Vol.39 「世界遺産 姫路城を守る会」会長 / 岡本 一さん
- 更新日:
- ID:33971
守るだけじゃない、新たな価値の創造を。世界に誇る「姫路城」と「まち」の魅力を磨き続ける

創業79年の老舗喫茶・洋菓子店「大陸」の代表取締役社長として経営に勤しむ傍ら、「世界遺産 姫路城を守る会」の会長を務めている岡本一さん。お城へと続く大手前通りの“真ん中”で生まれ、姫路城やまちの移り変わりを見守ってきた岡本さんは、同会の活動だけにとどまらず、地域で数々のプロジェクトを立ち上げ、まちのにぎわいを創出しています。「もう年やからね」と笑いながらも、今なお精力的に活動を続ける根底には、地元の発展を願ってやまない熱い想いがありました。
岡本 一(おかもと はじめ)さん
1950年、姫路市生まれ。喫茶・洋菓子店「大陸」の代表取締役社長であり、2024年より「世界遺産 姫路城を守る会」会長として活躍。その他にも「姫路大手前通り街づくり協議会」会長、「銀の馬車道プロジェクト」運営委員長、「姫路料飲組合連合会」会長、「姫路菓子組合」副理事長、「姫路食文化協会」副会長など複数の要職を兼務し、長年にわたって姫路のまちづくりやにぎわいづくりを牽引している。
いつも暮らしのそばにあった偉大なシンボル

戦後間もない1947年から、実家が大手前通りの中心部で「茶房大陸」を営んでいたこともあり、姫路城を遊び場にして育った岡本さん。「三の丸の高台に千姫ぼたん園がありますが、私が小さいときは、あそこに土俵があってね。地域の人はみんな“相撲場”と呼んでいました。よくプロレス興行が行われていたので、こぞって観戦に出かけたものです。内堀の清掃で水を抜く日には、友人と鯉を捕りに行くのが楽しみでした。でも捕った鯉の扱いに困り、結局は風呂屋の息子に無理やり引き取ってもらっていましたけどね」。

公園のように親しんでいた場所が、時を経て世界文化遺産に。そして今は「世界遺産 姫路城を守る会」(以下、「守る会」)の会長として、その存在を維持・保全する立場となりました。「歩んできた歴史といい、優美な姿といい、つくづく姫路城は大したもんや」と、改めて偉大さを痛感しているという岡本さん。「孫が城や歴史に興味を持っていて、夏休みには家族旅行で全国各地のお城を巡っているんです。でもやっぱり姫路城が一番やね」と誇らしげに語ります。
姫路城に寄せられるたくさんの愛を束ねて

「守る会」は、姫路城を愛する人々の輪を広げ、ふるさとの文化を育てていくことを目的とし、1968年に発足しました。運営を担う理事会メンバーを中心に、市内外の姫路城を愛好する幅広い世代で構成されており、現在は約400人の会員が在籍。他城への視察や講演会の開催、文化会や研修委員会の運営、会誌『白鷺城』の発行など、多彩な取り組みを通して姫路城の魅力を発信し、歴史文化の継承に貢献しています。

岡本さんは2000年に入会して以降、監査役として前会長の米田徳夫さん(ヤマトヤシキ元代表取締役社長・会長)を支えてきました。米田さんの意志を受け継ぎ、会長に就任したのは2024年。そして、最初に取り組んだのが会名の改称でした。「姫路城を守る会」に「世界遺産」の冠を掲げることで、会員のさらなる意識向上を図り、より良い活動成果へと結びつけたいーー。そんな岡本さんの想いは会員全体に浸透し、城内の清掃奉仕や五輪塔供養、献茶式などに一人ひとりが主体的に参加しています。
「会員の皆さんは大変熱心で、姫路城への愛着が深く、知識も豊富。その熱量に『守る会』は支えられています」と岡本さんは話します。
市民みんなで「姫路城」を熱く語り継いでいこう

会長に就任してからは、姫路城と地域の歴史を次世代や市民に継承していくことの重要性について考えるようになった岡本さん。姫路城と共に世界文化遺産に登録された法隆寺(奈良県)を「守る会」のメンバーと視察した際には、周辺の土産物店の店主や店員が法隆寺について詳しく語る姿に驚いたそうです。
「私は長い間、姫路城のお膝元で商売をさせてもらっていますが、お城についてお客さんに聞かれてもほとんど答えられなかったんです。これはあかんと、『守る会』にお城の専門家を呼んで勉強会を開き、見識を広げるようになったんですけど、やっぱり子どものころからの地域史教育が大事やと思ってね。母校の市立白鷺小中学校を訪ね、ぜひ子どもたちに姫路城について勉強する時間を作ってほしいとお願いしました。私の申し入れを校長先生が快く受け入れてくださり、同校では現在、姫路城を核とした地域史教育にも力を入れていただいています」。

姫路城を熱く語り継ぐ人を地域に増やしていくことが会長としての責務だという岡本さん。姫路大空襲(1945年)でまちの中心地が焼け野原になっても姫路城はほぼ無傷だったという逸話をはじめ、市民にもまだ知られていない“姫路城の不思議”は数多く眠っています。それらを丁寧に掘り起こし、広く伝えていくことが姫路城やまちの価値を高め、地域の発展に結びつくと確信しています。
「おもしろがること」が、まちの未来につながる

現在、岡本さんは「守る会」だけでなく、「姫路大手前通り街づくり協議会」「銀の馬車道ネットワーク協議会」「姫路食文化協会」「姫路お城まつり実行委員会」など数々の地域団体で中心的な役割を担い、まちのにぎわいづくりに尽力しています。持ち前の行動力と発想力で、さまざまなプロジェクトを立案し、着実に実現へと導いてきました。
商店街に畳を敷いて宴会を楽しむ「姫路元気畳座」や、B級ご当地グルメの祭典「B-1グランプリin姫路」の開催はその代表的な取り組みの一つ。日本初の高速産業道路「銀の馬車道」をPRするため、「銀馬車かぼちゃ」の誕生を仕かけたのも岡本さんです。
「こうした企画を実現するにはコツがあって、例えばイベントなら、“何月何日に開催しよう”と真っ先に日程を決めてしまうんですよ。良い案も“いつかやろう”では立ち消えてしまう。日程が決まると“せなしょーない”とみんなが動き出して、だんだんと形になっていくんですわ」。

活動への尽きることのない情熱。その源泉とは何かを尋ねると、岡本さんはこう力強く答えてくれました。「なんでもおもしろがるマインドやね!」。そして、一緒におもしろがってくれる仲間の存在も大きな原動力になっていると明かしてくれました。姫路青年会議所や姫路商工会議所青年部で培った絆に助けられ、地元の先輩経営者たちのバイタリティに刺激を受けながら、姫路の発展のために走り続けてきました。
「市民一人ひとりが熱い想いを持ち、行政や地域団体と連携しながら、まちづくりやまちおこしの担い手として自ら行動することで、もっと姫路の魅力は高まりますよ」と力を込める岡本さん。地元を想う熱は、まだまだ冷めることはありません。

魅力のご紹介
エリア紹介
くらし
移住を応援
ふるさと納税