令和7年2月14日市長記者会見
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- ID:30078

会見事項
- 令和7年度予算概要について

報告事項
なし

市長会見内容
記者の皆さまには、新年度予算の発表に当たり、ご参集いただき誠にありがとうございます。
さて、本市財政につきましては、市税等一般財源が増加したものの、老朽化が進む公共建築物やインフラ施設の長寿命化対策に加え、経常的経費では、社会保障関係経費の累増のほか、国の施策による人件費及び扶助費の増や物価高による施設管理運営費の増などに多額の財源が必要となっております。
このような中でも、人口減少を乗り越え、本市が、活力あふれるまちであり続けるためには、事業の優先順位を明確にし、真に必要な事業に予算を重点配分していくなど、財政規律を遵守しながら持続可能な財政基盤を堅持しつつ、バックキャステイングな視点から人づくりやDX、GXなど新たな分野へ大胆な投資を行い、姫路の未来を切り拓いていかなければなりません。
そこで、令和7年度予算編成に当たっては、人口減少に対応し、市政のメインテーマである、市民の皆さまのLIFE、「命」「くらし」「一生」を守り支えるとともに、「活力」ある姫路を創造するための施策に積極的に予算を配分いたしました。
具体的な内容につきましては、「令和7年度 主要事業の概要」と書かれたカラー資料をご覧ください。
資料の2ページをお願いします。
本市では、LIFEに関わる4つのメインテーマ、『活力』ある姫路を創造する市政、『命』をたいせつにする市政、『くらし』を豊かにする市政、『一生』に寄り添う市政の実現に向け、特に注力する事業を「主要事業」と位置づけ、市政を推進しております。

主要事業のポイント
3ページをお願いします。
まず、第1部の「主要事業のポイント」でございますが、人口減少など本市が特に向き合うべき現状を踏まえ、施策を検討するうえで念頭に置いた3つの「ポイント」ごとに、新年度の施策展開についてご説明いたします。
ポイントの1点目は「姫路の未来を切り拓く『ひと』を育む」、2点目は「国内外から選ばれる『まち』を築く」、3点目は「時代の変化に対応し『しくみ』を変える」でございます。

ポイント1 姫路の未来を切り拓く『ひと』を育む
4ページをお願いします。
ポイントの1点目は、「ひと」でございます。
人口に関する本市の現状ですが、総人口は減少を続け、2050年には2023年と比較して9万人減少し、43.6万人になる見込みとなっております。また、出生数は、令和2年に4,000人を割り込み、令和6年は3,360人となりました。これに伴い、20歳から39歳の若年人口は、男女ともに減少を続け、2050年には2020年の約7割になると見込まれております。このように、人口減少の継続が見込まれる人口減少時代においては、まちを変革し、新たな活気をもたらす「ひと」の育成が不可欠でありますので、姫路の未来を切り拓く「ひと」を育むための施策を展開してまいります。
5ページをお願いします。
「ひと」を育む施策の1つ目は、「少子化対策・子ども支援」でございます。
出会いから子育てまで、ライフステージに応じた切れ目のない支援を展開します。まず、出会い・結婚期においては、新たな少子化対策として、将来の妊娠・出産を希望する方を対象に、卵子の凍結保存に係る費用を助成します。また、結婚相談所を活用した伴走型の出会い支援に取り組むほか、自身の将来を考えるきっかけづくりとして、ライフプランセミナーの参加対象者を社会人にも拡大いたします。妊娠・出産期においては、本市が先進的に取り組んできた不妊治療等に係る助成をはじめ、子育て応援アプリ「ひめっこ手帳」の機能を拡充し、健康記録のデジタル化を進めます。乳幼児期においては、おむつ等育児用品のギフトカードを配布する「育児用品ギフト事業」を新たに開始するほか、病児保育のニーズに対応するため、病児保育施設の開設を支援してまいります。また、子どもの発達に不安を抱える保護者を支援するため、こどもの未来健康支援センター「みらいえ」内に「はぐくみ相談室」を設置するなど、乳幼児発達支援の充実に取り組んでまいります。学齢期においては、放課後児童クラブの充実に向け、民間事業者への運営委託を段階的に進めるとともに、市の施策に子ども・若者の意見を反映させるため、「(仮称)姫路市こども・若者会議」を新たに開催いたします。
6ページをお願いします。
「ひと」を育む施策の2つ目は、「より良い教育環境の整備」でございます。
次代を担う子どもたちの豊かな心や多彩な能力を育むため、より良い教育環境の整備に取り組んでまいります。詳細な内容につきましては、このあと教育長から説明いたしますので、私からの説明は省略させていただきます。
7ページをお願いします。
「ひと」を育む施策の3つ目は、「多様な人材の育成・確保」でございます。
地域社会の新たな担い手となる「ひと」の育成・確保に向け、女性やグローバル人材、地域づくり人材、保育人材などを対象に、各種事業に取り組んでまいります。

ポイント2 国内外から選ばれる『まち』を築く
8ページをお願いします。
ポイントの2点目は、「まち」でございます。
まず、本市の現状としまして、東京圏や大阪府への外国人を除く転出者数は、20歳台が突出して多く、直近1年間の転出超過数は930人を超えております。また、本市実施のアンケート調査では、「これからも姫路に住み続けたい」と思う方が5割を超える一方で、「市外の方に姫路市での居住を勧めたい」と思う方は約3割と低い水準でありました。観光面では、令和5年度の本市の入込客数は総延べ数で941万7千人となり、コロナ禍前の水準まで回復しております。人口減少時代を迎え、持続的に発展するまち・ひめじを実現するためには、選ばれる「まち」になることが重要でありますので、国内外から、あらゆる主体を惹きつけ、選ばれる「まち」を築くための施策を展開してまいります。
9ページをお願いします。
「まち」を築く施策の1つ目は、「『住んでみたい』『住み戻りたい』そして『住み続けたい』と思えるまちづくり」でございます。
本市の魅力を積極的かつ効果的に発信するため、市民投票により決定するブランドメッセージとロゴを活用し、ふるさとプロモーションを展開してまいります。また、移住支援金や子育て支援金など、若者世帯の本市郊外部へのUJIターンを促進する制度をパッケージ化した「おかえり姫路。」に、空き家バンク登録物件の取得費用を助成する制度を追加し、総合的な移住定住支援事業の充実に取り組んでまいります。
10ページをお願いします。
「まち」を築く施策の2つ目は、「新たな『交流』を生み出すまちづくり」でございます。
若者や外国人、企業を姫路の「まち」に惹きつける施策を戦略的に展開することで、「観光」「国際」「産業」などさまざまな分野で「新たな交流」を生み出し、それらが相乗効果を創出するよう取り組んでまいります。まず、にぎわい創出に向けては、大阪・関西万博に合わせ、Himeji大手前通りイルミネーションの開催期間を拡大するとともに、中心市街地の新たな観光拠点となる「(仮称)観光交流センター」を整備するほか、令和7年4月に名称変更する「手柄山平和公園」の再整備に取り組みます。グローバル化につきましては、本市の強みを活かし、グローバル人材の育成・確保や国際交流の推進、MICE誘致を戦略的に進めます。産業振興では、工場立地促進制度を見直し、成長産業等の誘致に重点的に取り組むほか、地場産品等の海外販路拡大をはじめ、スタートアップや事業承継への支援に取り組んでまいります。

ポイント3 時代の変化に対応し『しくみ』を変える
11ページをお願いします。
ポイントの3点目は、「しくみ」でございます。
本市では各種施策が市民実感に結びつくよう、「くらしやすさ」や「幸福感」を数値化・可視化する「Well-Being指標」の活用に取り組むほか、高効率で生産性が高く、住民満足度の高いスマートシティを目指し、デジタル技術を活用した取組をさまざまな分野において推進しております。しかしながら、現状では、左の図のように生産年齢人口の割合が、2050年に約5割まで落ち込むことが見込まれており、社会構造の変化への対応が急務となっております。このため、デジタル技術の活用など、これまでの取り組みをさらに加速させながら、社会全体で生産性の向上に取り組み、現在の社会システムを新たな価値を創出することができる「しくみ」に転換してまいります。
12ページをお願いします。
「デジタル技術を活用した『しくみ』づくり」でございます。
省人化・省力化を図りながら、より質の高いサービスを生み出すため、デジタル技術を活用した「しくみ」を構築いたします。まず、観光・産業分野では、姫路城をはじめとした観光施設においてデジタルチケットを新たに導入いたします。また、生涯現役・福祉分野では、マイナンバーカードにより福祉医療の資格確認ができるよう取り組むとともに、福祉相談窓口においてAIチャットシステムを本格的に導入いたします。さらに、市民サービス・情報発信においては、マイナ保険証を活用した救急業務の円滑化に取り組みます。加えて、行政分野では、生成AIの活用などにより、効率的・効果的な職場環境の充実に取り組んでまいります。これら「しくみ」の転換は、利用者、行政双方にメリットが期待できるため、今後さらに、デジタル技術を活用した「しくみ」づくりを推進してまいります。
以上が、人口減少など本市が特に向き合うべき現状と、その現状を踏まえ、施策を検討するうえで念頭に置いた3つの「ポイント」でございます。その他、令和7年度の主要事業の概要は、13ページからの第2部に掲載しております。

令和7年度 姫路市予算のポイント
次に、「令和7年度 姫路市予算のポイント」をご覧ください。
まず、「3 予算規模」でございますが、全会計合計で4,297億円、前年度と比較して211億円の増となっております。その内訳でございますが、「一般会計」は、2,582億円で、前年度と比較して、221億円、9.4%の増、「特別会計(7会計)」は、1,128億円で、前年度と比較して、7億円、0.6%の減、「企業会計(2会計)」は、587億円で、前年度と比較して、3億円、0.5%の減となっております。
次に、「4 一般会計の概要」のうち、歳入につきましては、市税収入は、1,041億円で、前年度と比較して、56億円、5.7%の増となっております。地方交付税は、125億円で、前年度と比較して、11億円、8.1%の減となっており、皆減となった臨時財政対策債と合わせると、25億円、16.7%の減となっております。また、市債は、328億円で、前年度と比較して、110億円、50.5%の増となっております。次ページ・歳出のうち、義務的経費は、1,307億円で、前年度と比較して、92億円、7.5%の増となっております。また投資的経費は、506億円で、前年度と比較して、130億円、34.8%の増となっております。
次に、「6 基金、市債残高」についてでございますが、令和7年度末の基金残高は、676億円、前年度から87億円の減を見込んでおります。また、市債残高は、3,093億円、前年度から114億円の増を見込んでおります。
以上、新年度予算の骨子のご説明を申し上げました。

質疑応答(要旨)
記者:
主要事業に関して3つのポイントと4つのメインテーマをお伺いしましたが、特に市長が重視している部分について教えてください。
市長:
そうですね。それは一つ目ポイントの「姫路の未来を切り拓く「ひと」をはぐくむ」ですね。
コロナ禍もあり人口減少が急速に加速しております。出生数の増加に繋がる明確な答えがない中で、やれるだけのことをやろうと、さまざまな分析を行い、事業を展開しております。
なかでも予算はそれほど多くありませんが、卵子凍結費用の助成額は、全国的に見ても最も高い水準であると自負しております。女性のライフサイクルの中で妊娠・出産は、ものすごく大きなイベントです。妊娠・出産には、なるべく早く妊活に取り組んだ方が医学的にはいいですよと、おすすめしても、経済的な理由や勉強やスポーツを頑張りたいといった理由で、妊娠・出産が難しい方がおられます。姫路にいる若い女性には、卵子凍結をしておくことで選択肢を広げ、将来の不安を少しでも減らしていけるよう寄り添っていきたいと考えております。
また、マッチングアプリを活用した出会い支援を実施しておりますが、せっかくの出会いがその後も続いていくように伴走型の支援で、若者の出会い・結婚を応援していきたいです。
このほか、選挙権を持っている人だけが市に意見するのではなく、「こども・若者会議」を開催することで、若年層の意見を市の施策に反映させたいですし、10年先、20年先の未来の姫路に向けて、教育長にも大幅な教育改革をお願いしているところです。
そういう意味で、姫路の「ひとづくり」は、全国にさまざまな取り組みがあるなかでも、トップランナーとなる取り組みであると自負しております。
記者:
予算に関してですが、義務的経費が過去最大、また、投資的経費についても資材価格や労務単価の上昇が直撃しており、ソフト事業を抑えられたような印象を受けます。そうした中で行財政改革がさらに必要かと思いますがいかがでしょうか。
市長:
そうですね。ご指摘のようにやりたい事業はもっとあります。義務的経費の人件費は人事院に従うものですし、扶助費は福祉や医療など削減できない部分ではあります。また、投資的経費については、先日埼玉県八潮市で道路陥没事故がございましたが、老朽化が進むインフラ施設や公共建築物の長寿命化対策の実施など、見えにくい部分ではありますが、行政の重要な役割だと思っております。また、昨今PFAS(有機フッ素化合物)による水質汚染の問題が取り上げられておりますが、姫路市では令和2年から市内100カ所近くの水質検査を地道に実施しております。いち早くこうしたところまで取り組んでいる自治体は全国でもあまりありません。市民の安心安全な上下水道を守るためにも結構な費用を投入しております。
なお、今回の予算編成にあたっては、これまでの事業を何の考えもなしに継続するのではなく、10年先の市民のために、今の姫路に必要なことを徹底的に考え、事業をやめる勇気を持ち、変わるのは今だと職員には伝えていました。今後も行財政改革に積極的に取り組み、財政の持続可能性を確保したいですね。
記者:
来週からの議会に姫路城縦覧料等徴収条例の改正案が提出されますが、縦覧料設定の考え方についてお聞かせください。
市長:
姫路市には世界遺産・姫路城を守り、未来へ繋いでいく使命があります。姫路城の壁や床、屋根など保存整備にあたっては職人の技が必要ですが、その技術の継承にも費用が掛かりますし、地震により石垣が崩れて来城者に被害が及ばないようその安全対策にも費用が掛かります。そうした維持管理費や保存整備費、安全対策等の必要経費を積み上げた結果が2,500円という設定になりました。単純に縦覧料が2.5倍になるというよりも必要経費を積み上げた結果が2,500円であるということをご理解いただきたい。
市民の縦覧料を1,000円に据え置いた点ですが、市民の皆さんは自分たちの税金を使ってインフラ整備を行い、世界遺産の景観を守るために高さ制限や広告制限にもご協力いただいております。また、姫路城やその周辺の清掃ボランティアや姫路城を中心とした文化活動にも市民団体の皆さんに協力いただくなど、縦覧料以上の負担をいただいております。こうしたことから据え置くこととしました。
また、我々は姫路城を観光資源と思うよりも、むしろ教育財産だと思っております。世界遺産や文化財を守ることの重要性を子供たちに学んでほしいという思いから国籍や市内外を問わず子どもたちは無料にしました。
また、姫路城は見どころが多くあり、何度行っても勉強できるところがあります。そうしたことから5,000円の年間縦覧料も設定しました。
記者:
大阪城では料金改定に伴い、新たな展示施設をオープンさせますが、姫路城では魅力向上策などは考えておられるのでしょうか。
市長:
現在動物の移転作業を進めておりますが、動物園跡地において、埋め立てられた内堀の復元を前提とした発掘調査や、御作事所出丸の復元を行いたいと考えております。先ほど職人の技術の継承の話をしましたが、御作事所出丸は大工小屋、左官小屋が所在したものなので、ここで技術の継承をしながら、そうした作業も公開していきたいと考えております。
また、日時指定のデジタルチケットやそれに合わせて飲食やお土産などで使えるクーポンを発行するなど、姫路城周辺の観光をより楽しんでいただきたいと考えております。

教育長 会見内容
来年度、姫路の学びが、変わります。学び方、学ぶ環境、支援体制の改革をご紹介します。
まずなぜ、学びを変えなくてはいけないのでしょうか。それは、世界は今、時代の大きな転換期に入っているという認識からです。少子化、分断と対立、デジタル技術の発展など、背景は複合的です。おおげさに聞こえるかもしれませんが、例えば情報伝達技術の革新は、大きな時代の転換を伴ってきました。印刷機の普及はルネッサンス、宗教改革に繋がりました。産業革命は、産業の拡大や都市化を進めました。そしていま、ネットの登場によって、世界が大きく変わっていくのを、皆さんも実感されていると思います。
SNSなどの普及で多様な価値観が自由に同時多発的に発信される時代です。未来を生きる子どもたちは、多様な意見の人たちと共存し、自分の生き方を自ら選んでいく主体性が必要になります。そんな子どもたちの生きる力を育成するため、姫路の学びは、変わります。
まず、学び方が、変わります。『姫路型・探究学習』を始動させます。大きく2つの特徴があります。一つは、産官学連携し、地域密着型で、実践を中心とした学びです。これまでの学びは、教員の知識や技術を子どもたちに教えることが中心でした。探究的な学びでは、テーマを自分で見つけ、学びを自分で作っていきます。何を勉強するかだけでなく、どう勉強するかを大切にした学び方の転換を、実社会と連携し行います。
また、姫路型・探究学習は、つながりも重視します。これまで姫路市では小中一貫教育を進めてまいりました。これからの姫路市は、「探究学習」という部分において小中だけでなく幼稚園から高校までをつないでいきます。まずは中高の「探究学習」をつなぎ、入試だけでない学びのつながりに光をあてていきます。そのつながりの大切さを理解していただけるように、教員研修を行うとともに積極的に情報発信していきます。
学び方に加えて、学ぶ環境も変わります。こちらは、仮想空間に現れる姫路城です。来年度、まずは中学校から一人一台端末を活用した学習プラットフォームが全校展開されます。メタバースで自分のアバターをコントロールし、学習をしたり、インフルエンサーらを招いてのイベントに参加したりするなど、テクノロジーを使って、多様な価値観につながり、自分らしく学べる場を提供します。誰もがワクワクするとありますが、不登校の児童生徒の学びやつながりの場になるようにと考えています。
グローバル教育も推進します。市立3校では姉妹都市との交流事業を行ってきました。海外での学びがより多くの生徒の選択肢となるよう、補助金を倍増します。また、中学校でのALT活用について、グループでの派遣など、より実践的な活用を取り入れていきます。実は加えて、海外とのつながりを意識した学び設計をまさに現在進めているところです。ご期待くださいとだけ言っておきます。
今年度始めたふるさと納税を活用したクラウドファンディング「子どもの学校改革応援プロジェクト」、多くの方にご賛同いただいており、インターネットを利用した寄付以外の寄付も合わせますと、目標額を上回ることができそうです。画一的な学校施設から、子どもの望む空間に。来年度は、この取り組みを広げ、子どもの学習環境をもっと、変えていきます。姫路市すべての公立学校からアイデアを募集し、クラウドファンディングで継続して学校改革を続けます。
もちろん誰一人取り残されない学びの保証も重要です。すべての子どもたちが安心して、自分らしく学び、つながる教育を受けられるように体制を強化します。
新たに、いじめの相談窓口を開設します。いじめの早期発見・対応につなげるなど、いじめ対策の強化を図ります。
また、不登校の児童・生徒の学校以外の選択肢もサポートします。来年度からは、フリースクールに通う児童・生徒に対して、家庭の経済的負担を軽減するため、利用料等を助成します。できるだけ選択肢を増やし、選択しやすいようにする。そのことで、児童・生徒が自分の居場所を見つけ、自分らしく学び、つながることを応援します。
もちろん、教育においては、どんなに社会が変化しようとも、「時代を超えて変わらない価値のあるもの」(不易)があります。しかし、時代の変化は激しく、「変えていく必要があるもの」(流行)への柔軟な対応は常に必要です。私達は、どんな時代でも子ども真ん中で、教育における「不易」と「流行」を見極めつつ、社会の変化に合わせた変化を続けていきます。

質疑応答
記者:
「一気通貫型」探究学習について、小中学校で探究の取組を重ね、それが高校にもつながるのはよい試みだと思いますが、市の取組である以上、市立高校だけになってしまうということにひっかかるのですが。
教育長:
県立も私立も探究学習に力を入れている高校は増えています。高校から始めるのではなく、小中学校から取り組んでいると、県立や私立の高校に進学しても探究学習のつながりは生かせると考えています。
記者:
例えば中学校から市立高校に進学した際、具体的にどのように中学校と高校の学びがつながるのでしょうか。
教育長:
探究は積み重ねていくものです。例えば、来年度に世界遺産学習サミットが姫路市で開催されますが、姫路城をはじめ世界遺産を探究学習の材料にして、そこから発展させていく。
児童から、姫路城は日常の中にあるけれど、「世界遺産」というスポットライトを当てると、日常の中に「特別」があると感じることができたという感想を聞いたことがあります。つまり、他のものにも世界遺産と同様、特別な価値があると分かったということでした。姫路城をスタート地点にして、そこから新たな問いにつながっていく。それが積み重なって、高校にもなると幅も深みも広がります。そのつながりを止めたくない、と思っています。具体的には、まずは高校と中学校の教員研修を一緒に行っていきます。
記者:
来年度は中高のつながりから始めるとのことですが、カリキュラムはできているのでしょうか。
教育次長:
まずは教職員の研修から始めます。外部からの支援も受けて、どのようなカリキュラムがよいかを研究していきます。
記者:
学習指導要領の中には探究学習に使うことができる時間はあるのでしょうか。
教育次長:
小中学校では総合的な学習の時間、高校では総合的な探究の時間を使います。幼稚園では日々の遊びの中で、不思議だなと思って虫を触ったり砂を触ったりすることが探究になります。
記者:
教育長就任から約1年経過しましたが、今回発表した教育改革の内容は、どのような問題意識から生まれたのでしょうか。姫路の学びの課題をどのようにとらえていますか。
教育長:
1年間いろいろな現場を見てきて、何からできるかを考えたときに、まず働き方改革から始め、生まれた余白の部分で新しい学びを作る必要があると考えています。
このように転換していくことは簡単ではありません。現状を認識するのは、渦中にいるととても難しいことだと思います。そういう意味では、外部から来た私が、「これは何ですか?」「それはなぜですか?」と言い続けたのは意味があったのかなと思っています。
教員の知識や技術を上げることも必要ですが、それ以上に、新しい学びに変えていかなければ、これから未来を拓く子どもたちを育てるのは難しいと感じています。まだカリキュラムはできていませんが、来年度の取組はマインドセットを変える大きな一歩だと思っています。