姫路市立書写養護学校
SHOSHA SPECIAL NEEDS SCHOOL
(本校)〒671-2203 姫路市書写台三丁目148番地1(分教室)〒670-0061 姫路市西今宿五丁目3番8号高岡病院内 地図
姫路市立書写養護学校
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<第12回2023年3月24日>
【春休みはご家族でゆっくりと過ごしてね】
みなさん、1年間、本当によく頑張りましたね。体調の悪かった日もあったと思います。しかし、自分の力でできることを精一杯頑張りました。みなさんの努力にたくさんのことを学ばせてもらいました。本当にありがとうございました。しかし、みなさんの心の奥にある本当の思いや気持ちを理解していたかどうかを自問してみると反省ばかりが思い浮かびます。1年、1年、重ねるごとに、みなさんは確かに成長しています。ご家族の温かい愛情と笑顔に接していると身体も丈夫になり、心も強くなりますよね。これは、卒業した高等部3年生のみなさんが見せてくれた姿が証明してくれています。学校で関わる者の愛情は、ご家族の愛情とは少し趣は違いますが、担任の先生や介助員さん、看護師さんたちの愛情と願いに包まれたとき、もっと違う成長が見られます。それは、新しいことを受け入れていく力であり、社会的な適応力を身につけることです。ご家族以外の存在ができることとご家族の思いを合わせて、みなさんの一人一人レベルアップを図っている姿から、ご家族が、将来、みなさんにこう育ってほしいという思いや願いが、みなさんの成長へとつながり、伸びていることを感じます。みなさんには無限の力があります。その力を精一杯引き出すために、その過程で頑張っている姿の奥底にある皆さんの気持ちや願いを理解しようとすることを怠らないようにして、これからも「チーム書写養護」で頑張ります。春休み、桜の花もきれいに咲き誇る時期になります。お休みの日には、お花見に出かけてみてください。4月には元気な姿で進級したみなさんに出会えることを楽しみにしています。
【お世話になりました。ありがとうございました】
早いものです。毎日、みなさんと先生方が教室や校外で楽しく活動する姿を見せていただきました。あっという間の1年でした。「校長先生が来られたよ」と担任の先生に声をかけてもらった時、目が大きく開いているのを見せてくれたり、「校長先生、おはようございます」という声やしぐさを見せてくれたりしましたね。嬉しかったです。そして、「今日も元気でよかった。今日も楽しい活動を頑張れるね」とほのぼのした気持ちになれました。校長先生は担任の先生に比べて、みなさんに対して、できることは、ほとんど何もありませんでしたが、校長先生はみなさんから、たくさん宝物をいただきました。周りの人たちを元気にさせてくれる笑顔もそうですが、成長というのは自分で達成することであるということ、そして、それは、自分が見たり、聞いたり、触ったりして、感じて動くことで身につけていくものであるということを教えてもらいました。ありがとうございました。みなさんと過ごした1年は今まで生きてきた月日より、ぐっと密度の高い学びになりました。人は人によって育ち、育てられるものですね。どんなことがあってもあきらめない心はみなさんから頂いたメッセージでした。
【共に学ぶから、見えないものが得られる】
40年前の「天声人語」に光と音を失った重複障害の福島智くんの話が紹介され、そこから学ぶという記事です。その中に「『障害者だからこそできる』仕事を見つけることで、青年はやがて世の中の役に立つ存在になる」と。福島くんは「ぼくは盲・ろうになって失ったものは数知れずあると思いますが、得たものは少なからずあった」といい、障害者に力を貸す側にとっても、共に学ぶことで得られるものが少なくないと話しています。福島くんは、自分の運命を嘆くのではなく、自らがこのような運命を与えられた意味を考え続けています。吉野弘の詩にもある「生命は/その中に欠如を抱き/それを他者から満たしてもらうのだ」という言葉にも表わされている命の意味を深く考えて、共生という言葉の意味を40年前に社会の問題と言い当てています。現在、福島くんは、東京大学先端科学技術研究センターの教授をされています。今でも、ずっと、共生について考え、「バリアフリーが社会問題と考えられていないことは、道半ばである」と言われています。私は、みなさんから永遠の課題になるであろう「共生社会の実現」という大きな目標に向けて、自分ができることを1ミリメートルずつでも積み上げていきたいです。
一年間、保護者のみなさんのご理解とご協力、本当にありがとうございました。
<第11回2023年3月13日>
【卒業おめでとうございます】別ウィンドウで開く
いよいよ、明日は卒業式です。今年は小6部4人、中学部5人そして、高等部4人の合計13人がそれぞれの学部を卒業します。大きな人生の節目を迎えました。小学部6年生は中学部に、中学部3年生は高等部に進学します。それぞれの学部で学んだ「自信」と「人のことを思いやる気持ち」をもって、次の学部でも力いっぱい頑張ってくれることを期待しています。不安なこともあると思いますが、大丈夫です。一緒に頑張りましょう。高等部3年生は、いよいよ書写養護学校を巣立っていくことになります。お別れしなければいけないのは、寂しいことですが、みなさんが新しい舞台で新たな挑戦をして、充実した生活を送ってくれることを期待しています。本当によく頑張ってくれました。いつも楽しいことばかりではなかったと思います。体調がすぐれない日もあったと思います。つらかったこともあったと思います。それでも、ご家族の温かい愛情とみなさんを取り巻く人々の心遣いによって、乗り切れる力をもらい、自分の力で切り開いてくれました。その積み重ねがあって今のみなさんがいます。今のみなさんは、自分の努力と周りの人たちの支えによって、大きく成長できたわけです。支えてくれた人たちに感謝の気持ちを忘れないでいてください。これからも、みなさんがそれぞれの場所で自分らしさという花を咲かせてくれることを楽しみにしています。本当によく頑張りました。そして、ありがとうございました。
【子どもの成長ってすばらしい】
保護者の皆さん、お子様のご卒業、おめでとうございます。お子様に常に寄り添い2人3脚で歩んでこられた6年、9年、12年だったと思います。当たり前かもしれませんが、ご家族の温かい愛情に裏打ちされた安心という基地があったからこそ学校という挑戦する場に児童生徒が通えることができたわけです。ご家族のみなさんにもお仕事があったり、ご家庭の用事などがあったりと忙しい中、子どもたちのことを一番に考えて、学校にいるお子様を支えて下さったこと感謝申し上げます。ありがとうございました。体調の変化によって、ご家族のみなさんにお迎えに来ていただいたり、相談させていただいたりしました。ありがとうございます。また、PTAという保護者のみなさんの厚意により学校へのさまざまな支援をいただきましたことにも本当に感謝申し上げます。学校での体験活動などさまざまな行事においてPTAのみなさんからご支援を頂いたことで充実した学校教育を行なえました。私たち学校職員も子どもたちから多くのことを学び、その過程においてご家族のみなさんの心遣いやお子様への思いに触れ、学校職員としてどうかかわるかを試行錯誤してきました。ご期待に応えられないこともあったかと思いますが、常に安心で安全な学校をめざして「チーム書写養護」として頑張ってきました。お子様のこれからの幸せを願い、ご家族のみなさんの健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
今まで本当に、よく頑張りましたね。ありがとう。
あなたが頑張っている姿を見て、私たちは、元気と勇気をもらいました。
あなたが学校で見せてくれた笑顔は、あなたの優しさそのものでしたね。
その優しさは、周りの人たちを温かくしてくれました。
その励ましがあったからこそ、誠実にまじめに生きていくことができました
私たちを育ててくれたみなさん、本当にありがとうございました。
同じことを何度も書きますが、みなさんは支えられる存在だけではありません。周りの人たちを支えている存在でもあります。大切なことは、まわりにどんどん頼っていくことです。できないことは、助けてもらってください。遠慮はいりません。お別れは寂しいですが、書写養護学校はみなさんの母校です。卒業しても、みなさんと一緒に過ごした後輩や教職員は、いつまでもみなさんの応援団です。どうぞ健康には十分気をつけて、元気で笑顔で過ごしてください。時には後輩たちを励ましに学校に顔を見せてくださいね。ありがとうございました。
<第10回2023年3月7日>
【あゆみ展、ご覧いただき、ありがとうございました】
子どもたちが、頑張ってかいたり、制作したりしている姿を見ていただけたことと思います。同時に、先生方の子どもたちへの声かけによって、色を選んだり、素材を選んだり、形を決めたりしている様子も感じていただけたことと思います。子どもたちにとって、自分で決めて創り上げることは将来、生きていく上で大きな意味があります。自分の思いや気持ちを大切にして、そこを出発点にして、自分で決める活動は、本校では通常の授業をするときに一番大切にしていることの一つです。なぜかというと、選ぶことを例に考えると、受け止める先生方に、自分が選んだものが伝わったとき、子どもたちは「伝わった」と嬉しく思うこと、自分がしたいことが認められ、褒められることがとても心地よいものになるからです。その心地よさが心の栄養になり、これから生きていくときの大切なエネルギーになるからです。子どもも大人も同じですね。褒められて嫌な思いはしません。「褒めて育てる」という言葉があります。どんなことでも褒められるというわけではありませんが、周囲から承認されることによって、自尊心は創られると言われています。生きていくうえで、将来、困難に出会ったとき立ち向かう力は、自尊心(自己肯定感)が高いかどうかで決まります。自己肯定感が高い人は、どんな困難にも負けないで自分の心を安寧に保つことができ、前向きに生きていくことができます。出来上がった作品を見るのではなく頑張っている過程を多くの視点から想像することですね。
【1年間、本当によく頑張りました】
いよいよ令和4年度も終わりに近づいてきました。1年間、本当によく頑張りました。いろんなことがあったと思います。4月に立てた目標を達成することができましたか。達成できなかった人も、それに向けて頑張ってきたことに大きな意味があると思います。「できなかったことができるようになる」というのが成長と言われますが私は、「できる/できない」ではなく、「頑張ったか/頑張ろうとしたか」ということの方が大切なことだと思います。自分の身体とうまく付き合って、学校に来られる日が増えたということも成長です。反対に、身体の成長に伴って変わってくる変化になかなかついていけず、一生懸命、ついていこうと努力した人もいたと思います。これも成長です。みなさんが学校に楽しく来てくれることが成長です。「well-being」という言葉をご存じですか。「よりよく生きる」という意味から派生している言葉です。何をもって「よりよく」というのかは、身体や心理、社会的な場面や創造する力などの基準で測られることが一般的ですが、私は「ただあなたが、そこによりよく存在していること」という意味で「well-beinng」を捉えています。みなさんがそこに元気でいることが「well-being」だからです。そこを起点にして、学校は子どもたちが持っている力を伸ばすところです。体験を広めたり、深めたり することで、これから生きていくための心の強さを培うところです。「ただそこに存在していること」のすばらしさをみんなで確認して、勇気をもらっているのが学校関係者たちです。これからも子どもたちの願いを理解し、存在の意味を深く受け止められるように頑張ります。みなさんは、1年間本当によく頑張りました。頑張った自分をほめてください。
【『チーム書写養護』へのご協力ありがとうございました】
今年も若干コロナ感染症に振り回されたところがありましたが、保護者のみなさんには、本校教育へのご理解とご協力に対し感謝申し上げます。「チーム書写養護」ですが、お祭りの屋台をイメージしてください。屋台に乗っているのは子どもたちです。命も含めておみこしの上に預けてみんなで担いで支えています。屋台の上で子どもたちが、元気に楽しく暮らしていることが「チーム書写養護」の姿です。支えているのは「保護者、教職員用務員、調理師、看護師、介助員、バスや介護タクシーの運行にご協力いただいている運転手や乗務員、そして、添乗員」です。もし誰かがいなくなったら、屋台は不安定になり、子どもたちの命が危険にさらされることになります。すべての子どもたちが安心して屋台の上に乗れること、それは書写養護学校に関係するものが心を一つにして屋台骨を支えていくことです。その時必要なことは、すべての保護者、すべての教職員が、すべての子どもたちのために、寄り添いながら、できることを行動に移すこと、想像力を発揮して、「どうしたら、主役の子どもたちが笑顔で過ごせるか、幸せであるか」をひたすらかんがえることだと思いませんか。
<第9回2023年2月2日>
【鬼(おに)は外(そと)、福(ふく)はうち】
2月3日は節分です。豆まきをする日です。太巻きを食べる日という方が分かりやすいでしょうか。今年の恵方は南南東だそうです。豆をまいて、鬼(邪気)を追い払う。季節の代わり目は邪気が入りやすいと信じられ、それを追い出すことによって、無病息災(むびょうそくさい)を祈る行事のことです。では、なぜ、2月3日にするかということについてですが、「節分」というのは読んで字のごとく「季節を分ける」という日です。一年には4つの季節があり、その始まりを「立春、立夏、立秋、立冬」と言います。その中でも一年の始まりであった(旧暦の話ですが)この2月は「まだ寒く、体調を崩しやすい」ことから、新年を迎えるにあたって邪気を追い清め、一年間病気をしないで元気に暮らすことができるようにとの意味を込めて、この行事を行ってきたというわけです。そして、翌日の「立春」を迎えるわけです。「立春」つまり、暦の上では春を迎えることになります。暦が変わっても、この時期は、まだ寒さが厳しい日が続いており、温かい春は、まだ先のことのように思われますが、土の中の生き物や、木々の枝や幹は、刻々と近づく春に向けて準備をしています。「早く春よ来い」という意味で節分の行事をしているということの方が正しいのかも知れませんね。さあ、みなさんもご家族で豆まきをして鬼を追い出してください。豆まきをして、自分の心の中にひそむ鬼も一緒に追い出しましょう。
【チーム書写養で学びを深めよう】
「何が起きるか分からない」、「これから先がどんな世の中になるか分からない」
そんな時代を迎えました。これまでは学校で教えてもらって学ぶことが将来を保障するものでした。しかし、今は、自ら学び、自分で目標を立てて取り組むことで学びを深めることが求められています。では、何が変わるのでしょうか。大きく変わる点は、「人とのコミュニケーションがより求められる」ということです。言葉ではなくても人とつながることで、人と一緒に活動ができるようになることもコミュニケーションの一つの形です。たくさんの人とつながることで、いろんな意見を聴いたり、相手の表情や態度からたくさんのことを感じることができ、その中で自分に必要なことを選んでいくことが学びになるわけです。何が正しくて何が間違いかは、はっきりいって分からないことが多いです。しかし、自分にとって何が必要かを考えて選ぶ力は、大切な力になります。自分で選んで自分で決めて、自分で実行するということです。結果は後からついてくるもので、失敗してもそこから学べばいいわけです。時には、自分にとって、批判的な意見もあると思いますが、それを批判ではなく、自分への期待として受け止めることができるか、そして、よりよいものに変えていくことができるかが、生きる力に繋がります。みなさんは、ご家族、学校の先生方、看護師さん、介助員さんや職員のみなさんと一緒に活動したり生活したりしています。放課後はデイサービスの職員の方々と過ごしています。たくさんの人たちに支えられて生きています。それは、みなさんが持っている優しい性格や、素直な笑顔が周りの人たちをひきつけてくれているのだと思います。「ありがとうございます」という感謝の気もちや「これからもまたお願いしますね」という思いを持ちながら接することで、さらに自分を取り巻く世界を広げていきましょう。
【あゆみ展、よーく見ると】
今週月曜日から、校舎内の廊下一面に、今年、みなさんが取り組んだ作品が並べられています。参観日に来られたついでに、この「あゆみ展」も是非のぞいて見てください。これらの作品ですが、よーく見ると「みなさんが力を精一杯出して一緒に楽しんでいる授業の姿」を思い浮かべることができます。「どんな話をしながら、どのように手を動かして作ったのかな、なぜこの色を選んだのかな」などを考えるととても興味深く見ることができます。一流の画家の作品も同じように見ると、何か訴えてくるものを感じることができます。それと同じで、みなさんが作った作品を見る中で、「元気です。楽しいです。黄色が好きです。」ということや、その裏にあるメッセージを感じてください。世界に一つだけの作品で、1年間の成果でもあります。安心して、楽しいと思えるとき、子どもたちは自分から学ぶことができます。そんな宝物がいっぱい並べられた「あゆみ展」どうぞごゆっくりご覧ください
<第8回2023年1月11日>
【明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします】
2023年になりました。今年は「卯年」うさぎ年です。うさぎが飛び跳ねるように、今年一年がみなさんにとって、書写養護にとって「飛躍」の年になりますように。新年も10日を過ぎ、そろそろお正月気分から抜け出さないといけない時期になりました。暦も小寒を過ぎ、寒の入りを迎え、20日は一年で一番寒いとされる「大寒」です。暦と共に、あっという間に過ぎていく時期になりました。「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」と言われていて、気が付けば卒業式を迎えることになります。3月までに、この一年の総まとめをしましょう。そして、新しい年度、4月を希望を持って迎えられるように準備しましょう。本年もどうぞよろしくお願いします。
【七草がゆ・・・1年を健康に過ごせますように】
1月7日は七草がゆを食べて、お正月のご馳走で疲れた胃をいたわり、1年間の無病息災を祈るという日でした。「七草」というのは、「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ(かぶ)・スズシロ(大根)、これぞ七草」といって覚えます。自然の中でこれらの植物を探すのが難しくなっているようですが、これらに似た草を入れてお粥を作って食べるとよいとされています。昔の人の知恵は、素晴らしいものがあります。ITの発達した現代であっても、変わらないものがあります。それを大切にして、変化していくものも学んでいくことが大切です。まさに「故き(ふるき)を温ねて(たずねて)、新しきを知る」です。余談ですが、秋の七草というのもあります。それは、古くから見て楽しめる花のことで万葉集に収められている山上憶良の2首の歌に由来する花々のことを指します。
「秋(あき)の野(の)に 咲(さき)たる花(はな)を 指折(およびお)り かき数(かぞ)ふれば 七種(ななくさ)の花(はな)」
「萩(はぎ)の花 尾花(おばな) 葛(くず)花(はな) 瞿(おそ)麦(むぎ)(ナデシコ)の花 女郎花(おみなえし) また藤(ふじ)袴(ばかま) 朝貌(あさがお)の花」です。
【お正月は楽しかったですか】
年末に大掃除をして、新しい年を迎える。そこには、おせち料理が並べられ、一般的にはお雑煮を食べるという風景でしょうか。もちろん、食べられるもの、食べられないものがあると思いますが、みなさんに合った特別なお料理が並んでいたことと思います。そして、食べた後には、初詣に行った人もいたのではないかと思います。今年は行動制限のないお正月でしたから、出かけても多くの人で混雑しており、新型コロナウィルスの感染防止といっても感染すると大変なので出かけることを控えられた人も多かったと思います。私も時間をずらして地域の神社に出かけましたが、それでも人が多くてびっくりしました。楽しみなのはやはり、お年玉でしょうか。自分が欲しいものがある人はお年玉を持って買い物に行ったことと思いますが、お目当てのものはありましたか。ご家族や親戚の方からもいいものをもらったのではないでしょうか。新しい年を迎えて、新たな気持ちで1年をスタートしましょう。今年の目標は何ですか。自分の目標に向かって、周りの人に助けてもらい一つ一つ乗り越えていきましょう。
【新型コロナ感染防止のため、できる範囲で防止対策を】
新型コロナとインフルエンザの同時流行のきざしがあると言われています。学校では、「マスク着用(できる人)、手指消毒と換気」を徹底して、日々の体温測定も怠らないようにして、健康状態を確認しつつ、学校生活を進めていきます。ご家族や事業所での感染のリスクも気になるところですが、決して無理はしないようにしてください。お休みが続くようでしたら、体調のいい時にリモートでの学習や健康観察を行いたいと考えていますので、担任にご相談ください。ご理解ご協力をお願いします。
【「はたち」おめでとうございます】
一昨日は「はたちの集い」がアクリエひめじで開催されたようです。2年前に高等部を卒業した小林大起さん、髙橋 萌さん、藤井怜花さん、藤原佑人さん、山本玲菜さん、はたちおめでとうございます。新たなステージを迎え、ご家族みなさんでお祝いをされたことと思います。高等部3年生の時の姿を思い浮かべつつお祝いの言葉をお申し上げます。
<第7回2022年12月23日>
明日はクリスマスイブ、サンタクロースがプレゼントと共に夢を運んでくれます。ジングルベルの鈴の音が近くなるとウキウキしますね。そして、翌日からは「もういくつ寝るとお正月」という雰囲気になります。明日から冬休みです。お正月は何か予定がありますか。
なくても家の中で、ご家族でゆっくり過ごすこともいいですね。どうぞ、新しい年を新たな気もちで健やかに迎えてください。今年1年も大変お世話になりました。保護者の皆さんのご理解とご協力のおかげで、アフターコロナを無事に過ごすことができました。子どもたちが安心して学校生活を送ることができたのは、ご家族の皆さんの温かい励ましと包み込む優しさの賜物であると感謝しております。確実に子どもたちは成長してくれています。身体も心も成長しています。2023年も自分らしく、さらに輝いて、大きく飛び跳ねるウサギのように学校でもがんばってもらいたいと願っています。
【2学期を振り返って】
2学期は、修学旅行、トライやる・ウィーク、わくわくオーケストラ、そして、学習発表会と大きな行事がありました。その行事の合間に、たくさんの学部やグループでの校外学習もありました。行事ごとに自信をつけていく、みなさんの姿は、とても頼もしかったです。一方、学校での授業を見ていても、一見すると繰り返しの活動が多いように見えますが、一つ一つに大きな意味があることが長いスパンで見ると理解できます。歩行の様子を見ていても、その日の気分もありますが、繰り返すことで確かな歩みになっています。事務室や職員室にあいさつに来てくれます。自分の表現であいさつをして先生方と和やかに会話をしている姿も、昨日とは違うことに気づかされます。このような基本的な生活習慣も情緒の安定を図ることで自分から活動ができるようになります。繰り返して、時間をかけて学ぶことは、じっくりと染みていくように定着していきます。社会に出たときに必要な力に焦点を合わせて、じっくり学んでいきましょう。収穫の多かった2学期です。今年一年を漢字で表すと春に「花」が咲き、秋に「実」をつけたという印象ですから、「実」という字を当てたいと思います。花が咲くには、水、肥料、太陽の光などが必要です。それらをご家庭や学校でもらいつつ、みなさん自身の伸びようとする力で見事に根を張り、花を咲かせてくれました。そして、次につなげるために実をつけたということです。これから、それがじっくりと熟していくことを願っています。
【一年の計は元旦にあり】
お正月というと「おせち料理」「お雑煮」「お年玉」「初日の出」「初詣」という言葉で表される風景が思い浮かべられます。今年は「寅」(とら)年、来年は「卯」(うさぎ)年です。何故この順番になったかという干支の話はご存じだと思いますが、元旦の日に神様のところへ誰が一番に来るか、来た順番に動物の大将にしてやると約束したという話から来ていると言われています。ねずみは牛の背中にのってゴールする直前に背中から降りて一番にゴールしたというものです。「一年の計は元旦にあり」という言葉は、「年の初めに計画を立てて、今年の目標を立てて決意を新たにして臨むことが大切である」という意味です。今年の目標は何にしますか。クラスでもがんばることは何かを考えて書いていますね。目の前にある課題解決を目標を決めて積み重ねていきましょう。私も来年は、毎日、簡単な日記をつけることと週3日はジムに通うことを目標にしたいと考えています。「継続は力なり」と言われるように続けてできるように頑張ります。一緒に頑張りましょう。
「本年もありがとうございました」
今年も保護者の皆さんには、たくさんのご理解とご協力を頂きありがとうございました。
PTA行事も再開され、オータムフェスティバルも盛会でした。保護者の皆さんに参加していただくことはできなかったのですが、役員のみなさんには「子どもたちの喜ぶ顔」のためにということでご協力いただき本当に感謝です。それから、保護者座談会も開催されました。コロナになってめっきり保護者間のつながる機会がなくなり、寂しく思っていましたが、徐々につながる機会を作っていただいていることを本当にうれしく思います。
ワールドカップで日本選手が大活躍しました。初めドイツに勝った時は奇跡と言われましたが、スペイン戦の勝利は必然のできごとと称賛されていました。真摯にボールに向かう選手の姿は勝っても負けても日本を元気にさせてくれるものでした。なぜそういう姿を見ることができたかについて、多くの専門家と言われる方々が意見を述べられていますが、その一つは、選手個人の技術が非常に高くなっていることと、もう一つは監督を中心にしたチームワークのすばらしさです。お互いを信じることからチームワークは育まれます。
私たちも子どもを真ん中に置いて、保護者と看護師さんを含むすべての教職員がチームワークを発揮することで、その潜在的な力は無限大に引き出されることと思います。これからも引き続き、「お互いさま」であることを理解して、お互いが感謝の気持ちで、協働して子どもたちの成長を見守っていきましょう。
【社会の変化と共に自立への選択肢も変わる】
「コロナ禍をどう生き抜くか」と言われると、感染防止対策を実施して学びを止めないということでしょう。本校の児童生徒はさまざまな身体のハンディキャップをもって、学びに向かってくれています。発達段階に応じて、学ぶ中心は変わります。また、個人の持っている力によっても変化するものです。そういう意味では、今、新しい学習指導要領で強調されている「個別最適な学び」を個々に応じてぶれないようにして取り組んでいかなければいけません。その最終段階が高等部での学びになります。高等部を卒業すると社会に出ることになります。社会は学校と違って、教え育てることを目的とはしていないため、不親切だなと思うことが多いと思います。従って、それに向けて自分の力を高めておかなければいけないという保護者の皆さんの願いをすべての本校職員は受け止めながら毎日の指導にあたっています。社会がどう変化するかということに、卒業後が左右されるのも事実です。例えば、ICTの発達でPCを使うとコミュニケーションがスムーズにできることや、家にいながら、ある種の作業ができるというのも自立という目標に向かって進むための選択肢になりました。何年か前だったら考えられないことでした。障害者差別解消法ができ、医療的ケア児支援法ができ、法の整備が進む中で、PCが主流になり、障害の程度が違っても有効な手段になりつつあるのは事実です。しかし、依然として変わらないのが人の意識です。私たちは多くの理解者に囲まれて生活しているのも事実ですが、多くの人たちが正しく理解してくれていないのも事実です。困っている人を見かけたら、声をかけられるでしょうか。手を貸すことにためらわず、そっと手伝うことができているでしょうか。一番の壁は人の心になかにあるということが言えそうです。そういう私自身も胸に手をあてて考えてみると子どもたちを上から見ているのではないかと反省させられることがあります。「できる・できない」で判断してしまっている自分がいることを恥ずかしく思うことがあります。きめ細かな配慮を怠らずに子どもたちと接している先生方や介助員さん、優しく子どもの手を取って、見てくれている看護師さんの姿は、まさに子どもと自然に関わっています。そこでは、子どもたちは安心できる気持ちをもつことができ、笑顔で自分の課題に向き合ってくれます。そういう姿をベースにして、将来を見据えて、社会で人の役に立つ心情やスキルを身につけていきましょう。
【これでいいのだ】
天才バカボンのパパがいつも使っていた言葉です。若い先生方や保護者の皆さんはご存じないかも知れませんが、赤塚不二夫さんというギャグマンガをたくさん書かれた漫画家が主人公にいつも話させた言葉です。この言葉は、失敗した時やうまくいかなかった時に元気を出させてくれる言葉としてよく引き合いに出されます。
私は、子どもたちに言いたいです。「それでいいんだよ」と。まず、自分の限界を知り決して無理はしないことです。「自分はこれだけ頑張ったんだ」という誇りを持ってほしいです。そこで問題なのは、受け止める方です。「○○さん、よう頑張ったね」という言葉をよく聞きます。「こうなってほしい」という願いがあるから、子どもたちに「もっと頑張れるよ」と思うことは間違いではありません。そう考えていないと伸びるものも伸びません。「もうこれ以上無理だ」と勝手に限界を決めてしまうと子どもたちは広がるはずの世界を閉ざしてしまいます。
そんなときは、子どもたちを「これでいいのだ」と認め、褒めていくことです。私たちの思いの中には、いつもこういう考え方を持っておきたいものです。それは、「自分は子どもたちの姿を素直に評価して、その評価が子どもたちの思いや願いを正確に受け止められているでしょうか。」という問いです。正解はありません。ただし、主語は「子どもたち」です。
子どもたちが思っていることや考えていることを分からない、わかるはずがないということから考えていくことが大切です。
<第5回2022年11月17日>
【一人ひとりが輝くとは】
久しぶりの「しょしゃの子」になってしまいました。9月、10月とさぼってしまい申し訳ありませんでした。その間、さまざまな行事がありました。新型コロナ感染症の第8波が訪れるかもしれない状況ですが、9月からは感染症対策を徹底して、校外行事を実施するという方向性を出して取り組んできました。例えば主なものですが、学校水泳、修学旅行(1泊)、オータムフェスティバル、周辺学習、トライやる・ウィーク、わくわくオーケストラ、そして、各学部やグループでの校外学習などを実施しました。子どもたちにとっては、初めての行事であったり、これが最後の思い出作りの行事であったり、3年ぶりの行事であったりで楽しみ半分、不安半分だったと思います。私たち教職員も行事を経験したことがないものが多く、安全に実施するために、以前経験したことがある教職員から詳しく教えてもらいながらの実施でした。保護者の皆さんのご理解とご協力のもと、大きな事故もなく無事に終えることができました。いつもと違う環境に身を置くことは、何が起きるか分かりません。事前の体調管理、感染症対策など個別にシミュレーションして行事に臨みましたが、想定外のことにどう対応するかが求められる場面もありました。その環境に適応して、楽しんでいる子どもたちの姿を見ると心がほっこりします。同時に、一つ一つを頑張っている姿には、私たちも見習って頑張らないといけないということを教えてくれました。一番心強かったのは、保護者の皆さんと事前に詳しく打ち合わせができたことと、参加するまでの間の事前の健康管理に努めていただいたことです。本当にありがとうございました。子どもたちの力は無限です。できなかったことができるようになることだけでなく、安心して過ごせることと目を輝かせて、教職員と対話をしながら活動している姿は本当に輝いて見えました。子どもたちの努力にも感謝です。
【学習発表会ありがとうございます】
11月は各学部とも毎週金曜日に学習発表会を開催しています。保護者の皆さんには、新型コロナ感染防止対策として、ご家族2名までという制限を設けさせていただいていますが、たくさんの保護者の方にご来校いただき、子どもたちを励まして頂いていることに深く感謝いたします。今日時点で、小低部と小高部の2学部の学習発表会がありました。各クラス・グループごとに日々の学習で取り組んできたことを発表してくれていますが、これがとても素晴らしいんです。各教室でVOCAを使って挨拶をしたり言葉を伝えたりしている場面やどちらが欲しいか、どちらかを選ぶという二者選択で答える場面をよく見せてもらっています。気持ちを表現するときは、表情やしぐさ、身体の動きを使って表現の範囲を広げてくれていることも分かります。言葉で伝えられる子どもたちは、元気にはきはきと話をしてくれます。その学習の延長線上にこの学習発表会があるわけです。子どもたちが頑張れる動機付けとして、「家族の皆さんにみてもらうのだから頑張るぞ」という意気込みを持つことがあります。これは、相手の期待に応えることを目的とした自発的な動きを養うことになります。与えられることだけでなく、自分で選んだり、自分で動いたりできることは子どもたちにとって、これから生きていくために必要な力です。この後、中学部、高等部と続きますが、是非ともご覧いただいて、帰ったら褒めてあげてください。私たち教職員は、安心して活動を引き出せるように、じっと待つことと子どもたちと一緒に楽しみながら、子どもたちの気持ちを認められるように関わっていきたいと考えています。
【特別支援教育は教育の原点】
2学部を見終えて、心に子どもたちの温かい気持ちを感じることができて思ったことですが、「教育の原点は特別支援教育にある」と言われる理由の一つは、「一人一人を見て、人と比べるのではなく、頑張っている姿を素直に感じ、喜ぶこと」だと改めて思い知らされました。人は一人では生きていけない、つまり、自己実現を図ることはできません。自尊心、自己肯定感という生きていくのに大切な感情は人と触れ合うことで養われます。教育は教えるのではなく、一緒に育つことです。育つというのは自分が変わることです。子どもたちが「一歩一歩」変わってくれることを願い、楽しみながら指導をするのが教職員だと思います。一方、子どもたちを取り巻く人たちに求められることは、子どもの姿を見て「すごいね。そんなことができるようになったの」とか「今の笑顔、かわいいね」という肯定的な評価をすることだと思います。自信をもたせることが育てることの目標です。いつも見てくれている人から褒められることが一番のエネルギーになります。どんなに悩まされても「かわいい」「好き」と前向きに感じて味方になってあげることです。子育ても教育も看護も介護も、寄り添ってこそ成り立つものです。教育の原点が寄り添うことであれば、特別支援教育は専門性を活かして子どもに接し、子どもが変わることをお手伝いすることです。少なくとも関わる者の思い通りにさせることではないのでしょう。
<第4回2022年7月22日>
【「幸せとは人と分かち合うもの」】
『「幸せ」とは「人と分かち合う」ものであり、人と人のつながりを作ることが幸せになれる』という話を聞いたことがあります。つまり、自分一人では幸せにはなれない、人と人のつながりがあって「幸せ」を感じることができるということです。加山雄三の「君といつまでも」という歌の中に「幸せだなぁ。僕は君といるときが一番幸せなんだ。」というセリフがあります。恋人同士を想定してのセリフかも知れませんが、恋人同士ではなくても、このように思えることの中に幸せや楽しさがあります。「誰かの役に立ちたい」「人が笑顔になっているのを見たい」という願いは、人とのつながり(関係)の中で実現されることです。高等部の生徒が人の役に立ちたいという思いでプロジェクトを立ち上げてキャリアワークという領域で学習をしています。具体的にはパソコンの操作が分からないときにお助けしますという内容です。まさに「幸せを分かち合いましょう」という意図を感じます。考えてみれば当たり前のことかも知れませんが、この意気込み、気持ちがとても大切です。理由は、生まれてきたからには人の役に立てることが生きがいであるはずだからです。障害があるから社会のお世話になるというのではなく、お世話になってもいいから、自分の生きがいを持ちながら夢をもって生きていってほしいと願います。これは、何かができる子どもたちだけの話ではありません。身の周りのことを人に助けてもらっている人も同じです。もっとも根本的なことでいえば、「あなたが此処にいるだけでいい。あなたがいるから生きていくことができる」ということもそれに該当します。また、「あなたの笑顔で優しい気持ちになれた」ということがあります。きれいごとと言われるかもしれませんが、現に、私は「子どもたちが学校に来てくれるだけでいい、学校で友だちや先生方と学習している時に優しい笑顔を見せてくれるだけ」で元気になれています。人とつながることは、幸せになれることです。引っ込み思案の人もいるかも知れませんが、たくさんの人が自分を知ってくれて何かあったら助けてくれるという社会になってほしいです。
【すべての子どもを大切にするとは】
本校では、身体の状態が学校に通って学習できる状況ではない子どもたちのために、先生方がご家庭に行って指導している訪問教育を行っています。体調がよくないので学習を受けられないという日もありますが、毎回、先生が来てくれるのを楽しみにして家で待ってくれています。行かれる先生は、いつもたくさんの教材をもってご家庭に出かけベッドサイドで学習をしています。毎回、保護者に体調を確認して、近況を話しながら、身体を動かす場合には保護者に確認してもらい学習をしていきます。学習で子どもが反応したことを保護者に伝え、脈拍や血中濃度などのバイタルを見ながら楽しんでいるかを見ていきます。子どもたちが元気でその時間を過ごしてくれたら先生方は、よかったと思って安心して帰ります。学校行事があるときには、スクーリングといって学校に登校してくれて元気な顔を見せてくれます。訪問教育は、特別支援学校の中の特別な位置づけにあります。この教育に学校全体が興味を持ち、何かできないかと考えて行動できることが、すべての子どもたちを大切にするということにつながると思います。
【思い出にのこる楽しい夏休みに】
明日から、夏休みに入ります。8月28日までの長期のお休みです。学校生活に慣れてきた頃に生活リズムが変わることになります。みなさん体調にはくれぐれも気をつけてください。暑い日、どんよりとした雲が広がり、雨が続く日もあると思います。コロナの感染状況が広がりつつあるなか、なかなか思うように出かけることもできないかもしれません。ディサービスを利用したり、一時入所を利用したりすることになると思います。規則正しい生活心をがけてください。しっかりと栄養と睡眠をとって元気に過ごしてください。8月29日にはみんな揃って元気な顔を見せてください。思い出に残る夏休みになることを祈っています。
【学習園の充実は学校の充実】
学習園に野菜や花をたくさん植えています。学習園の花や作物を見ていると「生命力」を感じます。先生方や用務員さんが丹精込めて世話をしてくれました。たくさんの作物が実り、葉が上を向いてすさまじい勢いで青々と伸びてくれています。植物は正直です。世話をしてくれたら必ず答えてくれます。子どもたちを育てるのに似ていますね。「踏まれても、ふまれても、タンポポの美しく咲く、笑い顔。」という諺があります。「たんぽぽ」は踏まれてもなお上に向かって伸びていく。一方、「つくし」は踏まれたら、根をしっかり横に張るらしいです。縦の成長だけでなく、横の成長、大事ですね。
<第3回2022年6月7日>
【愛情に裏打ちされた自信は尊い】別ウィンドウで開く
先週の金曜日は高等部の運動会でした。早く、全校で盛大に運動会を開きたいところですが、新型コロナ感染予防のため、昨年と同じで学部ごとの開催になります。しかし、やってみると案外、子どもたち一人ひとりの姿をじっくり見ることができるいい面があります。そんな中、もう少し体験させたいという願いから、最後に全員で楽しめる種目を入れました。体育館に張られた万国旗の下で心ウキウキさせながら演技をしている子どもたちの姿は私たちに大切なことを教えてくれます。一つは、「できることのもう一歩先のことに挑戦するときの子どもたちは輝いて見える」ということです。恥ずかしそうにしながらも頑張っている時に出る笑顔は最高で心から楽しんでいる姿が見られます。保護者の応援があるとさらに頑張ろうとする姿も同じです。それから、仲間のことを応援して一緒に演技している気持ちになっている姿は優しさと温かさを感じさせてくれます。なぜ、そんな基本的なことを感じることができるかを考えたら、「人と比べない」ということだと思います。世の中は「人と比べて、『できる』『できない』」という判断をしてしまう傾向があります。比較できないものがあり、比較する意味がないものが世の中にはたくさんあるということです。子どもたちは、一人ひとり違います。違うから価値があります。高等部の運動会でも、一生懸命頑張っている生徒の姿に体育館全体が静まり返って、固唾をのむように心の中で応援している場面がありました。そして、できた時には、みんなが心から大きな拍手を送ってくれました。愛情は子どもの可能性を無限に引き出してくれます。愛情に裏打ちされた自信は一生を支えてくれます。体験から得られた自信は背中を押してくれます。どんどん五感を刺激する体験をさせましょう。「運動会を楽しむ」って素敵ですよね。
【「社会モデル」への挑戦】
一生懸命に訓練する。身体を動かすことができるように身体を緩める。呼吸をしやすくするために硬くなっているところを柔らかくすることは、本校の子どもたちには必要なことです。一方、「何のためにそれをしているか」と考えてみてください。自分自身の身体をケアすることは自分の体の健康を維持することにつながることは間違いありません。しかし、「よりよく生きる」というのが人生の目的であるならば、それだけでは意味がありません。つまり、「こういうことをしたい」「こんなふうにいたい」という願いや思いを持てるかどうかが大切です。そこで、日々の授業では、さまざまな活動を通して、「こんなことできたよ」「おもしろかった」「楽しかった」という体験をしつつ、願いを持てるように学んでいます。願いを持つことがスタートで、それを実現させなければ意味がありません。実現させるのが周りの人たちの役割です。周りが変わることです。意識も知識も、行動も変われることが求められているわけです。これからは多様性の時代といわれ、さまざまな価値観を認めようとすることが求められます。生まれてきたからには、絶対に役割があり、社会に寄与する義務があります。守られなければいけない人には、守るための仕組みと共に気持ちに添う必要がありますが、生きているのは自分自身であり、主体的に関わって生きていけるようになるためには、周りの人たちの発想の転換とちょっとだけの勇気が欠かせません。コロナ禍で閉塞感がありますが、反対に勇気を与えられる存在でいましょう。
【書写養護学校は62歳】
6月1日は「開校記念日」でした。1960年に姫路市立書写養護学校ができたと沿革史には書かれています。長い間、みなさんの先輩方が築いてきた伝統があります。時代の流れ(考え方の転換)に左右されながらも、それに上手く時間をかけて今の姿があります。卒業生及び在校生とその保護者の皆さん、働いていた教職員の皆さんの「子どもたちの自立と社会参加」という願いの実現に向けて、我が子だけでなく、さまざまな課題を持つ子どもたちすべてが、「よりよく生きる」ために力を合わせましょう。
<第2回2022年5月6日>
【環境は自分を育ててくれ、心も磨いてくれる】
新しい学部・学年・クラスになり、友だちも新しくなり、担任の先生方も変わり1か月経ちましたが慣れましたか。新しい環境になったときは、早く慣れようと身体も心もエネルギーを使うため自分では気づかないうちに疲れがたまっています。その意味で連休は疲れを癒すいい機会になるわけですが、逆にリズムを崩しやすい時期でもあります。コロナ禍ですから、この連休中に人が集まるような楽しいところには行けなかったかも知れませんが、普段とは違うところにいって家族で楽しんだことと思います。新しいこと、新しい環境になれるためには、人の何倍ものエネルギーを使わなければいけない子どもたちですが、必ず自分自身の力で少しずつ慣れる、適応していく力を身につけてくれていると思います。桜が満開の入学式、始業式でしたが、今はつつじの花が満開で赤や白の花をつけています。5月は、少し暖かくなり日中は活動するのに丁度よい季節です。学校で勉強したり体験したりして、少しずつ自分の力でできることを増やしていきましょう。環境を整えることは育つためには大切なことです。あえて厳しい環境で頑張る必要はありませんが、自分の力を発揮するために適度な環境を自分に課して頑張ることは生きていくための自信につながることです。身体と心をバランスよく磨いていきましょう。
【子どもたちが自分を信じて自分で切り開くことを応援する】
家庭訪問にご協力いただきありがとうございました。新しい担任の先生方とお話して頂きました。保護者のみなさんと先生方とが子どもを真ん中に置いて情報交換をすることにより、子どもたちは安心して成長してくれると信じています。将来の自分の目標や具体的に何ができるようになりたいかという目標や安心して過ごせるようにするためにどのようになりたいかという目標を持ち、それに向かって自分の持っている力で取り組むことができれば結果はどうであれ成長といえます。
植物でいうと種や苗には大きくなろうとする力の源があり、その種や苗を育てる土壌、つまり、学校という環境があり、そこに肥料、すなわち、体験する素材や学習する内容に自分の力で手を伸ばすことで成長しようとする種の思いを実現していくわけです。そして、絶対なくてはならないものが太陽の光と水です。その太陽の光と水がまわりにいる大人であり、大人たちの応援、励ましです。これらの条件が揃わないと子どもは自分の思いを実現する方向には育ってくれません。ずーっと足踏みばかりしているかもしれません。一見、退行しているように思うことがありますが成長に必要な退行現象もあります。小学部のころは、体調が安定しないでいた子どもが高等部になると安定することはよくあることです。子どもの持っている力を信じて褒めて励まして、その気持ちにさせることで自分の力を十分に発揮させられるように支えていきましょう。この1年が有意義な1年になるように最後まで子どもファーストで子どもに寄り添い、子どもたちが感じている喜びに共感していけるように頑張りましょう。
【卒啄同時・・・肝心な時にはこんな関係でありたい】
「そったくどうじ」と読みます。禅宗のことばですが、教育でもよく使われる言葉です。意味は、鳥の雛が卵から産まれ出ようと殻の中から卵の殻をつついて音をたてた時、それを聞きつけた親鳥がすかさず外からついばんで殻を破る手助けをすることから来ていて、教えられる者が教える者との間にできる関係性の在り方を指します。子どものことをよく見ておかないとできることではありません。「何をしたいか」「何が欲しいか」「どうしてほしいのか」など、訴えてきていることに合わせて、次は何を言ってくるかを想像して応えることです。「いやいや、今はまだだ。もう少し待とうか、どうしようか」と常に自分に問いかけることが大切です。
<第1回2022年4月8日>
入学・進学おめでとうございます
【新しい生活は成長のチャンス】
みなさん、入学・進学おめでとうございます。3月には高等部12名の先輩が卒業しました。それぞれが、各々の思いを持って、これからの人生の扉をあけて新しい生活に進んでくれました。大好きな書写養護学校から離れる寂しさを感じている生徒もたくさんいたと聞いています。学校で先生や介助員さんと一緒に教室でからだの学習をして朝の会をするという生活が「当たり前」だったのがなくなったわけです。「おや、何か変。何か違うぞ」と思いながらの生活が始まっていると思います。これをどう考えるかというところでゴールが違ってきます。人は環境の変化があると不安に思い、元の環境に戻って過ごしたいと思うものです。このことは誰でも経験はあると思います。ある程度、時間が過ぎると慣れてきて寂しさはなくなり、変わった環境が「当たり前」になってきます。環境の変化でつらくなったときこそ、実はチャンスであると言われます。違う環境の中で自分が心地よいと感じるところはどこかと考えて見つけようとすることが成長なんですね。入学・進学も同じことが言えそうです。新しい先生や介助員さん、看護師さんと出会うことにより、初めは不安で慣れない状況が続くと思いますが、それは、今、一生懸命に変化を乗り越えていこうとしている姿の裏返しです。そんな時は、ご家族が一番の安心・安全の基地です。そっと「今日も頑張ったよね」と寄り添ってあげてください。入学・進学は節目です。そういう節を乗り越えていく過程で心をしなやかに育ててくれます。しなやかな心はどんな環境にも適応できる力になります。入学おめでとう。進学おめでとう。これから学校でも楽しいことが皆さんを待ち受けています。思いっきり笑って、飛び切りの笑顔を見せてください。
【体験とは感じていることを深めていくこと】
言葉が出なくても、言葉を持っていないわけではありません。見ること、聞くこと、触れること、匂うこと、味わうことを五感と言って身体の中に入っていく感覚です。この感覚を磨くと情報を取り入れることができて感動するという相乗効果をもたらします。授業を見せてもらうと言葉だけではなく、実際に教材に触れることや見ることを積極的に取り入れて授業を展開しています。この活動こそ本校の子どもたちには特に必要な刺激です。表現が苦手な子どもは、外からの入力が弱いと考えられる傾向がありますが、実はそうではないと思います。関わる私たちが十分に引き出せていないのかもしれません。その引き出し方は、体験という体の中で起きている感覚の動きを言葉に変えて話しかけていくことです。子どもと対話する中で感じていることを言葉にして伝えていくことを繰り返すと感情をより深く感じることができるようになります。言葉での表現ができる子どもには、その言葉の具体的な内容を掘り下げるように聞いていくことです。今はコロナで出かけることも少ないと思いますが、外に出かけて施設や景色を見たり、遊園地で遊んだり、大型スーパーでお買い物をしたりすることができるようになったときは、ぜひ見たもの聞いた音などを共感の言葉で話しかけて感想を投げかけてあげてください。子どもはほめられると伸びます。最後はほめ言葉をかけていきましょう。
【桜の花が語りかけてくれること】
体育館南の訓練ヒルの桜や書写中学校側の道路沿いの桜が満開になりきれいに咲き誇っています。桜の花は「咲き誇る」という言葉が似合います。見事に咲いた桜の花は、見る人の心を和ませてくれます。散るときに寂しさを感じることがありますが、散るところから、すでに次の準備、スタートが始まっていると言われます。また、春に咲き誇れるようにするために、夏の暑さの中で花芽を作り、冬の寒さを越すときれいに咲けるようです。長い桜の一生の中にもドラマがあります。私たちも耐えて咲く(頑張って認められる)ことを繰り返して共に成長していきましょう。
<第15回2022年3月24日>
【1年間ありがとうございました】
今日で令和3年度が終わります。昨年度から新型コロナウィルスの感染拡大防止のため学校行事を含む学校教育活動を制限して実施しなければいけない2年間でした。とにかく目に見えない敵から身を守るために、さまざまな感染防止対策を施さなければいけなかった2年間は大変だったと思います。ご協力ありがとうございました。しかし、まだまだ安心できる状況ではありません。引き続き感染防止対策を施しての学校教育活動になりますが、ご理解とご協力をお願いします。みなさんは、1年間で確実に成長を見せてくれました。心も体もできることが増えて、自信をもって4月からは新しい学年、学部で「がんばるぞ」という意気込みを感じます。思い起こせば、1年間、いろんなことがありました。誰でも同じですが、特にみなさんは、「今を生きる。一生懸命生きる。」ことにとても重要な意味があります。その理由は、その積み重ねが、自分が将来に向けて積極的に生きていくための見えないエネルギーを養うことにつながっているからです。毎日一緒にいると気づかないことかもしれません。身長が伸びた、体重が増えたということは、養護教諭の先生方から成長の記録でお伝えして頂いたことでわかると思います。これもすごいことです。その裏にあって見えない心の成長は、新たな局面で発揮されることが多いため、分からないかもしれませんが、この節目にお子さんに「すごいね。この1年、本当によく頑張ったね。」とほめてあげてください。あわせて、保護者のみなさんも健康に留意してお子さんを育てられた1年、自分をほめてあげてください。
本当にありがとうございました。
【内面を鍛える ~今読んでいる本から~】
茶道の本ですが、茶道は禅宗と密接な関係にあり、禅宗の教えをバックボーンとしているため、質素倹約が基本にあり、その上で、千利休が一つの文化として築き上げたという歴史があります。まず、気になったのが、「1杯のお茶を丁寧に入れて飲む」ということが心のストレス解消につながるということです。子どもの学習も家庭での生活も、いつも忙しい中でしなければいけない状況で、「そんな余裕はないよ」といわれそうですが、余裕は自分で作らないといけない、気持ちの余裕は身の回りのものを整理整頓するだけでも得られるということです。何でも自分の思い通りになることなんかありません。思い通りにならないことが日常茶飯事で、その時に「どうする自分?」と問いかけて道を選ぶことの繰り返しではないでしょうか。自分の時間を持つことで違う自分を楽しみ、それからくる心の余裕をもって子どもに対応すると子どもも笑顔で過ごすことができ、カリカリしなくて済むのではないかと思います。そんなしなやかな自分でありたいと願って。
【親の存在、先生の存在】
茶道、華道や柔道、剣道という分野は、「道」があります。「道」を究めようとしている人は分かってきていることでしょうが、その中には、合理性で済ますことができないことつまり、理屈ではなく、絶対に大切にしなければいけないことがあるというものです。子どもの成長も「道すじ」という「道」があります。この道は無視すると将来、偏りとして現れます。本校の子どもたちは、目に見える身体の発達はゆっくりのペースです。ゆっくりではありますが、確実に道に沿って成長を見せてくれています。一方、心の方はその成長度合いは身体の発達より速いわけです。そのため周りの大人の対応が子どもの心に刺激を与えます。その意味において、私たち、関わる大人は子どもの手本として振舞わなければいけません。それが親の存在であり、先生の存在です。環境により左右されやすい子どもたちです。子どもができたことだけでなく、やろうとしていることを温かく受け止め、認めることで子どもは自分でこの次もやろうとする姿を見せてくれるはずです。環境としての大人の存在は今しかありません。今年、高等部を卒業した生徒を見ていると心優しいところが随所に表現できる生徒がいました。自分の努力もありますが、ご家族からもらった環境が自分を育ててくれたと感じることがありました。素敵なことです。
【お世話になりました。ありがとう。】
2年間はあっという間でした。たくさんの人に支えられ、特別支援学校の校長として頑張ることができました。保護者のみなさん、看護師さん、用務員さん、調理師さん、介助員さん、バスの運行に携わっていただいた方々、そして先生方、本当にありがとうございました。「安心安全な学校をつくる」「環境が人をつくる」ということを信条にして書写養護学校の教育に取り組んできました。みなさんの気もちに十分添えなくて、ご迷惑をかけたと思います。お許しください。素晴らしい思い出をありがとうございました。
<第14回2022年3月14日>
卒業特集
【新しいスタート、旅立ちに幸あれ】
明日はいよいよ卒業式です。花壇のチューリップもこの暖かさで一回り大きくなった気がします。卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。小学部6名、中学部13名、高等部12名のみなさん、4月からは新しい学部または社会に出て生活していくことになります。卒業とは、「新たなことの始まり」でもあります。新しい環境で新しい友だちや先生、職員のみなさんとの生活を楽しんでください。卒業式の式辞、小中学部には有名なアニメのセリフから、「ひとつだけ教えておこう。君はこれから何度もつまずく。でも、その度に立ち直る強さも持っているんだよ」という言葉を贈ります。人はつまずいても、立ち上がる元気を持っていれば、やり直しは何度でもできるということと、その繰り返しが未来をつくるということを伝えたいと思います。高等部には、スピードスケートの小平奈緒さんのことを取り上げます。『メダルを獲得できませんでしたが、「自分なりにやり遂げることはできた」と思います。目標に向けて頑張ることは、金メダルではなく金メダルより尊いものがあります。それは、最後まで自分らしくやり通すことです。』という内容です。自分らしさを貫き、一つ一つやり遂げていってほしいと思います。卒業する皆さん、健康に気をつけて。元気で、そして幸あれ!
【みなさんに出会えてよかった】
人は人と出会って成長します。優しさも明るさも教えられるのではなく、自ら感じ取るものです。小さいうちはお父さん、お母さんなどからあふれんばかりの愛情をもらい育っていきます。大きくなると学校や地域、事業所などの大人と接することになります。そこでも、かけがえのない愛情をもらうことで優しい気持ちが心の中に育ってきます。一方、その大人たちは、みなさんから間違いなく優しさを教えてもらうはずです。みなさんは、ほのぼのとした柔らかいもの、温かいものを私たちに与えてくれました。それは、私たちの中では勇気や元気、「こんなことに挫(くじ)けていてはだめだ」という強い心に変わっています。不思議なものです。学校の勉強のように調べて学ぶものではないのです。感じるものなんです。素直な気持ちでみなさんと向き合ったときに、感じることができました。人と人ってそういうものなんですね。お互いが発する気持ちや言葉、動作が受け取る側にとって意味あるものと受け止められたとき、感じる心が芽生えてくるのだと思います。みなさんに出会えて、嬉しかったです。60年生きてきて、みなさんとの2年間が最も有意義な時間になりました。本当にありがとうございました。これから、いろんなことがあると思います。時代も大きく変化していきます。共生社会が進展して、違いを認められる社会ができていってほしいと切に願っています。障害があろうがなかろうが、マイノリティであっても、「あなたはあなたでいい、大切な存在だよ」と言える関係性が広がることを心より祈っています。
「私と小鳥と鈴と」金子みすゞ
私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが 飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴は私のやうにたくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。
「みんながちがうからこそ、おもしろい。ちょっとわずらわしいこともあるけれど、いろんな人の考え方、動作など違ってあたり前で、同じである必要は全くない。むしろ違うからこそ、人生は豊かでおもしろい」
<第13回2022年3月9日>
【1年間頑張った自分を褒めてあげてください】
来週の火曜日はいよいよ卒業式です。小学部6年生、中学部3年生そして高等部3年生のみなさんはどんな気持ちでしょうか。特に、高等部3年生のみなさんは、書写養護学校から巣立って社会へ出ていくことになります。今まで学校で先生や友だち、介助員さんや看護師さん、用務員さん、調理師さんなどたくさんの人に支えられて学校生活を送ってきました。別れることは寂しい気持ちでいっぱいですが、次のステージに進まれるみなさんにはそれぞれ新しい世界が始まります。小学部のみなさんは中学部に、中学部のみなさんは高等部になります。高等部のみなさんは、書写養護学校ではない場所での生活が始まります。何かが終わると何かが始まるわけで、別れを繰り返して、人は成長していくのでしょうね。成長した自覚をもって、新しい学部、場所で自分の持っている力を精一杯出して頑張ってくれることを心から願っています。さて、「みなさんは学校で何を学びましたか」と聞かれるとどう答えるでしょう。国語や数学、英語の学習を教えてもらいましたというグループの人もいると思いますが、「そんなこと言われても分かりません」と答えるかもしれませんね。それは、自分ではわからないところで体で覚えていることが多いからです。学校では家族と過ごしている時とは違って、刺激がいっぱいあって、それを感じつつ、自分でコントロールしながら過ごさないといけないので、知らず知らずのうちに、場所や相手に合わせるスキルを身につけているのです。これは「すごいこと」です。それこそ社会に出て、生活をするときに、どんな人と出会い、何をするかというのは、新しいこととの遭遇であるわけで、それができるとどこでも生きていけるのではないかと思います。そして、十分頑張った自分を褒めてください。「やればできる」そんな周りの応援の声が聞こえてきませんか。
【「Spring has come」―春がきた】
三寒四温を繰り返し、季節は確実に春を招き寄せています。校庭の花を見るとチューリップが芽を出して、葉っぱを大きく広げ伸ばしています。用務員の山下さんが、大屋根の東側の花壇に一列にチューリップを植えて下さっています。花が咲くのは入学式のころかな。3月5日は啓蟄(けいちつ)と言って、冬ごもりをしていた虫たちが土の中で動き出すといわれる日です。海では、いかなごが解禁になりました。くぎ煮にしてご飯と一緒に頂くととてもおいしいおかずになります。山では、山菜が取れる季節です。何となくほろ苦いのが春の味です。この短い春を楽しみましょう。出会いや別れと共に春を楽しむことができる人生って素晴らしいですよ。
【新型コロナの感染及びワクチン接種時の発熱について基準を定めました】
新型コロナウィルスの感染が全国的に減ってはきましたが、感染者は依然として広がっており、子どもへの感染が見られるのが以前の新型コロナウィルスと違っています。基礎疾患がある本校の児童生徒にとって怖い存在であるのは変わりません。そこで、学校医の吉川先生や指導医の北山先生にご指導いただき、本人及び同居の家族についての陽性者及び濃厚接触者の停留期間や行動履歴をさかのぼるべき日数などの基準を決めました。あわせて、3回目のワクチン接種が進んでいます。副反応として発熱があった場合の対応基準についても設定しています。この基準は教職員も同様に遵守します。そして、学校での接触があると考えられる場合は必ずはなまるメールで概要を伝えるとともに、陽性者と同じクラスの児童生徒の保護者には個別に連絡させていただきます。従って、学校での接触がないことが明らかな場合は、はなまるメールではお知らせしません。知らされないと不安が残るかもしれませんが、陽性になって一番、しんどい思いをしているのは本人であり、ご家族です。早く良くなってほしいと願うことと罹患された人の人権尊重の観点から、いたずらに不安をあおるような情報は控えさせていただきます。これからもご理解、ご協力をお願いします。
<第12回2022年2月14日>
【見えない敵と戦うことは…】
新型コロナウィルスのオミクロン株の感染拡大が本校にも広がってきました。まず2学部が学部閉鎖になりました。続いて、学校全体が臨時休業になりました。十分な感染症対策をしていても防げず見えない敵です。見えないゆえに不安が広がり、ついネガティブな思考に陥ってしまいます。学校医の先生は、クリニックで身近に最近の感染拡大の状況を感じておられるため、本校で陽性者や濃厚接触者が見られたことで、すぐに「ちょっと広めに学級閉鎖を行うように」と指示をされました。感染症に罹患すると重篤化するかもしれない児童生徒が本校にはたくさんいます。家庭での感染を止めることはできません。しかし、「学校に持ち込まない、学校で広げない」ということを徹底して、児童生徒の命をしっかりと守っていきます。ご家庭でも調子がいつもと違うということに気づいたら、必ず医療機関を受診してください。お医者さんから「風邪症状が治ったら学校へ行ってもいいですよ」と言われるまで、家庭で様子を見るようにしてください。見えない敵と戦うためには、見えない敵がどう襲ってきているかを想像して逃げることです。立ち向かっても厳しい結果になることは明らかです。そのために、「換気、手指消毒、手洗い、つけられる人はマスクの着用」を基本にして、人が集まるところには行かないということですね。
【リモートでの学習をしました】
小・中学部のみなさんのうち希望者は、学習用端末(iPad)を持って帰っています。高等部は個人持ちのPC等を使うことになります。それらを使って朝の会やグループによっては、時間割通りの学習の配信をしました。各教室をのぞくと、画面に映っている先生の声にびっくりしながらも元気よく返事をしてくれていたり、教科の教材で通常の授業を双方向で学習したりしていました。いずれにしても元気なみなさんの姿を画面越しに見られることで私たちも元気を、そして、頑張ろうという意欲をもらえました。学習用端末を使っての学習も一定の効果があると感じました。ご家庭との連絡等に使うことも目的ですが、先生方が配信用に工夫して教材を作ると、家にいながら楽しい時間を過ごすことができることが分かりました。身体の学習などはどうしても学校でする必要がありますが、保護者のみなさんに手伝ってもらって、腕をあげたり伸ばしたりなどの簡単な体の動きを練習することはできるかもしれません。しかし、子どもたちにとっては、学校で先生に声をかけてもらいながら一緒に学習をすることが学びの本質であると思います。そういう意味では臨時休業はやむを得ない事態とは言え、とても残念なことでした。早くみなさんと一緒に学校で楽しいことや勉強、そして給食を食べたりしたいです。
【アグリテック甲子園に参加しました】
1月30日(日曜日)にアクリエひめじでアグリテック甲子園が開かれました。アグリテック甲子園というのは、農業分野にICTなどを利用して、これからの農業を創ることを目的として各地からアイデアを募集して競う大会を言います。本校も姫路市の「スマート農園事業」に参加し、プロキッズさんにご協力を頂いて、中学部が中庭でファームボットというロボットをプログラミングし、野菜栽培などの活動に取り組んでいます。その成果を中学部の生徒2人が協力して発表してくれました。会場には中学部の生徒も応援に来てくれました。発表した2人はプログラミングの面白さを感じていて、教室にいながら操作することで自分の思うことができることを楽しみつつ学んでいました。また、当日の講演で吉藤オリイさんが話されたこともとても印象に残りました。「『したい』と思ったことが一生を支える」という内容で、ALSという神経系の難病の方が視線入力装置を使って自分がしたいことを実現するお手伝いをされていることや、車いすをもっと機能的にするとともにデザインも斬新なものにすることによって社会で、もっと自分らしく生きていけるよう手助けをされているという話でした。「できない」と思ったら終わり、「『できるように何をしたらいいか』を考えることが大切である」ということを教えてもらいました。中学部のみなさん、お疲れさまでした。
<第11回2022年1月7日>
【寅年は新しい成長の年】
2022年は「壬寅」(みずのえとら)といい、「壬」は妊娠の「妊」から生まれること、「寅」は演じるの「演」からきており、同じ音の「延」をあてて成長することを合わせて「生まれたものが成長する」という年回りになるそうです。つまり、「成長」がキーワードと言えそうです。子どもたちは、日々成長しています。繰り返し続けていると自分からできるようになったことが目に見えてきます。これがまさに成長です。この成長がたくさん現れてくれる年になりそうです。3学期はまとめの学期です。「学習のあゆみ展」もあります。みなさんが頑張ってきたことが成果として現れるときです。ひとつひとつの作品から、また、その制作過程から子どもたちの努力を見つけるのは周りの人で、認めて自信をつけられるように励ますのも周りの人の役割ですね。
【「磨くという」ことは】
先日の新聞記事でこんな文章を見つけたので紹介します。『自分の考え方と違う、理解し にくい人、話が通じない人との摩擦を繰り返し体験する中で、人として艶やかになってゆく。そんな遭遇を希むなら自分の方から出かけていかなくっちゃと』いう記事です。ふと思いだしたのが、「人は人によって傷つき、人によって癒される」という言葉です。時に自然の雄大さや繊細な営みによって癒されると感じ、人と共有することによって安心感と安らぎが得られるものです。人と関わる、人に関わってもらう、どちらでもいいので、人との間で生きていくというあるべき姿を身につけながら、自分を磨いていきましょう。
【「負けるわけないんだよ」という自信】
休み中、お正月など楽しい行事がありました。ご家族みんなで迎えた新年、今年もいい年でありますように・・・・。「笑う門には、福来る」というように、笑うことは、笑えることは幸せになれるんじゃないか、幸せなんだと。そう思いながら、お正月のお笑い番組に癒されていました。そんな中、「箱根駅伝」がありました。今年は青山学院大学が往路も復路も制し総合優勝を果たしました。テレビを見ていると原監督(青山学院大学)が後ろに付く車から選手にこう励ましていた。「お前の練習量で負けるわけないんだから」と。それだけ謙虚に練習を積み重ね、自分の生活も律する中で成し得た結果としての総合優勝だったわけです。最後に決めるのは、取り組む姿勢であるということを教えてくれたと思いました。私たちもやるべきことをこれでもかというくらいやれば、結果はそんなに大きな意味はなくなります。それなのに、どうしても結果を求めてしまいます。どうすれば最短の努力で大きな成果を得ることができるかと考えてしまい、努力を怠っている自分に気づかず成果を強調する傾向があります。昨年末、誕生日にプレゼントを頂きました。赤い折り紙を使って輪にして繋げたレイと一生懸命書いてくれたお祝いの言葉が書かれたBirthday cardでした。どちらも思うように動かない手で時間をかけて編んでくれたレイであり、心のこもったお祝いの言葉でした。涙が出るほど嬉しかったです。これが真心であり、見返りを期待しない純粋な愛情表現であると感じました。子どもたちは、毎日、一生懸命生きています。学んでいます。遊んでいます。どれにも意味があり、どれも駅伝の選手のように尊い努力に裏付けられた気持ちがあります。3学期、目に見えない成長も含めて、心の成長を期待しています。
<第10回2021年12月24日>
【子どもたちに感謝】
2学期は、修学旅行、運動会、学習発表会など大きな行事がありました。どの行事も感染症対策を施しての実施でしたが、子どもたちが一生懸命頑張ってくれたため充実した素晴らしい行事になりました。子どもたちが精一杯力を発揮できるために、ご家族の皆さんの温かい励ましや変化を見逃さない健康管理などがあったからで、楽しい体験を学校でさせたいと思ってくださっている保護者の皆さんに改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。一つ一つの行事を終えるごとに子どもたちは成長を見せてくれました。私たち教職員は子どもたちの笑顔に支えられ、しぐさに励まされて、「明日も頑張ろう」という気持ちにさせてもらいました。縦に伸びる成長は、横に広がる成長の広がりをしっかりと認めることで育まれるのだと思います。頑張ってくれた子どもたちに本当に感謝です。
【川は岸のために流れているのではない】
兵庫県の但馬で小学校の校長先生をされていた「東井義雄」先生の言葉です。「川は岸のために流れているのではない、川のために岸ができている」、つまり、川を子どもに、岸を教師に読み替えると納得できるのではないでしょうか。私たち大人は子どもたちが作ってくれる感情や行動の流れに沿っていなければいけないということです。このように育てたいと思ってもそうなるとは限らない、無限の可能性を秘めているのが子どもたちです。本校の子どもたちは、生きにくさを持っているからこそ、もがきながら頑張っている姿をよく見かけます。だからこそ、その子どもの延長線に「こう育ってほしいな」というものを持っておきたいと思います。保護者の皆さん、この1 年、ありがとうございました。寒くなりますので身体には十分気をつけて、楽しいクリスマス、お正月をお過ごしください。そして、3 学期には、元気な笑顔を見せてください。
<第9回2021年12月1日>
【個性が輝いた瞬間「学習発表会」】
学習発表会に足を運んでいただきありがとうございました。日々の学習の中で頑張ってきたことを仲間と協力して一つのストーリーに仕立てて見ていただきました。保護者の方からは、我が子の成長を喜ぶとともに、友だちもできるようになっていることに感動して涙が出てきましたというお話を伺いました。何かができるようになるためには、今できていることをしっかり定着させて、見えてくる次の可能性を見つけ、取り組ませていくことです。そして、それに取り組む子どもたちに「大丈夫」と安心感を持てるように声かけを行い頑張れた時、自信がつきできるようになります。発達に課題がある子どもたちに指導する場面で必要な考え方として「スモールステップ」があります。本校の子どもたちも同じで、子ども自身の歩幅を見て指導をするとやりたいという気持ちに動かされてできることが増えていきます。いつも興味関心を持つことは難しいことかも知れません。特に変化が苦手な場合は対応できないこともあります。しかし、安心できる環境にいると不思議なことにできてしまいます。私たちは「大丈夫」「できるよ」と見守り待ち続けることで個性が輝く瞬間を見せてくれるわけです。そんな学習発表会でした。
【仲間(周りの人)が輝かせてくれる】
人間関係の広がりは自分を助けてくれます。寄り添えるところ、寄り添う場所が増えると自分が人の役に立っているということが分かり成長できるものです。周りの思いや願いに応えるように育ってくれています。「できる、できない」ではなく、「する、しない」かが輝けるかどうかを握っています。障害のある人との共生社会の実現とよく言われます。障害のある人たちの存在は特別なものではなく、当たり前にそこにいることを自然に感じられる社会を目指さなければいけません。障害があるなしにかかわらず、すべての人が自分自身も含めて生きていることに対する尊敬の念をもつことです。いつも輝いて笑顔で過ごす子どもたちを社会が共有できるかが周りで関わる者に課された問いなのではないでしょうか。障害があるというのは、周りの理解でいくらでも軽減できるものです。
【たくさんの職種の皆さん、ありがとうございます】
本校には、看護師さん、介助員さん、用務員さん、調理師さん、バスの運転手さん、車掌さん、添乗員さんなどたくさんの専門職の方々が子どもたちの健やかな成長のために力を貸してくださったりしています。感謝しかありません。看護師さんは、医療的ケアが必要な子どもたちだけでなく、すべての児童生徒にかかわってくださっています。養護教諭と一緒に学校内を動き回ってすべての子どもたちの健康状態を確認していただき、声かけをして頂いています。介助員さんは、日毎に対象の子どもが変わることがありますが、教師の指導の補助に入りつつ、一緒に励ましてくれたり、歩行のお手伝いをしてくださったりしてくれています。用務員さんは学校環境の整備をしてくださっています。調理師さんは、美味しい給食を作ってくださっています。本校の児童生徒は多くの方々に見守られて学校生活を送っています。先生方も学部を超えてHelpという形で他学部に入ってくださることもあり子どもたちも慣れていて、看護師さんとコミュニケーションを取ったり、介助員さんに甘えてみたりする姿をよく見ます。多くの人に関わってもらうことで、いつもの教室での表情とは違う表情をみせてくれる子どもたちの姿は新鮮です。ありがとうございます。
<第8回2021年11月19日>
【笑顔は大切にされている証拠】
朝、教室や廊下で、子どもたちとあいさつをした時、「おはよう」という言葉や動作など自分なりの表出が返ってくると「あっ、今日も元気だ」と安心します。そして、「今日一日頑張ろうね」と応援しています。しかし、眠かったり、しんどかったりすると思った表出が見られないときがあります。この時は、何か不安になることがあるのかなと少し心配になります。そんなときは「今は眠いんだ。眠たいよね」とか、連絡帳を見て「昨日、検診で病院に行ってきて疲れたのかな」と思い、「笑顔」で無理しないで頑張ろうと応援しています。私たち大人も同じですが、子どもたちもいっぱい褒めて、認めてもらいたいものです。 そのためには、お互いのコミュニケーションが十分にとれていることが前提になります。コミュニケーションは言葉だけではありません。身振りや手振り、表情で気持ちを表すこととそれを受け止めることの間にコミュニケーションは存在します。そのコミュニケーションはベースにあなたを信じていますとか、あなたが好きですという気持ちがあり、相手に関心が持てるから成り立つものです。「笑顔」は、大切にされていると気づいたときにでるものです。保護者をはじめご家族に見守られている子どもたちは、自然な笑顔で私たちを受け入れてくれています。お互いが大切な存在になれるように頑張らないといけないと思いました。
【子どもたちの思いや気持ちに支えられた修学旅行】
修学旅行が、今年は日帰りでしたが、3学部とも無事に行うことができました。そして、楽しい思い出をたくさん作ることができました。保護者の皆さんには、事前の生活管理から、当日の様子を含めて、子どもたちが元気に参加できるようにご配慮いただきありがとうございました。修学旅行を終えて、改めて、子どもってすごい力を持っていることを教えてもらった気がします。ここぞというときは決して無理をしないで最高のコンディションを作り上げることができるということです。願いというか、思いというか、感じていることを心の中で強く持つとそれが力となって頑張れるということです。決して無理はさせてはいけないのですが、期待して楽しみだということを思い浮かべることで日々頑張って過ごすことができるわけです。高等部の掲示板に一人一人の思い出をまとめて掲示してくれています。その中に「いい思い出ができました。ありがとう」という文章を書いてくれた生徒がいました。他のみんなもありがとうという気持ちを持っているに違いありません。そして、願いと思いが自分を成長させてくれるということ、つまり、行事や楽しいことをいっぱい経験することは自分を成長させてくれることにつながるということかな。ちょっと緊張しつつ、思いっきり経験して楽しむことですね。子どもたちに感謝です。ありがとう。
【医療的ケア児支援法の施行】
医療的ケアの必要な子どもたちが安心して生活できるように、かつ、保護者のみなさんの負担を少しでも軽減させるという観点で医療的ケア児支援法ができて9月18日から施行されています。学校で学ぶ医療的ケア児への支援として、看護師の配置が今後整備されることを期待しています。本校では、通学時や校外学習時の保護者負担の軽減が課題になっています。予算配当が伴うものなので姫路市に要望することと人材の発掘が課題となります。この法律は医療的ケア児だけのように思われがちですが、この法律ができたということは、今後、さまざまなハンディのある児童生徒がその個に応じたサービスが受けられること、平等ではなく公平な権利の享受ができるようになることのスタートとして捉えられます。障害のある子どもへの教育の在り方が「特別支援教育」という枠組みに変わり、個別の指導計画や教育支援計画の作成に見られるように、個別のニーズに応えるという考え方に変わってきたわけですが、まだまだ制度は道半ばというところでしょうね。未完成な制度を補うためにも私たち教職員は確かな使命をもって子どもたちの教育にあたらなければいけません。「子どものことを第1に考える」という柱を見失わないようにして、学校と家庭とが風通しの良い関係を今後もより確かなものにしていきます。改めて、ご家族の愛情に守り育てられている子どもたちを包むことができる学校でありつづけたいと願っていますので、今後とも感じられたことや思われたことを担任の先生方や管理職に伝えていただきますようお願いします。
<第7回2021年10月6日>
【見えないものを見る】
学習園の花や作物を植え替えています。夏野菜も鹿の被害にあうことなく無事にたくさん実り収穫できました。収穫の方法も実ったトマトやバナナピーマンをひもで結び付けて引っ張って取るという子どもたちができる方法を工夫して収穫し、いくつかをまとめて、職員室に売りに来てくれました。「トマト、ピーマン、あわせて50円です」「買ってください」という声がとても輝いて聞こえました。中門の入り口の北側に用務員さんが花を植えてくれており、マリーゴールドが満開に咲き誇っています。ちょっとした花園ができています。咲いた花は色が変わり種を作ります。その前に、花を取り除くと新しい花芽から花がたくさん咲きます。次は葉ボタンです。園芸センターからもらってきてくれた小さな苗をポットに入れて育ててくれました。葉ボタンは虫との戦いになります。虫を丁寧に取り除いてやると立派な葉ボタンに育ちます。人の力で改良されたものは、人の世話がいるんですね。体育館の南側や訓練ヒルの周りの山には、秋を感じさせる栗の実やどんぐりがたくさん落ちており、その下や周囲の草にしか見えないものも、それこそ根気よく春を目指して着実に準備していることを私たちは忘れがちになります。花が咲いて初めて、ここに花が植わっていたのか、よく踏みつけていたなと気づくことも多いものです。咲いてからその存在を知るというのでは遅いと思います。こういうことは、子どもの世界にも十分通じることです。私たち教師や大人は、その子の見えないところに眼を向けて、先々を見ていき、きれいに咲かせてやる責務があると思います。なかなかできることではないのですが、その努力はできると思います。す。見えないところを肯定的に好意的に見ていると子どもはそれに応えて結果を出してくれます。
【思い出に残る修学旅行に】
昨年度は、修学旅行が中止になり、学校で修学旅行の代替行事を行いました。校内での行事になりましたが、現地に出かけたことを想起できる設定での修学旅行は思い出に残る行事になりました。今年は、10月に修学旅行を計画しています。小学部と高等部は淡路島のイングランドの丘、中学部は城崎マリンワールドに行きます。感染防止対策を徹底する観点から宿泊はしないで日帰りの修学旅行になりましたが、感染防止対策を徹底して、楽しい思い出に残る修学旅行にしましょう。修学旅行を計画している段階で感じたのは、みんなで修学旅行に行きたいという熱い思いでした。当然のことですが、参加する児童生徒が安全に安心して行けるように、保護者の思いを伺い、学部の先生方と養護教諭、看護師さんとで一生懸命に考えて、旅行業者と打ち合わせをしてくださいました。登下校の様子や身体のことを含めて学校での児童生徒の様子を踏まえて、この方法なら安全に参加できるのではないかという方法を考えてくれました。友だちと一緒に出かける修学旅行は児童生徒にとって節目の意味を持つことになると思います。実際に修学旅行に出かけて、お土産を買ったり「あの時こんなことがあったね。」「こんなものを見て嬉しそうな顔をしていたね。」などの思い出話ができたりすることを期待しています。
【学校は集団で育つ場】
学校は子どもが育つためにあります。心を鍛え、知らなかったことを学び、身体を磨くところです。そこには、真ん中に子どもがいます。その周りに教師や学校で子どもに関わる人たちと保護者がいます。そして、それを取り巻くようにして地域の人たちがいるわけです。真ん中の子どもが健やかに成長していくためには、みんなで同じ願いを持っていることが前提になります。同じ願いとは、書写養護学校に通うすべての子どもたちが一緒に伸びていけるということです。「やあ、○○さん、頑張っているね。」「すごいね。○○さんの描いた絵は。」「○○さん、頑張れー。」というように、みんなでみんなを褒めることが見られる学校でありたいと考えます。伸びることに一番必要なこと、一番評価されるべきことは個人の努力です。個人の努力を引き出すのが、周りの友だちや教師、保護者を始め、関わる人たちすべての人の応援です。学校が子どもが育つ場となり、集団として高め合うことができる場となるようにみんなで磨いていきましょう。
<第6回2021年9月1日>
【子どもたちの声が学校に戻ってきた!】
学校に子どもたちの姿がある。子どもたちの声が聞こえる。子どもたちの息づかいを感じる。ワクワクして2学期をむかえました。待ちに待った8月25日、バスに乗って、車に乗って学校に子どもたちが戻ってきました。なんとも言えない空気感・・・教室の掲示物やマットがまるで踊りだしているかような表情を見せてくれます。教室が待っていたのは皆さんの元気な姿でした。もちろん、この学校のすべての教職員も皆さんが来てくれるのを心待ちにしていました。昨年度は臨時休校があり、分散登校をして、夏休みはあってないような短い夏休みでした。今年こそは楽しいところでいっぱい遊んで、思いっきりおいしい空気を吸いたかったけど、どんどん厳しい空気に包まれてしまい、思いっきり遊ぶどころではなかった夏休みでした。その分、ご家族と過ごす時間が多くなり、安心してゆっくりできる時間だったのではないかと思います。学校が楽しいと思える理由は、「そこに○○さんと呼んでくれる人がいること」「そこで楽しいという気持ちを表現できること」「そこは安心できるところであること」です。始業式に聞いた子どもたちの声は、学校が楽しいと思える場所であることを表現してくれていました。さあ、2学期です。行事も多い学期で、行事の成功に向けて頑張ることによって心も身体も成長します。行事は縮小したり、少し形を変えたりして実施しなければいけないかも知れませんが、みなさんの心からにじみでる笑顔と「がんばったよ」と胸を張る姿が見られるように学校生活を充実させていきましょう。子どもたちが主役の学校となるため、脇役の教職員と保護者がスクラムを組んで支えていきたいと思います。
【コロナ対策を万全に!】
第5波が止まりません。心配な日々を過ごすことを余儀なくされています。できることを確実に行動に移すしかありません。学校ではホームページにもアップしています「書写養護学校感染症対策ガイドライン(第3版)」に則り、教育活動を行っていきます。感染者が減ってきて少し気持ちが緩んでいたところもありましたので、改めて、緊張感をもって感染症対策を行ったうえで学校行事にも取り組んでいきます。4度目の緊急事態宣言が発出されました。ワクチン接種が進んできましたが、まだまだ安心できるところまで至っていません。ワクチン接種が進んでいない年代の感染率が高く、「子どもー子ども」感染も心配です。本校の子どもたちの実態から感染を絶対に避けなければいけません。報道では、何が変わったのかわからないという声を耳にしますが、コロナ対策は心の弱さにどう向き合うかということが問われていると考え、自分をどれだけ誠実に律することができるかが成果を左右します。ウイルスは小さなほころびから忍び込んできます。睡眠と栄養をしっかり取って、自分の免疫力も高めていきましょう。
【パラリンピック・・・持てる力を精一杯だす】
本校を練習拠点としていた「シッティングバレーボール女子日本代表チーム」も東京のコートできっと「世界に煌めく」を合言葉に頑張ってくれると信じています。合宿中、少しでも元気づけようと子どもたちからのメッセージを送りました。キャプテンの西家さんのブログを読むとバレーボールで戦う以前に自分自身の身体と戦っている壮絶な姿が書かれていました。きっと自分に負けない姿は、結果としての勝利をつかみ取ってきてくれると信じています。パラリンピックを日本で始めた中村裕医師がイギリスの医師グッドマン博士から学んだことは「失ったものを数えるな。残されたものを最大限生かせ」ということでした。先日、最重度の人の競泳の競技を見ました。感動しました。その理由は、重度の障害者でありながら泳げるということだけでなく、その泳ぐ姿が自分の持っている力を最大限引き出して、限界を決めないで力の限り泳いでいると感じることができたからです。障害のあるなしに関わらず自分の持っている力を出し切ることは感動を与えてくれます。この大会は、障害がある人たちが競っている大会ですが、そんなことを感じさせないでみんながあたり前に生きている社会の中で競技を通して競っている自然な姿を見ている感覚を味わうことができました。人は人によって変われます。多様性というのはさまざまな人と触れ合うことで生まれてくる概念です。相手をリスペクトして受け入れていくことと飾らない、構えない心こそ自分を成長させてくれるものであると痛感しました。
<第5回2021年7月20日>
16日(金曜日)は高等部の運動会でした。これで3学部すべての運動会が終了しました。運動会を終えて思ったことは、「成長するという意味は、自分に自信を持てるようになる」ことではないかということです。周りの人たちからの応援や声かけによって、「私ってできるんだ」と思えるようになることがいかに大切かということを教えてもらいました。「私って頑張ればできる」という気持ちのことを難しい言葉で「自己肯定感」と言います。今回の運動会を通して、みなさんの自己肯定感はぐっと高まりました。また一つ、自分が変われたことと思います。きっと日々の生活や活動でも粘り強く頑張る姿を見せてくれると信じています。行事ごとは何かと大変で本番に向けて一生懸命頑張る必要があります。それを乗り越えると成長した自分に出会えます。生きるということは、そういうことの繰り返しかも知れません。みなさんから感動をもらうことで周りの人たちも変われます。素直な心で、逃げないで向き合うことで自分をもっと成長させましょう。
【自分なりの努力でいい・・・しかし】
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中ですが、もうすぐ「オリンピック」が始まります。8月下旬からは「パラリンピック」が始まります。開催の是非は、それぞれの考え方に委ねますが、間違いなく言えることは、頑張ってこられたアスリート(選手)のみなさんは、この日のために毎日努力を積み重ねてきたという事実です。その集大成の姿を何の心配もなく見ることができたら、どんなに元気をもらうことができたかと思うと少し残念なところもあります。大切なことは、自分の可能性を信じて毎日努力を重ねることです。続けることは非常に困難なことですが自分なりの努力でいいと思います。先日、新聞に「4番や5番じゃなくて、8番バッターを目指そう」と「大家さんと僕」のエッセー漫画で有名な芸人の矢部太郎さんが記事に書いていました。みんな4番バッターばかりでは試合に勝つことはできません。1番から9番までがいてチームは成り立ちます。だからといって、何でも人任せではいけません。人間は社会的な生き物といわれ、人とのかかわりの中で生きていますから、人と比較しがちですが、それは何の意味もありません。人生は、誰のものでもなく自分のものだからです。たくさんの人に支えられている分だけ、自分もたくさんの人たちを支えていることを自覚して、「おたがいさま」で頑張りましょう。そう考えることで豊かに生きていくことができます。甘えは許されませんが、頑張っているみんなの姿は輝いてます。
【夏休みも規則正しい生活を】
夏休みが始まります。保護者のみなさんは、お仕事があったり用事があったりするため、お子さんを誰かに見てもらう必要が出てくることと思います。夏休みなんかなかったらいいのに、もっと短くしてもらえたらという声が聞こえてきそうです。夏休みは子どもたちが、普段の学校生活では経験できないことをご家族や関係機関で経験してほしいというねらいもあります。日中ディサービス等を利用される日が多くなる人もいると思います。利用に制限があるのは、保護者やご家族の方たちとの時間もしっかり持ってもらうからだそうです。また、自分で家庭で過ごせる人は、家での生活、学習が多くなると思います。いずれにしても、新型コロナ感染拡大防止のための制限があるとは思いますが、学校にいるときと違って、日中の生活を時間通り過ごすことが難しくなるため、起きる時間や寝る時間が変わったり、食事の時間が変わったりして生活リズムを崩しやすくなります。その日にすることを紙に書いたり、時には写真で1日の流れを示したりすることで生活リズムを崩しにくくする工夫をされていると思います。ぜひ夏休みも続けてください。また、梅雨が明けました。夏休みに入る頃から、日中の気温がかなり高くなることが予想されています。熱中症にならないように、水分をしっかりとらせるようにしてあげてください。保健だよりにも書かれているように、基礎疾患のため、体温を上手に調節できない人もいると思います。言うまでもありませんが、表情や態度を確認していただき健康に夏を乗り越えられるようにしてください。発熱が疑われる場合は、必ず医師に診てもらって対処の仕方を教えてもらってください。
2学期、みなさんと元気に会えることを楽しみにしています。
<第4回2021年7月14日>
ワクチンの接種がやっと始まり、少しずつ安心して生活ができると思っていたら、今度はワクチンが足りないので予約がストップされるという事態が起きています。7月末からは12歳以上に接種券が配布されるという通知がありました。予測不可能なところもありますが、接種券が届いたら主治医とよく相談して接種を考えてください。また、各地で記録的な豪雨が続き、自然の怖さを感じさせられる現象もおきています。本校も臨時休業にしたり給食を食べて下校したりすることがありました。地域によっては、避難所に一時避難することになり、避難して一晩過ごしたという生徒がいました。自然災害がなぜ起きるかは分かりませんが、地球の温暖化も原因の一つと言われています。コロナも含めて災害が起きることは防ぐことはできませんが、その被害を少しでも少なくすることは人の努力や協力によってできます。減災のキーワードは「お互いに関心を持つ」ということだと思います。お互いに気遣うことです。
【待つ、自分を変えながら、ひたすら待つ】
「去年に比べたら、ものすごく成長しているんですよ」という話を聞きました。一見、不適応な行動を見せていても、「それは嫌だ」という意思表示であるとすると、子どもの行動の意味は成長ととらえられます。ここでいう成長とは「自分が変わる」ことです。人は人とのかかわりの中で生きています。相手を変えようとしてもそう簡単に変われるものではありません。教えるということも同じことで、すぐに結果は出ません。結果を求めるよりそれに至る過程を楽しみながら、また、苦しみながら、変われることを信じて待つことだと思います。中庭の花壇に植えている植物が、この大雨の恵みをうけて一層大きくなりました。プランターに植えている野菜は常に水をやるなどの世話を欠かしてはいけませんが、花壇や畑は少し水やりを怠っていてもしっかりと育ってくれます。土の力はすごいです。育てるということに関しては、人も土のように栄養、水を蓄えて、そこに育まれるべき命を静かに見守ることが共通していることです。昔の先生がこんなことを言っています。「下農は雑草を作り、中農は作物を作り、上農は土を作る」と。まさに、土づくりが子どもの成長に大きく影響します。教える側、先生や親は、誠実な心で子どもを見守ることとそのままを受け入れることですね。
【1学期もがんばりました】
行事では運動会がありました。(高等部は16日(金曜日)に予定)小中学部では、自分が出場する種目を中心にできることに一生懸命練習から取り組んでいる姿が見られました。運動会に合わせて、ポスター作製やボールの飾りつけなどの制作活動も頑張りました。練習は教室で行い、体育館で行いと何度も調整しつつ行いましたが、だんだん上手になっていく姿に感動させられました。本番は、練習の時に見られなかった全身を使って笑顔を表現してくれました。ご家族の方に見てもらっていることで張り切ってくれたのでしょう。とても嬉しかったです。日々の授業でも、自分の課題に一生懸命取り組んでいました。立位台での自立活動や校舎内で補助歩行をしたり、SRCで歩いたりしている時は、声かけに応え、足を動かしていました。また、声や音に素早く反応して、上半身を一生懸命、起きあげようとする姿や「〇〇さん」の声かけに反応するように笑顔で、声を出していました。PCを使って課題をしたり、コミュニケーションをとろうとしたりして頑張った子もいました。自分の持てる力を精一杯出し切って、つらいことも励まされる声の中で頑張ろうとしている姿は素敵でした。自分の課題を乗り越えるために一生懸命頑張っている姿は、周りの人たちに勇気と元気を与えてくれます。書写の子は、一歩一歩、できることを確実にできるようにするとともに、ちょっと難しいことにもチャレンジしています。結果より過程が重要です。ある人がこんな言葉を残しています。「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を心に刻むこと」と。一生懸命さは誠実、できるようになった時に見せる笑顔は希望です。2学期もがんばりましょう。
【高等部卒業を見越して、今できることを】
卒業後の進路を見据えて、今、何をするべきかを明らかにして学校と家庭とで手を取り合って子どもたちに向き合う必要があります。今は何に向けて進んでいるかを個別の指導計画の中で明らかにして、関わる者が共通理解して取り組んでいくことです。その時、間違えてはいけないのが、卒業がゴールではなくて、卒業後も自分の課題の解決に向けて学び続けるために何が必要かという視点です。素直さ、笑顔、指示されたことを受け入れて、頑張ることもその一つです。
<第3回2021年6月8日>
【命が輝く瞬間を見つける・引き出す】
「ゾウの時間 ネズミの時間」という生物学の新書には、「脊椎動物は、一生のうち心臓が20億回動き、呼吸を3億回行うと言われている。心臓が早く動き、呼吸が早い動物 と遅い動物を比べると早いほうが早く死ぬわけで、早く死ぬから『かわいそう』ということではない。生きている時間だけでは比べられないものがあると書かれています。その時間を自分なりにどれだけ深く豊かに生きることができたかどうかが問われている。」ということが紹介されています。本校の子どもたちは身体にさまざまな疾患を持ちながら生活し学習をしています。身体に疾患のない人たちと比較することは意味がありません。どれだけ深く豊かに生きるかという視点で子どもたちを見ると「あっ、視線が変わった、瞬きした、心拍数が少し上がった」というサインで思いや感情を感じ表現していることに気づくことがあります。また、「この実験おもしろかった。空気が温まると膨らむんだ」という新しい発見と出会いに感動している子どもたちに気づくことがあります。大げさな言い方かもしれませんが、この瞬間こそ豊かに生きている瞬間、命が輝く瞬間です。子どもたちに関わる者は、この瞬間を引き出すために声かけを行い、身体の硬さからくる緊張を緩め、心を安定させて子どもたちの目線で一緒に活動しています。繰り返し、繰り返し時間はかかりますがじっくりと取り組んでいると子どもたちは自ら反応を広げてくれます。これが成長の証です。「○○さん、すごいぞ、がんばったね」と声をかけるとニコッと笑顔で返してくれます。また、反対に嫌だと言わんばかりに、手で押し返したり、目を背けたりしているときがあります。これも成長の証なんです。この経験が繰り返されると自ら反応することや感じたことを話したりする場面が増えてきます。それは、自ら周りの社会に対して働きかけることができる力になります。子どもたちはこれから長い人生を自分で歩んでいかなければいけません。一人ではありません。周りの人たちと一緒に楽しい事を共有し、難しい事にもチャレンジしていくことが豊かに生きることだと思います。そんないのちの輝く瞬間をどうすれば、たくさん引き出すことができるかを考えて、保護者のみなさんと一緒に確認し共有して喜んだり、励ましたりすることで学校が安全安心で自己表現できる場にしていきたいと思います。子どもたちは私たちに命の輝く瞬間を通して、「優しさとは、生きるとは」ということを教えてくれていることを再認識しながら・・・・・
【包み込む優しさ】
朝日新聞の「ののちゃん」という4コマ漫画にこんな場面が描かれていたので紹介します。お母さんと一緒に寝ていて、夜中におしっこを失敗してしまいます。その時、お母さんは「困ったもんだ」と思いつつ、トイレに連れていきおしっこをさせる場面があり、その時、ふと外の景色を見ると雪が降り積もっているのに気づき、嬉しそうに2人で見ていたという内容が描かれていました。まさに、子どもを思う母親の温かい気持ちを描いた漫画でした。母親というものは、無条件に子どもの思いを受け止めることができる存在です。でも、悪いことをしたら叱る、叱られた方もなぜ叱られたかわかるように諭すという当たり前の接し方が変わってきているように思います。叱れない大人や子供が困難に出会ったときに大人が解決してまおうとする姿などをよく見聞きします。子どもと向き合うこと、「なぜ、そうしたか」を考えさせることです。親が本気で子どもと向き合う姿を見せても、その包み込むやさしさを知っている子どもは自分を振り返ることができるものです。
<第2回 2021年5月7日>
【みんな笑顔で元気・主体的な笑顔とは】
新しい学年になり1か月が過ぎました。 少しずつ新しい先生や友だちとも慣れて、緊張がとけて、いつもの笑顔が出てきています。もちろん、個人差はありますが、概ね受け入れてくれていて嬉しいです。ベースになる安心感をもつことができたら、スタートラインに立てたことになります。次は、各学部、各クラスでさまざまな課題を通して学んだり、身体の学習では自分の体に少し負荷をかけながらチャレンジしたりすることで、できることを増やしてくれると信じています。 先生や友だちからの刺激をもらって笑顔という反応を示してくれることができること、例えば、一緒に介助歩行して廊下を行き返りできた時、「頑張ったね。すごいよ」と声をかけるとニコッとして喜んでくれます。これは、できたことに対する喜びではなく、声をかけたことへの笑顔の反応かも知れません。次の段階は、自分から何か行動を起こした時にこちらから笑顔で返すことで、同じことを繰り返したり、また違うことをしたりすることです。教科書で学習している生徒のみなさんも同じです。教えてもらって問題が解けるようになって嬉しいと感じることがあります。次の段階は、自分でわからないところを質問して理解できるようになることです。このように、関わる者や指導する者は、子どもが自ら動き出そうとしている場面を引き出すように関わったり、指導したりすることで自ら動き出したことを見逃さないで評価していくことです。学校の生活は子どもたちにとって絶好の自主的な活動を見せることができる場所でもあります。今は、感染症予防のため、学校とはいえ多数の人と触れ合うことが難しい時期ですが、十分に感染予防を徹底していろいろなことにチャレンジしていきましょう。
【農業版STEAM(スティーム)教育・・・プログラミングの勉強】
中庭の芝生の一部を使って、コンピュータでプログラムを組むことで「種まき、水やり、草引き(草押し)」を機械を介して行うという体験を市役所の農政総務課とコンピュータの業者の協力を得て中学部でしています。27日には清元市長が視察に来られました。昨年に教えていただいた操作を1年生の生徒に教えるという授業を見せてもらいましたが、説明がとても分かりやすく、初めてプログラムを組む1年生もよくわかる授業でした。その説明原稿は、3年生の生徒がすべて考えて文章にしてくれたということを聞いて、子どもたちの努力に感心させられました。1年生は、「ちょっと難しかったけど、できてうれしかった」と感想を話してくれました。このプログラミングですが、昨年度から小学校に導入されました。今回のようにプログラムを組むことも大切な目的ですが、それ以前に、「プログラミング的思考」ということを目的にしています。「プログラミング的思考」とは、物事を論理的に考えて結果を導くということです。さまざまな情報を収集して、そこから考えられる仮説を立てて、それを証明したり、実現したりするためにどう考えるかを決めていくことです。物事を関係づけて考える・・・これからみなさんが生きていく上で必要な力です。身の回りにパソコンを使う機会が増えています。障害があろうがなかろうが、それを自分なりに使いこなせるようにして世界を広げていきましょう。入力方法も変わってきていますよ。また、ロボホンのように、プログラミングが内蔵されたものとうまく付き合っていきましょう。
【授業にお邪魔して・・・】
先日、中学部の教室にお邪魔した時、iPadを使って絵本を読み聞かせをしていました。先生方が絵本の文章を読んで、その声をiPadに録音させているとのことでした。 本来なら子どもが手や身体を動かすとページが進み、そこに書いてある文章が先生の声で再生されるというものでした。よくわからず勝手にiPadに触れていたら、ページが進んでいったので面白くて触ってしまっていました。担任の先生が、手の動きが上手く伝わらなかったということで、「校長先生に合図を送ってページを進むのもいいかも」と機転を利かせてくれて子どもが私の顔を見てくれたらiPadを押すというようにしました。生徒は、それが分かったようで、声が終わるとこちらを見てくれます。私はあわててiPadを押す。この繰り返しで1冊分が終わったのですが、こういう使い方もあるな・・・と感心させられた場面でした。人を介してでもいいので自分の意志で何かをするということは大事なことです。
<第1回 2021年4月9日>
【入学・進学 おめでとうございます】
小学部7 名、中学部12 名、高等部7 名の合計26 名の新入生を迎えて、令和3 年度がスタートしました。子どもたちの笑顔にあふれ、子どもたちの命が輝く学校になれるように笑顔でスクラムを組んで、「子どもファースト」の楽しい学校にしていきます。ご協力をお願いします。始業式で「3つのC」の話をしました。「チャンス(chance)、チャレンジ(challenge)、チェンジ(change)」の話です。まず、この入学・進級は大きな出会いの機会であり、みなさんにとってはチャンスです。その出会いの中で自分の目標に向かって一生懸命がんばること、チャレンジすることとチャレンジをした後は変わった自分に出会える、つまり自分がチェンジできるという流れです。人の一生は常に変わることの繰り返しかもしれません。ある物語の話をします。葉っぱの上に産み落とされた卵が幼虫になり、たくさん食べて、やがてサナギになります。そしてやがてきれいなチョウになります。そんな変化が繰り返されるのが人生です。私たち子どもに関わる者も変わらないといけません。学校に携わっている者は幸せなことに子どもたちから教えてもらえる場にいます。子どもの気持ちや行動を理解しようとすることを通して、今までの自分とは違う自分を見つけ自分を磨くことができるわけです。もちろん子どもたちも成長という変化(チェンジ)を見せてくれます。それは感動的です。最近の話題でとても感動した話があります。この前の卒業式前のことです。高等部の生徒と先生のお話です。明日からは先生と会えないかもしれないと感じた生徒は、帰りのバスに乗った後、その先生と最後の握手をしたいと言い出して、バスの添乗員さんに訴えたという話です。「何かいつもと先生が違うぞ」と感じた生徒は、言葉ではうまく伝えられなかった「さよなら」を今伝えておかないと永遠に伝えられないということを感じてとっさに起こした行動です。感動です。「以心伝心」とはよく言ったもので、その生徒の心の中には先生との楽しい思い出、つらかったけれど一緒に頑張った思い出が魂の叫びのように伝えられたことは、私たちにとってこの上ない喜びであり、名誉なことだと思いました。人は簡単には変われません。しかし、大きな感動を伴った体験をすると少し変わります。変わるというよりは、自分が磨かれるということかもしれません。教えられる側にいる子どもたちを変えるのではなく、教える側にいる教員が自分を磨いていかなければいけません。
【担当制から担任制へ】
書写養護学校では、個別にしっかり見てくれるから子どもが多くのことを学ぶことができると言われて、昨年度までは、先生と子どもが1人対1人または1 人対2人で学校教育をしてきました。通常の学校では中学生は教科で先生が変わりますが、小学校では35 人に対して1 人の先生が指導をするクラス制を敷いています。これは学習の効率を求めることで説明されますが、集団の力を大切にしているという考え方が根底にあります。本校の子どもたちもクラスの子どもたちから多くのことを学んでいる場面をよく見かけます。このような状況を踏まえ「誰が見てくれているの」と言われると「担任みんなで見ていますよ」と言い切れるように連絡連携を取り合い、若い先生もベテランの先生も同じ土俵で子どもたちを見て、気持ちを考え、想いを受け止められるようにするために今年度から「担任制」に移行します。なお、医療的ケアは「3号研修」を受けて、個別の子どもに対して手技を身につけないとできませんから、今まで通り個別の対応をします。保護者のみなさんは不安に思われるかもしれませんが、このことにより、より広い人間関係を創り上げ、多くの刺激を受けながら成長していく子どもたちに育てていきます。どうぞご理解いただきますようお願いします。
【感染症の拡大を防ぐために】
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず第4波が来ています。兵庫県でもまん延防止等重点措置が神戸市、尼崎市、西宮市と芦屋市に出されています。自粛疲れとともに、姫路市では感染者が少ないということで身近な恐怖には思えない人が多いのが心配です。私たちがするべきことは、感染防止対策を徹底することです。3 密の回避、身体的距離をとる、マスクの着用、手洗い・手指消毒、体温測定と健康チェックをしっかりすることです。少しの気の緩みが感染につながることを肝に銘じて行動しましょう。
<第17回 2021年3月24日>
【保護者のみなさん ありがとうございました】
18日に卒業式を行い、19名の卒業生に卒業証書を渡しました。特に高等部の5名は、12年間学んだ書写養護学校から社会へと巣立っていきました。各々の進路先で新たな出会いとともに自分の夢に向かって、助け助けられてこれからの人生を豊かに生きてくれると信じています。書写養護学校は卒業生をいつまでも応援しています。小学部6年生、中学部3年生はそれぞれ進級して新しい学部で気持ちを新たにして頑張ってくれると思います。この1年は、コロナウイルス感染症対策のため心配な日々を送ってこられたと思います。「学校へ行って大丈夫かな」「基礎疾患があるためコロナに罹ると怖いな」という不安の中で、学校を信じて、お子さまの体調を見ながら、学校に送り出して下さり本当にありがとうございました。今回の経験から、改めて、学校のよさを再発見しました。友だちや先生と過ごすことは、「しなやかな心を育てることにつながっているんだ」ということです。教育は「教え育む」と書きますが、今は小中学校でも教えることに重きがおかれ、心を育てることが2番手になっています。学ばないで心が育つことはありません。一生懸命、自分の力を発揮することでしなやかな心が育ちます。学校のよさは、集団で子どもたちを育てることができることです。個別の教育的ニーズに合わせた教育を行うことが特別支援学校では使命です。間違ってはいけないのは、子どもの訓練をするところではないということです。子どものよさを見つけ、頑張った姿を褒めることで自信をつけること、心を強くしていくということをあわせて持つということです。SRCで歩いているところを見て、「ここまで頑張ろう」と声をかけると疲れていても今ある力を振り絞って進もうと努力してくれます。友だちが「○○さん、頑張れ」という期待を込めて声をかけたり、笑顔で見つめたりしてくれることで、VOCAを押してくれます。この気持ちが大切なんです。そのために、これからもよりよい学校はどうあるべきかを子どもを中心に考えて変わっていかないといけないと思います。学校は集団で子どもを教え育てるところです。先生一人が子ども一人を教え育てているのではなく、友だちやご家族の協力のもと関わる者が子どもの幸せを願い、一つになることで子どもの心と学びが育つと考えます。そのために互いの考え方を尊重し認めることで「笑顔でスクラム」を組みながら、これからも子どもたちから学ぶ教師であり、保護者とともに子どもを守り育てられる学校になれるよう努力してまいります。この1年間本当にありがとうございました。
<第16回 2021年3月3日>
【すばらしいです。あゆみ展】
あゆみ展をたくさんの保護者の方に見ていただきありがとうございました。すべて授業で取り組んだ作品です。私も少しですが作っている過程を見せていただきました。先生と子どもたちが話をしながら瞬きや笑顔で選択して色や形を決め、次にどこに書くかどこに貼り付けるかを決めて、のりやボンドなどを使って一生懸命貼り付けてくれていました。先生と子どもたちの息づかいが伝わってきました。そして何より、子どもたちの笑顔が目に浮かびます。ここに展示されている作品は一つひとつ、子どもたちの力いっぱいの表現から生まれたものです。この後、作品を持って帰ると思います。ぜひお子さんと話をしながら頑張ったことを褒めてあげてください。
【気を緩めないで感染症対策をしっかりと】
学校での感染症対策は引き続き気を緩めないで取り組んでいきます。今回の宣言解除に伴って政府の専門家会議からは、宣言が解除された後については、感染防止対策を各自がしっかりと意識して行動することと言われています。「各自でよく考えなさい」ということでしょうね。
【高等部合格おめでとう】
中学部3年の7名が無事、高等部の入試で合格しました。おめでとうございます。高等部は義務教育ではありませんので、どう学校生活を送るかがより重要になります。これからはそれぞれの進路に向けて自分の持っている力を伸ばしていきましょう。3年かけて適性を見つけ、ここで頑張るという場所を見つけていきましょう。みんなで応援しています。
【コロナで制限されましたが交流しました】
毎年行っていた居住地校との交流ですが、今年はリモートでの交流や作品・お手紙での交流になりました。相手校との調整や本校の子どもたちの状態を考えて交流が難しかった子どもたちもいました。お互いコロナの中での制限された生活ですから、直接交流ができなかったことは残念ですが、「待ってるよ」「頑張ってね」という言葉をもらいました。地域の学校や高等学校との手紙交流もできました。来年は直接交流できるといいね。
【子どもの成長は絶対的な安心感と】
みんなこの1年で随分成長しました。いろいろな人や環境の中で生活をすることで対象を広げ、嫌な時は泣いたり、喜んだりし、受け入れてもらうことで自分の力で環境に働きかけた経験を積み重ねていきます。表現方法を獲得する勉強も大切ですが、同じ環境では限界があります。子どもは親から離れ、新しい人と関わり合い、新しい自分を見つけ変わっていきます。これが成長です。そのためには絶対的な安心感で子どもを繋ぎ、頑張れたことを認めていくことを繰り返すことです。それは目の前の細かいことではなく、子どもを取り巻く生活の総体に目を向けて考えることです。明るく楽しい教室の雰囲気からは子どもたちが生き生きと活動している姿が見られます。ご家庭も同様だと思います。子どもたちが豊かに生きていく姿は無限の可能性があります。大人ができることは、「子どもと一緒に心から楽しむ」ことです。
<第15回 2021年1月14日>
【本年もよろしくお願いします】
令和3年が明けました。健やかに年明けを迎えられたことと思います。新学期が始まってから、寒波がやってきて、暴風雪のため1日、臨時休業になりました。気温が低いため、体温調節が難しい子どもたちは学校生活でストレスを感じることが多かったと思います。しかし、登校して一生懸命学習をしている姿を見ると私たち職員も元気をもらいました。今年も「笑顔で夢をつかむ」という言葉にむけて、子どもたちを中心に据えて、保護者の皆さんと教職員が手を携えて学校生活を通して学び、育つことができるようにがんばっていきたいと思います。始業式は終業式と同様に体育館等で新型コロナウィルス感染防止のために学部ごとに分かれて行いました。始業式で子どもたちに話した内容を紹介します。
<始業式より>
「学校の新しい生活様式」に則り、命を守ることを一番にして、命が輝く学校にしていきます。
そのために、できないことばかり並べるのではなく、どうしたらできるかをみんなで考えて子どもたちと一緒に成長できるように頑張ります。本年もどうぞよろしくお願いします。
【コロナ対策。もう一度、引き締めて取り組みます】
首都圏に緊急事態宣言が出されました。近畿でも大阪府、京都府と兵庫県に緊急事態宣言が発出されました。市中の感染状況を見ても気を許せない状況になっていることが分かります。学校はもちろんのこと家庭でも感染防止には十分気を付けていますが、100%大丈夫であるとは言えない状況です。そこで、学校において本校のガイドラインの見直しを進めています。その変更の観点として、
(1)給食のときは、子ども同士は十分な距離を取って、介助者は必ずマスクを着用して声をできるだけ出さないようにして給食指導を行うこと
(2)教室で給食を実施する場合は向かい合わないように席を決めることなどして、密になる場合には体育館や多目的室を利用すること
(3)外部からの来校者がある行事は、中止にするか、中止ができない場合は学部ごとの分散実施にすること
(4)授業中の教室では、密を避けるよう人数を調整し、子ども同士の距離を最大限とることとすることなどを徹底したいと考えています。
文部科学省や市教委の現在の通知では、学校を休業にしたり分散登校をしたりすることは考えていないということですから、本校もできるだけの感染防止対策をとることに努め、安易に分散登校にはしない方針でいますが、今後は国や県、市からの通知に基づいて、その都度、市教委と相談して方針を定めていきますが変わることがあるかも知れません。変わる場合は、放課後ディサービスの申し込み等もあることから、できるだけ早く変更の連絡をしますのでよろしくお願いします。
【いわれのない差別が起きないように考えよう】
第3の感染症といわれる「差別」を絶対に起こさないようにすることです。姫路市内でも各地で感染の報告が出されており、保育所や施設が一時休業を余儀なくされている事例があります。そんな状況下で、感染者が悪者のように非難されたり、濃厚接触者でもないのにその施設の関係者と触れあうことがあったのではないかと言われたりして、苦しめられている人がいるということがあったと報道されていました。もし、判断が難しいと思われる場合は専門機関(保健所等)に確認していただくか、学校へ相談をしてください。そして、根拠がない情報には 惑わされないようにしてください。
<第14回 2020年12月25日>
【保護者の皆さんありがとうございます】
今日で2学期が終わりました。思い返せば、8月17日からの2学期で給食も最後まで実施されました。長い2学期でした。その間、保護者の皆さんには、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い学校へ行かせることがいいのかどうかについて大きな不安を持ちながらの毎日だったのではないかと思います。もちろん子ども一人ひとり疾患が違うため安易に申し上げることはできませんが、学校を信じて、学校に通わせていただいたり、ご家庭に足を運ばせていただいたりしたことはとても嬉しかったです。医療的ケアが必要なためバスに乗ることができず、毎日送迎をしてくださった保護者の方々、毎日の帰ってからの様子や当日の体調を生き生きと連絡帳につづってくださった保護者の皆さんに本当に感謝しています。ありがとうございました。子どもたちは確実に成長してくれています。大きな行事もあったはずの2学期が、校内での行事に変わり、いささか拍子抜けのところがあったかもしれませんが、毎日のルーティーンの中で安心感を育み、安心感が育つと同時に自分から挑戦しようとする気持ちが芽生え、時には、それが原因で発作を誘発したかもしれませんが、それでも頑張ろうと乗り越えていく心が育ってくれたと思いました。3学期はまとめの時期です。成長をしっかり確認して進級や社会へ出ていく勇気と希望を持てるように日々を積み重ねていきましょう。
【心が心を磨く、前向きな気持ちは安心から】
先日、寮美千子さんの「あふれでたのはやさしさだった」という本を読みました。奈良少年刑務所で絵本と詩の授業を実践された経験から、そこに入っている人たちへの偏見をなくしてもらうことと心と心が触れ合うところに成長が見られ、人は人との関係でしか成長しないということを教えてくれるものでした。私なりの読みですから間違えているかもしれませんが、少年刑務所に入ってくる子どもは、ほとんどが、「おまえなんか生まれてこなければよかったんだ」と刷り込まれている子どもたちばかりで、虐待やいじめ、いじめを回避するために相手を傷つけることに鈍感にならざるを得ないという悪循環をもって生まれてきているということです。生まれながらにしての発達障害を持っている子どもも適切に育てられていないため、叱られ、否定され続け、自尊心がずたずたに傷つけられた結果、罪を犯してしまったという事例も多いとのことでした。誰も自分から非行の道を進みたくて来たわけではないわけで、家族でも頼ることができない寂しさは涙なくして読み進められませんでした。
本校の子どもたちは、みんな素敵な笑顔で輝いています。この笑顔は、家族に受け止めてもらい守ってもらっているという安心の証です。同じく学校の中でも関わる大人から愛情をもらっていることの証でもあります。つまり、安心して生活できているということです。日によっては機嫌が悪い時もあります。そんな時は、朝からどう声かけしても反応はよくありません。機嫌が悪いときは悪いなりに、調子のいいときにはもっと前向きに何ごとにも手を出そうとします。とても素敵です。心と体のバランスをとることが大切であるといわれています。
寮美千子著『あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』(西日本出版社)
本校の子どもたちは、自分の体の調子に向き合い、かかわる人たちに想いをぶつけ合い、受け止めてもらうことで自分の心を磨いています。学ぶことの意味はそこにあります。心をぶつけ、受け止めることを繰り返しながら少しずつ成長する姿を見守っていきたいと思います。私たち大人にできることは、子どもたちを守り育てるということを共通の目的にして手を携えて成熟したチームを作っていくことです。
無事に2学期を終えることができました。保護者のみなさんありがとうございました。教職員の皆さん、本当にお疲れさまでした。ご家族そろってよいお年をお迎えください。ありがとうございました。
<第13回 2020年12月14日>
【コロナの感染拡大が心配です】
新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。いつ身近な人に濃厚接触者が出てもおかしくない状況です。本校では基礎疾患のある子どもたちが多いため細心の注意を払う必要があります。そのために毎日の検温や体調管理にご協力いただきありがとうございます。姫路市も保健所の機能が崩壊しそうなためPCR検査を濃厚接触者に指定された者だけの検査体制になっています。同時に、インフルエンザの流行時期にもあたるため、これからはより一層感染症に注意しなければいけません。できることは、3密を防ぐこと、手洗い手指消毒をこまめにすること、マスクを着用することと部屋の換気に努めることを徹底して、睡眠と栄養を十分取り免疫力を高めることです。人ごみは怖いです。感染防止をいくら徹底していても少しの隙間(油断)からウィルスは侵入してきます。そこで、もう一つ気を付けたいことをお伝えします。
「出典:日本赤十字社 新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!」
【感染症が人の弱い心をあぶりだす?】
報道などで気になることは、クラスターを引き起こして申し訳ないと頭を下げる姿です。クラスターが発生した原因を報道することは今後の対応に参考になることですから必要なことですが、まるで発生させた団体の責任者が悪いということで謝らせることで周りの者が安心するという構図はどうしてもおかしいと思います。悪者探しではなく、これからどういうことに気を付けなければいけないかを考えるとともに、感染してしまった人たちをどうしたら守れるかということです。
日赤のHPに上記の感染症の3つの顔がその対応策と一緒に紹介されています。一度ご覧ください。まず、新型コロナウィルスがどんな病気なのかわからないことからくる「病気」という面とこれからどうなるのかという「不安」です。そして、一番、人間の弱さを表しているのが、狭い世界につきものの偏見からくる「差別」です。「あの人がコロナに感染したのではないか」という噂の範疇での心無い言葉がどれだけ傷つけているかをわからないで、無責任に話をしてしまう。今なら、スマホなどの通信機器が高度に発達しているため、情報はすぐに拡散してしまいます。実は、間違いだったという場合でも一旦流れたことは取り消せません。いいことも悪いことも、今の時代、見方や考え方によっては人に影響を与えてしまいます。そんな差別が人を追い詰めるわけです。情報は受け取ったものが一度立ち止まって考えることです。鵜呑みにしないことです。
「どうしたら、その人を守ることができるか」、「どういう状況が危険なのか」を考えて、前向きな思考で物事を解決していきたいものです。犯人捜しをしたり、その人を責めたりすることが目的にならないよう建設的に解決できるように話し合いをすることがこれからの時代必要なことです。そういう意味で人の弱い心はすぐに露呈されるものです。みんな弱いものです。でも、「過ちは改むるに如かず」といいます。弱さがあるから生きていけるのですね。
【修学旅行の代替行事や特別授業が教えてくれること】
修学旅行の代替行事が先週の金曜日の高等部で終わりました。小高部は魚をさばいて調理して食べるという経験、中学部は行くはずだった大阪のユニバーサルスタジオジャパンをプレイホールで再現して体験すること、高等部も行くはずだった京都の観光地を体育館で再現して、おいしいおやつを食べるという内容でした。市内の小学校では日帰りで奈良・京都にバスで出かけたようです。中学校は各学校で広島やUSJなどの行先を各校で決めてバスで行きました。書写中は新聞にも掲載されたように、お揃いのシャツを着てみんなで13km歩いて福崎町の野外活動センターに行きカレー作りをして食べたということです。初めて、それぞれの学校が行先を決めて出かけるという体験をしたわけです。本校は、感染症予防のため、校外には出ないでできることを考えることになり、それぞれの学部が工夫して実施しました。実際にバスや電車を使って出かけて宿泊するということと比べたら、今回の疑似体験は子供たちに与える印象と感動が違うのかもしれませんが、こんなに思い出に残る修学旅行は、これからは絶対できないと思いました。楽しい経験をさせてあげたいという先生方の思いがいっぱい詰まった体験です。価値ある体験です。人は人との関係の中で生きています。家庭ではご家族の人と学校では先生たちと福祉や医療機関ではそこに携わる人と関わることで励まされ、頑張ろうとすることで成長していきます。そのかかわりは、「出会い」であり、「熱い思い」は心が触れ合うことです。心が触れ合うところに価値があります。先生方は実際に現地に行けないことを新しい価値ある活動に変えてくれました。それは、新たな体験であったり、学校の中に現地を作ったりすることで、思いっきり楽しんでほしいという「熱い思い」にあふれていました。現地へは、卒業してからでも行くことはできますが、この思いが詰まった修学旅行は唯一無二の修学旅行です。本校の教育活動では、先生方が子供たちに全身でぶつかっています。全身でぶつかることで先生の思いが子供に伝わり子供が動き出します。学校教育の目的は、将来生きていくうえで、必要な力を身に着けることと必要な心を強くすることです。コロナがくれた恵みの側面かもしれません。
<第12回 2020年11月13日>
【集団の力を通じて育てる】
学校は言うまでもなく、集団で子供を育てるところです。もちろん、新しいことを学ぶ場所でもあります。本校の教育では、個別の指導が中心になっていると考えてしまいますが、個別の配慮のもとグループやクラスという集団で指導を行っています。もちろん先生方も一人の子供を見ているわけではありません。クラスの子供全員を複数の人(教師、看護師、介助員など)で関わることで多くの人に慣れることや多くの子供を理解することができるということにつながります。もちろん、医療的ケアが必要な子供の医療的ケアについては担当の先生が行うことは言うまでもありません。一方、子供から見ると集団の中で多くの大人と関わることがこれから生きていく社会で役に立つ力になります。また、友だちを意識させることは、お互いにともに伸びることを促すことになります。
モデリングといって、人の行動や動作を見て、自分も同じようなことをするという心理学用語がありますが、人はモデリングにより成長するものです。本校の子供たちも友だちを見て、友だちの声を聞いて、刺激をもらい何らかの影響を受けています。いいことも悪いことも・・・・。授業の中でも友だちを意識させる活動を入れることや友達の話を聞いて考えることを取り入れた授業を可能な限り取り入れていきます。わかるわからない、できるできないという物差しではなく、感じることを大切にしていくことを集団の力を通して育てていきたいと考えています。
【感染予防がゆるまないように】
時間とともに身近に濃厚接触者の話を聞かなくなるとウィルスの感染が収まったかのような錯覚に陥ってしまいそうです。しかし、そういうときにこそ安心しないで危機感をもって感染対策をもう一度見直して徹底しなければいけないと思います。学校の入り口のところに、自動で画面に映ると表面温度が計測できるモニターを購入しました。「正常です」と温度をみて答えてくれます。ただし、表面温度ですから、厳密には体温ではありません。寒いところから入ってきたときは顔が冷たい状況ですから低く出ることも否定できません。やはり、「3密を防ぐ」「マスクを着用する」「換気をこまめに行う」「手指消毒をする」という基本的なことを生活様式の中に意識として組み込んでいくより仕方がありません。もしも体調が悪い時は無理をしないで外出を控えるようにして、病院に行くなどしてください。それから、免疫力を付けるために「睡眠とバランスのよい栄養」をしっかりと摂り身体を動かすなど体力をつけるようにしましょう。
これだけはお願いします。コロナによる差別が横行しています。学校ではいじめに発展しないように予防的な取り組みをするように教育委員会から指導がありました。これは誰でも感染するかもしれないことで、感染した人が悪いのではなく、早く治るように励まし、治って学校に来たら温かく迎えることが大切です。本校では、人にうつさないように細心の注意を払って生活をしてくださっています。これを続けることと、もし罹患していたら、責めないで守ってあげて、早く治るように待ちたいです。もちろん、基礎疾患のある児童生徒は保健所や教育委員会と連絡を取り指示をしますので、お子さんの健康管理をお願いします。
【笑顔でスクラム】
私の恩師の故大塚晃校長先生がいつも使われていた言葉です。教職員に向けての言葉だったように理解していますが、チーム学校を創り上げることから考えると、PTCA(保護者、教師、地域の共同体)のすべての者にあてはまる言葉です。何か問題にぶちあたったとき、それを解決するために、それぞれが力を合わせて、解決策を見出していこうとするのがあるべき姿です。決して誰かを批判するのではなく、まとまっていくことが大切なんです。アメリカ大統領選挙においてもバイデン氏が過半数を取って勝利宣言をしたとき、全アメリカが一つになることを盛んに呼びかけていました。まさにそれなのです。一人に対して最善であっても、他の子供には該当しないことがあります。しかし一人だからと無視することはできません。その声にも耳を傾け、書写養護学校のすべての子供を中心において、どうすることが子供の幸せにつながるかを考えることなのです。つまり、笑顔を引き出すことを考えることです。私は、保護者の方とも一緒に「笑顔でスクラム」を組んで学校を魅力があるものにしていきたいと考えています。
まずは目の前の一人のことを考えることを大切にして、そこから見えてくる多くの子供の笑顔がどうすれば引き出せるかを必死で考えていくことです。子供のニーズは一人一人違います。そのニーズに対してクラスやグループの先生方が共通理解して関わると子供の力は大きく成長してくれると信じています。視線の先は、目の前の子供、それを通して、その先の学校全体の子供なのです。すべての子供を伸ばすことが幸せにつながります。一人ではありません。保護者の皆さんも横のつながりを大切にし、縦のつながりから学んでください。私たちも学部を縦に見てつながりを大切にして指導していきます。保護者の成長、先生の子供からの学びが融合して学校はチームになっていけると信じています。
<第11回 2020年10月7日>
【自立とは、人と生きること】
本校の卒業生で現在、はりま総合福祉評価センターで事務局長をされている河原正明氏を講師にお迎えし「障害者の暮らしを作る」~障害者制度と権利について考える~と題して教職員研修をしていただきました。目的は、現在の福祉制度の仕組みについて知るということでした。障害者総合支援法の仕組みを分かりやすく教えていただきました。また、河原さん自身が車いすで生活をされている人であることから、ご自身の体験や経験に基づくお話も伺うことができました。
河原さんは「自立する」ことについて、『自分で自分のことをすべてできなくても、みんなと一緒に社会の中で生きることができれば自立になる』という話をされました。そして、若いころのことですがとして、自分は世話をされる側の人間だと思っていたところ、ある日、ボランティアに誘われて参加するようになり、自分にもできることがあるということに初めて気づかされたことと人は役割をもって生きているということ、不必要な人はいないということに気づいたという話をされました。
生きていくということは人とつながり、人からの支援を受けながら、人と関係を作ることで自分も自分の生き方を実現していくことができれば自立したと言えるということを教えていただきました。自分のできる範囲で多くの人と関わることはつながり先をたくさん持つことになります。成長する過程で人とのつながりを増やしていくことです。自分では支援を求められなくても、自分を知ってくれる人が増えれば支えてもらえます。障害があろうがなかろうが人は一人では生きていけません。助けてもらうことを恥ずかしいとか思わないで、どんどん助けてのサインを出して人とつながっていきましょう。
【充実した医療的ケア体制へ】
医療的ケアについては、昨年度からの大きな課題でした。今年から日赤の看護師さんに来ていただけることになり、子供たちの生きていくベースを支える医療的ケアについて、新しい仕組みを看護師さんたちと一緒に作り上げようとしています。新転任の先生方の医療的ケアも今月から始まります。主治医の指示に従って看護師さんも教員も医療的ケアを実施しています。
しかし、日々、子供の様子は変わります。医師の指示は変わりませんが、様子を見ながら子供たちへのケアを実施しなければいけません。そのために、看護師さんたちは学部ごとに担当を決めて、子供たちが学校にいるときは教室をずっと回ってくださっています。時には、教員へのケアに関する助言をしていただいたり、教員からの質問に答えて下さったりしています。おかげで子供たちの様子をたくさんの目で確認することにより子供の状態をよりよく理解することができています。また、子供たちが成長する過程でどのように医療と付き合いながら生きていくことが望ましいかについて、先を見通して子供たちに「今できることは何か」を考えて下さっています。看護師だから、医療的ケアを担当していればいいという考え方ではなくて、学校職員の一員として、子供たちを見ていく仕事を担ってくれています。教員と看護師、介助員という子供に直接関わる者がお互いにコミュニケーションをとれる風通しのよい関係性をもちながら医療的ケアを進めていくことを目指して体制づくりをしていきたいと考えています。
【子供が好き・・・だから】
子供たちから「笑顔」を引き出すためには、子供たちに笑顔で接することです。嬉しいことがあったり、楽しいと感じたりしている姿を捉えて、笑顔で声かけをしてこそ子供たちは笑顔で応えられるようになります。これは、子供たちが好きというところから気付きが生まれます。介助員さんたちは、子供たちの生活を支援してくださっています。そばで見ていてとても気持ちがいいです。また、子供たちをよく知ってくださっていて、その表出をうまくとらえて声かけをしてくださいます。本当に子供たちが好きなんだと思います。子供たちの気持ちに寄り添って子供たちを支えて下さっています。「寄り添う」とは好きになることなんでしょうね。
<第10回 2020年9月17日>
【毎日がちょっとの変化に富んでいること】
学校は、子供たちの持てる力を引き出すことを目的にしています。その指標となるものの一つが、「笑顔」です。もちろん、嫌なこともしなければいけません。例えば立位台での訓練的な取り組みです。両足で重力を感じしっかり立つことは、やがて、歩くことにつながります。筋肉を鍛えているのです。使わないと筋肉も痩せていきます。だから、先生方は、励ましの声をかけながら、一緒にしんどいことを乗り越えるお手伝いをしています。もう一つは、コミュニケーションの力を伸ばすことです。表出言語がなくても、理解言語が育つことを狙って、声かけをして、行動に意味付けをして、言葉をかけていきます。このように学校でできることは、ディサービスとは違います。ルネスの訓練とも違います。
一見同じように見えるかもしれませんが、子供同士のかかわりがあり、多くの先生とのかかわりもあるなかで、子供たちが生活や学習ができるようになることは、将来、生活介護で過ごす子供や就労へと進む子供の生き方につながっています。毎日が少しずつ、変化があり、学校という場で過ごすことができるようになることが、適応できることにつながります。相手に対して「笑顔」で対応できることは、多くの人から声をかけてもらえることになります。
学校へ送り出すことに、ご協力を頂いている保護者の皆さま、いつもありがとうございます。子供たちが持てる力を発揮できるような課題での学習や体験活動を考えて参加方法についてもできることを考えて個別の対応をしています。10月にオープンスクールを計画しています。学部に分かれて、学校での普段の学習や給食の様子を見ていただく予定にしています。お仕事の都合等もあると思いますので早めにご連絡させていただきました。新型コロナウィルス感染防止対策を施して授業を見ていただきたいと思います。
【 支えられている実感 】
下校時に、車の誘導のお手伝いをさせていただいたとき、ある保護者の方から「先生、いつもありがとうございます」と声をかけてもらいました。この時、直感的に感じたのですが、「支えてもらっている(育ててもらっている)」ということです。このように声をかけてもらることを目的にしていたわけではありませんが、黙礼をして車を運転していかれる方も同じです。「よかった。間違いではなかった」。そういう意味で、『私こそ子供と保護者の方々に支えられているのではないか』と打ちのめされた思いを受けました。
何かをしたいと思って、突き進んでいても、それが成就することは少ない。しかし、一緒にやれていると感じられると思っていたことが実現する方向に向かっていっているように感じます。大切なことは、お互いが敬意をもって対峙すること、そして、「己の欲せざること 人 に施すことなかれ」と言われるように、こんな事をしたり、言ったりすると自分はどう思うかを常に振り返られることですね。支えられていると感じられることが謙虚さにつながるのでしょうね。
<第9回 2020年9月1日>
【給食がはじまりました】
今日から給食が始まりました。今日は黒砂糖パン、牛乳、コーンスープ、ウィンナーのカレー揚げです。子供たちも楽しみにしていたことと思います。しかし、まだまだ暑い日が続いていることと新型コロナウィルスの感染症予防対策を施しての給食開始になります。「3密の防止、換気、手指消毒の徹底と水分補給と室温管理」を徹底して、食べられる量を食べさせるようにして、決して無理をさせないようにします。授業も午後の授業が始まります。今まで午前中授業でしたが、午後も学校で勉強することになります。慣れるまで時間がかかると思いますが、早く、通常の生活リズムを取り戻して、楽しく学校で活動ができるようにしていきたいと思います。
学校給食は「学校給食法」という法律に基づいて実施されています。そして、学校給食は学校教育の目標を達成するために実施されています。学校給食の目標に次のような項目があります。「二 日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。」と書かれています。好き嫌いをなくし、栄養のバランスを考えて食べることにより健康な体づくりを実現しようとするわけです。本校の子供たちはこだわりや機能的なことから食べられない場合や食べにくい場合がありますが、食べられる場合は、声をかけて、褒めて、食べられるようになったことを喜ぶ給食指導を行っています。食べることは、生きることです。そのため、書写養護学校では、給食指導を学習に位置付けて子供たちの食事の様子をしっかりと把握して、よりよく食べることを実践しています。
日によって食欲等も違うと思います。子どもの様子を見て無理させないで食べさせるようにしますが、食べられるもの、時はがんばらせますのでご理解をお願いします。
【子供を育てるということ】
子供たちの1日を過ごす場を振り返ってみると、家庭から学校、下校後はディサービスなどの福祉の利用、そして、家庭となります。つまり、家庭、学校、事業所という場で子供は生活をし、それぞれの場で育っています。もちろん、子供を一番よく知っておられるのは保護者の方です。子供たちがよりよく育つためには保護者の方との連携が必要になることは言うまでもありません。そして、事業所との連携、医療機関との連携も不可欠です。それぞれの機関は子供を育てるために関わる役割は違いますが、子供たちが伸び伸びと育つためには、それぞれの機関が連携し、お互いに敬いつつ、役割をしっかりと実行していかなければいけません。
医療ができること、福祉ができること、教育ができることは違います。しかし、連携の部分は重なっています。うまく重なりながら、保護者の願いをそれぞれの機関で受け止めて、できることに精一杯取り組めば子供は自ずと力を発揮してくれるのではないかと思います。
論語では「仁―思いやりの心」が伴わない子育ては豊かな暮らしを支えるものにならないと言われています。「思いやりの心」という言葉は、みんな分かって使っているように見えますが実は何もわかっていないのかも知れません。思いやる心とは何かを保護者の皆さんとの話や事業所との話、医療機関との話でお互いに深く理解できるよう努めていきます。
【自立のために必要な力とは】
宮田先生の著書「子育てを支える療育」の中に次のような言葉があります。
「自立に必要な能力」とは、「生きる意欲」であり、「コミュニケーションできる(自分の意思を伝えられる)能力であり、「自分のことを自分で決めたり、『イエス・ノー』をはっきり表現したりできる能力」です。・・・(中略)・・・社会で生き生きと暮らしていける人を育てるためには、「必要な援助」と「不必要な援助」を明確にして、必要不可欠なものを乳幼児期からしっかりとプログラムを立てて積み上げられる必要がある。と言われています。
私は自立に必要な力を「人に頼る力」と考えています。書写養護学校に在籍している児童生徒は入学時から、指導する側が、この自立するための力を個々の障害に応じて明らかにしておく必要があるため、「個別の指導計画」を作成して取り組んでいます。
決して、ここまでしかできないという制限を設けるべきではありません。また、ここまでできたらいいと低めの目的を持つことも慎まなければいけません。
<第8回 2020年8月18日>
【2学期がはじまりました】
コロナウィルスの感染拡大がなかなか収束に向かわない状況ですが、今日から2学期がはじまりました。登校も全員登校になりました。授業等で教室の中に入る人数も少し増えますが教職員と子どもたちとのソーシャルディスタンスは、個別に関わる者以外は必ず1m以上の間隔をとって指導をすることを徹底し、換気を行い、飛沫が子どもたちに直接飛ばないようにマスクを必ず着用するなど基本的な感染予防策を講じた上で授業を行います。
グループでの学習を始めると子どもたちの表情が変わります。友だちを意識して、○○さんが頑張っているなら私も頑張るという意気込みも感じられます。また、楽しさも人数倍に膨れ上がります。このようにすることで学校としての本来の機能、学校という集団で学ぶことができるようになります。これから、しばらくコロナと付き合って生活をしなければいけません。コロナの感染予防を今まで以上に意識して実施していくことを怠らないようにしていきます。ご理解をお願いします。
【ことばの発達について】
中川信子さんという方が作られた有名な図で言葉の発達の説明の時、言語聴覚士(ST)の方がよくつかわれる図があります。「言葉のビル」と呼ばれています。言葉は、下から順番に組み立てられています。このビルの一番下の部分は「規則正しい生活」です。食べること寝ることなどがあてはまります。その上が運動です。これらは脳幹という最も根源的なことの「生きる」ということをつかさどっている部分の役割にあたります。つまり、規則正しい生活というのがいかに大切であるか、ここが乱れるとうまくいくものもうまくいかないわけです。このことは、子供だけではありません。わたしたち大人にとっても大切なことです。まず、安心できる状況を作ることです。それは笑顔で受け入れることです。その笑顔の中で育まれることは心の栄養になります。
【子供の生きる世界について】
子供は小さい大人ではありません。本校の子どもたちは、自分の持てる力を精いっぱい出して生きています。それは、時には大きな進歩を見せることもありますが、毎日、小さな成長を積み上げています。校歌の中にもあるように「一歩一歩」なんです。「できるできない」で見ていくことには意味がありません。昨日とちょっと違うよということをどれだけ発見できるかということが子どもの生きる世界を充実させていきます。そのできることやできたことは、家庭で見つけることもできますが、子供たちが関わっているところすべてで見ていくことが大切です。学校で見せる姿やディサービス等の福祉機関で見せる姿の中に成長がみられることもあります。子供は生きる世界の中で違う姿を見せます。家庭では甘えることもあります。学校やディサービスでは友達や先生という家族とは違う人が関わることでできることもあります。一点だけを見るのではなく、成長する先、つまり、線で見ていく、それから、線が重なっている面で見ていくことが求められています。子供の生きる世界を大切にして、どこでも安心できる環境を整えていきましょう。
【コロナの示す3つの顔について】
感染症はかからない、うつさないということに重点を置かれがちですが、次の図のように、感染症は3つの顔があるということを知っておきたいので紹介します。
地域ごとのニュースでは差別という顔がクローズアップされることがあります。コロナには「病気」「不安」「差別」という3つの顔があるということです。コロナウィルス自身もうつされるごとに若干形が違ってきていると言われています。また、かかった場合、誰かにうつしていないかという不安とともに自分が重症化しないかの不安が付きまといます。最後は、その人を排除しようとする差別です。そんなところに行くからウィルスをもらってくるんだとか、流行っている地域から来ないでという偏見やかかった人の家族もなんか悪いことをしたかのように見られることなどです。ウィルスは人の弱さを突いてきます。今こそ落ち着いて考え、慌てないで行動し、決して傷つけないようにふるまいたいものです。「ひとりひとりが気を付けないとワタシはこうやって力をつけていくよ」と言わせないようにしましょう。
(ことばをはぐくむ~発達の遅れのある子どもたちのために~ 中川信子著)
2020年8月18日
<第7回 2020年7月20日>
【学校は関わる者にとっても学ぶ場です】
学校は社会に出るための準備をしている場所であり期間でもあります。身体的な機能の訓練やその改善も学校の役割の一部ではありますが、友だちや先生と一緒に過ごすことで、生活のリズムやきまりなどを肌で感じて学ばせることも学校の役割です。
学校で働く者にとっては、子どもたちから学ぶ場でもあります。地域に開かれた学校づくりということを言われて久しいですが、学校だけではできないことを地域の方々が助けてくれることには大きな意味があります。もう一つ、関わってくださった人たちが、「子どもって素晴らしいですね」と感想を伝えてくれます。
このことを含めて学校の存在価値があり学びの意義があるわけです。書写養護学校は地域との関係は多くありませんが、全市の方々に学校を知ってもらい、学校を支えてもらうことで、お互いが学び、お互いが育つ学校にしていきたいと思います。学校からの発信等も行いますが、そのような学校づくりにもご理解とご協力をお願いします。
【喜ぶ姿は心から楽しいと思える姿から】
教室を見て回っていると子どもの様子がよくわかります。日毎に慣れてくれる子どもたちが増えてきていることを生きがいに感じています。
今、グループでの学習が始まり、各学部で教科や生活の学習がダイナミックになり、特別教室などの広い部屋に集まって学習しています。そこでは、集団での学習ですが、個別の活動を取り入れながら声かけをするとともに、子どもたち全員でその場の感動や盛り上がりを実感しているため、教室では見せない表情を見せてくれます。不思議なことに先生たちの盛り上がりが、子どもたちに伝わり、子どもたちの表情が変わってくるということです。
子どもたちにとっては、その場の空気を感じることができることは非常に大きな力になります。いろんな人に声をかけてもらい、必ず反応を求められるということの繰り返しにうんざりしているかもしれません。見ること、聞くこと、感じることを大切にして、自ら進んで関わる力を伸ばすために、指導するものも一緒に心から楽しんで活動することで子どもたちに伝えていきたいと思います。
<第6回 2020年7月6日>
【今、笑っていたのに・・・】
教室を1日に何度か見せてもらうと子どもたちのさまざまな場面での表情に出会います。「ニコッ」と笑って迎えてくれた子が、次に教室に行くと泣いていたり、しんどそうだったりします。日々、時間で変わる子どもたちの表情や体調を目の前にするとさっき泣いていた子は「今どうしてるかな」と心配になり、また確認しておこうと教室に行くことがあります。「落ち着きました」と先生から聞くと安心して戻ることができます。
学校での活動は、子どもたちにとって変化のあるもので、先生もその子に求める力を引き出すために一生懸命関わっています。室温や体調の変化によって、気持ちが左右されやすい子どもたちもいます。学校で気づいたことは、連絡帳に書いてお知らせしていますので、家庭でも様子を見てあげてください。そして、気づかれたことがありましたら教えてください。
【ゴールは何ですか】
本校に在籍する子どもたちの多くが、小学部から高等部までの12年間を過ごします。6歳から18歳までを学校で過ごします。そこで、大切なのは、卒業後、どう生きるか、どう過ごすかです。社会がもっと変わり、さまざまなハンディキャップがあっても社会に貢献できる物や場所、仕事を用意できる社会であってほしいと思います。
生きる=仕事ではありません。いろんな選択肢があることが生きるということにつながると思います。しんどいこともあり、嬉しいこともあり、悲しいこともあるかもしれません。それらすべてが感じられることが生きるということではないかと思います。学校はどちらかというと失敗しないように、悲しいことを感じることがないように、「転ばぬ先の杖」をたくさん用意しています。そのため、概ね楽しかったとなるわけですが、学校を出たら、守られない状況で生きていくことになります。そのゴールを目指して、その子に必要な配慮は受けられる環境で自分も頑張れるようになれるために必要な力を学校で身につけていきたいと考えます。個別の教育支援計画はそのためにあります。持てる力を引き出していくのが学校です。
スモールステップで少しずつ階段をのぼり、しんどいときは立ち止まって、後退してもまた一緒にのぼっていくことを繰り返しつつ、ゴールを目指していきましょう。
<第5回 2020年7月1日>
【人とつながる=自立】
「自立と社会参加に向けた生きる力を育む」と学校の目標に掲げています。この「自立」という言葉をどう解釈するかですが、私は、人に世話をしてもらわないと生きていけないのではなく、自分の意志で生きていくと考えています。
人間は誰でも一人では生きていけません。助け助けられて生かされています。ですから、どうしても人に頼らなければいけないわけです。人に頼ることは恥ずかしいことではありません。頼ることができる力は生きる力そのものです。
本校は、教職員、看護師、介助員、用務員、スクールバスの運転手、添乗員などたくさんの人々に助けてもらって学校ができています。その時にかかわってくれる人に助けを求めたり、言葉でなくても気持ちを伝えたりすることができれば、つながりができたといえるのではないかと思います。重度の心身障害のある人が、たくさんの支援者と共に日本一周を成し遂げたという記事をずいぶん前に見たことがあります。まさに、生きていくすべと好奇心とわがままさがなし得た結果かなと思います。
本校の子どもたちにも自分の意思(笑顔でいいと思います)を出しながら、人に助けてもらえる子どもたちに育ってほしいと願っています。キーワードは「人とつながる」ということです。
【拡大分散登校により少しずつ日常に戻る】
6月中は、分散登校で1学部ずつの登校でしたから、保護者の皆さまには、ディサービスなどの手配等で大変ご迷惑をおかけしました。コロナウィルスの感染拡大防止とはいえ、本来学校で勉強しなければいけないのに、ご家庭にお願いすることになり誠に申し訳ありませんでした。
今月からは、2学部ごとの分散登校とし、補習も行い、居場所確保も引き続き行います。今までの学習を取り戻すように各学部で工夫して、個別指導やグループ指導を行います。全員が登校できる日も近いと思います。感染対策を講じながら子どもの日常を取り戻していきます。中庸=平常、あまりにも当たり前すぎることの尊さを気付かないでいる。日常の良さをあらためてかみしめたいものです。
<第4回 2020年6月16日>
【生活リズムを取り戻そう】
7 月以降の登校日を設定するための保護者のアンケートをとりました。学校にもっと登校したいという意見が若干今のままで様子を見たいという意見を上回る結果になりました。バスの過密をある程度は避けることを前提にして、登校回数を増やし、1 日の生活リズムを作ることに少しずつ取り組んでいきたいと思います。連絡帳に書かれている朝の様子を見て、朝食を食べた、大便がでたと書かれているのを見ると安心します。本格的に毎日登校するまでにはもう少し時間がかかりますが、登校する日ではない日は、学校がないのですることが一定ではないため、睡眠のリズムが崩れることがあると思いますが、できるだけ、同じリズムで過ごせるよう工夫してください。学校も給食が始まります。少しずつ日常に戻りつつあります。学校に来たときは、主に先生方と体を動かしたり、本の読み聞かせを聞いたり、教科書を使って新しいことを学んだりと個人個人に合った指導を行いますが、子どもの笑顔を引き出し、一緒に喜ぶ姿をできるだけ多くもてるように取り組んでいきます。そして、少しずつ、友だちと交流できる時間も作っていきたいと考えています。
【uluの木(ウルの木)分教室を本格的に開級しました】
今年度から高岡病院に小中学生で入院している患者さんを対象に学習保障と人間関係力を身につけることを目標に学習ができる場所(分教室)を開級しています。
この度、新しい病室及び教室が5 月末日にできあがり、新しい教室での勉強が6 月8 日から始まりました。ここでは、さまざまな課題を克服するため入院している子どもたちに、医療と教育を融合させて、退院後、学校に戻った時に自信をもって生活できるようにするための支援に取り組んでいます。本校から6名の先生方に指導をお願いしています。
<第3回 2020年5月27日>
【もうすぐ会えますね】
3月から学校が休校になり、学校に登校できなくて寂しい思いをしていたのではないかと思います。先生たちも一緒です。みんなと一緒に、お話したり、勉強したり、遊んだり、給食を食べたりするという当たり前の生活ができなくなり、心の中にぽっかりと大きな穴が空いてしまいました。学校というところは、勉強だけではなく、友だちや先生との触れ合い、人と人との心の通い合いがもたらす心の成長を育む場所です。やっと離れていてもリモートで顔を見て話ができるようになりますが、心はふれあう中で伝わるものだと思います。もうしばらくの我慢です。6月からは週1回~2回程度ですが、皆さんの笑顔に出会えます。本当に楽しみです。少しでも安心して学校に来てももらえるように「感染防止学校再開のためのガイドライン」を作成しました。学校としても精いっぱい感染防止対策を取っていきます。たくさんの笑顔に学校が包まれることを楽しみにしています。
【Meetで先生とつながりましたか】
学校から皆さんのお宅のPCまたはスマホにつながるかどうかの検証をしていただきました。使い慣れていないと操作の言葉自体が分からないので手間取られたのではないかと思いますが、たくさんの人とつながることができたと聞きました。いよいよ、実際に学部毎に先生と、みんなとつながって、学習をすることになると思います。何ができたか、楽しいと感じることはできたかなど感想を後で教えてください。また、つながらなかったご家庭には、家庭訪問や電話で担任と話をする機会をもちます。ご協力をお願いします。
<第2回 2020年4月17日>
【みんなの力で楽しい学校にしていきましょう】
4月7日は始業式でした。久しぶりに出会う友達や先生方の顔を見て、自然と出てきた笑顔はとても素敵でした。学部に分かれて広い教室を使っての始業式でした。普段なら、みんなで体育館に集まって盛大にする始業式も今年は学部ごとの始業式になり、雰囲気が違うものでしたが、温かい笑顔や喜びの声があふれる始業式になりました。
また、4月8日は入学式でした。小学部10名、中学部6名、高等部5名の新入学生を迎えました。少し緊張した面持ちで担当の先生と一緒に入場してきた姿はとても凛々しかったです。保護者の皆さんには、新型コロナウィルス感染症の怖さの中、お子さんを登校させていただきありがとうございました。職員一同、この日を心待ちにしていました。まずは、何よりみんなでそろって新年度のスタートが切れたことを喜びたいと思います。さあ、みんなの力で楽しい学校にしていきましょう。
【見えないものを見る】
新型コロナウィルスの感染拡大防止のために学校が5月6日まで休校になりました。休校になって改めて学校の意味を深く考えさせられました。言うまでもなく学校は勉強するところです。知らなかったことを学び、わかるということは嬉しさと感じます。私たちはその子の見えないところに目を向け、先々を見ていき、自分なりの花を咲かせる手伝いをする責任があると思います。子どもたちの表情やしぐさ、体の動きを見て、その子が何を考え、何を求めているかを感覚的に知り、その子の良さを見つけていく姿勢が必要です。
「頑張っている姿を認めて、そう思って接すると変わっていくということはピグマリオンが発見していました。相手の反応にうまく応えて言葉や表情などでタイムリーに返すと思わぬ反応が引き出せます。子どもたちには無限の力があります。指導者側がここまでできたらいいと制限するのではなく、見えないものを探すように子どもを見守りつつ、心の成長という根っこの部分(土台)をしっかりと育てていきたいと思います。
学校が休みだからこそ、今ある情報で、指導する子どもたちが笑顔になる姿を思い浮かべて、医療的ケアを含めた指導方法を考えていきます。
<第1回 2020年 4月7日>
【入学・進級おめでとうございます】
美濃山の桜が誇らしげに咲いています。本校の北側、書写中側の桜並木が夢前川沿いの桜に負けず見事です。書写養護学校の子どもたちが一人ひとりの花を咲かせて、しょしゃの子という一本の太い幹でつながっているように見えます。入学・進級おめでとうございます。今年は、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、密集・密閉・密接の状況を避けることと人との間隔をあけて行動することが求められています。そのため、年度当初のさまざまな行事を中止にしたり、延期したりしなければいけません。楽しみにしていた行事がなくなるという事態ですが、これ以上、感染症が拡大すると大変なことになります。一人ひとりの行動を自粛して、不要不急の用事以外は、人が集まるところへ出かけないようにしましょう。しかし、学校は皆さんが登校してくるのを心待ちにしていました。皆さんが学校の中で笑顔で過ごしてくれることを何よりの喜び、幸せと感じて、皆さんと一緒に毎日をゆっくりと過ごしていきたいと思います。
今年1年、教職員一同、心を込めて頑張っていきますのでどうぞよろしくお願いします。
【命に寄り添う、笑顔を引き出す教育を】
どこの学校でも同じですが、児童生徒は学校の宝物でかけがえのいない存在です。私たち教職員は、チームになって、保護者の皆さんと一緒に、子どもたちの成長を支援していきます。小さな成長を見逃さず笑顔の意味を受け止めながら、一緒に喜びを重ねていきましょう。そのために、一番大切にしなければいけないことは、「命に寄り添い、命を守る」ということです。安全で安心な学校でなければ、子供の成長は望めません。笑顔も引き出せません。
まず第1に「安全」、次に「体験等の学習」、3つ目は「福祉の心」です。それぞれが重なり合うところに最大の効果が生まれると考えています。優先順位を間違えないように頑張ります。そこで、大切にしたいことは、何が目的で、何が手段であるかということです。「目的」と「手段」を取り違えないようにしていきます。行事や体験が目的ではありません。子どもの前向きな姿勢や社会で生きていく力を育成することが目的です。笑顔を引き出すのが目的です。できるできないではなく、感動を味わえたかどうかです。目的に向かって、授業等の教育活動をしてまいります。ときどき間違えることもあるかもしれません。その時はご意見ください。
姫路市立書写養護学校
住所: (本校)〒671-2203 姫路市書写台三丁目148番地1(分教室)〒670-0061 姫路市西今宿五丁目3番8号高岡病院内
電話番号: (本校)079-266-0028(分教室)079-297-7600 ファクス番号: (本校)079-266-9506(分教室)079-297-7600
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