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《 姫路発 》お城からの手紙

2022 Winter vol.90

出典/近世街道絵図「中国行程記」萩博物館蔵画像
出典/近世街道絵図「中国行程記」萩博物館蔵
姫路の城下町の面影を探して。

お城と雲
外堀が城と城下町を囲む総構(そうがまえ)
鉄壁の防御を誇る町割(まちわり)

関ヶ原の戦いの後、慶長5(1600)年に姫路に入った池田輝政は、築城と同時に城下町の造営に取り掛かりました。
城下は姫山を中心に、内曲輪、中曲輪、外曲輪を同心円状に配し、それぞれの曲輪が堀で区画されています。内曲輪は城地で、城主の居館や藩の中枢機能が集められていました。中曲輪には侍屋敷、外曲輪に町屋や寺院、外縁部や外曲輪の周縁には下級武士や足軽、中間(ちゅうげん)などの組屋敷が置かれました。各曲輪は城門によって厳重に出入りを管理され、通行には手形が必要でした。事前に通達しておかなければ、藩主ですら通ることができない場合もあったそうです。
また、城下の中で旅人が出入りできたのは外曲輪だけでした。外曲輪の南側には西国街道が通っており、江戸や上方へ向かう西の大名や商人など大勢の人が行き来しました。西国街道のルートは、備前門から坂元町、本町、綿町、元塩町を通り、東に折れて平野町へ。そこから北へ大黒町、国府寺町を過ぎて外京口門へと至るものでした。
また、姫路藩主が参勤交代などで江戸へ向かう際は、大手門から内京口門、外京口門へと大名行列が行われました。市川を抜けて御着に到着すると、服装や装具を身軽に整え直して江戸への旅が続けられたそうです。大名行列の最中は、国元に残る人々が沿道に並んで見送ったり、また帰着の際は出迎えたりしたそうです。
武家屋敷2
武家屋敷3
武家屋敷4
武家屋敷1
武家屋敷

内曲輪を囲むように立ち並んでいた武家屋敷

中曲輪や外曲輪では身分による住居区分がなされていました。上級武士ほど城に近い所に住み、家老などの最上級武士は、城の大手に大きな長屋門を持つ屋敷を構えていました。城の東側には次の位の武士や藩主の家族が住み、北側は中・下級の武士が住むようにまちづくりが行われたのです。
池田輝政が姫路に入封したときは52万石であった石高は、本多忠政が姫路に入封した際、25万石まで減少しました。少なくなった兵力で城を守るため、弱点であった西側を防御しようと造営されたのが西の丸です。同時に、池田時代には備前丸にあった藩主の居館を三の丸に移して本城とし、三の丸に向屋敷と武蔵野御殿、藩主の住居として使われた東屋敷が建てられました。

西の屋敷群は日本庭園として再整備

また、本多時代には、本城の西に内堀を挟んで樹木屋敷(西屋敷)が建てられました。この樹木屋敷を含む西の武家屋敷群が現在、日本庭園として整備された「姫路城西御屋敷跡庭園 好古園」です。江戸時代の屋敷割や通路の地割を生かした九つの大小庭園群や広場から成るこの庭園は、姫路城を借景とし、現代的な人工物があまり目に入らないことから、江戸時代にタイムトリップしたような気持ちにさせてくれる場所です。
風流大名と呼ばれた姫路城の35代城主・榊原政岑には、吉原の遊女・高尾太夫を身請けし、将軍・徳川吉宗の怒りを買って隠居の上、蟄居(ちっきょ)転封を命じられたというエピソードがあります。身請け直後に高尾を姫路に連れてきて、西御屋敷群のどこかに住まわせていたと考えられるそうです。江戸から連れてこられた高尾はどんな暮らしをしていたのでしょうか。 雲1
姫路城西御屋敷跡庭園 好古園1
姫路城西御屋敷跡庭園 好古園
約1万坪の敷地は池泉回遊式の「御屋敷の庭」や本格的数寄屋建築の茶室・双樹庵のある「茶の庭」など、九つの庭園群で構成されています。
時代劇や大河ドラマのロケ地としてもよく使われます。 
住所/姫路市本町68 電話/079-289-4120
寺町1
寺町2
寺町3
寺町4
寺町5
寺町

今も連なる寺院が当時の姿を伝える

池田輝政は、城下町を建設するに当たって、城の東の外曲輪に寺院を集めました。これは、城下の外縁部に寺を配置することで、有事の際に防御の役割を果たすように作られた、いわゆる寺町です。今も五軒邸から坂田町、平野町にかけてのエリアに寺が集まっています。
一番北にあるのが正明寺。康治2(1143)年に姫山に創建されたという古刹(こさつ)で、応仁文明の乱中には境内に赤松氏の守護屋敷が建立されたとも伝えられています。輝政の町割により、慶長6(1601)年以降に現在地付近に移転。江戸時代中頃に現在地に移ったといわれています。
南へ下ると妙立寺、妙善寺、円光寺、本領寺、法華寺、妙国寺、大法寺と寺院が続きます。池田家ゆかりの寺もあり、妙立寺や妙善寺は三河吉田から輝政に付き従ってきた寺といわれています。とても静かなエリアで、歩いているとまるで時が止まっているかのよう。そんな中、妙善寺の中にカフェができているのを発見しました。築100年という建物の雰囲気が魅力。寺町散策の拠点にしてもいいですね。 雲2
カフェ月輪(がちりん) 店
カフェ月輪(がちりん)
妙善寺の中にある小さなカフェ。自家製ジャムとトーストやレモンケーキなどのスイーツ、コーヒーや自家製ドリンクなどがいただけます。古民家を生かした内装もすてき。のんびりした時間が流れています。
住所/姫路市五軒邸2-29
予約・問い合わせはInstagramのダイレクトメッセージで。@cafe_gachirin
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