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《 姫路発 》お城からの手紙

2024 Spring vol.95

バッファゾーンを訪ねて
お花

世界遺産に登録されている姫路城の範囲は、城郭を含む内曲輪および中曲輪の大半を含むエリアです。
さらに、中曲輪の周囲に大手前通りと野里街道等を含めたエリアがバッファゾーン。
姫路城との連続性や一体性が期待されるエリアとして、
行政はもちろん、市民の協力の下、保護・保全への取り組みが行われています。
姫路城
姫路城バッファゾーン

野里エリア

姫路市内でも数少ない城下町の風情を今に伝えるエリア。周辺の道は城下町当時のまま幅は狭く、少し曲がっています。また、野里商店街には虫籠(むしこ)窓を有する古民家(町家)が軒を連ねています。

城西エリア

姫路城の南西にあるエリア。天正8(1580)年にはすでに龍野町があり、旧西国街道沿いの姫路城下町発展の先駆けとなりました。龍野町の大部分は姫路空襲の被害を受けず、その一部は旧街道沿いの姿を今に伝えます。

姫路駅周辺と大手前通り

姫路駅北にぎわい交流広場は、平成27(2015)年に完成。歩行者デッキや姫路城外堀をイメージしたキャッスルガーデン、門をイメージしたキャッスルビューなどが整えられました。令和2(2020)年には、大手前通りの再整備も完了しています。
姫路駅周辺と大手前通り
キャッスルビュー

兵庫県立歴史博物館

兵庫五国の歴史や文化、姫路城を紹介する博物館。故・丹下健三の設計による建物で、大きなガラス面に映る姫路城が絶景ポイント。3月16日(土)〜5月12日(日)、開館40周年と兵庫・沖縄友愛提携50周年を記念した特別展「首里城と琉球王国」を開催。
住所/本町68 電話/079-288-9011
兵庫県立歴史博物館

姫路市立美術館

国の登録有形文化財であるれんが造りの建物に、彫刻が設置された広々とした庭園が美しい美術館。国内外の近代美術の名品を収集しています。4月27日(土)〜6月23日(日)、特別企画展「プリズム」を開催。
住所/本町68-25 電話/079-222-2288
姫路市立美術館

姫路文学館

播磨ゆかりの作家を紹介する文学館。安藤忠雄によるユニークなデザインが特徴的です。北館にある常設展「姫路城歴史ものがたり回廊」など見応え十分。南館には司馬 太郎記念室も。4月27日(土)〜6月23日(日)、人気漫画の原画展「大乙嫁語り展」を開催。
住所/山野井町84 電話/079-293-8228
姫路文学館

姫路城だけじゃない!
世界遺産の価値を高めるバッファゾーン
お花2

世界遺産には、中心部となるプロパティ(構成資産)とバッファゾーン(緩衝地帯)が設定されています。バッファゾーンの役割は、資産の周囲に土地利用や開発を規制する地域を設け、景観を良好に保つこと。近年、世界遺産への景観が良好に保たれているかはいっそう厳格に審査され、バッファゾーンが世界遺産の景観を破壊するということから危機遺産に指定される例も。
姫路市では平成元(1989)年に姫路城を核とした「景観ガイドライン」を策定しており、その対象地域143ヘクタール(プロパティ107ヘクタールを除く)をバッファゾーンに準用しています。そのエリアは、プロパティに当たる内曲輪と中曲輪を囲むもので、南は姫路駅北にぎわい交流広場や大手前通り、北は野里街道地区、東西は外曲輪とその他の周辺地域という広大なもの。大手前通りや商店街、江戸時代の風情を残すエリアも含まれています。
そのため、大規模建築物には周囲に調和した色や形を求めるとともに、野里・城西地区では歴史的な町並みと一体感が出るよう、石畳風の舗装や石組みの側溝、灯籠(とうろう)風の照明を採用するなど、良好な街路景観の形成を行っています。また、メインストリートでもある大手前通りには、ウッドデッキやベンチ等の休憩スペースが設けられるなど、まちも進化を続けています。

野里

古くから多くの人が行き交い、鋳物業などの産業が発展した野里。
慶長6(1601)年、池田輝政の町割りで今の原型が作られました。
かつて野里街道と呼ばれた道は、野里商店街として明治以降も栄え、虫籠窓やうだつなどの伝統的な外観を構成する町家が多く残っています。
慶雲寺 慶雲寺。境内には井原西鶴が戯曲化したことで知られる「お夏清十郎」の比翼塚も。
のざと朝マルシェ のざと朝マルシェの様子。
市指定の文化財 固寧倉 市指定の文化財でもある固寧倉。
野里街道
江戸時代の野里は但馬街道(野里街道)沿いに町人町があり、堀付近には武士の家が配置された城下町でした。町内には嘉吉3(1443)年に創建、天正5(1577)年に中興された慶雲寺、河合寸翁により文化6(1809)年ごろから設置された固寧倉(こねいそう)、道路脇がノコギリ状になった「のこぎり横丁」など、江戸時代を感じさせる遺産が数多く残っています。
野里の特徴は町家。明治、大正、昭和初期に建てられた町家が200軒近く残り、街道沿いには「芥田家住宅」や「魚橋家住宅」など、国の登録有形文化財になっている古民家も多数。現在、これらの町家を活用したショップが増えてきて、町に活気を与えています。第三日曜日には、手作りパンやカレー、野菜などを販売するのざと朝マルシェなども開催されていますよ。
のこぎり横丁 のこぎり横丁

町家を利用した魅力的なまちづくり

「野里商店街でたくさんの人が集まる場所を作りたい」。そんなオーナーの思いから生まれたカフェ。築100年以上の町家をリノベーションし、SNS映えする空間に生まれ変わらせました。メインメニューは厚切りトースト。姫路人のソウルフード・アーモンドトーストからボリュームたっぷりのピザトーストまで、充実したラインナップ。ケーキも用意しているので、町歩きに疲れたらぜひ。
灯1
カフェと雑貨の店「灯(あかり)」
住所/姫路市大野町1-4
電話/080-9470-0409
灯2
昭和30年代に病院だったという建物は外から見るとモダンな印象。中に入ると、土間や建具、間取りなど約90年の歴史がある町家の意匠が生かされ、陰影のある店内にたくさんの花が色とりどりに並んでとてもきれいです。花一輪を飾りたいときはもちろん、センスよくお花を贈りたいときに花束やアレンジメントをお願いするのもいい(要予約)。
hanaSoel1
hanaSoel (ハナソエル)
住所/姫路市鍛冶町50
電話/079-282-6060
hanaSoel2

城西

天正8(1580)年、英賀城を攻略した羽柴(豊臣)秀吉が、英賀の町人・百姓を移してできたと伝えられる龍野町。
以降、船場川の水運が発展すると、材木町や小利木町、博労町などの町が発達していきました。西国街道が東西を貫き姫路の中でもにぎわう場所でしたが、徐々に空洞化したことから、活性化の取り組みが進んでいます。
ナガハマ(永浜時計店)
ナガハマ(永浜時計店)1
ナガハマ(永浜時計店)2 左からイングラハム社製の時計、当時の播陽時計、そのレプリカ
明治維新の際、職を失った士族たちが出資し、姫路の地で国産西洋時計の製造に挑みました。数年間しか製造されなかったというボンボン時計が「播陽時計」です。その製造に携わった子孫が店主の永濱恵悟さん。お店には当時の播陽時計とそのレプリカ、そしてモデルとなったイングラハム社製の時計が並べて飾られています。
住所/姫路市元町75
電話/079-292-4669
棉屋(わたや)
棉屋1
棉屋2
棉屋3
明治13(1880)年、先祖が綿花の輸入卸を始めたのが家業の始まり。代表の澤田善弘(わたや善兵衛)さんは、座布団など手作りの木綿商品を手掛けるほか、木綿の栽培や糸の紡ぎ方、藍染めなどを広く伝える伝道師。令和4年「御国産木綿会所(おんこくさんもめんかいしょ)」を店内に設置し、木綿に触れる機会を提供しています。
住所/姫路市船丘町296
電話/079-294-5555
橋屋商店
橋屋商店
元禄年間に妙立寺の檀家に組み入れられたとの記録がある橋屋。当主の橋本博和さんによると、池田輝政に伴って姫路入りした三河の商家という説もあるそう。今も昔ながらの麹蓋(こうじぶた)での味噌(みそ)・麹造りを行っています。
住所/姫路市吉田町20
電話/079-292-0221
砂川漆工芸/砂川仏檀店
砂川漆工芸/砂川仏檀店
元禄年間に飾磨で塗師として創業し、明治40(1907)年に暖簾分けし西新町にやって来たという砂川仏檀店。この地で4代目の砂川隆さんは、伝統文化である祭り屋台や獅子などの祭礼品を手掛けるほか、姫路城菱の門の保存修理にも技術を発揮。
住所/姫路市西新町156
電話/079-292-8602
城西エリア
江戸時代の城西エリアは東西を西国街道が貫き、商家が立ち並んで発展しました。今に残る商家の姿は少ないものの、姫路を代表する歌人・故初井しづ枝が住んでいた「初井家」(非公開)などに江戸の城下町の雰囲気を感じることができます。また、江戸や明治時代から同じ商売を続けている老舗も多く、お店を訪ねると興味深いお話がいろいろと伺えるのも魅力です。興味のある方は、「歴史と出会えるまちづくり船場城西の会」が開催するまち歩きイベントなどにご参加を。
城西エリアのランドマークは姫路船場別院本徳寺。姫路藩主・本多忠政が、元和4(1618)年に現在の土地を宣如上人に寄進したことから成立した寺で、400年の歴史を刻んでいます。境内には勤王の志士12名の墓標や西南の役記念碑、明治天皇の宿所として使われた行在所などがあります。
歴史と出会える
まちづくり船場城西の会
まちづくり船場城西の会 平成15(2003)年から、町名由来板設置や町家調査、ウオーキングイベントの開催などを行っています。年に4回ほど不定期で船場御坊楽市として、本徳寺境内で野菜やスイーツ、小物などを販売。
電話/090-3351-7965(柴田さん)
http://www.himesen.com/index.html