第12回姫路市都市景観賞(令和3年度)
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- ID:18795
第12回姫路市都市景観賞受賞作品についてご紹介します。
募集について
募集期間
令和3年6月1日から7月20日まで
募集部門
- 建造物部門
- 広告物部門
- 景観まちづくり活動部門
建造物部門・広告物部門については、完成後おおむね6年以内。関係法令等、所定の手続きを完了したものとします。
景観まちづくり活動部門については、長年にわたって、すぐれたまちなみや風景を維持する活動を行っている団体等を表彰の対象とします。
選考基準
建造物部門
市内にある建造物(注1)で次のいずれかに該当するもの。
- デザインや外観に工夫があり、周辺の景観及びまちなみと調和し、地域の景観形成に寄与しているもの
- 地域の景観をリードし、市民が誇りにするようなシンボル的なもの
(注1:住宅、商業施設などの建築物および橋梁、煙突などの工作物)
広告物部門
市内にある広告物(注2)で次に該当するもの。
- デザインや材料等に工夫があり、設置する建築物や周辺の景観及びまちなみと調和し、地域の景観形成に寄与しているもの
(注2:屋上、壁面、突出広告物、独立して設置されている建植広告物など(簡易広告物を除く))
景観まちづくり活動部門
次のような市内にあるまちなみづくりに資する活動
- 景観に配慮したまちなみ
- 歴史的なまちなみ
- 植栽等によるうるおいあるまちなみ
受賞作品
合計54件(重複等を含む)の応募の中から、選考会議(安枝 兵庫県立大学准教授以下、9名)により選考されました。
都市景観賞
姫路市文化コンベンションセンター アクリエひめじ(建造物部門)
- 所在地
姫路市神屋町143-2 - 施主
姫路市 - 設計
株式会社日建設計一級建築士事務所 - 施工
竹中・神崎・平錦特定建設工事共同事業体 - 作品評
令和の姫路市の新たなまちづくりキャスティ21に完成した大ホールを備えた文化交流の拠点施設である。建物は姫路城をモチーフにして伸びやかな屋上緑化を備えた曲面の屋根、五重天守を思わせる水平ラインを強調した庇を持ち、石垣の色調と合わせたレンガ積と漆喰壁の白い色を基本とした素材による細やかな配慮のある外観を構成している。隣接公園と一体になる緑の空間づくりにより時間と共に潤いのある景観が完成していくであろう。建物の名の通り、未来へ続く新しい創造の架け橋になることを期待したい。
カフェ 縁 eni(建造物部門)
- 所在地
姫路市八代本町一丁目10-23 - 施主
田靡製麺株式会社 - 設計
株式会社TBJインテリアデザイン建築事務所 - 施工
東播建築工藝株式会社 - 作品評
千姫の小径を北へ抜けて船場川を右手に見て進むと、道沿いに「カフェ縁 eni」がある。姫路城下には、まだ明治時代の建物が多く残っているが、洋風石造りの建物は珍しく、製麺会社の旧社屋であった洋風石造りの建物が「カフェ縁 eni」である。「地元の人が集える空間を」というコンセプトで再生され、外観は当時の姿を残して、内部は吹き抜けの明るい空間となっている。吹き抜け部分にはステインドグラスが取り付けられて、内部からはもちろん、外から見ても美しい。外観には余計なものはなく、さりげない佇まいが、姫路城近景と周囲のまち並みに溶け込んで、親しみを感じる。
日笠山ののじぎく保存活動(景観まちづくり活動部門)
- 所在地
姫路市大塩町 日笠山周辺 - 管理運営団体
日笠山のじぎく園 - 作品評
兵庫県の県花である日本の固有種のノジギクを保護、増殖している当園の活動は、多面的な価値を持つ。生物多様性の観点からは、群落や種を保全するに留まらず、地域固有の遺伝子の保全までなされている点を注視したい。緑化の観点からは、園芸種ではなく自然植生によって園を構成しており、世界的に拡がっている地域産苗木による都市緑化に先駆けたものと言える。地域づくりの観点からは、20年に渡る活動に加え、ノジギクの存在や活動の価値を次世代に継承する取り組みもされており、継続性も期待される。総じて当園の活動は、姫路市の地域性を際立たせる緑化活動であると同時に、兵庫県を代表する「緑の地域づくり」と評価できる。
特別賞
徳栄寺こども園やぎ園舎(建造物部門)
- 所在地
姫路市余部区下余部464-3 - 施主
社会福祉法人 徳栄寺保育園 - 設計
有限会社一級建築士事務所アトリエフォルム - 施工
有限会社合田工務店 - 作品評
かつての集落の面影を残す地区において地域環境の核となることが期待される古民家(大庄屋八木家住宅)の一部を修復し、認定こども園の園舎として活用した歴史的景観再生の新しい試みである。一般に大規模敷地に複数の家屋が建つ屋敷等は、一気に全体を完成させるやり方では、適切な活用方策を見出すのが難しく、経済的負担が大きいため、結果的に老朽化し取り壊しに至ることが少なくない。今回のように、部分的修復を行い、効果を検証しつつ、次に備える段階的アプローチは新しい再生のスタンダードにつながる可能性がある。敷地境界のブロック塀をメッシュフェンスに変え、視認性を確保したこともその一環と考えられ、建物と周囲の関係性を丁寧に見直す意図が感じられる。
姫路前山児童クラブ(建造物部門)
- 所在地
姫路市御立中五丁目5-10 - 施主
社会福祉法人 姫路前山福祉会 - 設計
株式会社マツヤアートワークス一級建築士事務所 - 施工
栗田建設株式会社 - 作品評
書写山の南、田畑が点在するが新しい住宅もある地域に建つ学童保育施設である。ガラスの箱のような建物で、透明なガラスと白い柱・外壁というシンプルさが、山の緑や空の青さに映える。同法人が運営する保育園と南側のこどもたちのための農園に挟まれた場所にあるが、両者を分断せず、視覚的につないでいる。近年、防犯上の観点から、こどものための施設は閉じた空間となりがちだが、建物内のこどもたちの様子が外からも感じられ、また背後の風景も、建物に大きく遮られることなく見え隠れする。自然豊かな立地を活かし、人がいてその活動が見えるような景観の創出に、ミニマムなデザインで応えている。
磨き座 継-HERITAGE-(広告物部門)
- 所在地
姫路市二階町32 - 施主
西岡 ぺこ - 設計
Iyo Yamaura - 作品評
景観評価における屋外広告物は、単に看板部分だけを評価するのではなく、看板がつけられている背景との関係性や、その店舗が持つイメージの統一感との関係性を評価する。商店街のバラバラのイメージの中、白い門型の壁面を持つ店構えに、ワンポイントのロゴ「継」には、靴とブラシの絵が活用された面白さが際立つ。店の木製吊り扉と、その前に置かれた手作りの台とメッセージの板書。乗せられた磨き前後の靴、さり気無く置かれた鉢植えの緑。これらの、ナチュラルさが漂う統一されたイメージ力が、その店舗の顔として、より壁のサインを引き立てる。この破綻のないファサードの表情が見事だ。
表彰
令和3年11月19日(金曜日)姫路市都市景観フォーラムにおいて施主・設計者・施工者・管理運営団体を表彰します。
お問い合わせ
姫路市役所 都市局 まちづくり部 まちづくり指導課
住所: 〒670-8501 姫路市安田四丁目1番地 本庁舎5階別ウィンドウで開く
電話番号: 079-221-2540
ファクス番号: 079-221-2757