姫路市立 山陽中学校
SANYO JUNIOR HIGH SCHOOL
- 〒670-0966 姫路市延末103番地1 地図
- 電話番号:079-297-1610
現在位置
姫路市立 山陽中学校
SANYO JUNIOR HIGH SCHOOL
本校は、9月28日を「制服の日」として定めています。従来の男子の詰襟学生服、女子のセーラー服・スカートから男女とも現在のブレザー・スラックスを標準服とし、新入生からその制服を採用することを令和2年9月28日に発表したことに因(ちな)んでいます。そして、制服改変には、ジェンダーレス(genderless「男女の社会的・文化的な差がないこと」を目指す考え方)の思いが込められています。そのため、毎年、この「制服の日」には、性差(ジェンダー)をできるだけなくし、性別による固定観念や役割分担にとらわれず、誰もが自由に自己表現し、機会を平等に持つことを目指した講演会を実施してきました。また、昨年度は制服そのものをテーマとし、制服の歴史や着こなし方について、本校制服の製作・販売を手掛けていただいている官公学生服の中島 真彦さんからの講演を聞かせていただきました。6回目を迎える今年度の講演会では、ジェンダーレスの観点や制服にしぼって講師を選定するのを見送りました。これからは、ジェンダーレスの観点も含めた、より多様な生き方に対応し、幅広く活動されている講師をお招きする必要があります。そして、山陽中生それぞれの「在りたい自分」探しに役立ててもらえるような「制服の日講演会」にしていきたい、と強く願っているからです。そこで本年度は、9月29日(月曜日)に本校区在住の神戸学院大学経済学部教授、国際交流センター所長の岡部 芳彦教授をお招きし本校体育館で実施しました。岡部教授は、ウクライナ研究会会長を務められ、ウクライナ研究で数多くの業績を残されています。そのため日本におけるウクライナ研究の第一人者と言われています。また、在神戸ウクライナ名誉領事を務められ、日本においてウクライナの支援活動を続けておられます。私が岡部教授に講師をご依頼した理由の一つに、兵庫教育(県立総合教育センター発行)に寄稿されている記事を目にしたからです。本講演会のなかでも述べられていましたが、ご本人が高校3年生のときにロシアへ渡航されたときの話を読み、感動しました。それは、「ソ連崩壊を見に行こう」というツアーにひかれ、大学受験生の身でありながら、お父様に次のようにロシア行のお願いをされたそうです。「大学受験はどうする?」との父親の問いに、「大学受験は毎年あるが、ソ連崩壊は一度しかない」と即答した、と。「確かに」と納得され、渡航を許可したお父様もすごいです。純粋に「在りたい自分」を目指して岡部教授が踏み出した第一歩に感動しました。そして、この後の岡部教授がどのような人生を送られ、ウクライナ研究の第一人者になられたのか、を知りたくなりました。本講演会では、「陽気で明るく美味しい国ウクライナと日本、そして姫路」と題し、予定時間を15分オーバーしながらもユーモアたっぷりに本校生に岡部教授の活動やウクライナについて教えていただきました。なかでもゼレンスキー大統領の後ろで集合写真に紛れ込んだ話、大統領との自撮りや大統領賞「黄金の心」の授賞式でのエピソードなど楽しく聴かせていただきました。また、3年生の質問に対する回答のなかで、現在のウクライナの街の様子について、次のように述べられたのが印象的でした。「レストランは普通に営業しているし、会社にも行くし、普通に道を歩いている。そんなときに空襲警報が鳴って、ドローンが飛んでくる、といった非現実、非日常のなかに、日常が続いている」と。また、別の質問で「まだまだ休戦になるまでには時間がかかると思いますが、私が(この戦争についての記事で)メディアに登場することがなくなることを願います」と。結びにあたり、一日もはやく日本の隣国ロシアとその隣のウクライナとの戦争が終結し、平和な日常を取り戻すことができますように祈念します。そして、岡部教授におかれましては、本校生のために映像を交えた分かりやすく楽しい講演をしていただき、心より感謝申し上げます。有難うございました。
今夏も猛暑日が続きました。そのような夏休みに努力を積み重ね、ひとまわり成長した生徒のみなさんと再会でき、2学期を迎えられることに感謝します。
さて、みなさんの夏休みはどうでしたか?
今年から熱中症対策として、夏休みの部活動では自転車登校を認めました。熱中症の防止だけでなく、活動のパフォーマンスが向上した、水分を徒歩通学のときよりも多量に持参できた、通学時間が短縮された、家庭生活にゆとりが生じた、といったメリットがあったのではないでしょうか。大変、好評でした。そして、何よりも高く評価したいことは、どの部員も交通事故にあわずに、交通ルールを守って通学してくれた点です。そこで、まだまだ暑い日が続きますので、体操服登校の期間である体育大会終了時まで、休日の部活動に限り、自転車登校を認めることにしました。引続き安全運転で登下校してください。
夏休みに各部で頑張っている山中生の様子は、顧問の先生方から頻繁に報告を受けていました。この夏の各部活動の大会やコンクールの成績は、今年も非常に立派です。県大会、近畿大会、全国大会へと駒を進めた生徒の皆さん、お疲れさまでした。なかでも全日本中学校陸上競技選手権大会、男子共通走高跳で7位に入賞した石田
旭さんや兵庫県中学校総合体育大会で1位となり、兵庫県の代表として出場した女子4×100mリレーの皆さんは、山陽中学校の名前を沖縄まで届けてくれました。また、惜しくも上位の大会に出場できずに引退した生徒のみなさんにとっても、毎日、積み重ねてきた努力は貴重な財産です。結果がすべてではありません。お世話になっている多くの方々への感謝の気持ち、自分がやりたいと思って入部した部活動を最後まで一生懸命に取り組む態度など、3年生の思いを下級生はしっかりと受け継いで、頑張ってくれています。その結果、多くの部が夏の市民大会で好成績を収めることができました。この夏の部活動で頑張ったすべての山中生の真剣なパフォーマンスに心からの賛辞をおくります。
次に、勉強について、この夏休みを振り返ってください。
1学期終業式では、2人の教え子の話を紹介しました。自分ひとりで入塾手続きに来て、勉強のやり方を習得したから、と塾を辞め、その後、独力で学習に励み、好成績を維持した生徒の話。高等学校の先生から授業中の居眠りを叱責され、奮起して授業を受け始めたら数学がわかるようになった生徒の話。このふたりの生徒のように、当事者意識をもって学習に取り組めましたか。また、自分のレベルにあった学習内容に時間をかけ、焦らずにできることを増やすことが大切である、とも話しました。「やる気」が起こる前の自分のやり方でできたという「やれる気」を高める取組ができましたか。そして、喜多川
泰さんの著作から『家に帰ってから最初に座る場所で、自分の人生が決まる』という法則も紹介しました。『まずは自分を磨くための場所に座り、それを始めよう。それ以外のやりたいことはそのあとだ』と考える習慣をつければいいだけなんです、と。家に帰って来たら、まずは同じ場所に座って勉強を始めることができれば、必ず、成績は伸びることでしょう。みなさんは、家に帰ったら最初にどこに座って何をしますか?一度、自分の行動を振りかえってみてください。
以上の3つを夏休み前に話しました。これらはこれからも心にとめてほしい内容です。
今日から2学期が始まります。勉強にしても、部活や行事にしても主体的に取り組んでほしいと願っています。主体的とは、「何をすべきか、どう行動すべきかを自分が決める。決められていないこと、ルールにないことにも自ら踏み込む。そして、自分の行動と結果に対し、自らが責任を持つ意識が強い」ということです。よく似た言葉に、自主的があります。自主的とは、「誰かに言われたことや決められている枠組みの中で、自分から行動する。すでに役割ややるべきことが明確になっている状況での行動を指す。行動の結果に対する責任は、主に自分ではなく指示を出した側にあると認識している場合が多い」ということです。「自主的」と「主体的」はどちらも「自ら進んで行動する」という意味合いを持っていますが、自主的は、決められた範囲内で、誰かに言われる前に自ら率先して行動する様子を表します。一方、主体的に行動するということは、自分で課題を見つけ、その解決のために自ら考え、判断し責任を持って行動することを指します。
これからの時代を生き抜くために、自主的に行動するだけでなく、自分自身の頭で考え、主体的に学び、行動する山中生を目指してほしいと願います。2学期もまた、皆さんが大きく成長することを楽しみにしています。
6月29日(日曜日)に手柄山周辺にあるスポーツ施設に隣接する駐車場は朝早くから満車状態で、道路は入庫を待つ車でかなり渋滞していました。ウインク陸上競技場では、国民スポーツ大会の代表者選考会を兼ねた兵庫選手権大会が、ウインク球場では夏の甲子園大会出場を懸けた第107回全国高校野球選手権兵庫大会の開会式が開催されたのが渋滞の原因でした。偶然にも総体(水泳競技)の応援でスポーツ会館に行く途中にこの混雑に出くわしましたが、これほど多く人々が部活動に取り組み、そして、その選手たちを応援する人々がこんなにも大勢いるのか、と部活動を大切に思う日本の部活文化に触れた気がしました。本校は、6月25日(水曜日)に総体や吹奏楽コンクールに向け、壮行会を実施しました。吹奏楽部の演奏にあわせ、真剣な表情で入場してくる行進の様子を見たり、各部の部長からの決意を聞いたりすると何度見ても胸が熱くなります。その一方で、やがて部活動が地域に移行すれば、このような壮行会も行われなくなるのか、と感慨深く感じたことをスポーツ会館に向かう道中で思い出しました。3年生の皆さんにとっては、中学校に入学してから、2年と数カ月にわたって取り組んできた部活動の意義は人それぞれ異なりますが、どうか自分が好きで選んだ部活動ですから、当事者意識をもって、しっかりと締めくくってほしいと願います。また、その日のうちにウインク球場での高校野球開会式のようすが、ネットニュースで報道されていました。県大会に出場する全153チーム(164校)のうち、参加を希望した62チーム(65校)の選手が入場行進をしたそうです。
選手宣誓では神戸市立六甲アイランド高等学校の内田 誠士(まさと)主将が、「あこがれの聖地を目指して努力してきた高校3年間。こうして今この場に立てているのは、ともに歩んできてくれた仲間たち、家族や先生方、そして大会を運営してくださる方々のおかげです。また、近年野球人口が減少するこの社会で、私たち高校球児には、野球の楽しさやすばらしさを伝える責任があります。そのため私たち選手一同は、日々支えてきてくださった方々への感謝を胸に、全力でこの大会を戦い抜くことを誓います」と堂々と宣誓したそうです。中播総体は、6月27日(金曜日)からすでに始まっています。3年生の皆さんには最後の大会やコンクールを終えたあとに自分自身が部活動を通して何を得たのか、とその意義について振り返ってもらいたいです。以下に中播総体の日程を掲載します。応援していただける方は、会場まで足を運んでいただければ幸いです。宜しくお願いします。
日程
サッカー
卓球
女子バレー
男子バレー
水泳
陸上競技
バドミントン
柔道
男子ソフトテニス
女子ソフトテニス
剣道
野球
女子バスケットボール
男子バスケットボール
新学期が始まって、2カ月が過ぎました。生徒の皆さんは、新しいクラスや部活動で自分らしさを出して生活できているでしょうか。ちょうどこの時期は人間関係のトラブルが私たち教職員の耳に届きます。自分のことをよく思っていない友達の心ない言動に接したり、友達の上から目線の言動に嫌気がさしたりして悩んでいる生徒からの相談が少なからず舞い込みます。
皆さんは、童謡の「ぞうさん(作詞 まど みちお,、作曲 團 伊球磨)」を知っていると思います。
ぞうさん ぞうさん おはなが ながいのね
そうよ かあさんも ながいのよ
ぞうさん ぞうさん だれが すきなの
あのね かあさんが すきなのよ
この歌に込められた作者の思いについて、『まど・みちお詩集 ぞうさん』の編集者の田中さんが、「あれ?これって子どもの歌でしょ?子どもが歌う歌じゃないですか」と、作詞したまどさんに尋ねたとき、まどさんからの次のような返事が返ってきたそうです。
「これはね、象の子どもが、森の仲間たち、ライオンや熊やリスたちから『やーい、きみの鼻は長くておかしいや』とからかわれたのです。すると象の子どもは、そうだよ、ぼくの大好きな母さんの鼻だって長いんだもん、といって自分の長い鼻を空にかかげて自慢した。という歌なんです」と。
まどみちおさんは、戦争中に悲しい出来事に出合ったそうです。それは、日本に来られた外国の人への差別でした。同じ人間なのに、なぜ差別をするのだろうという思いから、童謡の「ぞうさん」は作られたそうです。
また、金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」という詩があります。
私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、地面を速く走れない。
私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。
この作品は、多くの人々が一度は読んだり、聞いたりしたことがある有名な詩です。金子みすゞさんにとっては、「小鳥」も「鈴」も自分そのものであり、優劣をつけるという考え方はありません。また、命ある「私」や「小鳥」だけでなく、命のない無機物の「鈴」までも同じ重さを持つ存在とする考え方や、もっと言えば、地球上のすべてのものは存在している、ただそれだけで価値があるという考え方から、命ある、なしは全く関係なく、どちらも尊いというメッセージがこの詩に込められています。
金子みすゞさんのその思いが、作品「わたしと小鳥とすずと」のなかで、「みんなちがって みんないい」という言葉で、みんな違うことが当たり前で、みんな違っていい、と結んでいます。同様に、まど みちおさんは、童謡「ぞうさん」を通して、違うことこそいいんだよ。違うことをバカにしてはいけない、と伝えています。
私たちが集団のなかでお互いが安心して生活を送るには、他者の個性を尊重し、互いに認め合う姿勢をもつことが大切です。そして、自分自身も自分のことを好きになり、自分らしさに自信を持って生活してほしい、と願います。
今日から2年生は、トライやる・ウイークで地域の事業所で活動しています。大人も職場の人間関係に気をつかいながら、同僚の個性を尊重し、お互いのよさを認め合いながら働いています。トライやる・ウイークの活動が終わったあとに、このような事業所の方の心づかいが感じられた場面がなかったか、と振り返ってもらえたら幸いです。
私たちが日々生活する学校での人間関係をどうするかは、当事者である生徒の皆さん一人ひとりが考えてよりよい人間関係をつくっていかなければなりません。その際に、他者の個性を尊重しているか(Do you respect others?)と心にとめて考えることが必要です。どうか当事者意識をもって、よりよい人間関係を築ける自分を、「在りたい自分」の目標のひとつにし、学校生活を送ってほしい、と強く願います。
4月19日(土曜日)から2泊3日で長崎へ修学旅行に行き、平和学習を進めてきました。本校は、平和教育を教育の柱のひとつに掲げています。学校のすぐ横に位置する手柄山では、毎年10月26日に太平洋戦全国空爆犠牲者追悼平和祈念式が開催されます。その式典には校区の3小学校の代表者とともに、本校の生徒会本部役員が参列し、平和を祈念して生徒たちが折った千羽鶴を献納するだけでなく、ライブ配信される式典の映像を全学級で視聴してきました。また、放送部の生徒たちは、毎年7月に、戦争についての朗読を、学芸発表会では、朗読劇を披露してくれています。また、姫路空襲の語り部として、長年にわたって活動されている黒田権大さんにも講演していただくなど、平和について深く考える機会を1年のうちに何度か設けています。
例年の修学旅行では、長崎で被爆者の方から体験講話を拝聴してきました。しかし、本年度は、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の「交流証言者」派遣事業(被爆体験を受け継いでいきたいという意思を持った第三者が、交流を深めた被爆者の体験や平和への思いを語る)を活用し、被爆者の吉田勲さんの遺志を受け継いだ田平由布子さんに長崎から本校に来ていただき、講演してもらいました。
この講演を聞いた生徒の感想を読みますと、今まで受けてきた平和教育とは違った印象を抱きながら、田平さんが核爆弾をビービー弾にたとえ、現存する核弾頭と同数のビービー弾を缶の入れ物に落としていく場面についての感想を書いている生徒が非常に多かったです。ビービー弾が缶にぶつかる音がいつまでも鳴りやまずに続く様子を、目をつむったまま耳を澄まして聞き入るうちに、現存する数多くの核兵器が使用されたら、と核の脅威を多くの生徒が感じたに違いありません。そして、この修学旅行では、実際に長崎の地を訪れ、平和学習でもっと学びたい、学んだことを引き継いで、多くの人々に伝えていきたい、と当事者意識を持って平和のために自分のできることを考えてくれている多くの感想に接しました。
長崎では、真剣な眼差しで原爆資料館や被爆史跡を見学し、爆心地での平和セレモニーで緑学年のみんなで考えた平和宣言を読み上げ、黙とうし、全員で平和を祈念しました。以下に、その平和宣言を掲載します。
私たちはこれまで、数多くの平和学習をしてきました。今日はじめて爆心地に立ち、ここで多くの方々が亡くなられたと思うと、今、当たり前に過ごせていることのありがたみを痛感させられます。そこで私達は、次のことを宣言します。世界を平和にする第一歩として人の意見を否定せず、肯定的に受けとめ対話していきます。一人では達成できないことは、仲間とともに協力し、支え合い、達成に導きます。そして、学年の中だけではなく、学校、地域の輪をこえた人々の個性を認め、尊重し、多様性を大切にしていきます。私達中学生が平和のためにできることは少ないかもしれませんが、今、行っている小さな努力の積み重ねで、いつか(永遠に?永久に?)戦争のない平和な世界になることを願い、ここに誓います。姫路市立山陽中学校3年一同
本校は、ファシリテーションの手法をさまざまな教育活動のなかで活用し、対話による受容的・共感的な組織風土が少しずつ各教室で醸成されてきています。この平和宣言にも対話を通じて他者を理解し、よりよい人間関係の構築を目指そうとする態度がうかがえます。結びに、広島原爆記念公園に隣接する原爆供養塔を守り続けた佐伯敏子さんが、修学旅行で訪れる中学生によく話されたという講話を紹介します。
お釈迦様の国、インドに伝わる話です。ある夏、日照りが続き、水不足が起きました。畑に引く水が無ければ農作物が育ちません。隣り合う2つの村では水の奪い合いが起き、いよいよ戦争に入ろうとしていました。それを知ったお釈迦様は、それぞれの村の村長を呼び、「なぜ戦うのですか」と尋ねました。「水がないからです」。水がないとなぜ困るのですか。「水がないと、農作物ができません」。農作物ができないと、なぜ困るのですか。「農作物がないと、村人の食べ物がなくなります」。食べ物がなくなると、なぜ困るのですか。「食べ物がなければ、村人は死んでしまいます」。そこでお釈迦様は、2人の村長に問いました。「村人を生かすために、あなたたちは殺し合いをするのですか」。
2人の村長は顔を見合わせました。そもそも、戦争を始める理由は「水がない」からです。しかし、水はあります。あるからこそ奪い合うのです。生きるために殺し合うのではなく、生きるために分かち合うことを考えましょう、とお釈迦様が諭しました。すると、村長は限られた水源を有効に使う手立てを相談し始め、戦争は回避されたそうです。今回の修学旅行を通じて学んだ平和学習の成果が、これからの日本や世界の平和の実現に向け、発揮されんことを祈念します。
令和7年度がスタートしました。満開の桜が、始業式に登校してきた皆さんを出迎えてくれました。そのようななかで、今日、皆さんと再会でき、嬉しい限りです。春休みの間に、特に変わった点はなかったですか?
さて、明日の入学式で、新たに山陽中学校に迎える新入生は334名です。2年生は、344名、3年生は、345名です。全校生は1,023名です。昨年度に引続き、姫路で一番に生徒数が多い大規模校です。皆さんには施設や設備の面で窮屈な思いをさせて心苦しいですが、数は大きな力になります。どうか本年度も多くのなかまと協力して、活気、元気、心意気で頑張ってください。
終業式でお話したように、今年度は、南館1階部分の教室を改修して3年生9クラスが横並びで生活を送ることができます。これで従来通りの1階が3年生、2階が2年生、3階が1年生のクラス配置にもどりました。どの学年も同級生と楽しく仲良く生活してください。
この場を借りて、体育館の空調設備を設置するための工事について連絡させてもらいます。すでに春休みから工事が始まっています。工事が完了すれば、2学期からは冷房のきいた体育館でみなさんが活動できるようになります。そのために1学期の間は、運動場や体育館の使用制限がかかります。体育の授業や部活動などで迷惑をかけますが、この工事に対し、理解と協力のほう、よろしくお願いします。
さて、本校の令和7年度の学校経営目標は昨年に引き続き、「ICTを活用し、AIにはできない独自性を発揮できる未来を担う人づくり」としました。あらゆる教育活動を通じて、「自分とは一体何者か」「自分がやりたいことは何か」と自分自身に問いかけながら、独自の当事者性を発揮できるようにICTを活用し、主体的に学んでほしい、との思いをこの目標に込めています。そして、みなさんにはどのような未来を目指すのか、しっかりと考え続けてほしい、と強く願います。
「在りたい自分」や「在りたい社会」は、人それぞれ異なります。皆さんには、社会情勢が激しく変化するなかで、ウエルビーイング(個人や社会のよい状態)を向上させ、持続可能な社会を実現させる、といった自分のためだけでなく、他者の幸せも含めた未来の自分や社会のことを考えてもらいたいです。また、ひとりの力は小さいですが何か問題に直面したときには、自分にできることは何もないと諦めずにみんなのために自分のできることを考えて行動してください。
ここで、南アメリカの先住民に伝わる話を紹介します。それは「ハチドリのひとしずく-いま私にできること-」という山火事に立ち向かうハチドリの話です。
森が燃えていました森の生きものたちはわれ先にと逃げていきましたでもクリキンディという名のハチドリだけはいったりきたりくちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます動物たちがそれを見て「そんなことをしていったい何になるんだ」といって笑いますクリキンディはこう答えました「私は、私にできることをしているだけ」これは、小さなからだのクリキンディが勇気を出してひとりで山火事を消そうと頑張っているということだけを言っているのでしょうか。ほかの動物が火を消さずに逃げ出してしまったと、ほかの動物を責めているのでしょうか。「怒りや憎しみに身をまかせたり、他者を批判したりするひまがあったら、自分ができることを黙々とやっていきましょう」と在りたい社会を担ううえで大切な心構えをクリキンディは示しているような気かします。結びに、長年にわたり本校がかかげている学校教育目標を皆さんに伝えます。
「命を大切に、思いやりと感謝の心を表現できる生徒の育成」「社会に役立つ人として、前向きな行動がとれる生徒の育成」「目標の実現に向け、主体的に学ぶ生徒の育成」この3つのことは、AIにはできない人間独自の大切な資質・能力です。
本年度も引き続きICTを活用し、ファシリテーションの手法を組み込んだ授業や教育活動を展開します。皆さんには、どうか当事者意識をもって自ら学び、目標に示した3つの生徒像を目指して成長してくれるものと期待しています。それでは、2、3年生の皆さん、明日入学してくる1年生とともに、山陽中の先生たちと、令和7年度の1年間を、頑張っていきましょう。
問題志向から解決志向へ
3年生はあと1週間で山陽中学校を卒業します。ともに学んだ仲間や先生方と別れ、新たな一歩を踏み出すときが来ました。毎日、当たり前のように山陽中学校に通い、同じ教室で仲間と授業を受け、行事や所属する部活動などで喜怒哀楽を仲間と共有した日常生活は3月で終了します。やり残していることはありませんか?言い残していることはないでしょうか?もしかしたら卒業後は、二度と出会う機会が訪れてこない人がいるかもしれません。このようにごく自然だった毎日の生活や他者との関係を振り返るたびに、「普段からやがて別れる運命にある他者との関わり方を大切にし、一日一日を過ごしたい」と、いつしか考えるようになりました。集団生活では、人間関係が上手くいっているときもあれば、関係がこじれることもあります。皆さんのこれからの進路先において、人間関係の悪化が原因で、通いづらくなったり、ひいては学校や仕事をやめたいと思うようになったりするかもしれません。そのようなときは、とかく相手の言動が気にかかり、問題点ばかりが目につきます。お互いの問題点を指摘するようになると、ますます関係はこじれていきます。このような関係を修復するために、他者との人間関係で気をつけなければならないこととはいったい何でしょうか?
私は、相手の意見をよく聞きながら合意形成を図る努力をすることが、何よりも大切であると考えています。何か問題が起こったときに、当事者それぞれが納得し、Win-Winの関係で終わる解決策を見つけることは至難の業です。どうしても問題点に気持ちが傾き、問題志向に陥ってしまいます。当事者それぞれが着地点を見つけようと、同じ土俵の上に立って解決策を考え、合意形成を図る必要があるのですが。
古典落語の演目に三方一両損(さんぼういちりょうぞん)という江戸時代の話があります。左官の金太郎は、3両のお金が入った財布を拾いました。一緒にあった書付を見て財布の持ち主はすぐに大工の吉五郎だと分かりました。金太郎がお金を返そうとしますが、江戸っ子である吉五郎は、もはや諦めていたものだから、と言い張ってお金を受け取りません。しかし、金太郎もまた江戸っ子なので、是が非でも吉五郎に返す、と言って聞き入れません。互いに大金を押し付け合うという意地の張り合いは、最終的に奉行所に持ち込まれ、名奉行として名高い大岡越前守(大岡忠相)が裁くこととなりました。双方の言い分を聞いた大岡越前守は、どちらの言い分にも一理ある、と理解を示したうえで、自らの1両を加えて4両とし、2両ずつ金太郎と吉五郎に分け与える裁定を下しました。金太郎は3両拾ったのに2両しかもらえず1両損、吉五郎は3両落としたのに2両しか返ってこず1両損、そして大岡越前守は裁定のため1両失ったので三方一両損として双方を納得させた、という話です。この話は、お互いが相手の言い分を少しずつ聞き入れ、見事な大岡裁きのおかげで合意形成をして解決しました。何か問題が発生したときに、近江商人がつちかってきた商いの精神として有名な「三方よし」というふうには中々収まりません。むしろ現実的には、この「三方一両損」のように、お互いが少しずつ我慢し合って折り合いをつけ、解決している場合のほうが多いように感じます。また、大岡越前守のように高額の金品を渡すことはできませんが、当事者の周りにいる人は、何か自分にできる方策を考え、援助の手を差し伸べることができたら、問題解決に役立てるかもしれません。どうか、どちらか一方の味方になり、相手側の問題点を指摘したり、誹謗中傷したりするような手の貸方だけは慎んでほしい、と願います。4月から新しい生活がスタートします。3年生だけでなく、1、2年生も何か問題が起こったときには、考え方を問題志向から解決志向に切りかえて合意形成を図ってください。一期一会の精神を心にとめて、一日一日を大切に過ごしてください。3年生、卒業おめでとうございます。
「民主的な決め方とは」
2年生が地域ウォークを1月31日(金曜日)に実施しました。山陽中校区のなかを楽しく巡検し、事故やけがなく無事に終了することができました。保護者や地域の方々におかれましては、本行事に際し、ご理解やご協力を賜りましたこと、心より感謝いたします。この場を借りて、お礼申し上げます。有難うございました。さて、この行事は、来年度の4月19日(土曜日)から21日(月曜日)に予定している修学旅行の班別学習の練習やリーダー研修を兼ねて実施したものです。生徒ができるだけ主体的に行事を計画・実施するために、2年部教職員はこの機会に当事者意識を持たせながら、ルールづくりをさせています。その取組として、当日の服装(体操服か、制服か)について、学年集会で議論しました。学年全体の討議は初めてですが、体操服派、制服派がそれぞれの立場で多くの生徒が理由を述べていました。やがて動きやすさの観点から、体操服の方が地域を歩いてまわるときに適している、という意見を述べる発言者が多数を占める展開になりました。司会者は、学年全体に「どちらの服装がよいか」と挙手を求め、その数を集約しました。体操服を支持する生徒が多数いましたが、生徒のなから、「どちらでもよいのでは」という意見が出始めました。この後、司会者はどのように会議を進行させるのか、と様子をうかがっていると、再度多数決を採用して決議するのではなく、2年部教職員に相談し、大人の意見を求めました。教職員は、全員が体育館の前に集合して協議し、「どちらかひとつの服装に決める必要があるのかな」と司会者に返したようです。そして、司会者が「どちらでもよい」という意見に賛同する人に挙手を求めると、みごとにほぼ満場一致で当日の服装が、どちらでもよい、と決まりました。私は、体育館の後方から見ていましたが、2年生の皆さんが頼もしかったです。体操服にほぼ決まりかけているなかで、安易に多数決に頼らずに、少数派の制服支持者の思いを酌(く)むことができてよかったです。自分たちでルールを決めようとする当事者意識も感じられました。この学年会議での2年生全員の合意形成を成し得た経験を修学旅行でも普段の学校生活にも活かしてほしい、と期待します。民主的な決め方は、物事を多数決で決めるのではなく、できるだけ話し合いを通じて、ゴールを目指すものである、と思っています。なぜなら、たとえできるだけ多くの人の意見を反映して決めたとしても、少数派の意見は切り捨てられ、不満な気持ちが残る可能性があるからです。時間的な余裕がないときには、やむを得ず多数決をとらなければならないときがあります。しかし、切羽詰まった状況でもないときに、当たり前のように多数決で決めるのは避けるべきです。多数決をとってよいのは、どちらかの意見を取り入れても対立する利害関係が生じない場合です。対話を通して利害関係を調整し、皆にとって生きやすい社会をつくっていくという姿勢が、目指すべき民主的な社会の形成には必要です。SDGsの理念のなかでは、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。私たちにできることは、「中学校で生活するうえで、誰一人置き去りにしないために、どのようにしたらよいのか」を共通の高位目標にしてみんなで考える、ということではないでしょうか。どうかこのような意思決定の仕方を生徒の皆さんに身につけてほしい、と切に願います。本校では、ファシリテーションの手法を活用し、日々の教育活動を行っています。他者の意見に対して、「否定しない」「最後まで聴く」「書く描く」「協力する」の4つの対話の原則を守りながら傾聴するなかで、上記の目標を心にとめて、考えてもらえたら嬉しいです。どうか少数派を切り捨てない「対話の方法」を通して、本校をより民主的な中学校にしていきたいと考えています。
「3学期始業式 式辞」
新年あけまして おめでとうございます。今年の干支(えと)は、十干の「乙(きのと)」と十二支の「巳(み)」が組み合わさった「乙巳(きのと・み)」です。「乙」は十干の2番目、陰陽五行説では「木の陰」の性質を持ち、植物が成長し広がっていくような意味合いです。柔軟性や協調性を象徴し、周囲との調和を保ちながら自身の目標に向かって進んでいく力を表しているそうです。「巳」は十二支の6番目で、蛇を表します。蛇には一般的にネガティブなイメージもありますが、古来より豊穣や金運を司る神様として祀られることもあり、神聖な生き物として信仰されてきました。たくましい生命力があり、脱皮をするたびに表面の傷が治癒していくことから、「復活と再生」の象徴ともされています。「乙」は未だ発展途上の状態を表し、「巳」は植物が最大限まで成長した状態をも意味します。この組み合わせは、これまでの努力や準備が実を結び始める転換期を示唆しています。さて、新年を迎えるに当たり今年の干支にふさわしい嬉しい出来事がありました。山陽中の卒業生が頑張っている姿に接し、新年早々にすこぶる感動を覚えました。第101回箱根駅伝で、本校の卒業生が走っている姿を見ることができました。3年生や陸上部の生徒は知っていると思いますが、3年8組の藤田 琴音さんのお兄さんの藤田 大智さんが、中央大学の走者として、東京の市街地を疾走しました。事前に箱根駅伝に出場する中央大学のメンバーに大智さんが登録された、と聞いていましたので、スポーツ新聞でその名前を見つけたときは嬉しかったです。当日の朝になって初めて、登録メンバーの中から本日出場する5名の選手が監督から発表されるそうです。1月2日の往路の様子をテレビで観戦していましたが、1日目には出場の機会は与えられませんでした。中央大学は見事に2位で往路を終了しました。月3日は、「今日の復路で出場できたらよいのに」と楽しみにテレビ観戦していましたが、藤田選手の姿はなかなか画面に現れません。「2年生なので今年は上級生の出番かな」と半ば諦めていたときに、アンカーの10区を任され、出場することが分かりました。城西大と同時に6位でタスキを受け取り、最終的に5位創価大を抜いて見事に総合5位でゴールテープを切ることができました。23.0キロメートルを1時間9分25秒で走り抜け、区間4位の記録は素晴らしいです。仲間に祝福されながらゴールし、抱き合ってともに喜んでいる姿に思わず目頭が熱くなりました。陸上競技の長距離部門で活躍する男子選手たちの多くが憧れる箱根駅伝に出場することは簡単なことではありません。山陽中学校の先輩が見事にその機会を得て、立派に責任を果たしている姿を見て、感動しました。そして、今日の日を迎えるまでにどれほどの「よい自業(じごう)」を積み重ねてきたのか、と想像するだけで頭が下がります。藤田選手は、まだ大学2年生なので、また来年も再来年も更なる活躍を祈念しています。今日から3学期がスタートします。3年生は次の進路に向けて、1・2年生は、次の学年への進級に向けて、しっかりと力を蓄える1学期間にしてください。そして、2025年の「乙巳(きのと・み)」は、皆さんにとって、在りたい自分に近づけるような成長と結実の期間となることを期待しています。どうか善業(ぜんごう)を積み重ねて、納得する自得につなげてくれることを願っています。どうぞ本年も宜しくお願いします。以上、式辞とします。
「あなたは、大切な存在 子どもの話をよく聴いて」
学期末保護者会が17日(火曜日)から始まります。特に3年生にとっては、進路決定にかかわる大切な懇談です。この会に先立って、3年生1人ひとりの進路希望について、本人の適性や学習成績などをもとに会議を開いて協議しています。懇談会での進路指導では、その会議で協議した内容をもとにし、学級担任が生徒や保護者に説明していることをご理解ください。もしかすると、保護者会で学級担任から志望校の変更を勧められるかもしれません。現時点での学習成績だけでなく、その生徒が志望校に入学したあと、その学校の学習活動に余力を持って取り組めるかどうか、その学科・コースが本人の適性に合っているかなども考慮して、総合的に判断しています。どうかその点を踏まえ、学級担任との懇談に臨んでいただければ有難いです。そして、懇談内容をもとに生徒本人の思いを充分に聴いたうえで、各ご家庭でしっかりと話し合い、進路先を決定してほしい、と願います。実は、私自身も息子の進路決定で苦い思いをした経験があります。子どものことを考えて進学先を話し合い、その高校に進学したいという本人の意思を確認したつもりでした。しかし、子どもにとっては、親が望んでいる回答を意識しながら進学先を決めていたことを数年後に知りました。今では進路選択は間違っていなかった、と本人も実感しているようですが、そのときは壁にぶち当たり、つい弱気になった息子の言動に接しました。いずれにせよ、本人の意見をもう少し聴き、合意形成を図る必要があった、と反省した次第です。また、3年生にかかわらず保護者会では、学級担任から2学期の生活についてさまざまな話を聞くことになります。生徒の頑張りに対して、称賛されることもあれば、結果が伴わずに叱咤激励されたり、努力不足を指摘されたりすることもあります。この場合も、本人からよく話を聴いたうえで保護者の思いを伝えていただきたいです。親子がコミュニケーションをとる際には、きちんと子どもの話を聴き、適切な方法で親の意見や気持ちを伝えることが不可欠であると言われます。以下に、子どもとのコミュニケーションのとり方について、研修で教えていただいた内容をご紹介します。参考にしていただければ幸いです。
子どもの話をきちんと聴くということは、どのような点に留意すればよいのでしょうか?人の話を聞けなかったり、相手の気持ちを思いやるのが苦手だったりする子どもは、自分自身が話を聴いてもらい、気持ちをくんでもらった、と感じないケースが少なからずあります。
このようなやり取りに、身に覚えはありませんか?「勉強しなさい」という言葉には、母親の「きちんと勉強しておかないと、あなたの将来が心配だ」という気持ちが込められています。しかし、それがきちんと子どもに伝わっていない場合があります。子どもの話を聴くときには、「くり返す」「言いかえる」「気持ちをくみ取る」という3つのポイントが大切だそうです。つまり、子どもが思ったことや感じたことを非難せずに受けとめ、発した言葉から感情をくみ取り、聞き手が共感しているということを言葉にして伝えるのです。それでは、3つのポイントを押さえた聴き方とは。
「英語のテスト50点だった」という言葉に、「50点で悲しい」という気持ちが隠れていることを大人がくみ取り、その気持ちをくり返して「あなたは悲しいと感じたんだね」ということを言葉で伝えています。子どもはそれを聞き、「話したらわかってもらえるんだ」という安心感を得、その上で次に自分がすべきことを自分自身で考え、答えを導き出そうとします。「ココロとココロ(コミュニケーションを築いて、気づく)子ども編〈公益財団法人和歌山県人権啓発センター発行〉」
大人は日々、多忙な生活を送っていますが、少しの時間でもよいのです。長時間聞いてもらったから満足感を得られるとは限りません。たとえ5分でも、子どもが素直に気持ちをはき出したとき、その日の出来事を話したとき、「聴いているよ」「いつも側にいるよ」という気持ちで子どもの言うことを受けとめ、共感してあげることが大切です。そのようにすることで、子どもの心に大人への信頼感が生まれます。日常のちょっとした働きかけで、子どもは自分の気持ちについてじっくりと考え、自他を認め、それをうまく言葉にして相手に伝える方法を覚えていくのではないでしょうか。保護者会が終わりましたら、懇談内容をもとに上記のポイントを押さえて、話をされてはどうでしょうか。この機会が親子のコミュニケーション力をアップさせる契機になれば、と期待します。結びにあたり保護者の皆さんや地域の方々におかれましては、2学期の本校教育活動に、ご理解、ご支援を賜り、心よりお礼申しあげます。新年もどうぞ宜しくお願いいたします。
オープンスクール、学芸発表会、ありがとうございました
夜寒の候、保護者や地域の皆さんにおかれましては、オープンスクールや学芸発表会に多数のご出席を賜り、心より感謝申し上げます。おかげさまで本年度の学芸発表会は、多くの方々の心に響く山陽中生のパフォーマンスをふんだんに観ていただけました。皆さんのご期待に添うことができ、嬉しい気持ちでいっぱいです。さて、学芸発表会に先立って実施しましたオープンスクールには、310名以上の方々がご来校くださり、授業の様子や作品展、1・2年生の合唱コンクール予選を参観していただきました。その際にご回答いただいたアンケート集計結果を以下に掲載しています。また、2学期から運用を開始しましたスクリレにも合唱コンクール予選や学芸発表会について、生徒たちの頑張りを称賛する多くのコメントを保護者の皆さんから頂戴しました(その一部を紹介させていただきます)。
行き届かない点があるにもかかわらず、このような高い評価をいただき、教師冥利につきます。職員一同、感謝いたします。
全国学力・学習状況調査の分析から
猛暑が少し和らいだとはいえ、まだ昼間は気温が高いなかでの体育大会の練習はきついものです。陸上競技大会や体育大会予行では、「全力燃笑・学年の壁をこえた絆を」のスローガン通り、一生懸命に頑張っている山陽中生が時々見せる笑顔は素敵です。明日に開催される体育大会でも、競技も大会運営も、昨年よりもさらに生徒主体のパフォーマンスを期待しています。どうか多くの地域の方々や保護者の皆さんにお越しいただき、本校生の頑張っている姿を観覧していただければ幸いです。さて、9月初めに4月18日(木曜日)実施の全国学力・学習状況調査(以下、学テ)結果を3年生各自に返却しました。その際、具体的に国語・数学の平均正答率(数値)については触れませんでした。昨日の神戸新聞(9月30日朝刊)に、姫路市教育委員会が学テの市立小・中学校の平均正答率を公表した記事が掲載されていました。以下に本校の学テ調査結果について報告します。本校の国語・数学の平均正答率は、全国や兵庫県の数値と大きな差は見られません。国語はほぼ同じで、数学は少しそれを上回っています。ただし、国語の正答率はここ近年における本校の数値のなかでは、最もよい結果が出ていました。また、設問内容別でみると、国語は、「知識及び技能」や「思考力、判断力、表現力等」を問う設問において、国・県の結果とほぼ同じです。数学は、「数と式」「関数」「データの活用」領域の設問では、若干、国・県の結果を上回っています。また「図形」領域の設問では、ほぼ同じ結果でした。しかし、自分の考えを記述して回答する「思考・判断・表現」を問われる問題では、依然、国や県、姫路市の平均よりも無回答率が高いのが本校の課題です。一方で、生徒質問紙については、肯定的な回答が、国・県の結果よりも上回っていたものが、以下の(1)から(4)の質問事項における内容です。
1、2年生のときに受けた授業で、自分の考えを発表する機会では、自分の考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫して発表していましたか。
学級の友達との間で話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりすることができていますか。
今夏は例年よりも酷暑日が続きました。そのような夏休みを乗り越えて、本日、元気に登校したみなさんと再会し、2学期を迎えられることに感謝します。1学期終業式で、夏休みの計画が「三日坊主」に終わらないように、ドジャーズの大谷選手が高校生のときに作成したマンダラートを例にあげて話をしました。自分のマンダラートを作成しなくても、夏休みの1日の生活を記録に残しながら、自分の脳に意識させて頑張ってほしい、と。8月9日の神戸新聞「若者Box席」に本校3年生の投稿文を見つけました。タイトルは、「受験生の夏に悔いなく」。1・2年時とは違った夏休みにしたい、勉強で成果をあげて親孝行したい、との思いから「夏を乗り越えて夏を制す」を目標に、勉学に励む夏休みにしよう、という決意をこめた内容でした。みなさんの夏休みの生活はいかがでしたか?この夏の各部活動での大会やコンクールの成績は、非常に立派です。夏休みに各部で頑張っている山中生の様子は、顧問の先生方から聞いています。なかでも全国中学校体育大会陸上競技の部、400メートル男子で優勝した知識 航作さんは山陽中学校の名前を全国各地に届けてくれました。また、本校の部ではありませんが、クラブチームで出場した濱岡 理愛さんは、同大会ソフトテニス競技の部、女子個人戦で全国5位に入賞しました。最後の大会で引退した3年生だけでなく、新チームに切り替わってからの1・2年生の活躍も耳に届いています。記録的な猛暑のなかで、本当によく頑張ったとすべての生徒をねぎらいたいです。また、今年はオリンピックイヤーの夏休みでしたので、夜遅くに放映される日本選手の活躍をリアルタイムにテレビ観戦し、寝不足になった生徒も多かったのではないでしょうか。惜しくもあと一歩のところで負けを喫した種目もありましたが、多くの人々の感動を呼びました。結果的には、海外開催でのメダル獲得数が過去最多の45個という素晴らしい成果をあげてパリ・オリンピックは幕を閉じました。それらのメダリストのなかには、周囲から見ると素晴らしい成績であっても、自身の目標を達成できなかった悔しさで心から喜べない選手がいます。このような選手は、他者の評価だけから自身のオリンピックでの取組を評価するのではなく、自分にしか分からない独自の価値観で自分を見つめ直しているのではないでしょうか。私たちは、他者の評価を気にしてしまう傾向があります。しかし、他者の意見に惑わされずに、自分自身がよいものとして認めるものを追求し、自己実現に向けて努力を続けることが大切です。8月12日の神戸新聞「正平調」で、姫路市埋蔵文化財センターで開かれている企画展「推(お)し展」について、以下のように紹介されていました。(略)お城や骨、石垣、埴輪(はにわ)-。幅広い人たちに考古学への興味を持ってもらおうと、普段発掘調査を行う専門職員5人が、さまざまな分野の推しを文章や写真などのパネルでアピールする。職員の一人、山下大輝さんは「瓦推し」。小学生の頃、東大寺境内に落ちていた古代の瓦を見つけた出合いの話を紹介し、中世の城の瓦に残る痕跡から、作業する人の営みを読み取れる魅力などを挙げる。夏休みも半分過ぎた。将来について考える子どもたちにこそ展示を見に行ってほしい。子どもの頃、将来仕事にできるほどの推しを見つけた人々の情熱を、きっと感じられるはずだ。在りたい自分を見つけ、より自分らしく生きていくためには、自分自身がもとめる価値観に目を向け、高めていくための努力が必要です。さあ、山陽中学校での2学期がスタートしました。山中生一人ひとりの健闘を期待しています。
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