HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の導入(小規模な営業者等向け)
- 更新日:
- ID:28555
令和3年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者の皆さんに「HACCPに沿った衛生管理」に取り組んでいただくことが義務付けられました。
「HACCPに沿った衛生管理」には、「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の2種類があります。
大規模事業者、と畜場、及び食鳥処理場(認定小規模食鳥処理場除く)は「HACCPに基づく衛生管理」の実施が必要で、小規模事業者等は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を実施する必要があります。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の実施
小規模事業者等は、各種業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化された方法で、衛生管理を行います。
なお、各種業界団体が作成した手引き書は厚生労働省ホームページで公開されています。

(1)衛生管理計画の作成
衛生管理計画は、「一般衛生管理」と「重要管理」に分けて考えます。
では、「一般衛生管理」と「重要管理」について、飲食店を例として考えていきます。

一般衛生管理
「一般衛生管理」とは、どの食品の調理についても行うべき共通事項であり、原材料受入れの確認、冷蔵庫や冷凍庫の温度確認、交差・二次汚染の防止、器具等の洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄・消毒、従業員の健康管理、衛生的な手洗いの実施などのことをいいます。
これらの事柄について、「いつ」、「どのような方法で」、「問題があったときどう対応するか」の3項目について実際に自分の施設で行っていることを様式に記入します。
項目 | いつ | どのような方法で | 問題があったときどう対応するか |
---|---|---|---|
原材料確認 | 納入時 | 外観、におい、包装、表示を確認する | 返品し、交換する |
庫内温度の確認(冷蔵庫・冷凍庫) | 始業前 | 温度計で庫内温度を確認する | 原因確認、設定温度の調整又は修理、食材の状態に応じて使用しない又は加熱して提供する |
2次汚染・交差汚染防止 | 業務中 | 冷蔵庫内の保管の状況を確認 まな板、包丁などは用途別に使い分け、使用の都度洗浄・消毒する | 生肉等による汚染があった場合は加熱して提供又は使用しない 使用時に、まな板や包丁などに汚れが残っていた場合は、洗剤で再度洗浄し、消毒する |
器具管理 | 使用後 | 使用の都度、まな板、包丁、ボウルなどの器具を洗浄、すすぎ消毒する | 使用時に汚れや洗剤などが残っていた場合は、洗剤で再度洗浄、または、すすぎを行い、消毒する |
トイレ清掃 | 始業前 | トイレの洗浄・消毒をする | 業務中に汚れていた場合は、洗剤で再度洗浄、すすぎ、消毒する |
健康管理 | 始業前、作業中 | 従業員の体調、手の傷の有無、着衣等の確認を行う | 消化器症状がある場合は調理作業に従事させない 手に傷がある場合には、絆創膏をつけた上から手袋を着用させる 汚れた作業着は交換させる |
手洗い | 作業前、作業中 | トイレの後、調理施設に入る前、盛り付けの前、作業内容変更時、生肉や生魚などを扱った後、金銭をさわった後、清掃を行った後に衛生的な手洗いを行う | 作業中に従業員が必要なタイミングで手を洗っていないことを確認した場合には、すぐに手洗いを行わせる |

重要管理
メニューごとに行うべき衛生管理です。さまざまなメニューがあるかと思いますが、大きく三つの種類に分けることができます。分けるポイントは、加熱の有無と有害な微生物が増加しやすい危険温度帯(10〜60度)をどのように通過するかです。この温度帯を極力避けるため、「どのように」管理するか、出来上がりの状態のチェック方法を決めておきます。
分類 | 重要ポイント | メニュー | チェック方法 |
---|---|---|---|
加熱しないもの | 低温保管(冷蔵庫等) | 冷奴、刺身 | 冷蔵庫より取り出したらすぐに提供 |
加熱するもの | 中心部まで十分火を通す | ハンバーグ 焼き魚、唐揚げ | 火の強さや時間、大きさ、肉汁、見た目で判断 |
加熱後冷却し再加熱するもの | 冷却は素早く、再加熱時は中心部まで十分火を通す | カレー、スープ | 速やかに冷却、再加熱時は気泡、見た目で判断 |
加熱後冷却し提供するもの | 冷却は素早く | ポテトサラダ | 速やかに冷却、冷蔵庫より取り出したらすぐに提供 |

(2)衛生管理計画の周知・実行
衛生管理計画を従業員に周知し、計画どおりに衛生管理を実行します。

(3)確認と記録
計画どおり実行できたかを記録様式に毎日、正確に、適切なタイミングで記録します。営業を行わなかった日は斜線をいれるなどして、記録漏れでないことを後から確認できるようにします。
問題がなかった項目は「良」に〇を、問題があった項目は「否」に〇を付け、特記事項欄に「問題の内容」と「対応したこと」を記入します。その日にあったクレームや衛生上気づいたことなども特記事項欄に記録しておきます。
記録は最低1年間保管します。
業種によって手引書の内容が少しずつ異なるため、自分の施設の業種に合った手引書を参考にしてください。

(4)定期的な計画・記録の振り返りと見直し
定期的(1カ月に1回など)に計画・記録の振り返りを行います。
振り返りにより問題点などが分かってきます。その問題点を改善することでより衛生的で安全な食品の提供が可能になります。
お問い合わせ
姫路市 健康福祉局 保健所 保健所衛生課
住所: 〒670-8530 姫路市坂田町3番地 中央保健センター3階別ウィンドウで開く
電話番号: 079-289-1633
ファクス番号: 079-289-0210