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Vol.38 SNSグルメインフルエンサー / K太郎さん

  • 更新日:
  • ID:33916

姫路の“おいしい”は人づてにやってくる。地域に愛される店の魅力を届ける食の発信者

K太郎さんの写真

今や飲食店探しは、「どの店に行くか」よりも「だれの情報を信じるか」で選ばれる時代。姫路で「この人の紹介する店なら行ってみたい」と支持を集めているのが、グルメインフルエンサーのK太郎さんです。2021年に本格始動したInstagramアカウントは、約5年で5万人以上のフォロワーを抱える人気アカウントへと成長しました。数多くのグルメ情報があふれる今、なぜ多くの人がK太郎さんの発信に惹かれるのか。その原点をたどると、人と人との繋がりを大切にする、一つの信念が見えてきました。

K太郎さん

姫路市出身。2021年より姫路を中心としたグルメ情報の発信を本格的に開始。ラーメンや焼肉、まち中華、居酒屋など幅広いジャンルを紹介し、現在は5万人を超えるフォロワーを抱える人気グルメアカウントを運営する。迫力ある写真や動画に加え、店主や生産者の思いまで丁寧に伝える発信スタイルが特徴。

おいしい記録から始まった発信

取材のようす

2026年6月現在、5万人を超えるフォロワーを抱え、姫路を代表するグルメ発信者の一人として知られるK太郎さん。しかし、そのスタートは意外なほど自然なものでした。「経済団体の集まりや会食が多かったので、おいしかったものを記録として撮り始めたんです」。

当時は純粋な“自分のための備忘録”。食べた料理を写真に残し、あとで見返すために投稿していただけでした。

ところが、投稿を続けるうちに少しずつ反響に変化が生まれます。「おいしそう」「どこのお店ですか?」SNS上で投稿を見た人たちからそんな声が届くようになり、自分の発信がだれかの行動に繋がっていることを実感するようになりました。

もともとマーケティングや分析に興味があったこともあり、そこからSNSの仕組みや見せ方について研究を重ねる日々が始まります。どんな写真なら目に留まるのか。どんな動画なら最後まで見てもらえるのか。コロナ禍という状況も手伝い、SNSを通じて知り合った全国の発信者や運用者と情報交換を重ねながら、試行錯誤の日々を続けていきました。

そうして2021年、本格的にグルメアカウントとして歩み始めることに。男性目線ならではの豪快さや迫力を感じさせる写真や動画。食欲を刺激するストレートな表現。その投稿は少しずつ共感を集め、さらに多くの人に届くようになっていったのです。

数字を追いながらも、数字に振り回されない

お店の人と談笑

現在までの投稿数は1,600本以上。その中には90万回再生を超える動画もあります。ただ、その数字の裏側にあるのは華やかさだけではありません。どんな投稿が伸びるのか。なぜ再生されるのか。どんな見せ方なら最後まで見てもらえるのか。SNSのアルゴリズムやほかの発信者の投稿を研究しながら、自分なりの仮説を立てては検証する。その繰り返しでした。

ラーメンや焼肉などの“ガッツリ系”は反応が良い一方で、自信のあった投稿が思うように伸びないことも少なくありません。SNSはまさに“正解のない世界”。だからこそのおもしろさがあるとK太郎さんは話します。

発信者として成長するほど、別の難しさにも直面します。フォロワーが増えれば増えるほど、発信が届く相手も広がりますが、その一方で、以前のように反響が見えづらくなり、数字を伸ばす難しさも増していきました。

それでも、「大谷翔平選手でも三振する。ましてや自分のような“普通”の人間が毎回うまくいくわけがない」と考え、発信を止めることはありませんでした。

“数字は大切にしながらも、数字だけに振り回されない”そんな姿勢こそが、多くの人から信頼を集め、長く発信を続けられる理由なのかもしれません。

料理の向こう側にいる“人”を伝えたい

取材のようす2

K太郎さんの投稿を見ていると、料理だけでなく店主や料理人の姿が登場することが少なくありません。それは単に料理を紹介したいからではなく、その一皿を生み出した人の思いや背景まで届けたいという考えがあるからです。

そんな彼の取材では、料理の感想を聞くだけで終わることはありません。「なぜその食材を選んだのか」「なぜその料理を作ろうと思ったのか」「どんな思いで店を続けているのか」。気になったことがあれば、自然と質問が増えていくといいます。

取材のようす3

「料理を作る人と食べる人をつなぐ、橋渡しのような存在になれたらと思っています」。そう穏やかに話すK太郎さん。数年にわたる取材活動を通して、「長年地元で愛され続ける店には、必ず理由がある」と感じるようになったといいます。

親子二代にわたって受け継がれてきた味。常連客との信頼関係。仕入れや調理へのこだわり。そうした日々の積み重ねが、その店ならではの魅力を生み出している――。数多くの店を訪ね歩く中で、そんな確信を深めてきました。

だからこそK太郎さんが発信で伝えたいのは、料理そのものだけではありません。その一皿の向こうにいる人の思いや店が歩んできた歴史、そして地域とのつながりです。

料理を通して人と人を繋ぐこと。店の魅力だけでなく、その背景にある物語まで届けること。そんな思いこそが、K太郎さんの発信の原点となっています。

人との繋がりが、新しい店との出合いをつくる

インタビューのようす

意外だったのは、店探しの方法でした。目まぐるしく変化するSNSの世界では、新店情報をだれよりも早く発信することが価値になる場面も少なくありません。しかしK太郎さんは、流行を追いかけることにそれほどこだわりがないといいます。

むしろ大切にしているのは、人づての情報です。「好きなお店の人がおすすめする店は気になりますし、食べることが好きな友達から教えてもらうことも多いですね」。料理人がおすすめする店や食べ歩きが好きな友人から教えてもらった一軒、そしてフォロワーから寄せられる口コミ。そうした情報が重なったとき、「一度行ってみようかな」と思うのだそうです。

記事を掲載

もちろんSNSで情報収集をすることもあります。それでも最後に背中を押してくれるのは、人との信頼関係の中で得た情報でした。「おいしいものを作る人って、おいしいものを知っているんですよ」。その言葉には、長年食べ歩きを続けてきたK太郎さんならではの実感が込められています。

情報があふれる時代だからこそ、人から人へ伝わる言葉には価値がある。そんな考え方が、K太郎さんの発信の土台になっていました。

発信の力で、姫路をもっと元気に

姫路の魅力をかたるようす

生まれも育ちも姫路。学校へ通うために大阪へ出たことはあっても、暮らしの拠点はずっと姫路でした。そんなK太郎さんにこのまちについて尋ねると、「都会過ぎず、不便過ぎない。そして何より魅力的な人と店が多い」という言葉が返ってきました。長年このまちで暮らしてきたからこそ、その魅力をだれよりも知っているのでしょう。

現在は姫路エリアで活動するSNSクリエイターたちと定期的に集まり、情報交換や交流にも積極的に参加するようになったK太郎さん。発信者同士が繋がることで新たなアイデアが生まれ、姫路の魅力をより多くの人に届けられると考えているからです。

また、その仲間たちと一緒に、今後は地域の魅力を発信する新たなアカウントの立ち上げも構想中。観光客はもちろん、その先のインバウンド需要も見据えながら、姫路の魅力を国内外へ発信していきたいといいます。

姫路グルメ

「姫路をグルメから盛り上げたいんです」と語る彼の役目は、一軒の店と一人のお客さんを繋ぐこと。地域の魅力を次の人へ伝えていくこと。そしてそうした積み重ねが、まちの元気に繋がるとK太郎さんは信じています。

姫路の魅力をもっと多くの人に知ってほしい。その思いを胸に、今日もK太郎さんはスマートフォンを手にまちへ向かいます。だれかにとっての“おいしい一軒”との出合いを届けるために。

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