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Vol.51 地域再生プロジェクトリーダー /矢野卓也さん

  • 更新日:
  • ID:34540

消えかけた海辺のにぎわいをもう一度。白浜を「一年中遊べる場所」へ

矢野さんの写真

潮干狩りや海水浴で親しまれてきた姫路市の白浜海岸が今、新たなにぎわいを生み出す場所へと動き始めています。その中心となって活動するのが、「姫路白浜海岸Rebornプロジェクト」を進める矢野卓也さん。潮干狩りの復活を皮切りに、スポーツやイベントなど、海辺の新たな楽しみを次々と創出しています。目指すのは、姫路城に次ぐ“周遊観光地”。地域とともに白浜の未来を描く矢野さんの思いに迫ります。

矢野 卓也(やの たくや)さん

1982年、姫路市生まれ。自身が営む会社で、2019年から一次産業に参入し、姫路市白浜沖でアサリやカキなどの養殖事業をスタート。漁業組合に所属したことをきっかけに白浜海岸と深く関わるようになる。途絶えていた潮干狩りの復活に取り組み、2025年から「姫路白浜海岸Rebornプロジェクト」を本格始動。地域の事業者らと連携し、スポーツやイベント、ビーチクリーンなどを通して、一年を通して人が集う海辺づくりに取り組んでいる。

幼いころの思い出が残る白浜を、もう一度

幼いころから親しみのある白浜海岸

生まれてからずっと姫路で暮らしてきた矢野さんにとって、白浜海岸は幼いころから親しみのある場所の一つだったそうです。当時の白浜海岸は、潮干狩りや海水浴を楽しむ家族連れでにぎわい、海岸沿いには海の家がずらりと並んでいました。

そんな思い出のある白浜と再び深く関わるようになったのは、今から7、8年ほど前のこと。矢野さんが営む人材派遣会社が新たに一次産業へ参入し、白浜沖でアサリやカキなどの養殖を始めたことをきっかけに、漁業組合にも所属するようになりました。そこで矢野さんが目の当たりにしたのは、かつてのにぎわいを失い寂れた海岸。高齢化などさまざまな事情から約10年前に海水浴場を運営していた組合が解散し、潮干狩りも行われなくなっていたのです。

白浜海岸の思い出をはなす矢野さんのようす

幼いころとは違った形で、再び白浜海岸と向き合うことになった矢野さん。「せっかくこんなにすばらしい天然資源があるのに、このままなくなってしまうのは寂しい」。そんな気持ちから、「自分たちでもう一度、潮干狩りを復活させられないか」と考えるようになります。

そこで漁業組合に掛け合い、新たに潮干狩りの部会を設立。かつて親しんだ白浜に、もう一度にぎわいを生み出すための一歩を踏み出しました。

潮干狩りだけで終わらない「一年中楽しい浜」へ

インタビューのようす

潮干狩りの復活に取り組む中で、矢野さんの中に新たな思いが芽生えます。「どうせなら、一年を通して人が集まる場所にできないか」。そんな思いから2025年に本格始動したのが、白浜を新たな形で生まれ変わらせる「姫路白浜海岸Rebornプロジェクト」です。

目指すのは、「いつ来ても何か楽しいことがある海」。春の潮干狩りをはじめ、ビーチバレーやSUP、子どもたちが水鉄砲で競い合うイベント、愛犬が砂浜を駆け回る姿をプロカメラマンが撮影する企画など、白浜というフィールドを生かした新たな楽しみを次々と生み出しています。

一人の挑戦から、みんなの挑戦へ

2年前からはじめた勉強会のようす

海を舞台に新しいことを始める――。それには、漁業組合、行政、海の家など、さまざまな機関の人たちの理解を深める必要がありました。

その一環として約2年前から始めたのが勉強会でした。海の家やサーフショップなど白浜に関わる人たちが月に一度集まり、「次は何をしよう」とアイデアを出し合ったり、定期的にビーチクリーンをしたり、地域の人たちと一緒にプロジェクトに取り組むようになりました。

海岸でごみ清掃活動をする矢野さんのようす

「自分たちだけではできません。みんなで盛り上げた方が楽しいですから」。そう語る矢野さんが、モチベーションの源として挙げるのも、一緒に活動する“仲間”です。

イベント当日、準備してきた場所にたくさんの人が集まり、楽しそうに過ごす。その光景を目にした瞬間、それまでの苦労が報われ、「次は何をしよう」と新たな挑戦への力が湧いてくるといいます。一人の思いから始まった挑戦は、少しずつ地域を巻き込み、みんなで白浜の未来をつくる挑戦へと広がっています。

目指すは年間10万人!姫路城に次ぐ周遊観光地に

日本規模のSUPレースを初誘致したときのようす

地域の人たちを巻き込みながら、少しずつ新たなにぎわいを生み出してきた白浜海岸。その動きは今、地域の外へも広がり始めています。

2026年には、全日本規模のSUPレースを白浜へ初誘致。全国から多くの選手が集まる大会の開催へとつながりました。さらに、ヴィクトリーナ姫路のビーチバレーチーム「レヴァリス」の活動拠点にもなるなど、スポーツを通じた新たな人の流れも生まれつつあります。

潮干狩り客でにぎわうようす

海水浴や潮干狩りだけではなく、スポーツをしたり、イベントを楽しんだり、海辺で食を味わったり。かつてのにぎわいをただ取り戻すのではなく、今までになかった楽しみを加えながら、白浜の新たな魅力を創出しているのが「姫路白浜海岸Rebornプロジェクト」です。今年の10月末には、白浜初となるランタンイベントの開催も予定しているそうです。

そんな矢野さんたちが次に掲げる目標は、2030年までに白浜を年間10万人が訪れる場所にすること。2026年には潮干狩りだけで1万人を超える人が訪れ、年間を通したイベントを合わせると、その数はすでに1万数千人に上ります。

みんなが楽しめる場所として、目指せ10万人

“年間10万人”という目標の先に見据えているのが、姫路城に次ぐ“周遊観光地”としての白浜です。姫路を訪れた人が城を楽しむだけでなく、その次に足を延ばしたくなる場所へ。天然の砂浜や地元で開催される祭り文化を大切にしながら、そこに新しい遊びやスポーツを掛け合わせていくことで、白浜ならではの魅力を育てていきたいといいます。

「まずは、いつ来ても何かやっている場所にしたいですね」。幼いころに親しんだ白浜を、昔の姿に戻すのではなく、これからの時代に合った新しい海辺へ。矢野さんが仲間とともに描く白浜の未来は、ここからさらに広がっていきます。

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