太陽観察のチャンス
日食などの特別な現象がなくても、太陽の上には黒点が見えていて、時々肉眼でも分かるものが見えます。
肉眼で安全に観察する
太陽を安全に観察するポイントは「目に入る光の量をとにかく減らす」です。
- とにかく太陽を直接見ない
- まぶしくなくても「見えない光」が目を傷める原因になる
- まぶしくなくても長時間見ない
まぶしい太陽を観察するには、明るさを抑えるだけでなくて、太陽から来る「赤外線」や「紫外線」などもカットする必要があります。最近では、太陽の光に含まれる青い光も、目に有害であると考えられています。紫外線も赤外線も目には見えないので、「目で見てまぶしくない」=「安全」ではないので注意が必要です。
また、フィルターを通して暗くなっていても、長時間見続けると残像が残って目に良くありません。十分まぶしさを抑えた上で、休憩をはさみながら短時間で見るようにしてください。
太陽を直接見ない方法
「太陽の方を見ないで太陽を見る」事ができれば一番安全です。さらに、特別な道具もお金もいらなければスゴイですよね? 実は、工夫次第でみなさんの身近にある物を使って、安全に太陽を見る方法があります。実際の作り方は、「日食めがねが売り切れでも慌てない編」をご覧ください。
日食グッズが無いからといって、太陽が見られないわけではありません!
- ○木漏れ日
- 木陰に見える明るい部分は、よく見ると丸い形をしています。実は、これは太陽の形が見えていて、日食の時は欠けているのが見えます。太陽を直接見ないし、写真を撮ることができます。道具もいらないのでとてもオススメです。
- 上の写真は、公園のベンチに開いている穴を通して見えた太陽と、日食の時の木漏れ日です。右の写真だと、ちゃんと三日月のように欠けているのが分かります。
- ○ピンホール
- 太陽に向けて穴を直接覗いてはいけません!
- 小さな穴(ピンホール)に太陽の光を通して紙や地面に写すと、太陽の形が分かります。ピンホールを遠く離すほど、大きい太陽の像になります。もちろん、写真も撮れます。
- 図書カードなどに開いている残額表示の穴(左上の写真)、お菓子の箱に穴と窓を開けた物(右上の写真)、料理用ザルや麦わら帽子など、身近にある「小さな穴があいている物」を試してみてください。何もなければ、厚紙に針で穴を開けただけでもOKです。詳しくは、「日食めがねが売り切れでも慌てない編」へ
- 小さな穴(ピンホール)に太陽の光を通して紙や地面に写すと、太陽の形が分かります。ピンホールを遠く離すほど、大きい太陽の像になります。もちろん、写真も撮れます。
- ○鏡
- 太陽に向けた鏡を直接覗いてはいけません!
- 小さめの鏡を使って、ちょっと離れた屋内の壁に太陽を映すと形がわかります。
鏡が大きい場合は、穴を開けた紙で覆ってみると、太陽の形がくっきりします。 - 小さめの鏡を使って、ちょっと離れた屋内の壁に太陽を映すと形がわかります。
フィルターを使って見る方法
確かに便利で安全な方法ですが、世間で話題になると売り切れてしまって、入手しにくい事もありました。
無理に「1人に1つ」用意する必要はなくて、みんなで順番に使えば長時間見続ける心配がなくて目に良いです。
また、以前に買った日食メガネは、傷がついていたり、フィルターが劣化する場合もあるので、必ず事前にチェックを。おかしいな?と思ったら、使わないようにしましょう。
- ○日食メガネ
- 「日食メガネ」「遮光板(しゃこうばん)」「太陽観察フィルター」など、いろいろな呼び方があります。説明書をよく読んで、正しく使ってください。
左の写真は、2009年の日食の際に売られていたいろいろな種類の日食メガネです。
- 書店(メガネ付の日食解説本があります)
- 大型のスーパー
- 写真屋・カメラ屋
- ホームセンター
- ドラッグストアー などで手に入るようです
安全でない方法
残念なことですが、日食の時に安全でない方法で太陽を見て、目に障害をもつ人が少なからずいます。自分の目は自分でしっかり守ってください。
- ×直接見る
- 言語道断です。やめてください。
- ×普通のサングラス
- 濃度も薄めですし赤外線が通ってしまうので目を痛めます。
- ×下敷き
- 「昔はこれで大丈夫だった」という方もいますが、下敷きは目に良くない光線を通します。長時間見続けるのはやめましょう。
- ×曇り空
- 太陽がまぶしくない程度に曇っていれば太陽の形が判りますが、雲の厚さは変化するので見続けてはいけません。
- ×写真用NDフィルター
- 元々人間が覗くために作られていませんし、ゼラチンやアセテートのものは赤外線を通して危険です。写真兼用で、カメラのファインダーで観察するのはお勧めできません。
- ×ガラスにロウソクの煤(すす)
- 赤外線対策にはある程度有効なようですが、さわると取れてしまったり、同じ濃さに作るのがむずかしいので、使わないほうが無難です。
天体望遠鏡で安全に観察する
とにかく望遠鏡や双眼鏡は、原則、太陽に向けてはいけません。何の保護もなしに望遠鏡で太陽を見ると失明します。それを理解した上で、望遠鏡の扱いに自信のある方には、直接のぞかない「投影法」をお勧めします。
そもそも、本格的な写真を撮ったりするのでなければ、太陽は大きいので望遠鏡自体は不要ですヨ。
- ○太陽投影板(左の写真)
- 投影板は望遠鏡メーカーごとの専用品なので、望遠鏡に合わせて買ってください。また、使い方や取り付け方法の説明書をよく読んで正しく使ってください。
大勢で安全に見ることができますが、望遠鏡やファインダーを思わず覗き込んでしまう人も多いので、必要に応じて蓋やカバーをして、望遠鏡から常に目を離さないようにしてください。 - △対物用サンフィルター
- 安全ですが値段が高いので、写真を撮るためでなければ不要です。
安全でない方法
天体望遠鏡で太陽を観察するのは、手慣れている人にとっても危険な行為です。肉眼で見る以上に失明の危険がありますので、とにかく注意してください。
- ×接眼レンズ用サングラス
- 今は販売していません。観察中に突然割れることがあるので、手元にあってもお勧めできません。
- (実際に覗いている時に割れた経験がありますが、しばらく目に太陽像が残りました)
- ×望遠鏡の前に下敷きやサングラスをつける
- まったく意味がなくて失明します。
- ×日食メガネをつけて望遠鏡をのぞく
- これもまったく意味がなくて失明します。
科学館や天文台に行って見る
リンク:太陽が観察できる天文台や科学館
科学館や天文台には、太陽を観察するため専用の望遠鏡がある場所があります。また、ホームページで現在の太陽の様子を中継している施設もあります。
いつでも気軽に今の太陽の姿を見ることができるし、さらに学芸員や専門家の解説も聞けるので、ぜひ出かけてみてください。