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    大学連携紙上フォーラムの開催

    • 公開日:2023年7月6日
    • 更新日:2024年3月26日
    • ID:24689

    令和6年2月13日に大学連携会議を開催しました。

    以下は、神戸新聞に令和6年3月17日付で掲載された内容です。

    姫路市・大学連携会議 参加大学の特色・人材育成の取り組み

    播磨で働く魅力高めて

    少子化の進展に伴い18歳人口が減少する中、高等教育機関には、自らの強みや特色を生かした研究活動などを通じた地域活性化への貢献、地域社会で活躍する優れた人材の輩出が期待されている。姫路市では、幅広い分野において大学などとの連携を進めるため、市内にある大学および短期大学と、その方策を検討する大学連携会議を毎年度開催している。姫路・播磨地域に拠点を置く五つの大学・短大の学長を交え「大学での学びの魅力~地域で活躍する人材の育成を目指して~」をテーマに語り合った。(文中敬称略)


    大学連携会議の様子

    地域で活躍する人材の育成について語り合った=姫路市役所

    兵庫県立大学学長 高坂誠氏

    高坂学長

    地域と交わる授業200以上

    今年で創立20周年を迎える。旧3大学の流れを引き継ぎ、グローバルに活躍するビジネスパーソン、科学技術人材、そして地域医療人材を育てている。姫路・播磨地域には工学部、環境人間学部、理学部、高度産業科学技術研究所のほか、県立はりま姫路総合医療センター教育研修棟内に先端医療工学研究所を設けている。学生が地域に入っていく授業、地域の方に大学で教えていただく授業を合わせると200以上ある。

    環境人間学部では2011年にエコ・ヒューマン地域連携センターを設け、「学生が動けば地域も変わる」を掲げ、教員と学生が地域に入って課題解決に当たるプロジェクトや相談会を実施している。また、学部の枠を超えて学びの枠を広げる「副専攻プログラム」を設けている。そのうち「地域創生人材教育プログラム」では50人程度の学生が地域に入り、住民の方と一緒になって地域課題の解決に取り組んでいる。プログラムを受講した学生がそのまま地域に就職するケースもあり、学生が地域とつながる機会になっている。

    「地域創生人材教育プログラム」で地域イベントに参加

    学生たちが「地域創生人材教育プログラム」で地域イベントに参加=姫路市内

    姫路獨協大学学長 井上清美氏

    井上学長

    医療、文系の教職連携教育

    1987年、全国初の公私協力方式により姫路市と獨協学園との協定に基づいて開学した。現在、人間社会学群では、リベラルアーツを基盤とした幅広いキャリア教育を実施。医療保健学部、薬学部、看護学部の医療系3学部では、医療専門職7職種を養成し、大学院修士課程では、社会人を中心とした専門能力向上に寄与、医療マネジメントコースも設置している。2022年には、獨協学園姫路医療系高等教育・研究機構を県立はりま姫路総合医療センター教育研修棟に開設。23年5月には、姫路市との包括連携協定に地域医療に関する項目を追加した。

    23年度から、インクルーシブな学内環境醸成を目指し、初年次より学部・学群を横断し、教職協働の多職種連携教育を開始、医療系と文系の学生が一緒にディスカッションやチームビルディングの体験を共有している。実践力育成については、産・官・学の「3想」の理念の下、地元企業との共同開発、インターンシップ、医療専門職の現任教育支援など、社会人のリカレント教育やリスキリング教育の強化にも取り組んでいる。

    また、スポーツ振興や留学生支援、市民の生涯教育の場として継続開催している獨協講座など、地域に根差した大学として、包括的な発展を目指したい。

    夏休みふれあい工作教室

    「夏休みふれあい工作教室」で、学生と小学生が「世界に一つだけのボールペン」を作った=姫路獨協大学

    姫路大学学長 牛尾禮子氏

    牛尾学長

    健康と発達を研究、支援へ

    本学は看護学部看護学科、教育学部こども未来学科、大学院看護学研究科の三つを持つ。看護学部の独自カリキュラムとして、災害支援活動において質の高い看護職者を育成する「災害看護学」、国際・災害看護活動において活躍できる人材を育成する「グローバルヘルス看護学」を展開している。これまで輩出した1225人の卒業生のうち看護職として就職した卒業生は1030人で、そのうち164人(15.9%)が姫路市内に就職している。

    教育学部は、専門性を持った教員を養成すべく、ICT、心理支援、語学、スポーツの4コースを設けている。22年9月のアクリエひめじ開館1周年記念イベントでは、子どもたち向けに理科実験教室のワークショップを開いた。

    大学全体の取り組みとして、留学などを通してグローバルな社会に対応できる人材を育成する「グローバルゲートウェイ」というプログラムを設けているほか、子どもから高齢者まで健康と発達の向上に向けて研究および支援方法を開発する健康・教育実践研究センターを設置している。

    「グローバルゲートウェイ」プログラムで、外国人講師と学生が交流

    「グローバルゲートウェイ」プログラムで、外国人講師と学生が交流=姫路大学

    姫路日ノ本短期大学学長 浜田敏子氏

    浜田学長

    幼児教育者の育成に特化

    幼児教育科のみの単科大学で、幼稚園教諭2種免許、保育士などの資格取得を目指す保育コースと、パソコンの知識を習得する「情報処理系」、デジタルグラフィックなどのスキルを身につける「デザイン系」、商業簿記などを学ぶ「経済系」を持つライフデザインコースがある。

    市民に大学の知を提供する姫路市オープンカレッジ事業では2023年度、親子を対象にした「親子相談&ボール遊び」「伝承遊び変わりお手玉を作ろう」、大人を対象にした牧野富太郎の「兵庫でのあしあと」を実施した。また、本校独自のカリキュラムとして、教育保育現場で即戦力となるよう、本学の伝統であるグランドピアノを使用した音楽教育、おもちゃインストラクター認定やけん玉の認定会を行うなど特色ある教育を行っている。また、学生主体の自治会活動の充実を図り楽しい学生生活を送っていけるように取り組んでいる。

    学生と園児が屋外遊びを楽しむ

    学生と園児が屋外遊びを楽しむ=姫路市内

    豊岡短期大学学長 岩田健一郎氏

    岩田学長

    実践重視し保育者を養成

    保育者養成校として、免許・資格の取得に必要な知識や技能科目の修得はいうまでもなく、本学独自科目「弘徳豊岡教育」「キャリアアップ」「特別研究」など実践重視のプログラムを導入している。「弘徳豊岡教育」では、開学の沿革から本学で学ぶための基本的な心構えと態度を養い、体験的な学習も取り入れ、学生間や学生と教職員といったさまざまな人間関係に基づくコミュニケーション力、課題解決力の向上を目指している。

    「キャリアアップ」では、身だしなみ、敬語、電話のかけ方などのマナーや文章表現力など、人間性、コミュニケーション力の育成を目的にした授業を実施し、「特別研究」では「保育×〇〇分野」と名付け、1、2年生が合同で「心理」「ICT」「ミュージック」「自然」などの分野について学んでいる。また、「自然体験」と称して、近郊の公園などで自然を肌で感じながらイベントを実施し、学内では体験できない学習も実施している。

    「こどもの完成を育てる遊び」をテーマに開かれたオープンカレッジ

    「こどもの感性を育てる遊び」をテーマに開かれたオープンカレッジ=姫路大学

    中播磨県民センター副センター長 石田勝則氏

    石田中播磨県民センター副センター長

    大学と共に地域課題解決へ

    産業分野では「企業・大学・学生マッチング」を2013年度から県立大学、姫路市、姫路商工会議所と共同で実施している。姫路を中心とする播磨の企業と大学との連携を深め、新製品や新技術の研究開発に結びつける目的だ。

    雇用関係では、姫路市、姫路経営者協会と共同で播磨地域の特色のある企業の情報を発信する就職支援サイト「JOB播磨」を運営しているほか、県内外の理系大学生を対象に地元ものづくり企業などを紹介し、UIJターン就職を推進するため、「理系大学生等を対象とした企業見学バスツアー」を実施している。

    地域課題、行政課題の解決は行政だけでは対応が難しく、当センターとしても今後、産業、雇用などの分野に加えて、青少年の健全育成や子育て支援、さらにはまちづくりなどの分野においても大学の知恵をお借りし、一緒に解決していく流れを作っていきたい。

    姫路市長 清元秀泰氏

    清元市長

    社会全体で人材育成支援を

    少子化をはじめ、社会問題が複雑化、多様化する中、地域課題を解決するために行政と地域の大学が連携することが欠かせない。各大学の持つ知的資源、学生の若い柔軟な発想や行動力に期待している。市の施策「大学発まちづくり研究助成事業」ではこれまで67件の助成を行っており、事業の見直しや新規事業の検討にも活用しているほか、播磨圏域連携中枢都市圏に所在する企業と市内の大学が協同で行う研究に対する「産学協同研究助成金」も設けている。

    少子化が急速に進行しているなか、社会全体で地域に必要な人材の育成を支援していくことが重要だ。リベラルアーツとしての教養を身につけるだけでなく、刻々と変化する社会のニーズに対し、学生が主体性を持ってそれぞれの領域で課題を見つけ、解決に向けて取り組む探求の精神を養うことも大切だと考えている。

    姫路市総合教育監 加藤 聡氏

    加藤総合教育監

    リカレント教育の充実期待

    この2月に姫路市の総合教育監に着任した。大学全入時代と言われる中で各大学がそれぞれの特色や強みを生かした教育によって魅力を高めることはもとより、地域との連携を一層密にして、地域に親しまれ、選ばれる大学となることが重要だと考えている。広く地域住民や市民に学びの機会を提供するオープンカレッジや公開講座などを実施していただいており、市としても開催費用の一部を助成し、事業の推進を図っている。

    自らの知識やスキルの向上を図ることで、仕事と学びの好循環を生み出すリカレント教育が注目されている。例えば、産学の連携によって社会人に向けた実践的なリカレントプログラムの開発など、より踏み込んだ取り組みにも貢献していただきたい。また、意欲があっても学びの時間や環境を確保することが難しいという方に対して、インターネットなどを活用した学習コンテンツも含め、学びやすい環境の整備についても期待している。行政としても一層連携、協働させていただき姫路市の教育環境の充実を図っていきたい。

    参加者

    • 兵庫県立大学学長 高坂 誠氏
    • 姫路獨協大学学長 井上 清美氏
    • 姫路大学学長 牛尾 禮子氏
    • 姫路日ノ本短期大学学長 浜田 敏子氏
    • 豊岡短期大学学長 岩田 健一郎氏
    • 中播磨県民センター副センター長 石田 勝則氏
    • 姫路市長 清元 秀泰氏
    • 姫路市総合教育監 加藤 聡氏

    司会

    神戸新聞論説委員室副委員長 藤井 洋一

    藤井 各大学の強みや特色を生かした教育によって育成された人材が姫路市に定着し地域で活躍するため、大学と行政が連携してどんな取り組みを進めますか。

    清元氏 留学生の受け入れ拡大必要

    清元 少子化が進み、労働力不足が懸念されている中、外国人労働力の活用が欠かせない。そのためには世界的にも教育レベルの高い日本に外国人留学生をもっと受け入れていくことが必要ではないか。ぜひ、留学生の入学枠を拡大していただきたい。

    牛尾氏 高齢者宅でホームステイを

    牛尾 外国人留学生を受け入れる場合、住居の確保が課題となる。例えば、地域の高齢者の方にホームステイの受け入れを協力していただくのも一つの方法ではないか。

    高坂 本学の国際商経学部のグローバルビジネスコースには、22カ国から学生が来ている。これを理系の学部にも広げていきたい。本学卒業生の県内就職率は35%だ。地元に就職してもらうには、地域を好きになってもらう必要がある。インターンシップは地域の企業と学生を結びつける有力な方法だ。

    岩田氏 市内の保育現場で就業体験

    岩田 本学においても姫路市内の保育現場でインターンシップをさせていただいている。

    高坂氏 理工系女性教員の採用に力

    清元 理系学部に入学する女子学生はまだ少ない。ジェンダーバイアスを減らすことも重要だ。

    高坂 工学部では女子の推薦枠を設けているがなかなか埋まらない。教員についても女性を増やすことが重要だと考え、工学部、理学部において女性教員限定で公募を行うなど取り組みを進めている。

    浜田氏 保育士の労働環境改善発信

    清元 男性の保育士がもっと増えてもよいのではないか。

    浜田 男性保育士は現場でも人気がある。だが、給与面や労働環境に課題があり、就職希望者が少なく、定着しにくいのが現状だ。給与面、労働環境面ともに改善しつつあるので、それを浸透させていきたい。

    清元 保育士・介護士らの給与に関係する公定価格は地域区分に影響される。姫路市は、神戸市や明石市と比べると、地域区分の割合が低いため、給与が低くなる。市は、保育士に対し独自に処遇改善に取り組んでいるところだ。

    加藤氏 奨学金返還支援の制度新設

    加藤 処遇改善については国にも働きかけている。姫路市独自でやれることとして、来年度から「ひめじ創生奨学金返還支援制度」を設ける。医療・福祉分野にも対象業種を広げ、対象企業を大企業に拡大する。さらに市内定住者またはUターン者、修士または博士の学位保有者、また、結婚・出産などのライフイベントに対する加算制度も新たに設ける。

    高坂 産学連携についても大学単体ではなく、地域の大学が共創して行うべきだ。姫路の高等教育機関とも一緒にやっていきたい。

    井上氏 子ども育み支援で市と協働

    井上 姫路市の行政施策と連動した「こどもの育み支援センター構想」を行政と一体的に取り組み、地域課題の解決に寄与したい。

    石田氏 播磨の産学連携を一層強化

    石田 中播磨県民センターにおいても、姫路市、姫路商工会議所、姫路を中心とする播磨の企業と大学との連携をますます深め、地域、行政の課題を解決していきたい。

    清元 地域の課題解決に向け皆さんとより緊密にタッグを組んでいきたいと考えている。「ふるさと・ひめじ」がいつまでもにぎわいと活気に満ちたまちであり続けるために、これからも協力をお願いしたい。

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