令和7年11月7日市長記者会見(速報版)
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会見事項
- 妊婦へのRSウイルスワクチン接種費用の一部助成について
報告事項
なし
市長会見内容
市政記者クラブの皆さん方には、お忙しいところご出席をいただきまして、ありがとうございます。
さて、明後日の9日より、私と山田副市長で分担し、欧州5か国の訪問を行います。その概要でございますが、本年7月に新たに姉妹城提携を締結したチェコのプラハ城や、本年4月に第2期協力協定を締結した英国・ウェールズのコンウィ城、そして、観光友好交流協定を締結しているドイツのノイシュバンシュタイン城を訪問し、今後の交流促進協議を行うほか、本年で姉妹都市提携締結60周年を迎えるベルギー・シャルルロア市を公式訪問し、記念事業に参加いたします。また、フランスのシャンティイ城やマルモッタン・モネ美術館などを訪問し、姫路市立美術館リニューアルオープン後の交流促進協議等を行う予定でございます。
チェコのプラハ城では、来年3月に実施を予定している「高校生による平和交流訪問事業」について協議を行います。この事業は、本年度が戦後80年の節目であることから、「平和」をテーマとして本市の高校生がポーランド及びチェコを訪問し、交流を行うものでございます。今月10日より募集要領の配布を開始し、12月2日まで参加者募集を行います。
次世代を担う市内在住の高校生の皆さんには、ふるってご応募いただき、苦難の歴史を乗り越えてきた両国との交流を通じて、平和への思いを新たにするとともに、国際的な感性をはぐくんでいただきたいと思っております。
それでは、本日の会見事項について、発表をさせていただきます。
妊婦へのRSウイルスワクチン接種費用の一部助成について
本市では、妊婦へのRSウイルスワクチン接種費用の一部助成を12月1日より開始いたします。
妊婦へのRSウイルスワクチン接種費用助成を行っている自治体は全国的にも少なく、県内では初めてとなります。
RSウイルス感染症は、2歳までに、ほぼ全ての乳幼児が感染すると言われている呼吸器の感染症ですが、生後間もない新生児等が感染すると重症化することがございます。入院治療が必要ともなると、患者である赤ちゃんはもとより、付き添う保護者の負担も大きなものとなります。
このRSウイルス感染症について、昨年5月に、ワクチンが発売されました。ワクチンを妊婦が接種することにより、胎盤を通じて抗体が胎児に移行し、産まれた後、特に重症化のリスクが高い生後6か月まで有効性が持続することが示されております。現在、産婦人科などで任意予防接種として希望者への接種が始まっていますが、接種費用が高額であることから、姫路市医師会、姫路産婦人科医会、姫路市小児科医会、及び周産期母子医療センターを有する姫路赤十字病院より、接種費用に対する助成制度の導入について要望をいただいておりました。
本市には、RSウイルス感染症により入院が必要な患者が数多くおられます。また、流行の時期が読めないRSウイルス感染症に備えるためには、早期に支援を実施することが必要です。こうした状況を踏まえ、新生児等の感染予防と、保護者の負担軽減を目的とした「子育て支援策の一環」として、妊婦へのRSウイルスワクチン予防接種費用の一部助成を開始することといたしました。
対象者は、姫路市に住民票のある妊娠24週から36週までの妊婦で、助成額は1万5,000円です。
対象となるワクチンはファイザー製の「アブリスボ」で、おおむね3万円から3万5,000円かかる接種費用のうち、およそ半額の1万5,000円を本市が助成いたします。
助成を希望される方は、オンラインや窓口で申請いただき、助成券の交付を受けたうえで、10月31日時点で市内34箇所の産婦人科を含む指定医療機関で予防接種を受けていただくことができます。
姫路市に住民票があるものの、里帰り出産のため、市外の医療機関で接種された方につきましては、接種後に申請いただくことにより、償還払いを行います。
なお、本日は、姫路赤十字病院副院長で、周産期母子医療センター長でもある水谷先生と、姫路産婦人科医会会長の北島先生にお越しいただいております。
新生児等がRSウイルス感染症に罹患し、重症化した場合の対応状況や、備えとしてのワクチン接種の効果、姫路産婦人科医会としてのワクチン接種への対応などについて、お話をいただきます。
私からは、以上でございます。
姫路赤十字病院 水谷副院長による説明
ご紹介いただきました姫路赤十字病院の水谷でございます。このたびは、RSウイルスワクチンへの公費補助を決定していただき、心から感謝申し上げます。
当院では、今年4月から9月までの半年間に、RSウイルス感染症により72名のお子さんが入院しております。年齢は0歳から14歳までで、特に0歳の赤ちゃんが29名と全体の4割を占めています。入院期間は平均で5日程で、長い場合は2週間を超えることがあり、ずっと付き添って世話をされるなど、ご家族の負担はとても大きいものです。
RSウイルス感染症には今のところ特効薬がございません。ですが、妊娠中にお母さんがワクチンを接種することで、作られた抗体が赤ちゃんに移り、生まれてからしばらくの間、感染や重症化を防ぐことが可能です。
今回の姫路市による助成は、経済的な支援であるだけでなく、地域みんなで赤ちゃんを守る大事な一歩であり、市長が大切にされている、姫路の未来を守り、その未来を切り拓く人を育むという信念に通ずるものだと思っております。
私たち医療現場も、大きな期待を持ってこの取組を支えていきたいと考えております。
私からは以上です。
姫路産婦人科医会 北島会長による説明
ご紹介いただきました、姫路産婦人科医会の北島でございます。私からは、RSウイルスワクチンの妊婦への接種につきまして、姫路産婦人科医会の取組をご説明いたします。
このワクチンは母子免疫ということで、赤ちゃんの免疫を作るために母親に接種する必要があり、接種は原則として産科医療施設で行われることになります。
私たち産科医は、このアブリスボについて、患者に資料等をお渡しし、また口頭でも安全性・有効性を説明、推奨していますが、接種率はそんなに上がっておりません。原因はいろいろあると思いますが、一つに接種費用が非常に高いことがあります。任意接種であり、全額自己負担で3万円から3万5,000円かかることから、接種をためらう方がおられます。
そこで、産婦人科医会としては、昨年、姫路市小児科医会及び姫路医師会と連携の上、市にアブリスボの助成を要望いたしましたところ、このたび、全国に先駆けて助成を決定されました。
この姫路市の決定は、患者の負担を減らすだけでなく、アブリスボに対する関心を非常に高めることにもつながりますし、安心を与えることにもなると思います。この助成により、より多くの妊婦が安心してワクチンを打つことができるようになること、RSウイルスに感染し重症化して苦しむ赤ちゃんが1人でも少なくなることを期待しております。
私からは以上です。
質疑応答(要旨)
記者:
国が音頭を取って、全国一律に実施すべき取組ではないかと思いますが、国での検討状況はどうなっていますか。
市長:
アブリスボは昨年5月に発売されましたが、現在は任意接種のワクチンです。定期予防接種になるには、ワクチンによるメリット等のエビデンスがまだ不足しているのかもしれません。国の審議会「ワクチン評価に関する小委員会」では、前向きな議論が進められているそうです。
新生児がRSウイルス感染症になると、成長してから喘息のリスクが高まったり、慢性的な呼吸器疾患の引き金になるのではないかと言われています。そうしたことも踏まえ、未来の市民たる胎児のライフも守っていくという思いをもって、このたびの助成を決定しました。
記者:
このワクチンの現在の接種率はどの程度ですか。また、姫路産婦人科医会が市に助成の要望を行ったのはいつ頃ですか。
北島会長:
接種率は、全国平均で13、14%程度です。東京などは34%程度のようです。東京など都市部ではワクチンに関する情報発信が多く、情報が得やすいということが影響していると思います。地方においては、母親や胎児への副作用等を心配する人が多くおられます。ワクチンに関する正確な情報を知る機会が増えれば、姫路市の接種率ももっと上がると思います。
要望を行った時期は、ワクチンが発売された後、昨年の夏頃です。
記者:
副反応はどのようなものでしょうか。
北島会長:
今のところ、重篤な副反応は出ておらず、軽い痛みや倦怠感といったものです。胎児への影響についても安全なワクチンであるといえます。接種される方やご家族は、母親と胎児の両方に関して副作用を心配されていると思いますので、このたびの助成を機に関心を持ってもらい、正しい情報を発信していくことで、接種率が向上すると考えています。
水谷副院長:
姫路赤十字病院では、昨年7月からワクチン接種を開始しましたが、その時から接種率は3割程度、最近では4割程度となっています。
本院における接種率が高いことの理由としては、RSウイルス感染症をよく知る医療関係者がおり、妊婦に対して、妊娠8、9週くらいから繰り返し接種を案内する、そういった努力があると思います。また、第一子がRSウイルス感染症になった母親は、次の妊娠時に本院を受診される場合が多く、そうした方は即座に接種を決断されます。不妊治療で受診された方も、よく接種されます。
記者:
姫路赤十字病院における入院日数は5日から2週間ということですが、それぞれどのような状態なのですか。
水谷副院長:
入院2週間は重篤で、ICUに入っている状態です。入院5日は軽症で、細気管支炎など肺炎までは至っていない状態です。下気道感染になった場合は入院が必要となりますが、0歳児、特に2、3か月の新生児であることが多く、そうなると保護者の付き添いも必要となります。
これまでも、早産児などのハイリスク児には抗体を入れて予防するといった措置をしていましたが、そうでない場合であっても、生後6か月以内、特に生後2か月頃はリスクが高いと言われています。
記者:
予算措置はどうなっているのでしょうか。
市長:
妊婦は1年あたり3,500人、接種率は60%程度と想定しています。本年度の予算については、第3回定例会において補正予算を措置しています。
RSウイルス感染症が重篤化すると、損失は非常に大きいものがあります。NICUにおける集中治療や、抗体療法も高額です。成長した後の喘息等のリスクを低減するという意味もあります。
記者:
助成の受付期間等はあるのですか。
市長:
RSウイルス感染症は流行時期が予測しづらいため、12月1日の事業開始日以降、いつでも申請いただけることとします。また、来年度以降も継続して行う予定です。
記者:
兵庫県下では初めて実施との事ですが、他に実施している自治体はあるのでしょうか。
市長:
自治体のホームページ等を確認したところ、19自治体で実施されていることを確認しています。栃木県足利市、千葉県袋井市、愛知県大府市等があります。助成額もさまざまで、3,000円という所もあれば、全額という所もあります。
記者:
ワクチンの接種費用はどの程度ですか。
市長:
おおむね3万円から3万5,000円程度です。市では約半額の15,000円を助成します。
北島会長:
姫路赤十字病院では、RSウイルスワクチンの接種を全員の患者に推奨され、接種率は4割程度となっているとの事ですが、産婦人科医の中には、ワクチンに関係なく、たまたま起こった早産等の事象まで、ワクチンが原因と追及される可能性を考え、接種を勧められない医師もいると聞きます。ワクチンの有効性や安全性に関する理解が進めば、医師としても接種を勧めやすい環境になると思います。
市長:
ワクチンには副作用があり、100%安全・安心とは言えない部分もあります。リスクとベネフィットのバランスを考慮する必要があります。RSウイルスワクチンについては、接種により小さな子どもの命が失われるリスクを下げることができると考え、推奨される小児科、産婦人科、周産期母子医療センターの先生方がおられます。そうした声を踏まえ、姫路の子どもやご家族が、なるべくリスクなく元気に育ってほしいという考えから、助成を行うことを決定しました。
記者:
改めて市民の皆さんへの呼びかけを。
市長:
新生児がRSウイルス感染症に罹患すると、保護者の方はつきっきりで看病することになります。また、祖父母など同居のご家族に感染するリスクも生じます。この助成制度をきっかけとして、感染症やその予防について家族みんなで考えていただければと思っています。
記者:
東北、北海道を中心にクマの被害が出ていますが、対策などについて市長の考えを聞かせてください。
市長:
東北地方におけるクマの被害に関しては、連日報道がなされています。姫路も大変山深いところがあるので、市民の皆さまも非常に深い関心を持っています。
クマの目撃情報は青山地区などでもありますが、黒い大きな鹿などクマではない場合もあり、信ぴょう性が高い案件としては、令和5年度に夢前町山之内地区で1件、令和6年度に夢前町山之内地区で2件、安富町関地区で1件、安富町三森地区で1件の計4件、令和7年度に夢前町山之内地区で2件、安富町長野地区で1件、林田町松山地区で1件の計4件となっています。今後は、より人口の密集する地域へ移動してくるのではないかと危機感を持っています。
最近では、ガバメントハンターの育成に関する議論もなされています。私どもも、地元の猟友会と意見交換を行っています。
昨年11月には、西今宿の認定こども園で園児らがイノシシに襲われ、負傷する事故がありました。クマやイノシシといった害獣への対策は、我々の生活圏や、里山の保全等にもかかわる問題です。次年度に向け、緊急銃猟の体制整備等の対策を練っていきたいと考えています。
記者:
大阪・関西万博が終わりましたが、現時点でどのように受け止めていますか。
市長:
4月から9月までの姫路城の入場者数は、約79万4,000人で、昨年度と比較すると2.5%の増となっており、万博の効果は限定的だったのではないかと考えています。関西パビリオン兵庫県ブース等でさまざまな文化の発信等を行いましたので、今後どのような効果があるか、注視したいと思います。
また、万博のレガシーについては、11月1日より、酒井家のものと思われる明珍家作の甲冑を、マルタ騎士団の鎧とともに姫路城「リの一渡櫓」で展示しています。マルタ共和国パビリオンの目玉展示品である甲冑を、里帰りのような形で展示させていただいたのは、非常にありがたいことです。甲冑の展示は年内までの限定ですが、もう少し長期間にわたって残るようなレガシーについても、別途検討をしているところです。

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