食中毒事件の原因

令和6年2月8日（木曜日）

担当課　姫路市保健所衛生課
担当者　鬼塚、正岡
電話番号　079-289-1633

令和6年2月4日（日曜日）に探知、同日に食中毒と断定し、営業禁止処分とした食中毒事件について、調査を実施した結果、食中毒の病因物質が判明したので、お知らせします。また、当該営業者に対して改善を指導しました。

• 原因食品：2月2日（金曜日）及び2月3日（土曜日）に販売された巻き寿司（ウナギ、焼きアナゴ、エビ、きゅうり、卵（薄焼き玉子、厚焼き玉子）、酢飯、のり）
• 販売数：合計1,690本（2月2日（金曜日）307本、2月3日（土曜日）1,383本）
• 病因物質：黄色ブドウ球菌（エンテロトキシン）
• 検査結果(2月8日午後4時30分時点)

患者便：9検体（7検体から黄色ブドウ球菌検出、2検体は検査中）

従業員便：5検体（2検体から黄色ブドウ球菌検出）

従業員手指拭き取り：5検体（1検体から黄色ブドウ球菌検出）

まな板拭き取り：1検体（不検出）

巻き寿司（残品）：3検体（3検体から黄色ブドウ球菌検出）

• 喫食日時：令和6年2月3日（土曜日）午前6時から2月4日（日曜日）午後7時30分
• 初発日時：令和6年2月3日（土曜日）午前6時30分
• 患者数：150名（男性60名、女性90名）
• 主な症状：吐き気、嘔吐、下痢、発熱

従業員1名（薄焼き玉子でウナギ、焼きアナゴ、エビを巻く作業に従事）の手指の拭き取り検査で黄色ブドウ球菌が検出された。使い捨て手袋を着用していたものの、手洗い不十分等の何らかの原因で巻き寿司の具材を汚染し、その具材を使用した巻き寿司が常温で長く保管されていたことで、菌が増殖し、食中毒に繋がったものと推定された。

巻き寿司の具材の調理を2月1日午前8時頃から始めており、一部の具材（厚焼き玉子、薄焼き玉子）は2月2日、2月3日に巻き寿司を巻き始めるまで、暖房を切った状態の室内で常温のまま保管されていた。また、2月2日販売分の巻き寿司は、2月2日午前8時から巻き作業を始め、2月3日販売分の巻き寿司は、2月2日午後10時から巻き作業を開始し、完成した巻き寿司は販売まで同じく常温のまま保管されていた。

• 予約客（110件）への聞き取りを行い、症状を呈した者がいる場合は保健所へ連絡するよう指示をした。
• 手洗い後の拭き取りに共用タオルの使用があったため、ペーパータオル等の衛生的なもので拭き取るよう指導した。
• 巻き寿司の具材や完成品が常温で長く保管されていたため、保管する場合は冷蔵庫に保管するよう指導した。また、巻き寿司の巻き作業は2名で行っているが、2日前から準備を始めるなど、明らかに能力オーバーが見られるため、処理能力に見合った受注とするよう指導した。
• 衛生の記録等、HACCPに沿った衛生管理ができていなかったため、衛生管理計画等を作成し、記録の保存をするよう指導した。
• 衛生改善報告書の提出を指示した。

黄色ブドウ球菌の食中毒は、調理する人の手洗い不足と食品の温度管理不備で発生します。

1. 人の鼻腔や喉にも存在し、化膿巣に大量に存在します。
2. 調理従事者の手や指に傷があったり、傷口が化膿している場合は、そこから食品が汚染され食中毒が発生することがあります。
3. 潜伏期間は1時間から5時間と短く、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が現れます。
4. 本菌自体は熱に強くありませんが、毒素（エンテロトキシン）は熱に強いため加熱調理では無毒化されません。
5. 調理前の手洗いや調理器具の洗浄・消毒を心掛け、手や指に傷がある人は食品に直接触れるのを避けてください。

市外・市内別：市外15名、市内134名、不明1名（高砂市6名、たつの市3名、赤穂市2名、加古川市2名、神崎郡1名、京都市1名）

入院：1名（退院されています）