令和4年度2学期終業式　学校長式辞

「おはようございます」

2学期はコロナ禍の中でも、たくさんの行事が実施できました。

体育大会、版画家の岩田健三郎さんの講演会、わくわくオーケストラ教室と防災教育、文化発表会、馬頭琴とホーミーの岡林立哉（たつや）さんのふれあいコンサート、写真屋さん北さんによるインドストリートチルドレンについての国際理解教育、サンデー西村さんの出張音楽会、学校保健員会、一昨日の生徒会行事など、盛りだくさんの行事を皆さんや先生方、地域の方々と協働して実施できました。有難うございました。そして、このように今日の終業式を迎えられることに心から感謝しています。

2学期の始業式や9月の学校だよりで、「6ヵ国転校生　ナージャの発見」という本を紹介しました。ロシア人のナージャさんが、ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダの6か国で学んだときを振り返って書いたものです。

ナージャさんは6ヵ国を転校するうちに、転校ごとに、今までの普通が普通でない。私が追いかけている普通は、自分にとっての普通じゃない、ということに気付いた。そして、その本の最後に、次のようにまとめています。

『ずっと「正解」が変わり続ける環境のなかで、「誰かの正解」は、必ずしも「自分の正解」ではなかった。子どもが変われば、ベストは変わる。時代が変われば、ベストは変わる。目的が変われば、ベストは変わる。正解はない。違いがあるだけ。だから、みんなで「絶対的な正解」を探すのではなく、一人ひとりの「正解」をみんなで見つけていくしかない。そして、あなたにとってのベストはなんですか』と。

みなさんは、自分にとっての「ふつう」や「正解」について、少しは考えてみましたか？。ナージャさんのように他国へ転校はできませんが、岩田健三郎さんや岡林立哉さんの講演会や、インドのストリートチルドレンから考えたことを通して、自分にとっての当たり前や普通と向き合うことができましたか？そして、毎日一緒に生活している仲間との人間関係の中で、自分の普通と他者の普通が違う、ということを意識することはありましたか？

このことは、よく考えてほしいテーマのひとつです。これからも心に留めて、考え続けてください。

さて、火曜日に保護者会が終わりました。1・2年生は、2学期の学習への取組や生活について、3年生は進路について、3者面談しました。努力した成果を褒められたり、怠けている点を改善するように指摘されたり、と人それぞれ懇談内容は違います。進路希望についても、自分の思っている通りの高校に出願できるかどうかは、人それぞれです。

「自業自得」という言葉があります。

自業自得とは「自分がおこなったことの報いを受ける」という意味を持つ四字熟語です。現代においては、主に悪い結果が生じた場面、または自己責任を問われる場面などで用いられます。

しかし、本来の意味はそうではありません。悪い結果が起きたときだけではなく、良い結果が出たときも「自業自得」です。自業自得は、もともと仏教で使われていた言葉です。仏教において「業」は「ごう」と呼ばれ、「おこない」の意味を持ちます。インドで「業」は「カルマ」と呼ばれており、それが中国に渡って翻訳された際に「業」の漢字が充てられたそうです。

「自業」は自分がおこなったこと、「自得」は自分自身で受けること、といった意味を持ちます。つまり、自業自得とは「自分のおこないが自分の運命を生む」という意味です。

自分の行いの結果は自分に跳ね返ってきます。一生懸命に勉強したら成績が上がった、部活を休まずに真面目に取り組んだら、チームの勝利に貢献できた。これらは、自分の行いが自分にプラスとなって返ってきた「自業自得」です。

「努力は人を裏切りません」。努力したからといって、必ずよい結果が得られるとは限りませんが、成功の陰には、必ず努力があると信じて頑張り続けてください。

明日から冬休みが始まります。タブレットを持ち帰って、スタディサプリで分からないところをしっかりと学びなおしてください。やり始める前に、どこを勉強するか、必ず計画を立ててから取り組むことが大切です。一度にたくさんのことはできません。この冬休みに克服する内容を決めることが、まずは第一歩です。

やる気の前にやれる気を高めるために、計画を立てて、スタディサプリを使って勉強することを勧めます。

それでは、しっかりと冬休みを過ごしてください。3学期の始業式に元気な姿で登校してください。よい年を迎えてください。

以上、式辞とします。

令和4年12月23日

姫路市立林田中学校長　三浦　洋