Vol.25 ドッグトレーナー / 長谷川光さん
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“犬と生きるまち”を姫路から。本気で挑み続けるドッグトレーナー

姫路で生まれ育ち、数え切れない回り道と幾度もの崖っぷちを越えながら、自らの手で道を切り拓いてきたのが、ドッグトレーナーの長谷川光さんです。動物が好きだからこそ、本気で犬と人に向き合い、今は“人・犬・社会、三方よしの共生”を目指して、地域とも向き合う日々。そんな思いを胸に立ち上げた「犬の幼稚園」で挑戦を重ねながら、今もなお走り続ける長谷川さんの歩みを追いました。
長谷川 光(はせがわ ひかる)さん
1984年、姫路市生まれ。高校卒業後、自動車整備の専門学校へ進学し、大阪で大型トラックの整備士として勤務。多忙な日々の中で将来を見つめ直し、犬に関わる仕事を志すようになる。通信制の学校で学びながら経験を積み、2012年にドッグトレーニング事業「DOCROVER(ドックローバー)」を開業。現在は「犬の幼稚園」を運営するほか、愛犬家と地域のより良い共生を目指した清掃活動や啓発活動にも取り組んでいる。
犬と暮らした少年時代が、すべての原点

幼いころから、近所で飼われていた柴犬のもとへ遊びに行ったり、祖父の家の犬と触れ合ったり。長谷川さんの暮らしのそばにはいつも犬がいました。5歳ごろには、保健所の譲渡会をきっかけに家族で犬を迎え入れたといいます。
学生時代には、道端に捨てられていた犬を保護して家に連れて帰ったことも。家族に反対されながらも、「放っておけない」という気持ちは変わらなかったそうです。自分では特別に意識していなかったものの、振り返ればそのころから、すでに“犬と生きる人生”の輪郭ができ始めていたのかもしれません。
バイクと機械に夢中だった高校時代。“整備士”への道へ

高校時代の長谷川さんは、今の穏やかな印象からは少し意外なほど、バイクや機械の世界に夢中だったそうです。高校卒業後は自動車整備の専門学校へ進学し、20歳のころには大阪へ渡り、整備士として働き始めます。

大阪で就いたのは、大型トラックの整備士の仕事。繁忙期には深夜から明け方まで働くこともあるほど忙しい現場で、残業が重なる日々。休みの日は眠るだけで終わるようなことも多く、転職を考える余力すら残っていなかったといいます。
そんな長谷川さんの人生に変化をもたらしたのが、結婚でした。24歳で結婚し、奥様と暮らし始めたことで、自分では当たり前になっていた生活を少しずつ見つめなおすようになります。
さらに結婚後まもなく、行き場を失った生まれたての子猫に出合ったことが、長谷川さんの人生を大きく動かします。助けたい一心で保護したものの、知識も経験も足りず、命を救うことはできませんでした。その出来事を通して、自分の無力さを痛感したといいます。
“犬の仕事”と出合い、動き出した人生

将来を考えるきっかけを求めて、妻に連れられて訪れた図書館。そこで手に取った一冊の本の中に、「犬に関わる仕事」がありました。獣医師やペットショップ店員など職業が並ぶ中で、長谷川さんの心に強く引っかかったのが「ドッグトレーナー」でした。
しかし当時は、今ほどドッグトレーナーという仕事が一般的ではなく、就職先も多くなかった時代。住み込み修業という選択肢もあったものの、新婚生活との両立は難しく、悩んだ末、長谷川さんは通信制の学校で学びながら、働きつつ資格と経験を積む道を選びます。
26歳で会社を退職し、地元へ戻ることを決意。親族が所有していた加古郡播磨町の古民家で、新しい生活が始まりました。失業保険を受けながら、先輩のもとで無給同然の修業を続ける日々。真っ暗な未来、何もできていない自分への情けなさ、前に進めていない現実への焦り——。退職からわずか数カ月で、心はどん底まで沈んでいったといいます。
ドッグトレーナーとして「ドックローバー」を開業

見習いドッグトレーナーとして学びながら、介護の現場で働き、「犬の仕事」と「人の暮らし」をどう結びつけられるかを模索する日々が続きました。そうして2012年1月、「ドックローバー」を開業します。
今では「犬の幼稚園」という一日預かり型のトレーニング教室となっていますが、開業当初はホームセンターの一角を借りた「しつけ方教室」からスタートしました。ホームページを自ら立ち上げ、営業へ回り、トレーニング、ペットホテル、イベント、出張対応と型にはまらず、“できることは全部やる”のスタンスで挑み続けます。
事業が少しずつ形になってきた2018年ごろから、今に続く「犬の幼稚園」という新たな柱づくりに取り組み始めます。さらに2019年には、大塩エリアに広い土地を借り、フィールドづくりにも着手。草刈りから整地、フェンス設置に至るまで、多くを自分の手と、協力して下さるお客様の力を借りて進めていきました。

そして2024年10月、思い入れのある大塩のフィールドを引きはらい、現在の拠点が本格始動。ようやく“腰を据えて自分の夢を育てていける場所”を手に入れたのです。
犬が当たり前に社会にいる未来を目指して

山陽電車に犬が乗っていること、バスに犬がいること、飲食店で犬と一緒に自然に過ごせること。それらが特別なことではなく、“日常”となる日を夢見て、犬の幼稚園を営む長谷川さん。
その実現には、犬の社会性や飼い主のマナーはもちろん、周囲の人の理解も欠かせません。だからこそ長谷川さんは、トレーニングや幼稚園の運営、啓発活動を通して、“共生の土台”を丁寧に築き続けています。

月に1回のペースで姫路駅前周辺で行っている清掃活動も、その取り組みの一つ。愛犬家たちと一緒に歩きながらゴミを拾うことで、「犬を飼っている人への偏った見方が少しでも和らぎ、まちに貢献したいと思っている人がたくさんいることを知ってもらいたい」といいます。

「これからは大人への啓発だけでなく、子どもたちへの教育にも力を入れていきたい」と考える長谷川さん。かつて先進国のヨーロッパで見た“犬と人とが共生する暮らし”を姫路から叶えるため、今日も一歩ずつ、その未来へ向けて歩み続けています。

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