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企画展「播磨の工芸紹介−青野武市のガラス工芸−」


 青野武市(あおのたけいち/1921年7月16日〜2011年6月22日)は現在の姫路市船津町に生まれ、県立姫路工業学校(現 県立姫路工業高等学校)工芸図案科を卒業後、各務(かがみ)クリスタル製作所に入社し、以後生涯をグラヴィール一筋に取り組みました。優れたデッサン力と造形、そしてガラスの表面に円盤状のグラインダーをあてて微妙な装飾を施すグラヴィールの卓越した技術で、ガラス工芸界に名を馳せました。
 本展では、生誕100年および、会期中の6月22日に命日を迎える没後10年の節目に、播磨で生まれ活躍した工芸作家・青野武市の足跡をたどり、グラヴィールというヨーロッパの技術と日本的な和の表現とが見事に調和した美しい作品の魅力に迫ります。

会期/令和3年(2021年)6月12日(土)〜6月27日(
会場/姫路市書写の里・美術工芸館 企画展示室
主催/姫路市書写の里・美術工芸館
企画/公益財団法人姫路市文化国際交流財団

展覧会チラシ A4表(PDF形式 1,486KB)

出展作品について

作品点数29点(水指、花器、鉢、蓋物、段重など)

(1)グラヴィール文平水指(グラヴィールもんひらみずさし) 昭和59(1984)年制作

 20代後半から連続で日展入賞を果たし、オブジェ系の作品を作っていた作者は、徐々に機能性のある作品制作に力を注ぎ、昭和51(1976)年より日本伝統工芸展へと発表の場を移すようになります。昭和55(1980)年には日本工芸会の正会員に認定され、グラヴィール第一人者としての名を確立しました。本作は、そうした過渡期を経て、着実に実績を積み上げ始めた時期の作品です。24区分した亀甲形のカットを施したデザインは、上部を荒摺りして不透明とし、下部は磨きをかけて透明に仕上げ、亀甲形の内側にグラヴィールで線を入れてアクセントとしています。
グラヴィール文平水指の写真

(2)金赤被ハイビスカス文鉢(きんあかきせハイビスカスもんはち) 昭和61(1986)年制作

 グラヴィールは、各務クリスタル製作所の創設者・各務鑛三(かがみこうぞう/1896〜1985)がドイツで学んで日本に持ち帰った技法です。回転する金属製の円盤などでガラス表面を削り、文様を浮かび上がらせる加飾技法の一つで、濃淡や陰影を利用した絵画的な表現が可能になります。本作は、無色透明のクリスタルガラスの素地の上に、発色材に金を用いた金赤ガラスを被せた後、ハイビスカスの部分をグラヴィールで削り出しています。青野氏の作品には植物文が多く見られますが、これらは作者が自宅周辺で取材したスケッチをもとに作られています。
金赤被ハイビスカス文鉢の写真

(3)紫被蛇の目傘文鉢(むらさききせじゃのめかさもんはち) 平成15(2003)年制作

 蛇の目傘文は、作者が頻繁に使用するモチーフの一つです。'87日本のガラス展(1987年)と第16回伝統工芸第七部会展(2000年)に鉢が、第46回日本伝統工芸展(1999年)に盛器が、第48回日本伝統工芸展(2001年)に蓋物が、それぞれ出品されています。作者は、元々はヨーロッパから輸入されたガラスであっても、世界と渡り合える、日本人でなくては作れない作品を作りたいと考えていました。西洋の技術を用いて日本人の風土と感性に根ざしたテーマを表現するために、作者が最終的にたどり着いたのが、植物文や蛇の目傘文などの伝統的なモチーフでした。
紫被蛇の目傘文鉢の写真

青野武市プロフィール

1921年(大正10) 現在の姫路市船津町に生まれる
1939年(昭和14) 兵庫県立姫路工業学校工芸図案科卒業 各務クリスタル製作所に入社
1949年(昭和24) 第5回日展初入選 以後16回入選
1957年(昭和37) 日ソ国交回復記念工芸展入選 作品をソビエト文化省買上
1976年(昭和51) 第23回日本伝統工芸展初入選、第16回伝統工芸新作展初入選
1980年(昭和55) 「現代ガラスの美」展(京都・東京国立近代美術館)に招待出品
           第27回日本伝統工芸展入選  日本工芸会正会員認定
1982年(昭和57) 第22回伝統工芸新作展 奨励賞受賞
1985年(昭和60) 京都野村美術館にて自選展
           第25回伝統工芸新作展 日本工芸会東京支部賞受賞
1986年(昭和61) 現代名匠工芸展(姫路ヤマトヤシキ百貨店)出品
            第27回伝統工芸新作展鑑審査委員 同展出品作を宮内庁買上
1987年(昭和62) 姫路ヤマトヤシキ百貨店画廊にて個展
1990年(平成2) ’90現代ガラスの造形展招待出品(箱根彫刻の森美術館)
1993年(平成5)  第40回日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞受賞
1994年(平成6)  第41回日本伝統工芸展実行委員、鑑審査委員、
         第10回伝統工芸第七部会展鑑審査委員
         第34回伝統工芸新作展無鑑査出品
           日本工芸会理事
1997年(平成9) 東京国立近代美術館作品収蔵
1999年(平成11) 京都 野村美術館にて個展「青野武市 千点達成記念展」
2002年(平成12) 奈良 薬師寺宝物館作品収蔵
2004年(平成16) 第24回伝統文化ポーラ賞 優秀賞受賞
          姫路市書写の里・美術工芸館にて「青野武市のガラス芸術」展
2005年(平成17) 第27回姫路市芸術文化賞 芸術年度賞受賞
2011年(平成23) 6月逝去(89歳)

姫路市書写の里・美術工芸館
〒671-2201 姫路市書写1223番地  [ 地図 ]
電話 079-267-0301 ファックス 079-267-0304

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