令和3年4月27日(火曜日)
担当課 姫路文学館学芸課
担当者 杉田
電話番号 079-293-8228
姫路文学館では「姫路文学館紀要 第24号」を発行しました。内容の紹介と購入方法についてお知らせします。
24号には、第22回司馬遼太郎メモリアル・デーにおける作家・辻原登氏の講演などの記録、文学館資料として姫路出身の作家・椎名麟三の自筆資料の一覧表と内容索引表を掲載しています。
姫路文学館紀要 第24号
姫路文学館
A5判 本文176ページ(縦書き30ページ、横書き146ページ)
800円
300部(限定)
部数が限定されますので、早めにお求めください。
姫路文学館
令和3年3月31日
講演「歴史小説とは何か―大佛次郎『天皇の世紀』と司馬遼太郎『坂の上の雲』を巡って」/辻原登(作家)
パネル・トーク/辻原登、上村洋行(司馬遼太郎記念館館長)、田名部真理(ラジオ関西パーソナリティ・進行)
令和2年8月7日、姫路市・市民会館大ホールで開催した第22回司馬遼太郎メモリアル・デーの全内容の記録。
辻原登氏の講演は、時代や人物にかかわる膨大な資料を調べて、彼らの心、内面を想像して描き、その真実に迫ろうとするのが小説であり、事実に限られる歴史とは異なることが語られた。大佛『天皇の世紀』からは吉田松陰の処刑と河井継之助の最期、司馬『坂の上の雲』からは旅順戦における乃木希典と児玉源太郎の友情について触れている。
上村洋行館長は、コロナウイルス禍のなかで「胡蝶の夢」に描かれた幕末のコレラ流行を紹介。パネル・トークでは作家の視点が話題となり、司馬の両義性―接近と俯瞰―に対して、辻原氏はすべての登場人物に公平な目をもち全員を支えられる世界観をもつことを心がけていると発言した。
椎名麟三(1911年から1973年)の自筆資料を調査した成果を一覧表と内容索引表にまとめた。
椎名の自筆資料は原稿用紙に書かれた完成稿から草稿、ノート、紙片などの断簡零墨の類までの雑多な文書を含むために、一つの資料がどういった作品につながるのか、個々の資料が一連の内容なのかといったことを把握するだけでも多くの時間を要する。
すべての紙面(約6400ページ)の画像ファイル化を完了しているが、その内で完成稿以外の紙面(約3500ページ)について、(1)固有名詞(作品名、人物名、発表誌名)、日付、見出し、重要語を書き出す、(2)製作時期を推定する、(3)関連作品を推定する、といった調査をおこなった。
例えば、小説『自由に彼方で』に関心があるときは、作品名「自由の彼方で」、主人公名「山田清作」といった語を含む画像を調べることになる。
文学館の資料は、紙片のレベルになると外部の研究者には近づきにくいが、この内容索引表によって3500ページの内容を短時間で知ることができ、一覧表と併せて未発表の自筆資料に拠った椎名文学の研究が期待できる。
椎名麟三は戦後文学の世界を席巻した作家。『永遠なる序章』、『自由の彼方で』、『美しい女』といった作品がある。椎名の旧宅に保管されていた資料は、姫路文学館の所蔵品になっている。原稿、草稿、ノート、メモ書きなどの自筆資料は、すべての紙面の画像PDFファイルがホームページの収蔵品検索を通じて閲覧可能。
姫路文学館紀要24号
姫路市役所観光スポーツ局観光文化部姫路文学館
住所: 〒670-0021 姫路市山野井町84番地
電話番号: 079-293-8228 ファクス番号: 079-298-2533
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