木造薬師如来坐像
この仏像はもと置塩神社の山麓、法恩寺の本尊仏で、像高53センチメートルの木仏菩薩坐像である。この仏像は腹背の両側にわかれ、胎内が刳りぬかれていて、腹面側に墨書の胎内銘が記されている。梵字で記されているが音訳すると次のとおり読み下せる。「同十八日造顕大宋嘉興元年丁酉六月十一日庚倣造始之大宋明州雕仏沈一郎倣造アラハシヤナウオンアビラウンケンソウカアバランカンケン日本建仁寺印法金剛覚心渡宋第二度造渡之日本嘉禎三丁酉年九月七日敬伴」。銘文の意味は不明な点もあるが、嘉禎3年5月27日に日本を出発して宋に渡った建仁寺僧覚心が、嘉興(嘉熙の誤記か)元年6月11日から18日の間、明州の仏師沈一郎に造らせた像であることがわかる。体に比べて大きい頭部、扁平な顔、角張った体躯、猫背気味の姿勢が鎌倉大仏に通ずる。
姫路市夢前町古知之庄9 法恩寺(兵庫県立歴史博物館)
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