秋季特別展・姫路城世界遺産登録30周年記念「姫路城ゆかりの工芸 ―開窯200年の東山焼、寿ぎの高砂染を中心に」を開催
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- ID:25554
資料提供日
令和5年10月6日(金曜日)
問い合わせ先
担当課 姫路市書写の里・美術工芸館
担当者 岡崎美穂・本庄有紀
電話番号 079-267-0301
姫路市書写の里・美術工芸館では、令和5年10月28日(土曜日)から12月24日(日曜日)まで秋季特別展・姫路城世界遺産登録30周年記念「姫路城ゆかりの工芸―開窯200年の東山焼、寿ぎの高砂染を中心に」を開催します。
開催日時
令和5年10月28日(土曜日)から12月24日(日曜日)まで
開催場所
姫路市書写の里・美術工芸館(企画展示室・一般展示室)
展覧会の概要
姫路城が平成5年12月に世界遺産に登録されて、今年は30周年となります。
その歴史をさかのぼる江戸時代末期のこと、姫路藩は最大危機ともいえる大借財の返済に迫られました。難題を見事に解決したのが、4代の藩主に仕えて、今も「寸翁さん」と呼ばれて愛される名家老・河合道臣(1767-1841)です。起死回生戦略のひとつが、特産品による藩財政の立て直しでした。その契機は、文政5(1822)年に成立した、藩主忠実の養子・忠学と徳川将軍家斉の娘・喜代姫との婚約です。姫の化粧料として得た木綿専売制をはじめ、高級贈答品としての、松蔭柄を特徴とする型染の高砂染生産の推進、塩田開発や港の整備も行い、藍染や革細工、菓子などの生産を奨励して、海路などで京や江戸に運び財を得ました。
なかでも「東山焼」は、当時最先端技術であった磁器生産の成功という画期的なできごとであり、姫路藩の存在感を世に知らしめました。文政年間初期に試造が開始された東山焼は、文政5年12月に中嶋卓助が「陶所掛」になったとの記録(「酒井家家中席順知行高名前書」)から藩の運営開始がうかがわれ、2023年は東山焼開窯200年と考えることができます。この記念すべき年に、地元の収集家による「鐵元堂コレクション」約60点、及び館蔵品をあわせて、東山焼や永世舎など姫路のやきものを中心に展観するほか、現在の姫路木綿復活の取り組みを紹介、加えて、近年は「大奥御年寄瀧山日記」での記録が発見されて注目される高砂染をはじめ、姫路革など江戸時代から明治時代の工芸品を中心に、現存数が少なく貴重な播磨鍋なども拝借して、姫路藩の工芸とその美意識を偲ぶ機会を設けます。
主な出品作品
(1)東山焼「染付楼閣山水図鷺耳花入」(そめつけろうかくさんすいず さぎみみ はないれ)高295mm 江戸時代 鐵元堂コレクション
東山焼は、江戸時代後期に姫路藩が管理した窯としてその名を知られる姫路の最も代表的なやきものです。文政5年(1822)に現在の姫路市東山で始まり、天保2年(1831)ごろ、窯は姫路城に隣接する男山東南麓に移され、京都から尾形周平らの陶工を招いて、京焼風の優れた作品が作られました。
東山焼において、白い器胎に呉須による絵付けを施した染付作品が最も多く、このような鷺耳は姫路城の象徴でもあります。
(2)東山焼「飛青磁茶心壷」(とびせいじちゃしんこ)高180ミリメートル 江戸時代 鐵元堂コレクション
江戸時代に国内で可能となった磁器生産は、原料となる磁土が必要なことに加え高度な技術を用いるものでしたから、姫路藩の威信をかけた一大事業だったといえるでしょう。中でも青磁は同じ色は再び焼けないという程に、安定焼成が困難であるにもかかわらず、国内屈指の名声を誇りました。
茶心壷とは、茶葉の保管容器のことで、こういった文化人向けの器物が多く作られました。
(3)永世舎「色絵春秋鹿図角大花瓶」(いろえしゅんじゅうしかず かくだいかびん)高450ミリメートル 明治時代 鐵元堂コレクション
明治10年(1877)、現在の姫路市大蔵前町(現塩町)に藩士の授産事業として「永世舎」と呼ばれる陶磁器製造会社が設立されました。各地から優れた陶工や画工を呼び寄せ、さらに江戸時代終わりに衰退した、地元の東山焼の陶工も参加して海外輸出向けの華やかな磁器が生産されました。近年まで、永世舎の廃止は明治15年頃と考えられていましたが、昨年の新研究により永世舎は少なくとも明治21年まで続いていたことがわかりました。この作品は、現存最大級レベルの大きさで、一対が完全に残っており、貴重で見応えある作品です。
(4)白鷺製「色絵柳下釣客図花瓶」(いろえりゅうかちょうきゃくず かびん)高350ミリメートル 明治時代 鐵元堂コレクション
永世舎と同時期に「白鷺製」と銘の入った落ちついた色味の磁器も数多く制作されていますが、明治期に生産されたこと以外に詳しいことはわかっておりません。どちらも経営が安定せず、短命に終わりましたが、作品は海外にも数多く渡っています。
明治14(1881)年、第2回内国勧業博覧会に永世舎と姫路監獄分署の画工が出品し、相当数の陶工、画工名が記載されていることもあり、姫路監獄署で作られていた可能性があります。
(5)高砂染裂(たかさごぞめきれ)(江戸時代末頃から昭和時代初期頃)、復元高砂染型紙(平成時代) 当館蔵
三種の布は、左から「浅葱木綿地 松蔭松葉松毬文裂」、「萌黄木綿地 松蔭松葉熊手竹箒文 裂」「薄紅木綿地松蔭鶴文 裂」で、右端の型紙は、薄紅色の裂から図案を起して、伊勢型紙保存会が復元した「高砂染復元染め型紙」の一枚です。
高砂染は高砂の相生の松をモチーフに松葉や松かさ、霰あられなどをあしらった型染めで、江戸時代には姫路藩を代表する特産品の一つでした。幕府への献上品や藩と関わりの深い人への贈り物としても用いられていました。高砂染の特徴は型を二枚用いて二度染めを行い、生地のもともとの色も含めて3色で表すところに特徴があります。高砂染は江戸時代の中ごろから昭和の初めごろまで染められていました。
(6)播磨鍋「糸目瓢箪図燗鍋」(はりまなべ いとめひょうたんず かんなべ)高97ミリメートル 制作年未詳 個人蔵
中世の播磨の名産品として知られる鋳物です。播磨鍋は中国山地でとれる良質の千草鉄を用いて造られました。現在の姫路市内の野里で生産されたことから、野里鍋とも呼ばれます。その野里を中心とする播磨国の鋳物師集団を束ねていた芥田家は、代々五郎右衛門を名乗り、鍋以外にも梵鐘や農具なども造りました。特に京都・方広寺の釣鐘造りには大きな功績を残しています。室町時代の『七十一番職人歌合』にすでに登場するほど有名であった播磨鍋ですが、今日ではほとんど目にすることができず、貴重なものとなっています。
弦は後補とおぼしいながら、現存品が極端に少ない播磨鍋において貴重な作例であり、本作は、当館では初公開となります。鉄製の鋳造で、播磨の文字が陽鋳されています。
(7)姫路革「紅革雲図障泥(馬具)」(ひめじかわ べにかわくもず あおり(ばぐ))幅695ミリメートル 江戸時代 個人蔵
姫路は古くから白なめし革(牛革)の産地として著名で、姫路市内を流れる市川の水流を利用して上質のなめし革を生産してきました。姫路の革細工はこの姫路特産の革を用いて製作したことに始まります。中世から馬具や武具などに用いられてきましたが、江戸時代になると文庫や煙草入れなども作られるようになり、姫路の物産として全国に知れわたりました。型を用いて表面に立体的な文様を作り出し、色漆で彩色した上に金箔も併用して装飾性豊かで豪華な作品に仕上げています。明治政府が参加した万国博覧会などによってヨーロッパでも脚光を浴びて高く評価されました。
高級感のあるこの馬具は、細やかなシボに雲の図を型押ししてあり、上質な仕上がりとなっています。
会期中の関連イベント
(1)スライドショー「姫路のやきもの」
- 内容 東山焼、永世舎などの概要を紹介します。
- 日時 10月29日(日曜日)午後2時から午後3時30分まで
- 講師 岡崎美穂(担当学芸員)
- 会場 会議室
- 定員 当日先着20人(午後1時から整理券配布)
- 備考 参加は無料ですが展示観覧には入館料が必要です。
(2)展示解説会
- 内容 展示室で担当学芸員がお話します。
- 日時 令和5年11月3日(金曜日・祝日)、11月18日(土曜日)、12月3日(日曜日)、12月17日(日曜日) 午後2時から午後2時30分まで
- 定員 当日先着20人(午後1時から整理券配布)
- 備考 参加は無料ですが入館料が必要です。
(3)講演会「姫路藩の特異性―”工芸王国”の背景」
- 内容 地域学研究の第一人者の考察をわかりやすくご披露いただきます。
- 日時 令和5年11月25日(土曜日) 午後2時から午後3時30分まで
- 講師 中元孝迪(なかもとたかみち)氏(兵庫県立大学特任教授)
- 会場 展示室内の2階ラウンジ
- 定員 当日先着50人(午後1時から整理券配布)
- 備考 参加は無料ですが入館料が必要です。
小川克美氏撮影
(4)体験教室「綿から糸を紡ごう!」
- 内容 インド綿4グラム程度を紡いで、糸ができる簡易な工程を体験します。
- 日時 令和5年11月26日(日曜日)
(午前の部)午前10時から正午まで (午後の部)午後1時30分から午後3時30分まで - 講師 澤田善弘氏(棉屋善兵衛)
- 会場 会議室
- 参加費 1,000円
- 定員 各20人(小学5年生以上)
- 備考 11月14日(火曜日)までに要事前申込、応募多数の時は抽選。
関連書籍の出版
(1)書籍「姫路藩窯東山焼と永世舎 鐵元堂コレクション」
- 内容 地元の収集家、鐵元堂(てつげんどう)コレクションによる東山焼、永世舎、白鷺製など姫路のやきもの84点を掲載した書籍を、姫路市書写の里・美術工芸館売店で特別販売します。
- 書名 姫路藩窯東山焼と永世舎 鐵元堂コレクション
- 著者 梶原成郎(姫路市在住)
- 監修 山本和人(工芸史研究家/元 姫路市書写の里・美術工芸館学芸員)
- 版元 金木犀舎(姫路市二階町80番地)
- 発行 2023年11月
- ISBN 978-4-909095-46-6
- Cコード C0072
- 定価 本体2,000円+税
- 版型 A4 変形判、並製、102 ページ、本文オールカラー
- 備考 書影上部の「TOUZAN-YAKI&EISEISHA」の文字は銀の箔押し(画像ではグレー色表示)
添付資料
展覧会チラシ
お問い合わせ
姫路市役所 観光経済局 観光コンベンション室 姫路市書写の里・美術工芸館
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