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    市長所信表明(令和5年度)

    • 公開日:2023年2月20日
    • 更新日:2023年11月22日
    • ID:23530

    令和5年第1回市議会定例会の冒頭において、市長が市政運営に当たっての基本方針を説明しました。

    清元市長の所信表明演説の様子(2)

    はじめに

    令和5年度予算案並びにこれに関する諸議案のご審議をお願いするに当たり、市政の基本方針と政策の大要を申し上げ、姫路市民の皆さま並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

    私が姫路市長に就任してからの3年10カ月を顧みますと、その大部分は新型コロナウイルス感染症との闘いの日々でありました。コロナ禍という難局は苦悩の連続でしたが、何よりも市民の皆さまの「命」を守り抜くため、医師としての知見やノウハウ、人脈を最大限に活用しながら、地域の医療機関等とも連携し、感染症対策に尽力してまいりました。具体的には、妊婦とそのパートナーへの無償PCR検査やワクチンの優先接種を全国に先駆けて実施するとともに、コロナ専用病床の開設や病床の運用を担う医療人材の確保など、本市独自の取り組みを迅速かつ果断に講じてまいりました。また、陽性者の同居家族など、濃厚接触者になった方に症状が出た場合には、疑似症患者として扱う対応を、県下でいち早く実施するなど、限りある医療資源の最適配分にも取り組んでまいりました。この間、市民の皆さま、医療従事者、各関係機関の皆さまにおかれましては、長きにわたる新型コロナウイルス感染症との闘いに対し、さまざまなご尽力、ご協力をいただいておりますことに、改めて心から敬意を表しますとともに、深く感謝申し上げます。

    長引くコロナ禍は、地域経済にも多大な影響を与えております。特にこの一年は、原油価格や物価の高騰が追い打ちをかけ、市民生活や事業活動は先行き不透明な状況が続いています。このような状況においても、市民の皆さまの「くらし」を支えるとともに、一日でも早く社会経済活動を回復させるため、すべての市民の皆さまへの特別定額給付金や、生活困窮世帯への給付金の支給といった国の支援制度に加え、新生児への給付金の支給、中小事業者への家賃支援やデジタル化支援、プレミアム付き商品券の発行をはじめとした緊急経済対策を、機動的かつ切れ目なく実施しているところであります。

    さらに、市民の皆さまの「一生」に寄り添うべく、市立学校園における普通教室へのエアコン設置・トイレの洋式化や、学校給食の第3子以降の無償化、不妊・不育治療への支援など、未来を担う子どもたちの健やかな成長を後押ししてまいりました。また、「こどもの未来健康支援センター(愛称:みらいえ)」や「(仮称)道の駅姫路」、手柄山中央公園、市内鉄道駅など、本市が未来に向けて躍進し続けるための施設整備にも取り組んでまいりました。

    こうした取り組みを進めることができましたのも、市民の皆さま並びに議員各位の温かいご支援、ご協力のたまものと深く感謝いたしております。

    私は市長就任以来、市民の皆さまのLIFEを守り、支えるため、「『命』をたいせつにする市政」「『くらし』を豊かにする市政」「『一生』に寄り添う市政」の3つをメインテーマに掲げ、市政を推進してまいりました。ポストコロナの社会において、姫路の未来を皆さまと共に切り拓き、輝かしいネクストステージへと強力に歩みを進めるには、私がこの4年間に行ってきたまちづくりをさらに加速させるための原動力となる「活力」が必要であります。

    そこで、本年は3つのメインテーマに、新たに「『活力』ある姫路を創造する市政」を加え、これら4つのメインテーマを実現するための11の重点政策に力点を置いて来年度の予算を編成いたしました。

    各会計予算は、

    • 一般会計 2,238億円
    • 特別会計(7会計) 1,099億円
    • 企業会計(3会計) 572億円

    総額 3,909億円

    となっております。

    令和5年度予算に込めた私の想いをお伝えするため、主要な事業のうち、特に象徴的、先導的な施策である「リーディングプロジェクト」について、順次、ご説明申し上げます。

    LIFEに関わる4つのメインテーマと11の重点政策

    令和5年度においては、「活力」「命」「くらし」「一生」の4つのメインテーマを実現するため、本市独自の11の重点政策を展開してまいります。

    「活力」ある姫路を創造する市政

    メインテーマの第1は、「活力」ある姫路を創造する市政であります。

    社会の不確実性が高まる中にあっても、市民の皆さまがふるさと姫路を愛し、安心して生涯にわたっていきいきとくらすことができる、活力に満ちた姫路の未来を創造するため、次の重点政策に取り組んでまいります。

    未来を拓く「ひとづくり改革」

    1つ目の重点政策は、未来を拓く「ひとづくり改革」であります。

    出会いから結婚、妊娠・出産期の支援については、中学生や高校生に対して、結婚・出産等のライフイベントに関する知識や情報を得るセミナーやワークショップを開催し、自身のライフプランについて考える機会を提供するほか、結婚を希望する若者の出会いを支援する場を設けます。

    また、妊産婦が健診等の受診時に使用できるよう助成しているタクシー利用券を、電子チケット化し、決済方法をデジタル化することで、利用者やタクシー事業者の利便性の向上を図ります。さらに、出産後間もない産婦の健康管理の充実と経済的負担の軽減を図るため、健康診査費を助成するとともに、特定不妊治療費のうち、先進医療など医療保険が適用されない場合の自己負担分を助成します。

    子育て世代が安心して出産・子育てできるように、妊娠期から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援の充実を図るとともに、妊娠または出産された妊産婦に出産・子育て応援給付金を支給します。加えて、生まれた赤ちゃんへのお祝いとして、5千円相当を給付し、さらに赤ちゃんの誕生でお子さんが3人以上となる多子世帯には、1世帯当たり最大4万5千円相当を給付するなど、国の次元の異なる少子化対策と歩調を合わせながら、子育て支援を推し進めてまいります。

    健やかな成長を支える子育て環境の整備については、本年4月に、思春期保健や母子保健の包括的な支援拠点として、「こどもの未来健康支援センター(愛称:みらいえ)」を開設します。みらいえは、JR東姫路駅近くに位置しており、交通利便性が高く、子育て世代がストレスなく乳幼児健診を受けられるように工夫しています。また、思春期の若者や子育て世代のさまざまなニーズに応じた相談について、専門職が対応・支援する体制を整備するとともに、地域子育て支援拠点「のびのび広場みらいえ」において、子育て世代の交流の場を提供するなど、子育て環境の充実に取り組んでまいります。

    また、ピオレ姫路内に開設している「駅前すくすくひろば」においては、利便性と魅力を向上させるため、開設日を増やすとともに、子育て支援等に関するイベントを開催します。

    子育て世代の経済的負担の軽減については、子どもが入院した際にかかる医療費の助成対象を18歳まで拡充します。さらに、多子世帯の場合は、子どもが医療機関を受診した際の医療費を18歳まで完全無償化します。

    多様性を認め合う社会の実現については、義務教育を未修了のまま学齢期を経過した方や、不登校などの事情により十分な教育を受けられなかった方が、義務教育を受けられる機会を実質的に保障するため、本年4月に夜間中学「姫路市立あかつき中学校」を開校し、生徒一人ひとりの状況に合わせた教育を進めます。

    また、本市の若者が、国際的な視野を持ち、住み慣れた地域で活躍するグローカル人材へと育つように、異文化コミュニケーション能力やSNSを活用した発信力を養成する、通年の国際人材育成プログラムを開設します。

    さらに、市立小中学校等にバイリンガル支援員や日本語指導支援員を派遣し、外国人児童生徒等を学習と生活の両面から支援します。

    生活の質を高める「デジタル改革」

    2つ目の重点政策は、生活の質を高める「デジタル改革」であります。

    姫路版スマートシティの推進については、先進技術を活用した持続可能な都市を実現するため、データ連携によって創出される新たなサービスの導入により、地域の特性に応じた課題の解決を図ります。

    さらに、民間企業等から専門人材を招聘(しょうへい)し、スマートシティを強力に推進するための体制を構築します。

    また、企業や各種団体と連携し、乳幼児健診等のデジタル化やウェアラブル機器による妊娠期健康管理の実施など、先進的技術を活用したさまざまな取り組みを展開してまいります。

    デジタル技術を活用した市民サービスの向上については、窓口サービスにおける市民の利便性と職員の業務効率の向上を図るため、市役所本庁舎の窓口にタブレット端末等を設置し、タッチパネルを操作して申請を行う、「書かない窓口」を導入します。

    また、市役所本庁舎と出先機関を専用端末で結び、本庁職員とのオンライン相談や申請を可能にする遠隔行政窓口を増設します。さらに、マイナンバーカード認証を活用し、個人の属性に応じた行政情報をプッシュ配信するなど、姫路市民アプリ「ひめパス」の機能を充実させるとともに、個人情報の適正な取り扱いのもとパーソナルデータを活用し、新たなサービスの創出に向け検討を行います。

    マイナンバーカードの普及・利用促進については、マイナンバーカードの仕組みやカードを活用したサービスについて、各種ポスターや地域情報誌、SNS広告などを通じて市民の皆さまへ分かりやすく発信するとともに、商業施設等での申請受付を実施するなど、取得機会を拡充します。併せて、健康の維持・増進のための活動などに対して、自治体ポイントを付与するほか、各種市民カードのマイナンバーカードへの一体化を進めるなど、多目的利用を促進します。

    本市は、昨年、総務省消防庁が公募した「マイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化・円滑化」に向けた実証実験で、全国6消防本部のうちの1つに採択されました。この実証実験において、傷病者のマイナンバーカードから正確な診療情報等を読み取ることで、より迅速な救急搬送につながった事例も数多くあり、人の命を守り、日々のくらしを便利にするツールとしてのデジタル技術の有効性を、改めて実感したところであります。今後、市民の皆さまにより便利さとくらしやすさを感じていただけるように、「デジタル改革」をさらに加速させてまいります。

    成長を促す「グリーン改革」

    3つ目の重点政策は、成長を促す「グリーン改革」であります。

    ゼロカーボンキャッスルの推進については、昨年4月に環境省から第1回脱炭素先行地域として選定を受けた「姫路城ゼロカーボンキャッスル構想」を推進するため、令和5年度から令和8年度にかけて、本市所有の遊休地に太陽光発電設備を設置し、そこで作られた電力を姫路城やその周辺の公共施設へ供給します。また、姫路城ライトアップのLED照明化を進めるとともに、姫路城周辺で運行している観光ループバスのEV化を支援します。

    市民・企業のカーボンニュートラルの推進については、地球温暖化対策に寄与する脱炭素型のまちづくりを推進するため、個人や事業者向けにEVやFCVなど、次世代自動車の導入助成制度を拡充するとともに、市民の皆さまが利用できる急速充電設備の市役所本庁舎への整備に取り組みます。また、建物・住宅の省エネ・創エネ性能を高めるZEB・ZEH化を推進するため、事業所向け太陽光発電設備や家庭用蓄電システム等の設置費を助成するほか、省エネルギー性能の高い機器や設備を設置する事業者に対して、更新費用を助成します。

    さらに、県と共同でSDGs債を発行し、脱炭素化に向けた事業を推進するための資金調達を行うとともに、本市の取り組みを広くPRします。また、温室効果ガス排出量可視化ツールを導入する事業者への助成を通じてカーボンニュートラルの啓発に努めてまいります。

    にぎわいを創出する「まちづくり改革」

    4つ目の重点政策は、にぎわいを創出する「まちづくり改革」であります。

    姫路城世界遺産登録30周年記念事業の推進については、登録30周年の節目を記念し、令和6年3月までの間、歌舞伎「平成中村座姫路城公演」や、日本最大級のお城の祭典「お城EXPO(エキスポ)」の特別版など、市を挙げて多彩な催しを展開します。

    記念事業を通じて、祝賀ムードの醸成を図るとともに、姫路城の歴史的・本質的価値を国内外にアピールすることで、観光誘客を推進してまいります。

    居心地が良く歩きたくなるまちなかづくりの推進については、中心市街地において、魅力的な空間を創り、回遊性等を向上させるため、ウォーカブル推進計画に基づき、地元自治会や事業者による公共空間の利活用を促進するとともに、駅西エリアでのリノベーションまちづくりを推進します。

    また、本市のシンボルロードである大手前通りのにぎわいを創出するため、歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)の占用主体である大手前通り街づくり協議会と連携し、エリア価値の向上を図るほか、姫路城のライトアップイベントの時期に合わせイルミネーションを点灯し、夜間の「ほこみち」の充実を図ることで、まちを華やかに彩ります。

    併せて、JR姫路駅新幹線高架橋南側側道の安全で快適な歩行空間を確保するため、無電柱化と歩道の美装化を進めます。

    「命」をたいせつにする市政

    メインテーマの第2は、「命」をたいせつにする市政であります。

    市民の皆さまのかけがえのないたいせつな「命」をしっかりと守り、生涯にわたっていきいきと健康にくらせる社会の実現に向けて、次の重点政策に取り組んでまいります。

    命を守る安全安心体制の充実

    1つ目の重点政策は、命を守る安全安心体制の充実であります。

    新型コロナウイルス感染症への対策については、国の方針に基づき、必要なワクチン接種について、引き続き自己負担なく実施するほか、夜間に体調が悪化した在宅療養者を受け入れた医療機関に対する支援を継続するなど、医療提供体制の確保に努めてまいります。

    また、感染症発生時にサービス提供を行った高齢者施設等に対して必要経費を助成するなど、引き続き、感染症対策を実施します。

    新たな感染症への対策については、感染症発生時に迅速かつ効率的に対応できるように、感染症業務全般についてデジタル化を推進するほか、市としての継続的な感染症対応体制の見直しや業務マニュアルの整備等に取り組みます。さらに、感染症等の早急な原因究明とまん延防止対策のため、地域の医療機関等との連携をさらに強化するとともに、本市におきましても、検査機器等の着実な更新や検査員の技術習得、継承に努めてまいります。また、抗菌薬の不適切な使用により、感染時に抗菌薬が効かなくなるAMRについては、昨年度、本市において開催した、WHO西太平洋地域委員会を契機に、地方公共団体で初めて「AMR対策推進のまち」を宣言し、啓発に取り組んでまいりました。引き続き、AMRの認知度向上を図るため、市民の皆さまや医療従事者の皆さまへの周知・啓発に努めてまいります。

    姫路地域強靭化の推進については、橋りょうの安全性確保と長寿命化を推進するため、計画的に点検や修繕等を実施するとともに、近年多発する豪雨等に起因する浸水被害の軽減・解消を図るため、引き続き、河川、排水ポンプ場、雨水ポンプ場等の整備を進めます。さらに、河川の状況や安全度を的確に把握し、河川・流域の状況に応じた効果的な河川整備を行うため、「河川整備計画」を策定します。

    命輝く健康福祉社会の実現

    2つ目の重点政策は、命輝く健康福祉社会の実現であります。

    医療提供体制の確保については、獨協学園姫路医療系高等教育・研究機構が、本市の地域医療に資するための研究を安定的かつ継続的に行えるように運営を支援します。併せて、同機構の高度シミュレーション機器を活用し、地域の医師の教育や研修の機会の充実を図ります。また、市内医療機関における医師の養成や確保を図るため、臨床研修医に奨励金を貸与するとともに、救急隊員が行う救命処置の質の維持、向上のため、「兵庫県立はりま姫路総合医療センター(愛称:はり姫)」において、新たに新規救命士の就業前実習や指導救命士の病院実習を実施します。さらに、南西部地域における長期的かつ安定的な医療提供体制を確保するため、医療・介護ゾーンと位置付けた製鉄記念広畑病院跡地で、新病院を開院し運営する医療法人に対し、運営経費等を助成するほか、併せて同ゾーン周辺のインフラ整備を行い、利便性の向上を図ります。

    地域福祉の充実については、認知症の方やその家族が気軽に交流・相談ができる場として、既存の認知症サロンに加え、新たに医療系の専門職が常駐する認知症カフェを設けます。また、望まない孤独・孤立を解消するため、ひきこもり状態にある方に対し、居場所づくりや関係機関による支援ネットワークの構築を進め、本人が社会参加に至るまで切れ目なく支援します。また、本市の広報媒体を利用し、フードドライブ活動の情報を発信するほか、NPO法人等と連携し、フードドライブ活動を実施するとともに、生活困窮世帯への食材配送を行います。

    介護人材の確保・定着を促進させるため、介護職員の相談体制の整備やUJIターンへの支援、介護職員等の安全確保・離職防止対策などに取り組んでまいります。

    子どもと家庭を守り支える環境の整備については、障害のある児童の放課後等デイサービスの利用日数を拡充するとともに、放課後等デイサービスやタイムケア事業所の新規開設費用を助成します。また、ヤングケアラーの早期把握に努めるとともに、個々のニーズや家庭の状況に応じた包括的な支援を推進するため、関係機関の連携を強化します。さらに、子どもを守る相談支援体制の充実も図ってまいります。

    「くらし」を豊かにする市政

    メインテーマの第3は、「くらし」を豊かにする市政であります。

    観光や地域産業の振興により、ポストコロナを見据えた経済の活性化を促すとともに、彩り豊かなくらしを実現させるため、音楽をはじめとする文化芸術に親しむ機会を提供するほか、感動と笑顔あふれる憩いの交流空間の創出に向け、次の重点政策に取り組んでまいります。

    くらしを豊かにする観光・産業の振興

    1つ目の重点政策は、くらしを豊かにする観光・産業の振興であります。

    観光資源の充実と魅力発信については、観光庁の登録DMOである姫路観光コンベンションビューローを中心に、観光産業の育成を支援するとともに、旅行会社と連携した着地型旅行商品を企画・実施するほか、姫路の食の魅力を発信してまいります。さらに、観光データを分析し、広域連携による情報発信や広報媒体の多言語対応など、インバウンドを含む観光誘客に向けたプロモーションを展開することで、戦略的・効果的な観光地域づくりを推進します。

    また、体験滞在型の特色ある観光コンテンツを充実させるため、JRグループと県等が実施する「兵庫デスティネーションキャンペーン」にあわせて、姫路城の非公開エリアを特別公開するほか、デジタル技術を活用したスタンプラリーや、コンテンツの配信も行うイベントを開催します。さらに、新たな取り組みとして、コタツに入りながら姫路城内堀を周遊する和船の冬季運航を実施します。

    スマート農林水産業の推進については、生産性向上や従事者の負担軽減、作業の効率化を図るため、ドローンや高性能機器など、農林水産業のスマート機械等の導入費用を助成します。

    また、農業分野のデジタル人材育成を推進するため、小中学生や障害のある方を対象に、農業ロボットを利用した農業体験を行うほか、全国の高校生や大学生等が農業のスマート化に関するアイデアやビジネスモデルを競う「アグリテック甲子園」を開催します。

    活気に満ちた商工業の振興については、播磨地域における地場産品の販路拡大を支援するため、令和7年開催の大阪・関西万博を見据え、国内外でのプロモーションを展開します。

    また、姫路商工会議所と連携し、引き続き、各種セミナーの開催や、ワンストップ相談窓口の設置により、起業に興味がある方や、起業したばかりの方をサポートするほか、スモールオフィスやコワーキングスペースを備えた「起業プラザひょうご姫路」を県と共同で運営するなど、きめ細かな起業・創業支援を充実させます。

    さらに、新産業の創出を促進するため、水素等を活用した製品の実用化に向けた研究・開発や高度なITを活用し今後成長が見込める事業に取り組む事業者に対して支援を行ってまいります。

    くらしを充実させるスポーツ・文化の振興

    2つ目の重点政策は、くらしを充実させるスポーツ・文化の振興であります。

    手柄山中央公園の再整備については、「手柄山中央公園整備基本計画」に基づき、令和8年度中の供用開始に向け、引き続き、第1期整備に取り組んでまいります。

    令和5年度は、本市の新たなスポーツの拠点として、国際大会、プロスポーツ等の大規模大会の開催も可能な新体育館や、屋内競技用プール等の整備工事に着手するほか、インクルーシブ遊具を備えた東エントランス広場を整備します。

    さらに、老朽化の進んでいるロックガーデン周辺の改修を行うとともに、山陽電鉄手柄駅から陸上競技場や中央体育館等へつながる都市計画道路手柄山線の歩道を、安全で快適な歩行空間として整備します。

    文化芸術の振興については、「音楽のまち・ひめじ」プロジェクトを推進するため、アクリエひめじに世界的音楽家を迎え、ル・ポン国際音楽祭を開催するほか、播磨にゆかりのある吹奏楽メンバーによる播磨国(はりまのくに)吹奏楽団演奏会の開催や、姫路市ジュニアオーケストラの運営を支援するなど、市民の皆さまが多様な音楽に親しめる機会の充実を図ります。

    また、新たな視点から本市の文化資源の価値を創出するため、著名なアーティストを招聘し、姫路城や書写山圓教寺等を舞台とした「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」を開催します。

    都市の価値を高める基盤整備の推進

    3つ目の重点政策は、都市の価値を高める基盤整備の推進であります。

    交通・物流機能の強化については、播磨臨海地域道路の早期整備を目指し、国の本線ルート計画案を踏まえ、都市計画決定を見据えたアクセス道路等の検討を行います。

    また、姫路港広畑地区及び網干地区における港湾の一体的な早期整備に向け、国・県と共に取り組んでまいります。

    さらに、全国屈指のものづくり拠点である播磨臨海地域において、2050年の二酸化炭素の排出量実質ゼロの達成に向け、関係機関と連携し、カーボンニュートラルポートの形成に取り組みます。

    公共交通等の利便性向上については、手柄山中央公園の第1期整備が完了する令和8年春の開業に向け、公園北側に手柄山JR新駅の整備を進めるほか、JR英賀保駅の北改札口と自由通路、山陽電鉄夢前川駅のバリアフリー化、駅南側ロータリー及び周辺道路の整備に取り組みます。併せて、脱炭素化に向け、公共交通機関の利用を促進するとともに、誰もが安全かつ快適に鉄道を利用できるように、JR京口駅や仁豊野駅、山陽電鉄的形駅、西飾磨駅についても、バリアフリー化に取り組んでまいります。

    また、シェアサイクル「姫ちゃり」のさらなる利用促進に向け、スマートロック式の貸出システムを導入し、利便性向上を図ります。

    「一生」に寄り添う市政

    メインテーマの第4は、「一生」に寄り添う市政であります。

    多世代の地域への参画を促進し、新たな交流を創出するとともに、本市の特性を活かした地域の活性化を推進することで、市域全体の魅力を向上させるため、次の重点政策に取り組んでまいります。

    躍動する地域づくりの推進

    1つ目の重点政策は、躍動する地域づくりの推進であります。

    地域活動の充実支援については、市立公民館全館にWi-Fi環境を整備し、デジタル化を推進することで利便性の向上を図り、公民館を中心とした地域コミュニティの活性化を目指します。

    また、地域活動の活性化を支援するため、地区連合自治会が設置する校区集会所の新設・増改修に対する助成率と上限額を拡充します。

    ひめじ創生の推進については、本市郊外部への若者世帯の移住・定住を促進するため、移住者の住居や引越しにかかる費用を助成するほか、市街化調整区域内の特別指定区域に居住するために取得した空き家を建て替える際の除却費を助成します。

    また、はやしだ交流センター「ゆたりん」等での子育て世帯に地域の魅力をPRするためのイベントの開催や、農地を取得した移住者等に対する栽培技術習得の支援など、移住・定住支援に関する取り組みを幅広く展開してまいります。

    ふるさと納税の新たな取り組みとして、姫路城への愛着や保存・継承の機運を高めるため、寄附金額に応じた累積ポイントにより、姫路城にちなんだ称号や記念品を進呈します。また、市民アプリ「ひめパス」を活用し、市民の皆さまも同様に参加できる新たなポイント制度の仕組みを構築します。

    播磨圏域連携中枢都市圏が、人口減少社会においても、活力ある社会経済を維持するための拠点となることを目指し、圏域全体の経済の活性化と魅力の向上を図るとともに、住民が安心して快適にくらすことができる圏域づくりを推進します。

    加えて、市内の私立大学における学術研究や特色ある教育を促進するため、教育研究経費等を助成し、高等教育の振興を図ります。

    安心して一生くらせる社会の実現

    2つ目の重点政策は、安心して一生くらせる社会の実現であります。

    循環型社会の形成については、ごみの資源化や食品ロス削減への意識を醸成するため、市内のこども園、幼稚園等にごみ収集車を派遣し、ごみの分別や積込等の体験型環境学習を行うとともに、フードドライブを実施するほか、市内の高校生と共に作成した啓発動画を、街頭ビジョン等で放映します。

    また、市川美化センターの後継施設として、令和14年度の稼働開始を目指し、カーボンニュートラルにつながる最先端の機能を備えるとともに、地域の魅力や価値の向上にも資する、新たなごみ処理施設の整備に向けた取り組みを促進します。

    おわりに

    以上、LIFEに関わる4つのメインテーマと、それらを推し進めるための11の重点政策について、リーディングプロジェクトを中心にご説明を申し上げました。

    私は、姫路でくらし、学び、働く全ての市民の皆さまに、未来に向けて希望に満ちた毎日を過ごしていただきたいとの想いで市政に取り組んでまいりました。しかし、その想いとは裏腹に、コロナ禍により、皆さまに行動制限をお願いすることも幾度となくありました。修学旅行や運動会で友人とたくさんの色褪せない思い出を作ってもらいたかった。秋祭り等を通じて、家族や地域の方々と心を通わせ、絆を深めてもらいたかった。市民の皆さまお一人おひとりに、かけがえのない毎日をたいせつな人と共に、いきいきと過ごしてもらいたかった。これらの失われた日々を思い返すと哀惜の念に堪えませんが、「コロナとの闘いの日々を、単なる失われた時間にしてはいけない」、その想いのもと、私は市長として、さまざまな取り組みを進めてまいりました。

    切れ目のない子育て支援や多様な人材の活躍を推進する「ひとづくり改革」、デジタル技術で生活の利便性を向上させる「デジタル改革」、地球温暖化への対策とともに、大規模投資や新たな産業の創出を喚起する「グリーン改革」、そして、にぎわい創出によりまちにゆとりと潤いをもたらす「まちづくり改革」。

    コロナ禍で浮き彫りになった社会の脆弱性を克服し、コロナ禍がもたらしたパラダイムシフトに即応していくためには、私がこれまで取り組んできたこれらの改革を、より一層強く推進していくことが、必要不可欠です。子どもたちが、将来、コロナ禍を振り返った時、「多くの不自由があったけれど、それでも、あの時期のさまざまな取り組みが実を結び、今に活かされている。」と、胸を張り、誇りを持って生きていける社会を築き上げていくことが、時代の転換点に立つ、私たち大人に課せられた責任ではないでしょうか。今こそ、ポストコロナ時代に向けて未来を切り拓き、活力ある姫路の創生に向けて、力強く歩みを進めていかなければなりません。

    「人に熱と誠があれば何事も達成する。世の中は決して行き詰まらぬ。もし、行き詰まったとしたら、それは人に熱と誠がないからだ。」

    伝染病から人々の命を守ることを自らの使命と定め、数々の困難に対しても不撓(ふとう)不屈(ふくつ)の精神で研究に打ち込むことにより、当時不可能と言われた破傷風菌の純粋培養に世界で初めて成功し、さらに破傷風の血清療法を考案した「日本近代医学の父」、北里(きたさと)柴三郎(しばさぶろう)の言葉です。

    新型コロナウイルスによる生活様式の変化、ウクライナ情勢等による物価高騰、円相場の急激な動きなど、社会や経済を取り巻く情勢は目まぐるしく変化し、先を見通すことは非常に困難であります。だからこそ、私は、尽きることのない情熱を持ち、市民の皆さまの想いにしっかりと向き合い、全身全霊で、市政運営に取り組んでまいります。市民の皆さま、議員の皆さまと一丸となって、この難局を乗り越えた先には、これまでの取り組みが実を結び、いかなる逆境にも負けない、しなやかさとバイタリティに溢れた姫路の未来がある。私はそう強く信じております。

    本年は姫路城が世界遺産登録30周年を迎える節目の年です。そのプレイベントとして、今月26日には4年ぶりに世界遺産姫路城マラソンを開催します。本格的なポストコロナ時代の到来を見据え、姫路の空に高らかに鳴り響くスタートの号砲を、輝かしい姫路の未来に向けた反転攻勢へと転じる再始動の合図として、共に力強く、そして着実に進んでまいりましょう。

    市民の皆さま並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和5年度の所信表明といたします。

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