手入れのしやすい低木剪定手法の検討
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公園を使う人が自分たちで公園を使いやすいように管理できるようにできないか。そんな一歩につながるように、公園の日常の維持・活用を担われている地域の公園愛護会のみなさんが、手入れをしやすくなる低木の剪定方法を検討しています。
合わせて、大掛かりな剪定作業を伴わない樹木管理が実現することで、結果としてのグリーンロスの削減にもつながることを期待しています。
低木管理の現状の課題
公園の低木は、ヘッジトリマーで剪定しています。ヘッジトリマーとは、植栽を均一に刈りそろえるバリカンのような機械です。
ヘッジトリマーでの刈り込は、短時間で刈りそろえられるため、枝を短くするという観点からは有効です。しかし、切られた部分からは無秩序に枝が生育するため、刈り込みを定期的に行わないと、枝の密度が高まり、壁のような植栽になります。
刈り込み作業が不十分で壁のようになった部分(左)と、ヘッジトリマーで刈り込んだ部分(右)。
左部分は前回剪定から2年半経過。
切られた部分から、無秩序に、そして密度が高く、枝が伸びている状況。
ヘッジトリマーで刈り込みながら手入れが不十分な低木は、壁のように大きくなります。その結果として、次のような問題点が出てきます。
- 公園の見通しが悪くなる
- ボールなどが植栽の下に入り込むと取れなくなる
- ハチが巣を作りやすくなる
- ごみが突っ込まれやすくなる
ヘッジトリマーで刈り込む剪定方法がすべて悪いわけではありません。壁のように育てることで、公園と道路との境目の柵代わりにすることもあります。しかし、多くの場合、公園の境目にはフェンスが設置されています。壁のように育った植栽とフェンスとの間には人も入りにくくなり、清掃等もままならないことがあります。
壁のように育った低木は、公園愛護会のみなさんが手入れをしようにも、手に負えないものになります。その結果、地域のみんさんが望む公園の環境づくりがしにくくなるとともに、機械を使った大掛かりな剪定作業が必要になり、グリーンロスの課題も発生します。
透かし剪定
これらの課題を解決する剪定方法として「透かし(すかし)剪定」の活用を検討しています。
透かし剪定をした低木の状況
透かし剪定をした低木の2年半後の状況
「透かし剪定」は、不要な幹を根元から切り取りながら、樹形を残す方法です。
残した幹から出ている不要な枝、例えば、隣の枝とからまったり、上に飛び出したりしている枝は、枝分かれした部分で切ります。そのことで、新しく伸びてくる枝の方向を整えることができます。ヘッジトリマーで刈った場合に枝が無秩序に生育するのは、枝の途中で刈らるためです。枝の分かれ目、すなわち生長点で枝を切ると、枝は伸びた方向にのみ生長します。
この結果として、株元がすっきりし、樹形は残りながらも見通しが確保され、壁のような状態になることはありません。
壁のように成長した低木を、最初に透かし剪定する場合はかなり労力がかかります。しかし、一度してしまえば、あとは剪定バサミで手軽に手入れができるため、公園愛護会のみなさんにも管理のしやすい状態となります。
具体的な剪定方法は、後述します「公園樹木剪定講座」動画をご覧ください。
草抑えとしての樹木チップの活用
透かし剪定をした場合、気をつけないといけないことがあります。それは、地面に当たる日光が増えますので、低木の株元に草が多く生えるようになります。
せっかく、管理の手間が少なくなる切り方をしたのに、草抜きが大変になってしまっては意味がありません。
そこで、剪定作業で発生した、切った枝・葉を活用します。切った枝・葉をチップ化し、透かし剪定をした低木の株元にまきます。そのことで、日光が直接地面に当たることを防ぎ、草を生えにくくします。
また、時間がたてばチップは分解されて土に戻り、土がやせるのを防ぎます。枝・葉を焼却処分することにより発生していたグリーンロスをなくすだけでなく、緑の質を上げる効果も期待できます。
切った枝・葉をチップ化したもの
樹木チップを株元にまくことで日光が地面に直接当たることを防ぎ、草を生えにくくします。
これまでの取り組み状況
市政広報番組での紹介
グリーンロス対策体験として、公園愛護会の清掃活動に合わせて透かし剪定を行った様子が、市政広報番組「ウィークリーひめじ」で紹介されました。
放送内容は、姫路市の公式YouTubeチャンネルからご覧ください。別ウィンドウで開く
(3分38秒から紹介されています)
「公園樹木剪定講座」動画の作成
地域の方が公園を使いやすくなるよう、公園愛護会のみなさんにもできる、手間が少なく、切った後の管理がしやすい公園樹木の手入れの方法として、「透かし剪定」を紹介しています。
前編
まずは活動を始める前の準備から。初めて公園愛護活動に参加する方にも分かりやすく紹介しています。
後編
実際の手入れの方法、作業のあとの処理の方法などを紹介しています。