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姫路市立林田中学校

HAYASHIDA JUNIOR HIGH SCHOOL

〒679-4206 姫路市林田町林田33番地 地図

電話番号:079-261-2013

学校通信(令和5年2月)

  • 公開日:2023年2月16日
  • 更新日:2023年2月16日
  • ID:17607

失敗の後が人間を決める

3年生は今、高校受験本番を迎えています。県内私立高等学校の入試が10日に無事に終了しました。全員合格の知らせを聞いて、胸を撫でおろしました。本当によかったです。「おめでとうございます」。

昨日は、公立高等学校推薦・特色選抜入試が実施されました。入試に向けて、試験教科の勉強だけでなく、小論文や面接練習など、しっかりと準備をしてきたことでしょう。受検した本校生には何とか合格してほしい、と願っていますが、定員の何倍もの併願合格者を発表する私立高等学校入試のように、全員合格というわけにはいきません。卒業式が終わって実施される公立高等学校一般入試も同じです。

全ての人が「合格」の2文字を手にすることを願いますが、残念ながら不本意な結果を手にすることもあります。そのような場合、受験生本人はもとより、周りにいる大人はどうすればよいのでしょうか。

東井 義雄先生の『「いのち」の教え(佼成出版社)』のなかに、高校受験で不合格になった次のような親子のエピソードがあります。

不合格から「祝出発」

昭雄君は、「とても無理だ」と、先生や両親から説得されても、A高校受験の考えを変えようとしません。逆に、お父さんは、「よし、お前の意思通り、A高校を受けなさい。しかし、1つだけ約束をしろ。発表は、必ず1人で見に行くこと。そして、自分の受験番号がなかったら、1時間、その合格発表板とにらめっこして考えてくること。これができるなら受験しろ」と、言い渡されました。

昭雄君は、やすやす、約束しました。

発表当日、お父さんは、昭雄君に見つからないように発表を見に行かれました。受験は失敗でした。お父さんは、すぐ家に帰って、昭雄君を待たれました。1時間半ほどたって昭雄君が帰ってきました。

「だめだった、ごめんな」と、昭雄君が頭を下げたとき、お父さんは「よし、これだ」と言って、金包みを渡されました。包みには「祝出発」と書いてありました。

その日のことを、昭雄君は、次のように書いています。

やっぱり落ちた。悔しい。涙がこぼれた。逃げ出したくなった。父との約束が頭にひらめいた。男の約束だ。破っては男がすたれる。悔しい。こんな約束をさせた父親がうらめしい。残酷だ。どうせ1時間も立っておられるものかと思っているに違いない。なにくそ、1時間くらい何だと、反抗心がわいてきた。が、1時間は長かった。発表板がうらめしかった。

どうも今まで、真剣さが足りなかった。よし、今から出発だ。D校に行って頑張り直そう。こんなに考えたら、少し気持ちが落ち着いてきた。だが、1時間は長かった。やっと校門を出ることができた。帰路、心の中で、出発だ、出発だと唱えていた。

家に帰ったら、父母は何も言わなかった。親父が、そっと「祝出発」の包みをくれた。うれしかった。「やるぞ!」と思った。

「祝出発」の親心から学ぶことがあります。高校受験の結果だけでなく、これからの長い人生のなかで、必ずしも望むような結果が毎回得られるわけではありません。そんなときに、気持ちを切り替えて、自分の置かれている場所で精一杯、努力を続けられる人であってほしい、と願っています。