成功例の情報収集や、冬越し試験の実施などです。しかし、冬越しまでは成功しても、あと一歩のところで繁殖に至りませんでした。そこで今年は、冬越し後に親個体を広い水槽に移して、繁殖に適した環境を整えて望みました。
すると令和2年6月14日朝、屋外の水槽で、卵が産み付けられているのを確認しました。同年6月16日には600匹を超える幼生(オタマジャクシ)がふ化しました。幼生を水槽に移し、金魚の餌、ホウレンソウのゆがいたものなどいろんな種類の餌を与えて育成しました。8月に入ると次々に手足が出て変態し、9月現在200匹を超える幼体を育成しています。
この度のナゴヤダルマガエルの自然繁殖は、飼育環境と個体の状態、そして自然条件がうまく重なり、今回の繁殖につながったと考えられます。
次の目標は、これらの個体を育てて繁殖させ、2世代目の個体を得ることです。この『累代繁殖』ができれば、ナゴヤダルマガエルの保全への道筋が見えてくると考えています。
姫路市立水族館 新館2階にて
ナゴヤダルマガエルは、本州の一部(中部地方南部、近畿地方中部、山陽地方東部)や四国の一部に分布する体長5センチメートル~6センチメートルほどのカエルです。見た目はトノサマガエルによく似ていますが、体形が『ずんぐり』しており、背中の黒い斑紋が「丸く」「大きい」ことや、後ろ肢が「短い」ことで区別できます。5月~7月にかけて田んぼなどの水辺で産卵します。
ナゴヤダルマガエルは、かつては播磨地方の各地に生息していましたが、環境の変化によって姿を消し、播磨では確実な生息地は2か所のみ、県下でも数か所のみです。このため、兵庫県レッドリストでは「Aランク」、環境省レッドリストでも「絶滅危惧1B類」に指定されており、保護や保全が最も必要なカエルです。
公益社団法人日本動物園水族館協会では、保全の必要性や学術的な価値などから継続的に飼育管理することが必要な種を指定して飼育や繁殖を行っており、ナゴヤダルマガエルは2018年にこの種に指定されています。
姫路市役所教育委員会事務局生涯学習部姫路市立水族館
住所: 〒670-0971 姫路市西延末440番地 手柄山中央公園内
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