現在、風疹の大規模な流行はありませんが、コロナ禍後の海外渡航の活発化による輸入症例による感染は毎年認められています。また、2018~2019年にかけて風しんが流行しましたが、 これは、公的な風しんワクチン接種を受ける機会がなかった1962(昭和37)から1978(昭和53)年度生まれの男性を中心に発生しました。このため厚生労働省では 2019年度より 40から57歳男性のうち有効な風しん抗体がない者に対し風しん予防接種を実施する事業を開始しています。今後も、小規模ながらも流行は見られると推測されますので、これまで風しんにかかっていない方や予防接種を受けていない方、妊娠適齢期の方はご注意ください。
平成25年7月1日より、一部費用を助成しております。
詳しくは風しん予防接種助成事業のお知らせページをご覧ください。
風疹ウイルスによる急性の発疹性感染症で、流行は春先から初夏にみられます。潜伏期間は2週間から3週間で、主な症状は発疹・発熱・リンパ節の腫れが認められます。ウイルスに感染しても症状がでないまま免疫ができてしまう(不顕性感染)人が約15%から30%います。一度かかると大部分の人は生涯風疹にかかりません。従来、集団生活に入る1歳から9歳ころ(1歳から4歳児と小学低学年)に多く発生していましたが、近年は成人男性に多くなっています。風疹ウイルスは感染者の飛まつ等により他の人にうつります。発疹が出る2日から3日前から発疹がでた後の約5日間は感染力があると考えられていますが、感染力は麻疹や水痘ほど強くありません。
感染から2週から3週間の潜伏期間後、発熱・発疹・リンパ節腫脹(特に耳介後部・後頭部・頚部)が現れますが、発熱は約半数程度です。3徴候のいずれかを欠けば臨床診断は困難です。多くの場合、発疹は紅く、小さく、皮膚面よりやや隆起して全身に広がるのにさらに数日間かかることがあります。リンパ節は発疹の出現する数日前より腫れはじめ、約3週間から6週間持続します。カタル症状を伴いますが、これも麻疹に比べて軽症です。ウイルス排泄期間は発疹出現の前後約1週間と言われますが、解熱すると排泄ウイルス量は激減し、急速に感染力は消失します。基本的には予後良好な疾患で、血小板減少性紫斑病(3,000人から5,000人に1人)、急性脳炎(4,000から6,000人に1人)等の合併症があることもありますが、これらも予後は良好です。
CRSは風疹に伴う最大の問題です。妊娠前半期の妊婦の初感染により、風疹ウイルス感染が胎児に及び、先天異常を含むさまざまな症状が高率に出現します。これらは妊娠中の感染時期により重症度、症状の発現時期がさまざまです。先天異常として発生するものとしては、先天性心疾患・難聴・白内障・網膜症等があげられます。先天異常以外に新生児期の症状としては、低出生体重・血小板減少性紫斑病・溶血性貧血・間質性肺炎・髄膜脳炎等があげられます。また、幼児期以後に発症するものとしては、進行性風疹全脳炎・糖尿病などがあります。
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