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Vol.2 株式会社Linkplus取締役 / 福岡加奈さん

  • 更新日:
  • ID:31908

ゼロから挑戦できるまちで描く子育てママと社会がつながる未来

福岡加奈さん写真1枚目

「このまま社会から取り残されてしまうのでは」――育児に追われる日々の中、強い不安に駆られた福岡さんは、翌月には姫路から名古屋へ飛び、ベビーマッサージの資格を取得。その行動力が、人生を大きく変える始まりでした。自宅教室から育児サークル、そして「NPO法人 ママの働き方応援隊」、「赤ちゃん先生」との出合いを経て、今や女性支援やまちづくりに活動の場を広げています。姫路という土地に根ざし、“人と社会”、“人と命”を繋ぐ挑戦を続ける福岡さんに、その歩みを伺いました。

福岡 加奈(ふくおか かな)さん

1983年生まれ。香川県出身。姫路市在住。幼稚園教諭資格を持ち、出産後にベビーマッサージ教室を開講。2009年に育児サークル「HAPPY☆STYLE」を立ち上げ、地域の親子支援に尽力。その後「NPO法人ママの働き方応援隊」姫路支部を設立し、教育プログラム「赤ちゃん先生」の普及に携わる。さらに「株式会社Linkplus」を設立し、内装事業や「はこプラス」を通じて世代を繋ぐまちづくりに取り組んでいる。現在は女性活躍応援コミュニティ「HARIwoMAn(ハリウーマン)」やライバー活動など幅広く挑戦。

子育てママのゼロからの挑戦

福岡加奈さん写真2枚目

就職、結婚、出産、育休と、ごく普通のライフステージを歩んでいた福岡さん。子育てに追われる日々の中で、ある瞬間「このまま社会とのつながりが薄れていくのでは」と強い不安を覚えていたといいます。

「お昼のバラエティ番組を見ながら、子どもと一緒に『いいともー!』って叫んでいる自分がいたんです。その瞬間、危機感を感じて。この環境が怖くなったんですよね。私このまま家に閉じこもって、何もしないまま人生が過ぎていくのかなって」

福岡加奈さん写真11枚目

※写真はイメージ

そこで、すぐさまネットで調べて見つけたのが「ベビーマッサージ」。当時は姫路でやっている人も少なかったので、挑戦してみたい!と思った福岡さんは、なんとその翌月には姫路から名古屋へ飛び、一泊二日で資格を取得。帰宅後すぐに自宅で教室をスタートさせ、何から始めていいのかも分からない中、当時のSNSを使って見よう見まねで参加者を募集しました。 

「どんな人が来てくれるのか、そもそも人が集まるのか、初回は本当に不安だったのを覚えています。当時住んでいた坂の上にある自宅から、お母さんたちがベビーカーを押して坂を上がってくる光景を見たときの感動は、今でも忘れられません」

不安をよそに、まだ姫路では珍しかったベビーマッサージは連日予約が埋まるほどの人気に。やがて、教室に通っていた赤ちゃんたちが成長し、「大きくなった子どもでも参加できる場を作ってほしい」という要望が寄せられるようになります。

福岡加奈さん写真3枚目

そこで立ち上げたのが育児サークル「HAPPY☆STYLE」。幼稚園教諭の資格を生かした親子遊びやわらべ歌を教えることから始まり、時には会場を飛び出し写真館での親子撮影イベントや体育館を貸し切った100人単位の運動会、ハロウィンなどの季節の行事を含めたイベントなど、活動の幅を広げていきました。

恩師との出会いが人生の転機に

福岡加奈さん写真4枚目

育児サークルを続ける中、下見のために訪れた神戸の「ママフェス」で、福岡さんはとあるブースにひと際強く惹かれます。それがNPO法人(ママの働き方応援隊)との出会いでした。その名のごとくお母さんたちと社会をつなげることを目的に活動している団体で、実施しているプログラムにも強く共感できるものがあったといいます。

福岡さんがとりわけ心を動かされたのが「赤ちゃん先生」という教育プログラム。赤ちゃんとお母さんが学校や高齢者施設を訪れ、命の尊さや親の愛情を伝えることで、子どもたちの愛着形成を育み、人生や家庭について考えるきっかけを与える取り組みです。福岡さん自身が近しい人を亡くした経験があり、この活動に強く共感した理由の一つだったと語ります。

「“ママでも人生を諦めなくていい。子どもがいるからできることを仕事にしよう”という理念は、これまでの自分の活動や思いと重なり、支援する側から自立を導く側になりたいという決意につながりました。翌日には理事長に会い、姫路支部を立ち上げることを決めました」

福岡加奈さん写真5枚目

営業経験ゼロの中、福岡さんは協賛企業集めに奔走。理事長に同行したときの営業トークを録音して車の運転中にも繰り返し聞く日々。「当時車の中で一緒に聞いていた子どもたちにとっては教育テレビの定番曲ではなく、営業トークがBGMになっていましたね」と振り返ります。

もちろん失敗も。「営業先で1時間説教されたこともありました。営業スタイルがなってないって。泣いたら“泣くな”ってまた怒られて…。でも、今ではそれもその人なりの愛情だったんじゃないかと思えます。相手に対して関心がなかったら怒ることもなかったんじゃないかって。今となってはいい経験だったなって、そう思えます」

福岡加奈さん写真6枚目

さらに大きな学びは、恩師の言葉からも。イベントの日程を誤ってダブルブッキングしてしまったとき、激怒したクライアントに対して代わりに頭を下げてくれたのは理事長だったとか。普段は厳しい理事長から解雇まで覚悟していた福岡さんにかけられた言葉は、思いもよらないものでした。 

「“こういうことが起こるのは、あなたが動いているから、頑張っているからだ”って。その言葉は、孤独に突っ走っていた自分のリーダー像を見直すきっかけになりました」

「リーダーはポンコツでいい」「自分の苦手は誰かの得意」その言葉も理事長から学んだこと。そう学んでからは、弱みを隠さず周りに頼ることの大切さに気づき、仲間と共に進むリーダーへと成長していったのです。

出過ぎた杭は打たれない!?

福岡加奈さん写真1枚目

小さい頃から母に“出る杭は打たれる”と言われてきたという福岡さん。行動力や発信力がゆえ、ブログが炎上したことも。毎日のように容赦なく浴びせられる心ない言葉に傷つき、一時は消えてしまいたいとさえ思った時期もあったといいます。 

「そんなとき、思い切って炎上していることをブログに書き込んだんです。そうしたらこれまで一度もコメントをくれたことのなかった人から「応援してるよ」「負けるな!」ってコメントが届いたんです。思っている以上に自分のことを見てくれている人がたくさんいたんだ、支えられていたんだということに気付くことができました」

西播磨地域ビジョンが主催する「出る杭大会」。新しい分野に挑戦している個人や団体を応援するもので、そこで当時福岡さんらが取り組んでいた活動が評価され、見事大賞を受賞。「まさに“出る杭は打たれる”と言われますが、私たちは“出過ぎた杭は打たれない”ということを実感する機会にもなりました」と福岡さん。こうした、マイナスをプラスに変えていく力こそが、福岡さんの原動力になっているのだと感じずにはいられません。

姫路だからこそ育まれる挑戦とつながり

福岡加奈さん写真7枚目

幼少のころは父親の転勤に伴い関西や四国を転々とし、結婚を機に姫路に腰を落ち着けて20年。今では地域の魅力を発信する活動にも積極的に取り組んでいます。

現在は女性の職業支援の一環として、生配信アプリを活用したライバーとして活動。リアルタイムで視聴者と交流しながらファンを育て、収益化によって参加者の自立にもつなげています。さらに姫路・はりまの女性活躍応援コミュニティ「HARIwoMAn(ハリウーマン)」を通じて姫路や播磨エリアの地域の魅力を学び合う場を広げています。

福岡加奈さん写真8枚目

さらには神河町のゆず農家と協力した商品開発にも取り組み、マーケティングにも携わるなど、活動は多岐にわたります。

福岡加奈さん写真9枚目

また、ご主人と株式会社Linkplusを設立し、家庭と仕事の両立を目指しながら、未来へ繋がる働き方を追求しています。

福岡さんが姫路で活動を続ける理由には、この土地ならではの風土があります。「姫路の人は情熱があって、地元のことが好きな人ばかり。関わればとことん盛り上がれる文化があります」と語ります。歴史が息づく一方で、ゼロから始める人を後押ししてくれる土壌がある姫路は、挑戦者にとってかけがえのない舞台なのです。

女性が輝ける未来を、姫路から

福岡加奈さん写真10枚目

歩みを止めない福岡さんの次なる目標は、頑張る女性たちが切磋琢磨できる場をさらに広げ、地域資源を生かした新しい挑戦を実現すること。「姫路は熱いまち。新しいことを始める余白があり、応援してくれる人が必ずいます。不安よりもまず一歩踏み出してみてください」__その力強い言葉からは、姫路の未来を切り拓く女性リーダーとしての象徴と言えるのではないでしょうか。

最近では、万博で河瀬直美監督がプロデュースするパビリオン「Dialogue Theater―いのちのあかし―」にも参加。観客と毎日異なるテーマで“10分間の対話”を行うこの企画について、「初めて会う相手でも心を開いてくれる瞬間がある。命について語り合える、かけがえのない時間です」と語る福岡さんの視線の先には、また次のビジョンが見えているような気がしました。

支援活動からまちづくり、そして命を繋ぐ場づくりへ。福岡さんの挑戦は、これからも進化し続けていきます。

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