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姫路市立林田中学校

HAYASHIDA JUNIOR HIGH SCHOOL

〒679-4206 姫路市林田町林田33番地 地図

電話番号:079-261-2013

学校通信(令和4年10月)

  • 公開日:2022年10月18日
  • 更新日:2022年10月18日
  • ID:16307

生き生きと自分の思ったことを表現するには、たくさんの時間と工夫と勉強がいる

先日、版画家の岩田健三郎(75才)さんの講演会を実施しました。林田の地を何度も訪れ、林田のことをよく知っておられる岩田さんから、本校生に向けてお話をしていただけてよかったです。「60才も年の離れた中学生に、話の内容をどれだけ理解してもらえるか」との思いとは裏腹に、予定の時間をオーバーしてまでもお話していただき、嬉しい限りでした。

岩田さんには、

  1. 絵のお師匠(90才)さんの話
  2. 50年間続いた小学校ドリル表紙絵の話
  3. 林田の話(かつらぎ自然学校、ビオトープ等)
  4. 市川の源流を探索する話、酒匂さん(岩田さんの友人)から、台風が発生しても、沖縄の人は日常や自然の一部として台風をとらえて生活しているという話
  5. 沖縄やサバンナでやったリラックスの仕方
  6. 中学校時代のマラソンの話
  7. 沖縄の海中でモンガラカワハギと遭遇したときの話
  8. 生き物の命の話
  9. 人間の赤ちゃんが生まれるときに空気を吸って肺呼吸が始まる話
  10. モンガラカワハギの言葉は分からないが、モンガラカワハギの専門家には、どう生きたいかがわかるという話
  11. 「みんな生きている海(日本国憲法第104条)」の作品に込めた地球環境への思い(日本国憲法は第103条まで実在)
  12. 命を生かすにはどうすればよいか
など、1時間以上にわたって、フィールドワークから得た知見や作品にかけた思いを、面白おかしくお話していただきました。

それらの話の中で、特に印象深いのは、市川の源流を探し求めて、川上へと自転車で調べに行かれた話です。「山の中に入ると、川の流れが消えてしまった。峠に立って、現地のある人に尋ねると、空を指さして『空や』と教えてもらった」と。そのときの岩田さんの感動はいかばかりか。インターネットで検索したり、本や辞書で調べたりすることが多いですが、現地に足を運んで、そこいる人から直接、話を聞いて調べることが大切である、と教えていただきました。

また、命を生かすにはどのようにすればよいか、という最後の話の中で、「絵描きの世界では、絵を描く人に絵を描きたくないと思わせるのは簡単です。やる気にさせておいて『下手』と一言。描いた絵を見て、何も言わない。無視すればよい」と。私たち教師が、生徒が一生懸命に学習活動に取り組んでいるときに、生徒をやる気にさせる言葉をかけたり、質問に対して誠実に答えを返したりすることが、いかに大切であるか、と考えさせられました。

そして、最後に林田中の生徒に期待することばで結ばれました。「生き生きと自分の思ったことを表現するためには、たいへんな時間と、たいへんな工夫と、たいへんな勉強がいる」と。

生徒のみなさんの感想(岩田さんに届けました)を読むと、興味をもつところは人によって異なりますが、素直な気持ちでそれぞれの思いを表現していました。岩田さんの話を真剣に聴いていたのが感想文からうかがえました。岩田さん(酒匂さんからも)から、本校生の聴く態度を褒めていただけてよかったです。 

講演会が終了し、岩田さんと校長室でお話していると、「講演会の内容については、事前打ち合わせのときに校長室前に貼ってある敬業館校訓『学ぶ手順』を見て、これを参考に話を組み立てようと思った」と種明かしをしていただきました。以下の校訓を読んで、岩田さんの講話内容と照らし合わせてみてください。

学ぶ手順(敬業館校訓より)

  1. 広く先人の事績を学ぶ。
  2. 分からないことは必ず、先達に問い尋ね、理解する。
  3. 自得するために思考し、表現する。
  4. 学んだものが、善か悪かを明らかに分別する。
  5. 善だと感得したことは、篤(あつ)い心でこれを実行する。

先人:昔の人。古人。
先達:他の人より先にその分野に進み、業績・経験を積んで他を導くこと。また、その人。
自得:自分自身で理解し会得すること。
感得:奥深い道徳や真理などを感じ悟ること。

岩田さんにおかれましては、講演会に向けて構想を練り、長時間の打合せを行っていただきました。そのうえに、講演会資料を作成し、小学校ドリル表紙絵の版画を和紙に刷って実際に生徒の手に触れさせていただきました。最高の「岩田健三郎氏講演会」ができましたこと、心より感謝申しあげます。有難うございました。