相続税・贈与税の納税猶予の特例
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農地を相続または贈与を受ける際に、一定の要件のもとで相続税・贈与税の納税が猶予される制度についてご案内しています。

概要
租税特別措置法により相続税および贈与税の納税猶予制度があります。
これは一定の要件を満たした場合、発生した相続税および贈与税の納税が猶予される制度です。
この特例を受ける場合には、農業委員会の適格者証明を必要とし、税の申告期限までに税務署に申告する必要があります。

相続税の納税猶予について
相続人が、農業を営んでいた被相続人から農地(耕作権を含む)を相続して農業を継続する場合、農地価格のうち農業投資価格を超える部分に対する相続税の納付を猶予する制度です。市街化区域の農地の場合、相続税の申告期限から20年間農業経営を継続した場合には納税猶予額が免除されます。市街化区域以外の農地については、終身の営農継続が義務づけられます。
農地は事業用資産ではありますが、相続にともなう農地の減少を防止するため、農業者の相続税負担を軽減する目的で設けられている制度です。
(参考:農業投資価格)10アール当たり、田・77万円、畑・50万円
尚、姫路市には生産緑地はありません。

要件
納税が猶予できる要件は以下のとおりです。

被相続人(亡くなられた方)の要件
下記のいずれかに該当する人
- 死亡の日まで農業を営んでいた人
- 農地等を生前一括贈与をして贈与税の納税猶予の特例に係る贈与者
- 特定農地貸付または営農困難時貸付を行っていた人

相続人の要件
相続した農地(耕作権を含む)で、引き続き自ら農業経営を行う人(姫路市内か近隣にお住まいの方)

対象となる農地
被相続人が死亡の日まで、自ら農業の用に供していた農地のみで、物置、作業場など作付けできない部分は除かれます。

申告に当たっての要件
被相続人の死亡の日から10カ月以内に税務署に相続税の申告を行うこと。

農業委員会の証明について
相続税の納税猶予の特例を受けようとする場合、農業委員会の「適格者証明」が必要となります。発行までに日数がかかる場合がありますので早めに申請するようにしてください。
また、証明発行手数料が必要です。(1件につき300円)
なお、「適格者証明」の発行を受けただけで自動的に納税が猶予されるわけではありません。必ず税務署で特例を受けるための申告を行ってください。

手続きの概要
- 遺産分割協議を確定させてください。
- 上記納税が猶予できる要件に該当するかを確認してください。
- 申請書および添付書類を農業委員会事務局に提出してください。
- 適格者証明を交付します。交付時にご連絡しますので、農業委員会事務局まで受け取りに来てください。
- 税務署で相続税の納税猶予の手続きをしてください。

注意点
必ず自ら終身または20年間農業できる農地のみを納税猶予するようにしてください。また、発行に日数がかかりますので、相続税の申告期限間近な場合は、まず農業委員会事務局にご相談ください。

申請の様式・添付書類
申請書様式および添付書類については、様式提供のページで提供しています。
- 様式提供:相続税の納税猶予適格者証明の申請書

提出先
農業委員会事務局の窓口に提出してください。

注意点
姫路市外の農地については、その農地を管轄している農業委員会に申請してください。申請手続きについては各農業委員会にお尋ねください。

納税猶予を受けている間の手続きについて
農地の相続税および贈与税の納税猶予の特を受けている間、3年ごとに、引き続き農業経営を行っていることを税務署に報告する必要があります。その時に、農業委員会の発行する「引き続き農業経営を行っている旨の証明」(継続証明書)が必要になります。
また、証明発行手数料が必要です。(1件につき300円)
「引き続き農業経営を行っている旨の証明申請書」は、様式提供のページで提供しています。

注意点
猶予を受けられた農地について、自ら農業を行っていない場合は証明できませんので、必ず良好に管理してください。

営農が困難になった場合(営農困難時貸付)または担い手に農地を貸すことになった場合(特定貸付)
平成21年の税制改正により第三者に特例農地(納税猶予地)を貸し付けても納税猶予が継続されます。
- 営農困難時貸し付け
一定の障害等の事由により営農が継続できなくなった場合に第3者に農地を貸し付けることができます。 - 特定貸付けや農地中間管理事業、農用地利用集積計画により農地を貸し付ける事ができます。
適用要件や手続きにつきましては、事前に農業委員会事務局に問い合わせてください。

納税猶予の免除について
相続税の納税猶予を受けた相続人が、市街化区域内の特例農地については、申告期限から20年間農業経営を継続した場合または20年が経過する前に死亡した場合に、納税猶予税額が免除されます。市街化区域以外の農地については、当該相続人が死亡した場合のみ納税猶予額が免除となります。
この免除を受けるためには、免除届出書を税務署に提出する必要があります。

納税猶予の打ち切りについて
特例農地について、納税猶予が継続している間(免除になるまで)に転用や売買を行った場合、もしくは特例農地を耕作していると認められない場合は、一部または全部について猶予打ち切りとなり、猶予されていた相続税の他、猶予期間中の利子税も支払うこととなります。

注意事項
最近、相続税の納税猶予の特例を受けながら不耕作状態が続いている場合や、転用している農地について、20年を待たずに猶予を打ち切るというケースが出てきています。
この制度を受けようとされる方は、終身または20年間継続して自らが耕作が可能かどうか、充分検討されることが必要です。

贈与税の納税猶予について
農業を営んでいた個人が、生前にその推定相続人の一人である農業後継者に農地(耕作権を含む)を一括して贈与した場合、贈与税の納付を贈与者の死亡時(受贈者が贈与者より先に死亡した場合にはその時点)まで猶予し、死亡時に納税猶予額を免除して相続税に切り替える制度です。この時点で、相続税の納税猶予制度を受けることもできます。
相続税とほぼ同様の制度ですが、要件などで相違する部分があります。農地の贈与をしようとする前に一度農業委員会事務局までご相談ください。なお、農地を贈与する際には、農地法第3条の許可を受ける必要があります。農地法第3条の許可については下記の関連情報をご覧ください。

手続きの概要
手続き、必要な書類については、農業委員会事務局にお尋ねください。

注意点
贈与者もしくは受贈者の死亡のときまでその農地等で農業を継続した場合には、猶予されている贈与税の納付が免除されます。
ただし、贈与者死亡の場合は受贈者が贈与者から相続によって取得したものとみなされ、相続税が課税され、受贈者死亡の場合は受贈者の相続人に相続税が課税されることになります。
したがって、相続税の節税にはなりません。また、農地の生前一括贈与のみ適用されますので、相続権のある方全員とよく話し合ってから申請してください。

相続時精算課税制度について
親から子への生前贈与に、通常を大幅に超える非課税枠(控除額)を設け、その後の相続時に贈与分を相続財産と合算して相続税を計算します。それまでに支払った贈与税額は相続税額から差し引くことができます。
適用対象となる贈与財産等については、農地等以外にも宅地、山林、家屋など、種類、贈与金額、贈与回数に制限はありません。ただし、農地については贈与税・相続税納税猶予制度との関係で一定の制約があります。

概要、手続き、申請先について
制度の概要、手続きについて、詳しくは税務署までお尋ねください。申請先も税務署になります。

関連情報
- 農地法第3条の許可について
- 相続税、贈与税、相続時精算課税制度については、詳しくは税務署にお尋ねください。
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