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    旧姫路市文化センター緞帳作品 保存活用事業・緞帳資料展示のお知らせ

    • 公開日:2024年2月6日
    • 更新日:2024年2月8日
    • ID:26679

    資料提供日

    令和6年2月6日(火曜日)

    問い合わせ先

    担当課 姫路市立美術館学芸課
    担当者 紅林
    電話番号 079-222-2288

    旧姫路市文化センター緞帳作品の保存活用事業について

    1972年に開館した旧姫路市文化センターは、2021年に半世紀の歴史に幕を閉じました。当館では2023年度事業として、旧姫路市文化センターの大ホール・小ホールに設えられていた緞帳作品の主要な構成要素を含む部分を資料として保存し、再展示が可能な仕様で後世へと伝える保存活用事業を実施しました。

    本事業では、緞帳の作者である尾田龍氏、杉全直氏それぞれのご遺族からご許諾・ご協力を頂き、両作家の作風に精通する染織作家・山本和子氏の監修により、2つの緞帳作品の特長を表す部分をタペストリーの形状に仕立て直すこととし、これら2点の優れた作品の製作を手掛けた株式会社龍村美術織物、株式会社川島織物セルコンに依頼しました。

    当事業の完了報告および紹介のため、このほど、大ホール緞帳資料の一部を当館アートライブラリー横で展示しますので、ぜひご高覧ください。

    緞帳作品《はりま野》、《暁》について

    旧姫路市文化センターに設えられた緞帳作品《はりま野》(大ホール)と《暁》(小ホール)は、尾田龍と杉全直という姫路に縁の深い個性あふれる二人の画家によって、それぞれ同時代の精神を鮮やかに映し出す原画が制作されました。それら2点の絵画作品を、当時の日本の染織技術の粋を結集して忠実に再現した緞帳は、長く後世に伝えられるべき美術作品です。

    緞帳資料の展示予定

    • 尾田龍《はりま野》(5点1式のうち1点)
      期間:2024年2月10日から3月26日まで
      時間:午前10時から午後5時まで
      休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌火曜日)
      場所:姫路市立美術館 アートライブラリー横スペース
      観覧料:無料
    • 4月には、当館企画展の中で杉全直緞帳資料《暁》、尾田龍緞帳資料《はりま野》2件併せての展示を計画中です。

    展示風景
    緞帳資料《はりま野》(5点1式のうち1点)

    はりま野(旧姫路市文化センター大ホール緞帳)

    作者:尾田 龍 / 製作:株式会社龍村美術織物 / 制作年:1972年 / 技法:綴織

    本作は、黎明の太陽と当時開通したばかりの山陽新幹線が走る姫路の街を描いた作品です。原画の制作年である1971年は、瀬戸内を主題とした連作を描き始めた年ですが、《はりま野》の大らかな筆致と黄色を基調とした明るい色づかいは、1968年のケニアとタンザニアへの滞在を経て制作されたアフリカ主題の連作に通じます。そうした原画をもとに龍村美術織物によって制作された本作は、元は高さ8.8メートル、幅20.5メートルの巨大な緞帳でした。麻、綿、スフ、アクリル箔、金・銀箔など、多種多様な材が使われており、糸の色数は約1200色にのぼります。製作を担った龍村美術織物の高度な技術を通して、油絵独特の色調や、原画がもつ活力に溢れる力強い筆致、温かな色使いなどが忠実に表現されています。

    原画
    《はりま野》
    尾田龍、1971年、油彩・布、88.4×216.0センチメートル
    姫路市立美術館蔵

    緞帳作品《はりま野》8.8×20.5メートル
    (旧姫路市文化センター吊下時の風景)

    仕立て直しの概要

    緞帳作品《はりま野》の全長は、高さ8.8メートル、幅20.5メートルです。この長大な作品から、当館で展示可能な寸法と形状を前提条件として、尾田龍の絵画作品及び染織作品としての特徴を最もよく表す部分を抽出し、原画とともに展示・展開することも視野に入れ、タペストリーの形状で全体像を彷彿とさせる構成を検討しました。

    【尾田龍《はりま野》 緞帳資料(5点1式)】

    • 主要な造形部分の資料 3.0×2.5メートル 4点
    • サイン部分の資料 0.6×1.0メートル 1点 

    旧姫路市文化センター大ホール舞台装置からの取り外し

    クリーニングの様子

    補修作業の様子

    白枠部分:《はりま野》保存箇所

    暁(旧姫路市文化センター小ホール緞帳)

    作者: 杉全 直 / 製作:株式会社川島織物(現:株式会社川島織物セルコン) / 制作年: 1972年 / 技法:  綴織

    本作は、暁の太陽が主題となっています。原画は、1971年頃に描かれたと考えられますが、この時期の杉全はコラージュや半立体、シルクスクリーンの作品制作に注力しており、ほとんど油彩を描いておらず、同時代の油彩の作例としても貴重です。原画には、1950年代後半から杉全の油彩画にみられる、パレットナイフを用いた絵具の痕跡と物質感からなる表現の特色がよく表れています。緞帳においては、原画の構図を正確に写し取ることはもちろんのこと、パレットナイフの動静、絵の具の盛り上がり、そして繊細な色の変化などが忠実に再現されています。製作を手掛けた川島織物のこだわりと高度な技術をつぶさに見ることができるとともに、舞台の緞帳という作品の存在がもつ文化的使命に、前衛画家の杉全が全力で対峙した、その姿勢をうかがい知ることができます。

    原画
    《暁》
    杉全 直、1971年頃、油彩・布、62.0×162.0センチメートル
    姫路市立美術館蔵

    緞帳作品《暁》5.5×15.8メートル
    (旧姫路市文化センター吊下時の風景)

    仕立て直しの概要

    緞帳作品《暁》の全長は、高さ5.5メートル、幅15.8メートルです。この長大な作品から、当館で展示可能な寸法と形状を前提条件として、杉全直の絵画作品及び染織作品としての特徴を最もよく表す部分を抽出し、原画とともに展示・展開することも視野に入れ、タペストリーの形状で全体像を彷彿とさせる構成を検討しました。

    【杉全直《暁》 緞帳資料3点1式】

    • 主要な造形部分の資料 2.39×2.61メートル 1点、2.71×2.75メートル 1点
    • サイン部分の資料 1.49×1.36メートル 1点

    旧姫路市文化センター小ホール舞台装置からの取り外し

    クリーニングの様子

    裏地の仕立て加工の様子

    白枠部分:《暁》保存箇所

    お問い合わせ

    姫路市役所観光経済局 姫路市立美術館

    住所: 〒670-0012 姫路市本町68番地25 姫路城東側

    住所の地図

    電話番号: 079-222-2288 ファクス番号: 079-222-2290

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