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    市長所信表明(令和3年度)

    • 公開日:2021年2月22日
    • 更新日:2021年2月22日
    • ID:15854

    令和3年第1回市議会定例会の冒頭において、市長が市政運営に当たっての基本方針を説明しました。

    清元市長の所信表明演説のようす1
    清元市長の所信表明演説のようす2

    所信表明全文

    はじめに

    令和3年度予算案並びにこれに関する諸議案のご審議をお願いするに当たり、市政の基本方針と施策の大要を申し上げ、姫路市民の皆さま並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

    この一年の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行(パンデミック)により、私たちの生活は一変しました。本市でも、令和2年3月に初めての感染者が発生して以降、これまで1,500人を超える方が罹患(りかん)し、多くのかけがえのない命が失われました。この場を借りて、ご冥福をお祈り申し上げます。また、二度にわたる緊急事態宣言も経験し、本市の社会経済にも大きな影響が生じております。

    このような状況の中、何よりも市民生活を第一に、中長期的にも社会基盤が失われることがないよう留意し、速やかな経済復興に向けた素地を維持するため、「医療・福祉を守ることにより命を守る」「経済基盤を守ることによりくらしを守る」対策を実行してきました。具体的には、医師会等と協力しつつ、感染症対策や保健医療体制の整備、事業継続・雇用支援など、必要な施策を機動的・多段的に実施してまいりました。

    新型コロナウイルス感染症の収束は、いまだ見通せない状況です。令和3年度にあっても、切れ目なく対策を実行し、市民の皆さまの「命」と「くらし」を守っていかなければなりません。

    しかしながら、市民の皆さまの「未来」に灯(あか)りをともすためには、世界的な災害とも言える、新型コロナウイルス感染症に対する「守り」だけでなく、コロナ禍の中で見えてきた、社会の脆弱(ぜいじゃく)性を改めることで、このピンチをチャンスに変える「攻め」も同時に行っていくことが必要です。

    コロナ禍の中、デジタル技術の活用の遅れが露呈しました。近未来技術の活用を進めることで、利便性や生産性の向上、新たな価値の創造へつなげていくことができます。課題を解決するための有力な方法としてのデジタル化を社会に浸透させていかなければなりません。

    また、国に先駆けて昨年、本市は特定不妊・不育症治療費の助成について、所得制限を撤廃いたしました。全国で見ると、昨年の国内出生数は、統計開始後最低といわれた令和元年の約86万人を下回る見通しです。少子化対策は一朝一夕ではなりません。息の長い取り組みとして、同時に、喫緊の課題として、施策を実行してまいります。

    こうした中、本市の財政は、感染症の影響による市税収入の大幅な減少が見込まれます。厳しい財政事情を乗り越えるため、補助金等の財源確保に努め、歳出削減に取り組みます。公共事業の一部を後ろ倒しにし、経常事業の節減を進めるとともに、リモート化・オンライン化など中長期的視点からも行政効率化を進めてまいります。

    令和3年度予算につきましては、令和2年度2月補正予算と一体的に編成し、数々の困難な課題から市民の皆さまのLIFEを「守り」つつ、光ある未来をつかむため、災禍に負けないまちづくりを進め、「攻め」ていく、いわば「未来強靭(きょうじん)化予算」として、メリハリを付けた編成を行っております。

    具体的には、LIFEという英語に込められた3つの意味に基づく、「『命』をたいせつにする市政」「『一生』に寄り添う市政」「『くらし』を豊かにする市政」の3つのメインテーマのもと、7つの重点施策に積極的に予算を配分しております。

    さらに、LIFEに跨(またが)る、3つの最優先課題として、「新型コロナウイルス感染症と新しい生活様式への対応」「市民の利便性向上を目指したデジタル化の加速」「少子化対策・子ども支援の推進」について、集中的に事業を展開してまいります。

    これらの施策を実行していくことで、本年4月からスタートする新たな総合計画の都市像「ともに生き ともに輝く にぎわい交流拠点都市 姫路」の実現に向け、一層前進していくための予算としております。

    その結果、各会計予算は、

    一般会計 2,182億円

    特別会計(7会計) 1,115億円

    企業会計(3会計) 569億円

    総額 3,866億円

    となっております。

    以下、順次、令和3年度の主要な事業について、ご説明申し上げます。


    LIFE「命」「一生」「くらし」を守り、支える LIFEに跨る3つの最優先課題

    市長就任以来、市民の皆さまの「命」「一生」「くらし」に関わるメインテーマを掲げ、市政運営に取り組んでまいりました。令和3年度においては、LIFEを守り、支えるため、特に集中的に取り組むべき喫緊の問題として、3つの最優先課題を設けております。 

    新型コロナウイルス感染症と新しい生活様式への対応

    1つ目の最優先課題は、「新型コロナウイルス感染症と新しい生活様式への対応」であります。

    新型コロナウイルス感染症から、引き続き、市民の皆さまの命とくらしを守るため、次の3つの施策に取り組んでまいります。

    新型コロナウイルス感染症に対する危機管理対策については、検査体制や感染拡大対策を、令和2年度から切れ目なく充実します。

    医療従事者からスタートし、高齢者などのハイリスク者から順次、ワクチン接種を迅速に行ってまいります。医師会や民間検査機関、病院等との連携体制を強化し、地域外来・検査センターを継続して設置するなど、感染症等検査体制のさらなる充実を図るとともに、感染症患者専用救急車の導入等により、救急活動時の感染症対策にも、継続的に取り組みます。また、妊婦と配偶者等や、介護施設等への新規入所者などを対象としたPCR検査の実施、介護施設等への感染症対策など、これまでの対策に切れ目なく取り組み、市民の皆さまへの広報発信もさらに強化してまいります。

    足元の対策と未来への投資については、事業継続支援や消費活性化により、市民生活を支えるための「足元の対策」に加えて、ウィズコロナ/ポストコロナを見据えた「未来への投資」を行います。

    足元の対策として、時短営業等を行った飲食店などへの協力金の支給や、プレミアム付き商品券の発行等を行います。また、未来への投資として、市内の中小企業等が、事業形態の転換に要した経費を支援するほか、コロナ禍の中、不安を抱えながら出産、子育てをする家庭を支援するため、令和3年度に誕生した新生児に対し、10万円を支給します。

    ニューノーマルの推進については、ウィズコロナ/ポストコロナにおける「新しい生活様式」のさらなる浸透を図ります。

    非接触環境を推奨するため、利用者数の多い観光施設等の14施設にキャッシュレス決済を導入するとともに、オンライン決済に対応した新たな公共施設予約システムを構築します。また、順番確認システムの導入など、市役所窓口のスマート化についても進めてまいります。


    市民の利便性向上を目指したデジタル化の加速

    2つ目の最優先課題は、「市民の利便性向上を目指したデジタル化の加速」であります。

    行政のデジタル技術実装、産業界のデジタル化支援、市民へのデジタル化浸透を三位一体で推進し、市民の皆さまが利便性を実感できるデジタル化を進めるため、次の3つの施策に取り組んでまいります。

    行政デジタル化の加速については、スマートシティに向け、デジタル社会の実現に向けた行政のオンライン化・デジタル化を進め、市民サービスの向上を推進します。

    令和2年度中に行政手続から原則押印を廃止し、令和7年度までに、全ての行政手続の原則オンライン化を目指します。市立小・中学校では、2in1(ツーインワン)タブレットを最大限活用し、オンラインでの遠隔教育や、デジタル教科書などを取り入れつつ、一人ひとりに寄り添った教育と分かりやすい授業に取り組んでまいります。また、観光面では、オンラインツアーやAR(拡張現実)を活用し、デジタルとの相乗効果を生み出しながら、リアルな観光の魅力を発信してまいります。

    市民生活・企業のデジタル化の加速については、社会全体のデジタル化を進めるため、デジタル・ディバイド(情報格差)対策に取り組むとともに、マイナンバーカードの普及や、民間企業のデジタル化を促進します。

    全ての市民の皆さまが、デジタル技術の恩恵を受けられるよう、シニア世代を中心にデジタル講座を開設し、技術の習得を支援してまいります。また、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードの普及促進に取り組み、令和4年度末までの市内取得率100%を目指します。さらに、企業の働き方改革や生産性向上に向け、市内中小企業のデジタル化を、資金面・技術面の双方で強力に支援してまいります。

    デジタル技術による地域課題の解決については、デジタル技術を活用した、地域課題解決のための新たなポイント制度を導入します。

    マイナンバーカードを活用して、出生時の誕生祝いや、健康づくり・ボランティアなどの市民活動に対して、電子マネーと交換できる自治体ポイントを付与する制度の導入に向け、実証を行ってまいります。


    少子化対策・子ども支援の推進

    3つ目の最優先課題は、「少子化対策・子ども支援の推進」であります。

    結婚、妊娠・出産期から幼児期、学齢期に至るまでの切れ目のない支援を充実し、安心して子どもを産み育てられる環境の整備を図るため、次の3つの施策に取り組んでまいります。

    結婚及び妊娠・出産期の支援については、新婚時の支援に加え、母子の健康を支えるため、妊娠期・出産期を通じたシームレスな支援体制を整えます。

    新婚世帯への新生活支援として最大35万円の助成を創設するとともに、国に先行して実施してきた、所得制限のない特定不妊・不育症治療への医療費助成を継続するほか、双子以上の妊婦に対する健診費用を最大1万5,000円増額します。また、妊産婦のサポートとして、健診等の外出時におけるタクシー利用料金を助成します。さらに、思春期・妊娠期・子育て期の切れ目ない支援を充実させるため、専門性を備えた包括的支援拠点となる、(仮称)母子健康支援センターの令和5年度の開設に向けて、実施設計を行います。

    幼児期・保育の支援については、安心して子育てできる環境を整えるため、子育て支援拠点や保育提供体制の充実を図ります。

    JR姫路駅前に、子育て支援の拠点となる施設を新たに開設します。また、待機児童の解消と無償化に伴う幼児教育・保育ニーズの高まりに対応するため、私立保育所等の整備を促進するとともに、保育士等への定着支援一時金の給付や奨学金返済支援など、不足する保育人材の確保に向けた取り組みを進めてまいります。

    学齢期・教育の支援については、子どもたちが安全・安心に学べる環境と教育体制を整備します。

    子どもたちがより良質な環境で学ぶことができるよう、市立小・中学校の規模・配置の適正化を図り、少子化に対応した活力ある学校づくりに取り組んでまいります。また、市立小・中学校の校舎トイレの洋式化・ドライ化に令和4年度にかけて重点的に取り組み、完全洋式化を目指します。さらに、(仮称)南部エリア学校給食センターの完成に伴い、令和4年2月から全ての市立中学校において全員給食を開始するほか、夏の熱中症対策として、全ての市立小・中学校にウォータークーラー(冷水機)を設置します。そのほか、不登校への対応として、デジタル機器の活用も含め、個々の児童・生徒に応じたきめ細かな支援を行います。


    LIFE「命」「一生」「くらし」を守り、支える 3つのメインテーマと7つの重点施策

    ここまで申し上げた3つの最優先課題に集中的に取り組みつつ、3つのLIFEを守り、支えるための7つの重点施策を前に進めてまいります。

    「命」をたいせつにする市政

    メインテーマの第1は、「命」をたいせつにする市政であります。

    市民の皆さまのかけがえのないたいせつな「命」をしっかりと守り、生涯にわたって活躍し続けられる社会の実現に向けて、次の2つの重点施策に取り組んでまいります。


    命を守る安全安心体制の充実

    1つ目の重点施策は、「命を守る安全安心体制の充実」であります。

    医療提供体制の充実については、市民の皆さまお一人おひとりが日々の生活を安心して送れるよう、医療提供体制や救命救急体制の整備を進めます。

    令和4年度開設予定の(仮称)県立はりま姫路総合医療センターと獨協学園姫路医療系高等教育・研究機構の円滑な整備に向けて、県など関係機関との協議、調整や獨協医科大学との先行研究を進めます。併せて、南西部地域の医療提供体制を確保するため、後医療機関の円滑な開院や、介護施設等の誘致に向けた支援、協力を進めてまいります。

    さらに、市民の皆さまに効率的で質の高い医療を提供することのできる体制を構築するため、PHR(個人健康記録)を活用した医療情報連携システムの実証実験を行い、病院や市民の皆さまの健康管理に役立つ情報連携の検討を進めるほか、救急隊と病院が、患者の受け入れ可能状況などをリアルタイムで共有する救急搬送支援システムを導入し、救急搬送時間の短縮につなげます。

    また、白血病等の治療に有効な造血幹細胞移植を促進するため、公的臍帯(さいたい)血バンクと提携している医療機関や協力される骨髄ドナーへの支援を新たに開始します。

    姫路地域強靭化の推進については、道路・河川等社会基盤の整備や、地域防災力の向上を進め、災害に強いまちづくりを進めます。

    近年多発する豪雨等に起因する浸水被害の軽減を図るため、河川整備等に継続的に取り組むとともに、安全・安心な日常生活にとって基本的かつ重要な都市施設である道路ネットワークの整備を進めてまいります。

    また、人類の宝であり、私たち姫路市民の心のよりどころである姫路城を災害から守り、未来に引き継いでいくため、防災設備の改修等を実施します。

    さらに、ソフト面でも、市内全域に整備したデジタル防災行政無線を活用し、安全・安心に必要な情報等の発信を強化するほか、市民の皆さまとの協働により、ウィズコロナにおける災害発生時の避難体制の強化等を目指し、地域防災リーダーの育成、自主防災組織への支援等に取り組んでまいります。

    命輝く、生涯現役社会の実現

    2つ目の重点施策は、「命輝く、生涯現役社会の実現」であります。

    あらゆる市民が働きやすい雇用促進対策の推進については、高齢者や女性、就職に課題を抱える方への就業支援や、雇用のミスマッチの解消などにより、就業機会の確保を進めます。

    シニアの雇用に積極的な事業所を認定、公表する「シニア活躍事業所認定事業」を開始するほか、地域密着型就職支援サイト「JOB播磨」を活用したAI面接等を推進します。また、既卒者、転職希望者向けのジョブマッチングイベント「ずっと姫路」をオンラインで開催し、就職氷河期世代や女性、高齢者など多様な人材が働きやすい環境を整えてまいります。

    生涯活躍できる学びの充実と健康寿命の延伸については、生涯にわたって、いきいきと活躍できる社会を目指し、学び続けられる環境を提供するとともに、健康寿命の延伸を図ります。

    リカレント教育の重要性が高まる中、生涯学習大学校や好古学園大学校、公民館などを活用し、生涯学習環境の充実を図ってまいります。

    また、健康寿命の延伸のため、国民健康保険に加入している40歳以上の方の人間ドック受診費用を補助するほか、家島老人福祉センターの移転整備に伴う世代間交流の拠点づくりに向けて、実施設計を行います。

    いきいきとくらせる社会の充実については、介護サービスを支える人材確保対策を推進するとともに、地域に密着した福祉相談体制を整備します。

    不足している介護職員の確保・定着促進対策として、UJIターン就職した介護職員等の引っ越し費用等を、引き続き最大30万円助成するなどの支援に加え、キャリアアップ支援やハラスメント対策の弁護士相談窓口の設置など、介護現場の環境改善に取り組みます。

    また、福祉相談窓口の充実として、市内5か所に開設した、地域相談窓口「ひめりんく」における身近な場所での障害のある方等への相談支援を実施します。さらに、ひきこもり支援として、就労などの社会参加に至るまでの中間的な支援となる、居場所づくりや支援機関の情報発信、ネットワークづくりに取り組む「ひきこもりサポート事業」を新たに実施し、ひきこもりの状態にある方やそのご家族を切れ目なく支えてまいります。


    「一生」に寄り添う市政

    メインテーマの第2は、「一生」に寄り添う市政であります。

    都市部からの移住が見直されている中、今ある本市の魅力を最大限に活用するとともに、持続的で住みやすい地域づくりにより、さらなる魅力の創出を進めるため、次の2つの重点施策に取り組んでまいります。


    地域の躍動につながる活性化の推進

    1つ目の重点施策は、「地域の躍動につながる活性化の推進」であります。

    周辺地域の活性化の推進については、過疎・高齢社会の進行に伴い、活力の低下が懸念される周辺地域において、地域の特性を活かした活性化を推進します。

    「播磨の実力(みりょく)にあふれ、世代・地域を越えた交流を生み出す道の駅」をコンセプトに、「(仮称)道の駅姫路」の基本計画を策定します。

    また、ポストコロナを見据えて、ワーケーション受け入れ環境の整備を促進するほか、北部農山村地域の拠点づくりを推進するなど、地域の活性化に取り組んでまいります。

    東京一極集中の打破については、産業都市としての姫路の魅力を活かし、東京一極集中の打破を目指して、播磨への移住・定住を促進します。

    若者の本市への移住・定住を促進するため、東京圏から転入し、就職・起業する方に対する移住支援金の対象を、テレワーク移住の方にも拡大します。また、地域おこし協力隊の活動に興味のある方を対象とした体験プログラムを提供します。

    さらに、企業のオフィス誘致に注力するとともに、昨年オープンした起業プラザひょうご姫路で、播磨地域の創業者の裾野拡大に取り組んでまいります。

    ひめじ創生の推進については、近隣市町との広域連携やSDGs(エスディージーズ)を推進し、地域の活性化に取り組みます。

    播磨圏域連携中枢都市圏の中心都市として、近隣の7市8町との連携に加え、圏域内の企業、大学、研究機関及び金融機関等との協働により、圏域全体の経済成長に取り組んでまいります。

    また、SDGsの推進に向け、海外都市との交流等により、姫路に住む若者を、国際的な意識と広い視野を持ちつつも、住み慣れた地域で活躍できるグローカル人材へ育成します。

    さらに、ふるさと納税を推進するため、ガバメント・クラウドファンディングの企画や返礼品の開拓を進めてまいります。


    安心して一生過ごし続けられる社会の実現

    2つ目の重点施策は、「安心して一生過ごし続けられる社会の実現」であります。

    市民協働のまちづくりについては、市民・地域・行政など本市に関わる全ての多様な主体が協働し、輝くまちを目指します。

    将来にわたって地域活動を持続可能なものとするため、地域と行政が共に考え、行動していくための実証実験を行います。また、市民の皆さまの声を市政に反映するため、さまざまな分野で活躍されている方々と、本市の未来について語り合うタウンミーティングを開催し、意見交換を行ってまいります。

    さらに、互いの個性や多様性を認め合い、誰もが自分らしくくらすことのできるまちを実現するため、パートナーシップ制度の導入に向けた検討を進めてまいります。

    脱炭素型のまちづくりの推進については、2050年までに二酸化炭素の実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言します。

    電力のグリーン化に向けて、市役所から排出される温室効果ガスを削減するため、照明のLED化や再生可能エネルギー設備の導入により、公共施設の脱炭素化に向けた取り組みを進めます。また、一般家庭や企業等における再生可能エネルギーや水素エネルギーの導入拡大に向け、家庭用蓄電システムや燃料電池自動車に加え、電動車から住宅への給電を可能とするV2H(ブイトゥーエイチ)の普及を促進してまいります。

    豊かな里山・森林づくりについては、農林業の鳥獣被害を防止するとともに、自然と調和した森林の整備を進めます。

    有害鳥獣の捕獲活動に携わる後継人材を確保するため、狩猟免許取得費用等の助成や狩猟体験会の開催支援を行うほか、被害防止対策を支援するため、専門知識を有するサポーターを派遣します。また、地球環境保全や災害防止機能など、森林の持つ多面的機能の発揮に向け、森林資源量等の調査解析を実施します。併せて、林業経営に適さない条件不利地の人工林の間伐や、本市産木材の活用などを推進してまいります。

    持続可能な上下水道経営については、将来にわたって安全で安定した上下水道経営に取り組みます。

    民間の資金やノウハウを積極的に活用し、短中期的に経営コストの低減を図るとともに、水道施設や管路等の老朽化対策や耐震化などの強靭化に取り組むことで、持続可能な経営を目指して、中長期的にもコストダウンを図ってまいります。


    「くらし」を豊かにする市政

    メインテーマの第3は、「くらし」を豊かにする市政であります。

    人生に潤いとゆとりをもたらすスポーツ・文化を楽しめるくらしの充実と、まちの賑(にぎ)わい創出を図るとともに、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ観光・商工業の再生により、地域経済の活性化を促し、市民の皆さまがくらしやすい生活基盤の整備を図るため、次の3つの重点施策に取り組んでまいります。


    くらしを充実させるスポーツ・文化の振興

    1つ目の重点施策は、「くらしを充実させるスポーツ・文化の振興」であります。

    アクリエひめじの開館については、9月のグランドオープンを機に、文化事業、イベント等を展開するとともに、積極的にMICE(マイス)誘致を行い、本市の賑わい創出や知名度向上を図っていきます。

    開館前後の令和3年度から令和5年度までの約3年間をオープニングシリーズと位置付け、クラシックや有名アーティストのコンサートのほか、国際会議や大規模展示会など、多彩な事業を展開してまいります。本年10月に開催される「第72回世界保健機関(WHO)西太平洋地域委員会」の開催支援・おもてなしに際しては、同会議を絶好の機会として、本市の国際会議観光都市・MICE都市としての存在感を世界にアピールするほか、全国の市長、議員等が参加する「第83回全国都市問題会議」の開催に向けて取り組みます。

    手柄山中央公園の再整備については、スポーツや文化の交流空間の創出に向け、手柄山周辺の施設整備を進めます。 

    「手柄山中央公園整備基本計画」に基づき、第1期整備の事業に引き続き取り組みます。連絡通路の整備や旧市民プールの解体撤去のほか、令和8年10月の供用開始に向け、新たな体育館や市民プール等の整備を進めてまいります。また、令和8年の開業に向け、JR姫路・英賀保間新駅の整備に着手します。

    東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組みについては、市民が共に大会の機運を体感できる取り組みを進め、姫路からオリンピック・パラリンピックを盛り上げます。

    5月に東京2020オリンピック聖火リレー、8月には東京2020パラリンピック聖火フェスティバルを実施し、大会期間中には大型スクリーンでのパブリックビューイングを開催します。また、本市を練習拠点とするシッティングバレーボール女子日本代表チームの支援のほか、フランス柔道選手団の事前合宿の受け入れや、受け入れに合わせた「フランス祭」の開催を行ってまいります。

    「音楽のまち・ひめじ」の推進については、アクリエひめじのオープンに合わせたコンサートの開催や、次代を担う人材の育成により、音楽文化が日常に溶け込んだ環境を醸成します。

    アクリエひめじでは、世界を舞台に活躍するオーケストラの公演をはじめとした、魅力的な音楽プログラムをご用意します。また、昨年発足したジュニアオーケストラの充実や、将来性豊かな音楽家の発掘と地域の音楽活動の支援を目的とした、演奏会や公開レッスンの開催などにより、次代を担う音楽家の育成と本市音楽文化のさらなる発展を図ります。


    くらしを豊かにする観光・産業の振興

    2つ目の重点施策は、「くらしを豊かにする観光・産業の振興」であります。

    観光資源の価値を高める取り組みの推進については、インバウンド需要の早期回復が見込めない中にあって、改めて国内の観光需要を喚起するため、さらなる観光資源の磨き上げを図ります。

    姫路城と同様に国宝城郭のある都市や、姉妹都市である松本市、鳥取市などとの相互誘客につながる連携した取り組みを進めます。また、平和学習の推進の観点からも、平和資料館や太平洋戦全国戦災都市空爆死没者慰霊塔への修学旅行の誘致を図ってまいります。

    姫路観光コンベンションビューローについては、地域の「稼ぐ力」を引き出し、愛着を醸成する司令塔の役割を担う、登録DMO(観光地域づくり法人)への移行を目指します。精緻な時代考証に基づき再現した衣装や調度品を活かし、千姫・忠刻(ただとき)や侍のなりきり体験、往時の大名行列の再現を行うリビングヒストリーを実施するほか、姫路城を舞台に、忍者を活用したナイトイベントを開催します。

    また、美術館を核に、著名な芸術家らを年間にわたって招聘(しょうへい)し、姫路城や書写山圓教寺も舞台に、最先端のアート活動を展開する「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」等の新たな観光コンテンツを創出し、周遊・滞在型観光につなげてまいります。

    地場産業の活力増進については、農業・水産教育により、将来の担い手を育成するとともに、播磨地域のブランド化を推進します。

    遠隔農業ロボットを活用した市民農園サービスの実証実施や、スマート市民農園等のさらなる活用に向けたアイデアコンテスト「アグリテック甲子園」、小学生を対象とした農業版STEAM(スティーム)教育の実施により、スマート農業を推進するとともに、農業とデジタルを融合させた教育を展開してまいります。また、新規就農を促進するため、市指定の研修等の受講者を対象に、就農時の機材購入費用等を最大30万円助成します。

    昨年3月に指定された「GIはりま」ブランドの認知度向上、高付加価値化を図るため、酒蔵や山田錦の田園等を巡るツーリズムを実施するほか、国内外の商談会、国際的な日本酒コンクールにおいてPRを行ってまいります。

    中央卸売市場の移転再整備については、令和4年度末の開場に向けて、「播磨地域の食文化の拠点」としてふさわしい機能を有する施設の整備を着実に進めます。

    令和3年1月から着工している市場の移転再整備工事を滞りなく進めるとともに、賑わい拠点施設や周辺環境の整備に取り組んでまいります。


    都市の価値を高める基盤整備の推進

    3つ目の重点施策は、「都市の価値を高める基盤整備の推進」であります。

    歩きたくなるまちなかづくりについては、大手前通りを中心とした中心市街地において、歩行者優先の居心地の良いウォーカブルなまちなかを目指します。

    令和2年度策定した「ウォーカブル推進計画」に基づき、歩きたくなるまちなかづくりの具体的なプログラムを策定します。また、歩いて楽しい通りの実現を推進するため、改正道路法に基づき全国で初めて「歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)」として指定した大手前通りの活用に向けて取り組むとともに、公民が連携して大手前通りの魅力とエリア価値を高めていくための活用を進めます。さらに、姫路駅東側自由通路や駅南のまちなみの整備を行い、姫路駅周辺の安全で快適な歩行者通路の確保を進めてまいります。

    市内鉄道駅周辺の整備については、駅周辺の交通結節点の整備等を推進し、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを進めます。

    山陽電鉄大塩駅舎の橋上化及び駅前広場の整備や、同飾磨駅北改札口の新設のほか、JR英賀保駅の北改札口及び自由通路の設計にも着手し、アクセスと利便性の向上を図ります。また、「鉄道駅周辺整備プログラム」の更新に伴い、山陽電鉄夢前川駅など利用者数3,000 人未満の駅のバリアフリー化についても着手してまいります。

    広域交通網の整備については、基幹道路ネットワークをはじめとする広域交通網の構築に向けて取り組みます。

    昨年、ルート帯が「内陸・加古川ルート」に決定された播磨臨海地域道路の整備に向けた取り組みを、引き続き進めるとともに、臨港道路の整備・拡幅など、姫路港広畑地区及び網干地区の港湾の一体的な早期整備に向けて取り組んでまいります。

    行財政の効率化の推進については、行政サービスの最適化と業務の効率化を進め、時代に即した行政に取り組んでいきます。

    「行財政改革プラン2024」に基づき、姫路の将来を見据えた行政サービスの最適化など、未来志向型の行財政改革に取り組んでまいります。また、テレワークやWeb会議の推進により、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するとともに、AI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)など、デジタル技術を活用した業務効率化に取り組んでまいります。


    おわりに

    以上、LIFEに跨る、3つの最優先課題と、LIFEを守り、支えるための7つの重点施策についてご説明を申し上げました。

    この一年間、市民の皆さまには感染対策のため、多くのことをお願いしてまいりました。時には、生活や事業活動への制約をお願いする厳しい場面もございました。市民の皆さまの「命」と「くらし」を守るため、市長として、リーダーシップを発揮していくことは当然でありますが、行政だけで行えることは限られております。この危機を乗り越えていくためには、行政と市民の皆さまとの結束が何よりも必要です。

    コロナ禍をはじめ、デジタル化の加速、歯止めのかからない少子化といった課題が山積する中、市民の皆さまとの結束を深めるために必要なことは、信用・信頼であります。

    日本実業界の父と呼ばれた渋沢栄一は、次のように述べています。

    「信用は暖簾(のれん)や外觀(がいかん)の設備だけで、收(おさ)め得られるものではなく、確乎(かっこ)たる信念から生ずるものである。」

    「市役所だから、行政だから、信用せよ」と言われても、信用できるはずがありません。我々は、しっかりと姫路の未来を考え、市民のためを考え、ビジョンを持って政策を実行していかなければ、信頼を得ることはできません。

    ビジョンに基づいた政策を遂行し、コロナ禍のような国難に立ち向かうためには、危機を乗り越えていく組織をつくらなければなりません。

    新型コロナウイルス感染症が収束するのをただ待つのではなく、市民生活の閉塞(へいそく)感を払拭(ふっしょく)することができるよう、今こそ思い切って大胆な組織改正を行ってまいります。

    民間企業の高度デジタル人材を新たに起用するなど、姫路市にとって起爆剤となるような、新たな事業・取り組みを強力に推進できる人材を積極的に登用します。年齢や採用年次にとらわれず、適材適所の人員配置を行うとともに、ポストコロナを見据えた組織体制の整備を進めることで、一丸となって、市政を強力に推進することのできる体制を構築してまいります。

    この姫路市政の舵(かじ)取りをするに当たって、市長として、市民53万人のLIFEを託された者として、強い責任感と使命感のもと、危機の中、何としても、市民の皆さまのLIFEを守り、支えるという強い信念を持ち、「人にやさしい市政、人をたいせつにする市政」に全力で取り組むことで、この難局を乗り越えてまいります。

    市民の皆さま並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和3年度の所信表明といたします。

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