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    市長所信表明(令和4年度)

    • 公開日:2022年2月21日
    • 更新日:2022年2月21日
    • ID:20155

    令和4年第1回市議会定例会の冒頭において、市長が市政運営に当たっての基本方針を説明しました。

    清元市長の所信表明演説の様子(1)
    清元市長の所信表明演説の様子(2)

    所信表明全文

    はじめに

    令和4年度予算案並びにこれに関する諸議案のご審議をお願いするに当たり、市政の基本方針と施策の大要を申し上げ、姫路市民の皆さま並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

    先人から受け継いだ「ふるさと・ひめじ」を未来に引き継ぐべく、令和という新しい時代の最初の姫路市長に就任した私は、市民の皆さまの3つのLIFE、「命」「一生」「くらし」を守り、支えることを使命と定め、人にやさしく、人をたいせつにする市政を推進してまいりました。

    令和2年に入り、世界的災害ともいえる新型コロナウイルスとの長い闘いが幕を開けました。

    市民の命を守ることを第一に、在宅療養者への手厚い訪問ケアのほか、コロナ専用病床を開設し、その運用に不可欠な医療人材を全国から確保するとともに、軽症者から重症者までに対応した医療ユニットを整備するなど、患者に寄り添った対策を迅速に講じてまいりました。

    また、こうした感染対策と併せて、市民や事業者のくらしを支えるため、国の支援制度に加えて、新生児等への給付金の支給や、中小事業者への家賃支援やデジタル化支援のほか、プレミアム商品券の発行等による消費喚起や非接触環境の推進など、独自にさまざまな緊急経済対策を実施してまいりました。

    さらに、ワクチン接種につきましても、「姫路の未来を守るプロジェクト」として、妊婦や大学受験生等への優先接種や姫路駅前での集団接種会場の設置などにより、市内接種対象者の8割以上の方が2回のワクチン接種を終えることができました。これまでの市民の皆さま、医療従事者の皆さまの献身的なご協力に深く感謝申し上げます。本市といたしましても、希望者への3回目のワクチン接種をしっかりと進めるとともに、必要な対策を果断に実行し、全力で市民生活を守ってまいる所存であります。

    今年こそ、私たちは新しい生活様式の下、本格的に社会経済活動をコロナ禍以前の状態に戻していかなければなりません。

    姫路でくらす全ての市民の皆さまが、未来への夢と希望を抱き、まちへの誇り、シビックプライドを持って、「このまちでくらして良かった、これからもこのまちに住み続けたい」と心から思っていただけるよう、ここに本市が取り組む施策のビジョンをお示しします。

    コロナ禍においては、全国的に婚姻数と出生数の減少に拍車が掛かっています。子どもは社会の宝であり、地域の活力の源です。子どもを生み育てたいと思われる方が、子どもを持つことをためらう社会であってはなりません。たとえ「少子化対策に特効薬はない」と言われようとも、本市は真摯(しんし)に、そして愚直なまでに、子どもたちへの支援、未来を育てる「ひとづくり改革」に取り組んでまいります。

    また、コロナ禍をきっかけに、デジタル化の重要性が改めて認識されました。デジタル化そのものは目的ではなく、市民や事業者の皆さまの利便性向上や、さまざまな地域課題の解決を図るツールとして推し進めていくことが肝要です。本市は誰一人取り残すことなく、姫路に住む全ての方が便利さとくらしやすさを実感できるよう、生活の質を高める「デジタル改革」を加速してまいります。

    デジタル化と併せて世界的に急務となっているのが、深刻化する地球温暖化への対策を進める「グリーン化」です。本市は国の「2050年カーボンニュートラル」の方針を受け、昨年2月、「ゼロカーボンシティ」を宣言いたしました。環境問題への対応は、これまで化石燃料に頼ってきた経済構造の大転換を意味しますが、これは必ずしも経済活動への足枷(あしかせ)ではなく、成長に向けた絶好の機会でもあります。本市もこの潮流を的確に捉え、環境と経済の好循環を成功に導くため、成長を促す「グリーン改革」を率先してまいります。

    これらの改革を進めるには、10年、20年先の未来を見据え、生活や産業を支えるインフラ(社会基盤)を整備し、まちの機能や魅力を向上させることが重要です。道路や河川、まちなみなどのハード整備を着実に進めつつ、地域を豊かにするにぎわい空間の創出といったソフト面にも力を注ぎ、毎日の生活を安全安心に、楽しく過ごすことができるよう、本市は発展を支える「まちづくり改革」を推進してまいります。

    これらの施策の実行にあたり、コロナ禍の影響等による厳しい財政状況下で必要な財源を捻出するには、徹底した行財政改革が不可欠であります。令和4年度予算編成においては、令和3年度2月補正予算と一体的に編成するとともに、目的や効果の薄れた事業の廃止・見直しを行い、真に必要な施策に予算を集中配分いたしました。

    具体的には、先に述べた「ひとづくり」「デジタル」「グリーン」「まちづくり」の4つの「改革」を、夢と希望に満ちた本市の未来を築くための「投資」として、「命」「一生」「くらし」に関わる3つのメインテーマに跨(またが)る「最優先課題」と位置付けました。その上で、テーマごとに7つの「重点施策」を設け、総合計画「ふるさと・ひめじプラン2030」の目指す都市像「ともに生き ともに輝く にぎわい交流拠点都市 姫路」の実現に向け、力強く市政を推進してまいります。

    そのため、令和4年度予算につきましては、コロナ禍を契機とした社会の変革を、成長を生み出す機会と捉え、未来に向けて堅実かつ大胆に一歩を踏み出す、いわば「コロナ克服・未来投資予算」としております。

    その結果、各会計予算は、

    • 一般会計 2,178億円
    • 特別会計(7会計) 1,109億円
    • 企業会計(3会計) 588億円

    総額 3,875億円となっております。

    本年は、予算編成への私の想いを、より明確に皆さまにお伝えするため、主要な事業のうち、先に述べた4つの最優先課題及び7つの重点施策に掲げる、特に象徴的、先導的な施策を「リーディングプロジェクト」と銘打ち、本プロジェクトを中心に順次、ご説明申し上げます。

    LIFE「命」「一生」「くらし」を守り、支える - LIFEに跨る4つの最優先課題 -

    令和4年度においても、引き続き、市民の皆さまの「命」「一生」「くらし」をメインテーマに掲げ、これら3つのLIFEを守り、支え続けるため、集中的に取り組むべき課題として、4つの最優先課題を設け、本市独自の施策を展開してまいります。

    未来を育てる「ひとづくり改革」

    1つ目の最優先課題は、未来を育てる「ひとづくり改革」であります。

    誕生から子育て世代に至るまでのライフステージに応じた連続的な支援を充実させ、安心して子どもを生み育てられる環境を整えるため、主に次の施策に取り組んでまいります。

    出会いから結婚、妊娠・出産期の支援については、結婚適齢期の世代の出会いサポートをはじめ、結婚、妊娠、出産・育児に至るまで、切れ目のない総合的な支援に取り組みます。

    中学生等の若い世代に対し、結婚・出産などの将来のライフイベントに関する知識や情報を得るための、セミナーやワークショップを開催し、自身のライフプランについて考える機会を提供します。いわゆる「恋活・婚活」世代の出会いを応援するため、「ひょうご出会いサポートセンター」への会員登録や婚活イベントへの参加を、費用面から支援してまいります。

    子どもが生まれる前後の妊産婦に対して、妊婦健康診査費を助成するほか、双子以上の妊婦には助成金を最大1万5千円加算します。また、市民として生まれた赤ちゃんへのお祝いとして、赤ちゃんのマイナンバーカードを活用して、民間キャッシュレス決済サービスで利用できる「ひめじポイント」5千円相当を付与します。さらに、赤ちゃんの誕生でお子さんが3人以上となる多子世帯に対しては、1世帯あたり最大4万5千円相当のポイントを別途付与し、経済的負担の軽減を図ります。

    産後の母子や子どもの成長をサポートするため、令和5年度の開設に向け、思春期保健及び母子保健の包括的支援拠点となる「(仮称)母子健康支援センター(愛称:みらいえ)」の整備に着手するほか、思春期世代や子育て世代の方が気軽に利用できるオンライン相談を導入します。

    学齢期からの支援については、学齢期の子どもたちをはじめ、幅広い世代に良質な学校環境と教育機会を提供します。

    南部学校給食センターの本格稼働により、全ての市立中学校・義務教育学校で全員給食を実施できるようになったことを踏まえ、特に多子世帯の負担を軽減するため、本年4月から、市立小中学校、義務教育学校、特別支援学校において、第3子以降の給食費を無償化します。

    また、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した人、本国において義務教育を修了していない外国籍の人、不登校などさまざまな事情により十分な教育を受けられないまま卒業した人に対し、播磨地域で義務教育を受ける機会を実質的に保障するため、県内4校目となる夜間中学「姫路市立あかつき中学校」の令和5年4月開校を目指して、準備を進めます。

    生活の質を高める「デジタル改革」

    2つ目の最優先課題は、生活の質を高める「デジタル改革」であります。

    市役所のデジタル化、地域社会のデジタル化、マイナンバーカードの普及・利用促進を一体的に進め、市民や事業者の皆さまの利便性向上と地域課題の解決につなげるため、主に次の施策に取り組んでまいります。

    行政のデジタル化の加速については、行政手続のオンライン化・キャッシュレス化など市役所のデジタル化を進め、行政手続における市民の利便性向上と市役所業務の効率化を図ります。

    本市が独自に運用している「姫路市オンライン手続ポータルサイト」に窓口予約機能、電子交付機能を追加するとともに、障害のある方の軽自動車税減免の継続や、放課後児童クラブの利用内容の変更などについて、新たにオンライン申請に対応するほか、戸籍証明、税務証明等のオンラインで申請可能な証明書の種類を増やします。また、保健所や医師会館等の集団検診会場における各種がん検診料の支払いについて、電子マネー決済に対応します。

    市役所本庁までの移動が困難な人の負担を軽減するため、本庁と一部出先機関を専用端末で結び、本庁職員とのオンライン相談やオンライン申請を可能にする遠隔行政窓口を設置します。また、デジタルメディアの特性を効果的に活用し、市政情報の発信力をさらに強化してまいります。

    さらに、新しい生活様式への対応として、スマートフォンやタブレット端末などから本が読める電子書籍の貸出サービスを行う「電子図書館」を開始します。併せて、マイナンバーカード利用者には図書の貸出上限冊数を増やすなどの特典を設けます。

    マイナンバーカードの普及・利用促進については、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードの普及と多目的利用を促進し、市民生活の利便性向上を図ります。

    市内の大学、企業、自治会等へ出向き、出張申請受付サービスを実施するほか、休日にも交付窓口を設置し、マイナンバーカードの取得機会の拡充を図ります。マイナンバーカードを活用したひめじポイント制度については、より広い層の市民が参加できるよう、ポイント付与対象を道路損傷箇所通報者や公共施設利用者等にも拡充します。また、どんぐりカードや図書館カードなどの各種市民カードのマイナンバーカードへの一体化や健康保険証としての利用を促進します。さらに、マイナンバーカード認証を行い、各種市民カードを「ひめじポイントアプリ」に登録して利用できるようにするなど、利便性向上を図ってまいります。

    成長を促す「グリーン改革」

    3つ目の最優先課題は、成長を促す「グリーン改革」であります。

    世界的な地球温暖化対策への潮流を経済成長のチャンスと捉え、個人や企業、市役所のグリーン化を推進するため、主に次の施策に取り組んでまいります。

    ゼロカーボンシティの推進については、2050年までの二酸化炭素の実質排出ゼロを目指し、姫路市域のグリーン化に取り組みます。

    ゼロカーボンシティのシンボルとして、姫路城のゼロカーボン化、「ゼロカーボンキャッスル」を推進し、城内で使用する高圧電力の再生可能エネルギー100%への切り替えや、ライトアップのLED照明化、管理事務所が使用する公用車のEV(電気自動車)への更新を行ってまいります。

    また、カーボンニュートラルを推進するため、市民や企業向けに、地球温暖化対策や省エネ、脱炭素化等について普及啓発するほか、EVや水素で走るFCV(燃料電池自動車)の普及を促進するため、購入費の一部を助成します。また、建物・住宅の省エネ・創エネ性能を高めるZEB(ゼブ)・ZEH(ゼッチ)化を推進するため、事業所向け太陽光発電設備や家庭用蓄電システム等の設置費の一部を助成します。

    発展を支える「まちづくり改革」

    4つ目の最優先課題は、発展を支える「まちづくり改革」であります。

    公共空間の利活用や、スポーツ・文化の拠点整備などにより、人が集い、にぎわう仕組みや機会を創出するとともに、広域交通網の整備を着実に進め、ものづくり産業の国際競争力や防災・減災機能の向上を図るため、主に次の施策に取り組んでまいります。

    にぎわいと感動にあふれるまちづくりについては、MICE(マイス)や文化芸術等を通じて人が交流し、居心地が良く活気に満ちたまちを創造します。

    姫路駅周辺のにぎわいを創出するため、公募により選定された「歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)」の占用主体と沿道事業者が連携しながら、民間主導による大手前通りの魅力とエリア価値を高めていくための取り組みを促進します。また、中心市街地において、地元主体の公共空間利活用やリノベーションまちづくりを推進し、居心地が良く歩きたくなる、ウォーカブルなまちなかの形成を進めてまいります。さらに、JR姫路駅新幹線高架橋南側の側道の無電柱化と歩道美装化を進め、安全で快適な歩行者空間を確保します。

    昨年9月にグランドオープンしたアクリエひめじでは、オープニングシリーズの重点実施期間に位置付ける本年の取り組みとして、開館1周年記念事業のほか、芸術性の高い舞台公演や有名アーティストのコンサートなど、多彩な催しを開催します。さらに、令和5年に日本での開催が予定されているG7サミット(主要国首脳会議)の関係閣僚会合の開催都市に名乗りを上げており、今後、誘致活動を強化してまいります。このような国際会議や学術会議などの本市への誘致活動を積極的に展開するとともに、開催を通じた新たなビジネス機会の創出と地域経済の活性化を図ってまいります。

    ひめじ創生SDGs(エスディージーズ)の推進については、SDGs未来都市として、グローカル人材の育成とグリーン化によるSDGsを推進します。

    企業と学校が連携した環境学習の推進や、グリーンをテーマにした高校生と海外在住者との意見交換会などを通じて、SDGsマインドを持ったグローカル人材を育成し、国際的な意識と脱炭素型のライフスタイルを身に付けた若者が、住み慣れた地域で活躍するまちを目指してまいります。

    また、市内企業のSDGsに対する取り組みを応援するため、「SDGs宣言」制度の普及促進を行うほか、姫路商工会議所創立100周年を記念した大規模展示会「Himeji SDGs EXPO(エキスポ)2022」の開催への支援などを行います。

    新県立病院の開院については、本年5月に開院する兵庫県立はりま姫路総合医療センター(愛称:はり姫(ひめ))を中心とした、医療提供体制や救命救急体制の整備を進めます。

    同病院の教育研修棟に開設される獨協学園姫路医療系高等教育・研究機構の円滑な運営に向け、建物使用料の一部を支援するほか、地元医師の教育・研修機会の充実を図るため、市が購入助成した、同機構のVR(仮想現実)内視鏡シミュレーターの活用を図ります。

    併せて、姫路地域における医療人材を育成、確保するため、臨床研修医への奨励金貸与の募集定員を拡大するほか、姫路市医師会看護専門学校の運営費を助成します。さらに、新県立病院などで実施する救急ワークステーションに救急救命士を派遣し、病院実習を行うことで、救命処置の質の維持向上に努めてまいります。

    手柄山中央公園の再整備については、感動と笑顔あふれる憩いの交流空間の創出に向け、手柄山中央公園の再整備を進めます。

    「手柄山中央公園整備基本計画」に基づき、令和8年度中の完了に向け、引き続き、第1期整備に取り組んでまいります。主な施設として、国際大会やプロスポーツなどにも対応できる規模と機能を有する新体育館と、全天候型屋内競技用プールや流れるプールを備えた新市民プールの整備を進めます。併せて、東エントランス広場を整備するとともに、山陽電鉄手柄駅からの安全かつ快適な歩行者空間を確保するため、陸上競技場や中央体育館等へつながる手柄山線の歩道を整備します。

    広域交通網の整備については、基幹道路ネットワークをはじめとする広域交通網の構築に向けた取り組みを推進します。

    播磨臨海地域道路の早期整備に向け、国による本線ルート及び構造等の検討に合わせ、都市計画決定を見据えたアクセス道路等の検討を引き続き進めます。姫路港においては、国の国際物流ターミナル整備事業として新規採択された、姫路港広畑地区及び網干地区における港湾施設の一体的な整備の促進に、関係機関と共に取り組んでまいります。

    LIFE「命」「一生」「くらし」を守り、支える - 3つのメインテーマと7つの重点施策 -

    ここまで申し上げた4つの最優先課題に集中的に取り組むとともに、3つのLIFEそれぞれを守り、支えるための7つの重点施策を進めてまいります。

    「命」をたいせつにする市政

    メインテーマの第1は、「命」をたいせつにする市政であります。

    市民の皆さまのかけがえのないたいせつな「命」をしっかりと守り、生涯にわたって健康に過ごせる社会の実現に向けて、主に次の重点施策に取り組んでまいります。


    命を守る安全安心体制の充実

    1つ目の重点施策は、「命を守る安全安心体制の充実」であります。

    新型コロナウイルス感染症と新たな感染症への対策については、新型コロナウイルス感染症をはじめ、新たな感染症の発生に備え、対策を進めます。

    新型コロナウイルスへの免疫を高めるため、希望者へのワクチン3回目接種を、できる限り前倒しで実施してまいります。妊婦とそのパートナー、高齢者施設等への新規入所者及び新規採用職員を対象とした無償PCR検査を継続し、感染再拡大やクラスター発生の抑止に努めるとともに、軽症者から重症者まで対応できる医療提供体制を堅持します。感染爆発時、病床が逼迫(ひっぱく)した場合でも、在宅療養者の重症化予防にしっかりと取り組み、医療崩壊を回避してまいります。

    新型コロナウイルスのパンデミックを教訓に、今後、新興・再興感染症が発生した場合に備えて、国や県の動向を踏まえながら、感染防護具や検査試薬等について、平常時から計画的な購入・備蓄を行います。

    そのほか、抗菌薬の不適切な使用により、感染時に抗菌薬が効かなくなるAMR(薬剤耐性)への警鐘を鳴らすべく、「AMR対策推進のまち」を宣言し、市民の皆さまや医療従事者の皆さまへの周知・啓発に努めてまいります。

    地域医療提供体制の充実については、市民の命を守るため、医療機能の連携と提供体制の強化を図ります。

    日常的な診療を担うかかりつけ医から、検査・入院治療を行う病院、高度な治療や救命救急を担う病院まで、各医療機関が役割に応じた機能を最大限に発揮できるよう、連携強化を図ります。

    また、製鉄記念広畑病院閉院後の跡地を医療・介護ゾーンと位置付け、同ゾーンで後医療を担う医療機関の開設・運営に対して支援を行うとともに、周辺道路や下水道等のインフラ整備を実施し、利便性向上を図ってまいります。また、同ゾーンに整備される介護施設の建設費を助成します。

    命輝く健康福祉社会の実現

    2つ目の重点施策は、「命輝く健康福祉社会の実現」であります。

    生涯にわたり健康に過ごせる社会の実現については、シニア世代が健康づくりや生きがいづくりに取り組んでいただける環境を提供します。

    高齢者に運動習慣を身に付けてもらう取り組みとして、科学的な知見に基づいた健康プログラムを作成し、健康講座等での活用を図ってまいります。

    また、老朽化した家島老人福祉センターを、省エネ性能やWi-Fi環境が整ったフリースペースを備えた「(仮称)家島交流センター」として移転・再整備し、高齢者の健康増進、生きがいづくりを促進するとともに、コミュニティバスの停留所を併設し、住民や観光客などが気軽に立ち寄れる、多様な世代の交流拠点を目指します。

    誰もがいきいきと生きられる社会の実現については、介護サービスを支える人材を確保・育成するとともに、高齢者、障害児・障害者への支援を充実させます。

    不足している介護職員の確保・定着促進対策として、引き続き、UJIターン就職した介護職員等の転入に伴う初期費用への助成や、介護事業所におけるインターンシップの機会提供などを実施します。そのほか、介護職員のキャリアアップ支援やハラスメント対策など、介護現場の環境改善に取り組みます。

    また、医療的ケアが日常的に必要な子どもたちの教育・保育を支える環境を支援するとともに、放課後等デイサービス・タイムケアの事業者に対する支援を拡充し、障害のある子どもやその保護者へのサービスの向上を図るほか、成年後見制度が利用しやすくなるよう、後見人への報酬助成の対象を拡充するなど、障害者・高齢者に優しいまちづくりを進めてまいります。

    「一生」に寄り添う市政

    メインテーマの第2は、「一生」に寄り添う市政であります。

    地域の特性に応じた取り組みを進めることにより、市域全体の魅力を向上させるとともに、市民が将来にわたり安心してくらせるまちづくりを進めるため、主に次の重点施策に取り組んでまいります。


    躍動する地域づくりの推進

    1つ目の重点施策は、「躍動する地域づくりの推進」であります。

    周辺地域の活性化の推進については、各地域の特性に応じた活性化を推進します。

     「(仮称)道の駅姫路」の整備については、令和8年度の花田インター北東付近への開駅を目指し、令和3年度中に策定する基本計画の下、整備に向けて現況測量と基本設計等を進めます。

    また、野生動物による農業被害等を軽減するため、有害鳥獣捕獲従事者の確保・育成を推進します。さらに、北部農山村地域の活性化に向け、地域の拠点整備の検討や地域おこし協力隊の活用、地域資源のブランディング等を進めてまいります。


    安心して一生くらせる社会の実現

    2つ目の重点施策は、「安心して一生くらせる社会の実現」であります。

    姫路地域強靭化の推進については、公共インフラの計画的な整備により、災害に強いまちづくりを進めます。

    早期に老朽化等への対策が必要な公共建築物、橋りょう等の道路施設のほか、水道施設、下水道施設等の長寿命化及び耐震化を図るため、点検等に基づく修繕や更新等を計画的に実施し、予防保全型のインフラメンテナンスへの転換を推進します。

    また、近年多発する豪雨等による浸水被害の軽減を図るため、河川をはじめ、雨水管や雨水ポンプ場等の整備に取り組みます。

    さらに、災害等による停電への対応力を強化するため、水道施設への非常用自家発電設備の整備に取り組んでまいります。

    「くらし」を豊かにする市政

    メインテーマの第3は、「くらし」を豊かにする市政であります。

    観光や地域産業の振興により、アフターコロナを見据えた経済の活性化を促すとともに、くらしを充実させるスポーツに親しむ機会を提供するほか、くらしの利便性に直結する駅周辺を中心としたインフラ整備を推進するため、主に次の重点施策に取り組んでまいります。


    くらしを豊かにする観光・産業の振興

    1つ目の重点施策は、「くらしを豊かにする観光・産業の振興」であります。

    アフターコロナを見据えた観光戦略の展開については、効果的なプロモーションによる誘客推進に取り組みます。

    登録DMOとなった姫路観光コンベンションビューローを中心に、国や県、関係機関等と連携しながら、戦略的・効果的な観光地域づくりを推進し、国内はもとより、中長期的に海外も含めた誘客の促進を図ります。また、令和5年に世界遺産登録30周年を迎える姫路城において、プレイベントとしてLED照明を活用したイルミネーションイベントを開催します。さらに、姫路ゆかりの千姫を主人公とした大河ドラマの実現を目指し、関連イベントを開催するほか、千姫を活用したプロモーションを推進してまいります。

    地域産業の活力増進については、多様な地域資源を活かした産業の活性化に向けて取り組みます。

    農業の振興では、県と連携し、農業経営の法人化等に取り組む生産者に対し、スマート農業機械等の整備にかかる費用を最大400万円補助するほか、データ活用による効率化等、農業経営の多角化・高度化を支援します。水産業の振興では、小学生を対象に、専用の漁業体験見学船を活用した漁場での環境学習などを実施し、漁業への理解と関心を深めてもらうとともに、地元の食文化の継承と将来にわたる安定した魚食普及を目指します。

    ブランド化の推進として、姫路産の旬の農水産物を生産者が自ら紹介する動画を制作、配信し、消費者と顔の見える関係性を構築することで、販路拡大を図るとともに、地元消費者の「地消」を喚起するため、新たに「農林水産フェア」を実施します。併せて、地場産品のブランド化を進めるため、播磨地域の特色である「醸造」に着目した「醸(かも)す 造る 播磨」プロジェクトに取り組むほか、学生と連携し、地場産業・地場産品のイメージアップや国内外での販路拡大を図ってまいります。

    また、アフターコロナを見据えた本市中小企業のさらなる発展に向け、デジタル機器等を活用した生産性向上の取り組みやビジネスモデルの変革など、中小企業等のデジタル化を支援するほか、プレミアム付きデジタル商品券等の発行により、市民生活へのデジタル化の浸透を図るとともに、購買意欲を刺激し、需要拡大による地域経済の活性化を促進してまいります。


    くらしを充実させるスポーツ・文化の振興

    2つ目の重点施策は、「くらしを充実させるスポーツ・文化の振興」であります。

    「する」「みる」「ささえる」スポーツの推進については、市民の健康とくらしを充実させるため、多様な形でのスポーツ参画人口の拡大を図ります。

    野球を楽しむ空間として幅広い世代から愛されている姫路球場について、夏季の熱中症対策をはじめ、トップアスリートが集結するプロ野球や全国規模の大会などの誘致のため、令和5年度中の完成を目指して、ナイター照明等の設置に向けた実施設計を行います。

    また、市内でスポーツをしている小中学生やその指導者、障害者、高齢者を対象として、専門家やアスリートによる、スポーツ医学に関する講演会やシンポジウム等を開催します。 

    世界遺産姫路城マラソンをより魅力的な大会とするため、募集定員の拡大やふるさと納税を活用したランナー特別枠の設置を行うほか、招待選手などトップアスリートの招致により、競技性の向上を図ってまいります。

    さらに、ペタンクやポールウォーキングをはじめ、東京2020パラリンピック競技大会で実施され、認知度が高まったボッチャなど、子どもから高齢者まで、障害の有無を問わず、誰もが参加しやすいニュースポーツの普及に取り組み、スポーツ人口の増加につなげます。


    都市の価値を高める基盤整備の推進

    3つ目の重点施策は、「都市の価値を高める基盤整備の推進」であります。

    公共施設・インフラ等の計画的な保全・整備については、交通結節点となる駅周辺の整備を推進し、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを進めます。

    手柄山中央公園の第1期再整備が完了する令和8年春の開業に向けた手柄山JR新駅の整備や、JR英賀保駅の北改札口新設及び自由通路の整備に着手するほか、製鉄記念広畑病院閉院後の医療・介護ゾーンの整備に向け、山陽電鉄夢前川駅のバリアフリー化、駅南側ロータリー及び周辺道路の整備に取り組んでまいります。

    おわりに

    以上、LIFEに跨る、4つの最優先課題と、LIFEを守り、支えるための7つの重点施策について、リーディングプロジェクトを中心にご説明を申し上げました。

    コロナ禍によって、多くのかけがえのない命が失われました。また、感染拡大防止のため、施設入所者などへの面会制限やふるさとへの帰省自粛を余儀なくされ、たいせつな人に会えない時間が増えました。それは本当につらく、悲しいことです。多くの人が、いつ終わるとも知れない感染症との闘いに、やり場のない思いを抱えています。

    だからこそ私は、こうした状況を打破し、市民の皆さまの未来に希望の灯(ひ)をともしたい。

    「財を遺(のこ)すは下(げ)、事業を遺すは中(ちゅう)、人を遺すは上(じょう)なり。されど財無くんば事業保ち難(がた)く、事業無くんば人育ち難し。」

    医師・政治家であり、空前の大規模検疫の断行により、伝染病から国民を守り、帝都復興事業により、関東大震災から首都をよみがえらせた後藤新平が、亡くなる間際に遺した言葉として伝えられています。

    厳しい時代にあっても、姫路が将来にわたって魅力あるまちとして存続、発展していくためには、健全な財政を維持することも、大規模な事業を推進することも必要ではありますが、何よりも、姫路の未来を支える人を育て、先人の遺産を引き継ぎ、発展させていくことがたいせつです。

    未来を担う子どもたちはもちろん、年齢や性別、障害の有無を問わず、あらゆる人が自分らしく豊かな人生を送り、活躍することができる土壌を築き上げること。今こそ、こうした「ひとづくり」のために、惜しむことなく「投資」を行うべきであります。

    同じことは市役所にも言えます。どんなに優れた職員でも、一人でできることには限界があります。一人ひとりが知恵を振り絞り、全員が心を一つにして、市民の皆さまの幸せのために全力を尽くす。そのような人材を、組織を育てていくことが、市政の発展につながると確信しております。

    本年4月には、私が市長に就任してから4年目を迎えます。これまで、市民の皆さまのLIFEを守り、支えるため、市民の皆さまの声を何よりもたいせつにし、全身全霊で市政に取り組んでまいりました。

    コロナ禍において、本市は感染対策と経済対策の両面から、緊急かつ実効性の高い施策を実行してまいりましたが、私自身はこれができる限りの全てなのか、本当にやり残したことはないのかと、常に自問自答と苦悩の日々の連続でした。そのような中、医療従事者の皆さまをはじめ、多くの方が姫路のため、市民のために日夜、心を砕いておられる姿を目の当たりにし、頭の下がる思いでありました。

    本年は、市民の皆さま、関係者の皆さま全員の頑張りにお応えできるよう、これまでの辛抱を反転攻勢のエネルギーに変え、アフターコロナを見据えた市政を果敢に進めてまいります。

    市民の皆さま、議員の皆さま、関係者の皆さま。今こそ、共に力を合わせてこの難局を乗り越え、明るい未来を切り拓き、姫路の創造的復興を進めてまいりましょう。姫路にはそれだけの底力があると私は信じています。

    市民の皆さま並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和4年度の所信表明といたします。

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