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Vol.1 パティシエ / 眞砂大輔さん

  • 更新日:
  • ID:31838

お菓子で生まれる笑顔を力に。その想いを“差別のない社会”と共に次の世代へ

眞砂大輔さん写真1枚目

城下町・姫路で生まれ育ち、お菓子を作り続けてきたパティシエ・眞砂大輔さん。2013年10月の開業以来、「お菓子で人を笑顔にする」という信念を胸に歩んできました。今では“作る”だけでなく、専門学校やお菓子教室で“教える”、障がい者施設で“伝える”活動を通じて、次の世代へとお菓子づくりのバトンをつなぐ社会貢献にも取り組んでいます。眞砂さんが語る、「地方だからこそできるケーキ店のあり方」とは――。その信念と、姫路の地で大切にしている想いを伺いました。

眞砂 大輔(まさご だいすけ)さん

1979年生まれ。「みかしほ学園 日本調理製菓専門学校(製菓技術科1期生)」を卒業後、姫路・神戸・宝塚の洋菓子店やホテルで研鑽を積み、数々の洋菓子コンクールで受賞。2013年10月、ケーキ店「Le Coeur(ル・クール)」を地元・姫路で開業。現在は店舗運営に加え、母校での特別講師や障害者工賃向上アドバイザーとしての活動を通じて、お菓子づくりを未来へつなぐ取り組みに力を注いでいる。

「母が昔作ってくれたお菓子」が原点

眞砂大輔さん写真2枚目

「ふとした時に思い出すのは、母が焼いてくれたマドレーヌやホットケーキ」と語る眞砂さん。何気なく口にしていた味は、今も心に深く刻まれているといいます。父が会社員だったことから「自分は好きなことを仕事にしたい」「料理やお菓子といった“何かを作る仕事”がしたい」という思いも自然と芽生えていたそう。そうした背景から高校時代のアルバイト先にケーキ店を選び、楽しく働いた経験が今につながっています。

眞砂大輔さん写真3枚目

高校卒業後、アルバイト先から「そのまま就職しないか?」と誘われましたが、技術や知識を身につけたいと「みかしほ学園 日本調理製菓専門学校」に入学。卒業後は約15年間にわたり、姫路市内や阪神間にあるホテルや洋菓子店などで修業を重ねました。

洋菓子コンクールの落選が人生の転機に

眞砂大輔さん写真4枚目

専門学校時代の恩師が洋菓子コンクールに出品していたことに影響を受け、眞砂さん自身も仕事をしながらコンクールに参加するように。ですが、そこで待ち受けていた結果はいわゆるブービー賞。ただ呆然とその結果を前に立ち尽くしていたところ、声をかけてくれたのが宝塚でケーキ店を営む有名パティシエでした。

眞砂大輔さん写真5枚目

今でこそ“人に教える立場”に立ち、いくつもの著名な賞を受賞している眞砂さんですが、当時は独学でコンクールに出場。それを見抜いたパティシエが「だからこんなレベルの低い作品になるんや。だれかに教えてもらわないと、それなりのレベルにはいかないよ」という言葉と共に「お金はいらないから、うちの店に勉強しに来なさい」と声をかけてくれたのがきっかけで、仕事終わりに姫路から宝塚へ1カ月間通い詰めたそうです。「その方の教えで、今のお菓子があり、自分が受けた恩をボランティア活動などを通して社会に返したいと思っています」と眞砂さんは語ります。

お菓子で恩返しを

眞砂大輔さん写真6枚目

無償で製菓の技術を教えてくれただけでなく、勤め先を紹介してくれたり、恩師自ら運転をして有名店に連れて行ってくれたりと、さまざまなサポートを受けた眞砂さん。その経験が、今も社会貢献活動に積極的に取り組む原動力になっています。作るにしても何をするにしても、誰かに教えてもらうことが成長への近道―だからこそ、眞砂さんは“縁”を何より大切にしています。

母校で講師を務めるようになったのも、そんなご縁の一つなんだとか。学生時代の恩師から「ぜひ講師に」と声をかけられたものの、自信が持てず何度も断っていました。けれども、恩師の揺るぎない思いと信頼に背中を押され、「自分にできることがあるなら」と決意。現在は特別講師として、年に数回、2年生を対象に製菓の実習授業を担当しています。

さらに、自身のお店で開くお菓子教室は今年で10年目。始めた当初は主婦が中心でしたが、今ではカフェのオーナーや現役パティシエからも参加希望が寄せられるほどの評判となっています。

眞砂大輔さん写真7枚目

現在は障害者工賃向上アドバイザーに認定されていますが、障がい者施設に製菓の指導や監修を行うことはもっと前から、自発的に行われていたそう。作るのは同じ“人間”なのに、障がい者施設で販売しているというだけでほぼ原価のような安価で販売されているのを知り、「お菓子で差別を生みたくない」と思ったことがきっかけでした。そこで見た目や味に付加価値をつけて販売したところ、購入される数が増え、作り手の自信につながったそう。「その笑顔を見たときに、お菓子の持つ力を改めて感じました」と眞砂さん。どれだけ忙しくても、この活動は今も継続し、地域共生社会の実現に尽力しています。

地元・姫路でケーキ店を開いて12年。眞砂さんの現在は―…

眞砂大輔さん写真8枚目

2013年10月5日、眞砂さんは地元・姫路にケーキ店をオープン。「都会のホテルでスタイリッシュなお菓子を作るのも楽しいけれど、生まれ育った姫路の中でもあえて住宅街に店を構え、お子さまやファミリーに喜んでもらえるお菓子を作りたい」と考え、Uターンを決意したといいます。

眞砂大輔さん9枚目

地方でケーキ店を営むうえで眞砂さんが大切にしているのは、“ここでしか手に入らないもの”を作り、自分の手がけるお菓子に付加価値を与えること。ネーミングやパッケージデザイン、使用する食材に工夫を凝らしながら、地域の魅力を発信し続けています。「姫路という土地は特にポテンシャルが高く、全国に通用するブランド力を持っていると思います」と眞砂さん。山と海に恵まれた豊かな食材環境も後押しとなり、これまで“洋菓子といえば神戸”というイメージが強かった中で、姫路ブランドと地元の素材を掛け合わせ、地域ならではの魅力あるお菓子づくりを実現しています。

眞砂大輔さん写真10枚目

眞砂さんに「姫路の良さ」を尋ねると、「城下町というほかのまちにはないブランド力と、地域の人々の温かさ、そして人と人とのつながりが自然に生まれるところ」と語ってくれました。お菓子を作ることが、人とのつながりや喜びにつながる――そんな思いで、眞砂さんは10年以上にわたり、お菓子教室の活動も続けています。そしてこれからは、「若いパティシエや技術者が夢を持ち、“挑戦できるまち”になってほしい」と胸の内を打ち明けてくれた眞砂さん。眞砂さんの想いは、次の世代へと確かに受け継がれ、姫路というまちをもっと温かくしていくことでしょう。

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